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この章で取り出すもの:2つの偏光モードと外場で動く振動子

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第16章 電気光学と磁気光学
目次
  1. モード・物質・結合の3つの選び方
  2. 静的な電場は釣り合いの位置をずらす
  3. 静的な磁場は円運動の向きで共鳴を分ける
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第16章 §16.1 ★★★ 静的な電場は非調和な振動子の釣り合いの位置をずらして共鳴の周波数を変え、静的な磁場は Lorentz 力で円運動の向きによって共鳴を分ける。どちらも感受率を外場の関数にする

第15章(第15章)では、結晶の異方性によって2つの偏光モードの屈折率が異なる媒質を扱い、偏光の変化を Jones 行列と Poincaré 球の上の回転で表した。そこでの屈折率の差は結晶が最初から持っているもので、外から変えることはできなかった。この章では、外から静的な電場 E0\bm{E}_0 や磁場 B0\bm{B}_0 を掛けて、屈折率の差を作り、その大きさを外場で変える。電場の1次で屈折率が変わるのが Pockels 効果、2次で変わるのが Kerr 効果、磁場の1次で螺旋度 ±\pm の2つの円偏光(第15章)の屈折率が変わり、直線偏光の向きが回るのが Faraday 効果である。

章の型(第1章 第1章)に当てはめると、取り出す場のモードは同じ向きに進む平面波の2つの偏光モード、物質のモデルは第11章(第11章)の Lorentz 振動子に静的な場の影響(電場なら復元力の非調和な項、磁場なら Lorentz 力)を加えたもの、結合は外場で変わった感受率テンソル χij(ω;E0,B0)\chi_{ij}(\omega;\bm{E}_0,\bm{B}_0) である。光の場そのものは弱く、物質の応答は光について線形のままにする。外場について非線形になる点が、光の場について非線形になる第17章(第17章)との違いである。

16.1節で、静的な場が振動子の共鳴をずらすことから感受率の変化を出す。16.2節で、その変化を屈折率楕円体の変形として書き、空間反転と時間反転の対称性が、どの項が許されるかを決めることを示す。16.3節(Pockels 効果と変調器)、16.4節(Kerr 効果)、16.5節(Faraday 効果と非相反性)が「出てくるもの」である。16.6節で置いた近似・実験で確かめる量・授業で習う形との対応を述べ、16.7節でまとめる。

モード・物質・結合の3つの選び方

この章で取り出す場のモードは、zz 方向に進む平面波 E(z,t)=Re⁡[Eωei(kz−ωt)]\bm{E}(z,t)=\operatorname{Re}[\bm{E}_\omega\mathrm{e}^{\mathrm{i}(kz-\omega t)}] の2つの偏光モードである。横波の複素振幅 Eω\bm{E}_\omega は xx, yy の2成分を持つ複素ベクトル(第15章の Jones ベクトル)で、媒質の中ではこの2次元の空間の中に、変形を受けずに進む固有偏光が2つある。等方的な媒質では2つの固有偏光の屈折率が等しいので、どの偏光もそのまま進む。外場はこの縮退を解き、2つの固有偏光の屈折率に差 Δn\Delta n を作る。長さ LL を進むと2つの固有偏光の間に位相差 Γ=ωΔnL/c\Gamma=\omega\Delta nL/c が付き、偏光の状態が変わる。この章で計算するのは、外場から Δn\Delta n を出すことである。

物質のモデルは Lorentz 振動子(第11章 第11章)で、変位 x\bm{x} の電子(電荷 −e-e、質量 mm)が

mx¨=−mω02x−mγx˙+Fnl(x)−e(E0+E(t))−e x˙×B0(16.1)m\ddot{\bm{x}}=-m\omega_0^2\bm{x}-m\gamma\dot{\bm{x}}+\bm{F}_{\mathrm{nl}}(\bm{x})-e\bigl(\bm{E}_0+\bm{E}(t)\bigr)-e\,\dot{\bm{x}}\times\bm{B}_0\tag{16.1}

に従うとする。Fnl\bm{F}_{\mathrm{nl}} は復元力の非調和な部分、E0\bm{E}_0 と B0\bm{B}_0 は外から掛けた静的な場、E(t)\bm{E}(t) は光の場である。感受率は、光の場に比例する部分の変位 xω\bm{x}_\omega から Pω=−Nexω=ε0χEω\bm{P}_\omega=-Ne\bm{x}_\omega=\varepsilon_0\chi\bm{E}_\omega で読む(NN は振動子の数密度。局所場の補正は 16.6節で触れる)。

結合は、外場が振動子の運動方程式の係数を変えることで表される。外場が無ければ、式 (16.1) から第11章のχ(ω)=ωp2/(ω02−ω2−iγω)\chi(\omega)=\omega_{\mathrm p}^2/(\omega_0^2-\omega^2-\mathrm{i}\gamma\omega) が出る。ここで ωp2=Ne2/(mε0)\omega_{\mathrm p}^2=Ne^2/(m\varepsilon_0) と書いた(第13章 第13章 の金属のプラズマ周波数と同じ形の量で、振動子の数密度で決まる)。以下で、電場と磁場がこの式をどう変えるかを順に見る。

静的な電場は釣り合いの位置をずらす

1次元で考え、非調和な力を Fnl=−max2−mbx3F_{\mathrm{nl}}=-max^2-mbx^3 とする。静的な電場 E0E_0 だけが掛かった釣り合いの位置 x0x_0 は、aa, bb の最低次で x0=−eE0/(mω02)x_0=-eE_0/(m\omega_0^2) である。光の場による小さな振動 x=x0+ξx=x_0+\xi を考え、ξ\xi について1次まで残すと、復元力は −m(ω02+2ax0+3bx02)ξ-m(\omega_0^2+2ax_0+3bx_0^2)\xi になる。釣り合いの位置がずれたことで、そこでのばねの硬さが変わったのである。共鳴の周波数の2乗の変化は

Δ(ω02)=2ax0+3bx02=−2aeE0mω02+3be2E02m2ω04(16.2)\Delta(\omega_0^2)=2ax_0+3bx_0^2=-\frac{2aeE_0}{m\omega_0^2}+\frac{3be^2E_0^2}{m^2\omega_0^4}\tag{16.2}

で、aa の項は E0E_0 の1次、bb の項は E0E_0 の2次である。感受率はこれに応じて

Δχ=−ωp2 Δ(ω02)(ω02−ω2−iγω)2(16.3)\Delta\chi=-\frac{\omega_{\mathrm p}^2\,\Delta(\omega_0^2)}{(\omega_0^2-\omega^2-\mathrm{i}\gamma\omega)^2}\tag{16.3}

だけ変わる。E0E_0 の1次の変化(Pockels 効果)を作るのは x2x^2 の項、つまりポテンシャルの x3x^3 の項であり、ポテンシャルが x→−xx\to-x で対称な物質(a=0a=0)では1次の変化は無く、2次の変化(Kerr 効果)だけが残る。16.2節で、この事情が空間反転の対称性の一般的な帰結であることを示す。

静的な磁場は円運動の向きで共鳴を分ける

次に B0=B0ez\bm{B}_0=B_0\bm{e}_z だけを掛け、非調和な項を落とす。光の場による変位を xωe−iωt\bm{x}_\omega\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} と書くと x˙=−iωx\dot{\bm{x}}=-\mathrm{i}\omega\bm{x} なので、式 (16.1) の xx, yy 成分は

(D−iωωciωωcD)(xωyω)=−em(EωxEωy),D=ω02−ω2−iγω,ωc=eB0m(16.4)\begin{pmatrix}D&-\mathrm{i}\omega\omega_{\mathrm c}\\ \mathrm{i}\omega\omega_{\mathrm c}&D\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x_\omega\\ y_\omega\end{pmatrix}=-\frac em\begin{pmatrix}E_{\omega x}\\ E_{\omega y}\end{pmatrix}, \qquad D=\omega_0^2-\omega^2-\mathrm{i}\gamma\omega,\qquad \omega_{\mathrm c}=\frac{eB_0}{m}\tag{16.4}

になる。ωc\omega_{\mathrm c} は電子のサイクロトロン角周波数である。この行列の固有ベクトルは円偏光

e±=12(ex±iey)(16.5)\bm{e}_\pm=\frac{1}{\sqrt2}(\bm{e}_x\pm\mathrm{i}\bm{e}_y)\tag{16.5}

で、固有値は D±ωωcD\pm\omega\omega_{\mathrm c} である。Re⁡[e+e−iωt]∝(cos⁡ωt,sin⁡ωt)\operatorname{Re}[\bm{e}_+\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t}]\propto(\cos\omega t,\sin\omega t) なので、e+\bm{e}_+ は +z+z から見て反時計回りに(B0\bm{B}_0 の向きに右ねじを進める向きに)回る。+z+z へ進む光では、e±\bm{e}_\pm は第15章の ∣±⟩| \pm \rangle(式 (15.13)、螺旋度 ±\pm)と同じ偏光である。−z-z へ進む光では螺旋度の符号が逆になるが、e±\bm{e}_\pm は実験室の +z+z に固定して定義する。したがって2つの円偏光の感受率は

χ±(ω)=ωp2ω02−ω2−iγω±ωωc(16.6)\chi_\pm(\omega)=\frac{\omega_{\mathrm p}^2}{\omega_0^2-\omega^2-\mathrm{i}\gamma\omega\pm\omega\omega_{\mathrm c}}\tag{16.6}

になる。e+\bm{e}_+ の向きに円運動する電子には、−ex˙×B0-e\dot{\bm{x}}\times\bm{B}_0 が円の中心を向く力として加わり、ばねが硬くなったのと同じ働きをする(ω02→ω02+ωωc\omega_0^2\to\omega_0^2+\omega\omega_{\mathrm c})。逆向きに回る電子には外向きの力が加わり、ばねが柔らかくなる。共鳴の近くでは ω02−ω2+ωωc≈ω02−(ω−ωc/2)2\omega_0^2-\omega^2+\omega\omega_{\mathrm c}\approx\omega_0^2-(\omega-\omega_{\mathrm c}/2)^2 なので、e+\bm{e}_+ の共鳴は ω0+ωc/2\omega_0+\omega_{\mathrm c}/2 へ、e−\bm{e}_- の共鳴は ω0−ωc/2\omega_0-\omega_{\mathrm c}/2 へずれる。これは古典的な Zeeman 効果(共鳴が Larmor の角周波数 ωc/2\omega_{\mathrm c}/2 だけ上下に割れること)である。

xx, yy の成分で書くと、式 (16.4) の逆行列から

χxx=χyy=ωp2DD2−ω2ωc2,χxy=−χyx=i ωp2 ωωcD2−ω2ωc2(16.7)\chi_{xx}=\chi_{yy}=\frac{\omega_{\mathrm p}^2D}{D^2-\omega^2\omega_{\mathrm c}^2},\qquad \chi_{xy}=-\chi_{yx}=\frac{\mathrm{i}\,\omega_{\mathrm p}^2\,\omega\omega_{\mathrm c}}{D^2-\omega^2\omega_{\mathrm c}^2}\tag{16.7}

を得る。磁場は感受率テンソルに反対称な非対角成分を作り、その成分は B0B_0 の奇関数である。電場の効果(式 (16.3))が対角成分(一般には対称なテンソル)を変えるのと対照的で、この違いが 16.5節の非相反性の出どころになる。

例題 16.1 Pockels 係数の大きさを非調和な振動子で見積もる ★★

オリジナル共鳴の波長が 100 nm100\,\mathrm{nm}(ω0=2πc/(100 nm)\omega_0=2\pi c/(100\,\mathrm{nm}))の電子の振動子を考える。非調和な力 −max2-max^2 の係数を、変位が原子の大きさ d=1.0×10−10 md=1.0\times10^{-10}\,\mathrm m になると非調和な力が線形の復元力と同じ大きさになるように a=ω02/da=\omega_0^2/d と選ぶ。この物質の屈折率は波長 633 nm633\,\mathrm{nm} で n=1.50n=1.50 で、それはすべてこの1つの振動子の寄与だとする(局所場と吸収は無視する)。

  1. (1) E0=1.0×106 V m−1E_0=1.0\times10^{6}\,\mathrm{V\,m^{-1}}(1 mm1\,\mathrm{mm} の厚さに 1 kV1\,\mathrm{kV})を掛けたときの釣り合いの位置のずれ x0x_0 と、共鳴の周波数の2乗の相対的な変化 Δ(ω02)/ω02\Delta(\omega_0^2)/\omega_0^2 を求めよ。
  2. (2) 波長 633 nm633\,\mathrm{nm} での Δχ\Delta\chi と Δn\Delta n を求めよ。
  3. (3) 屈折率の変化を Δ(1/n2)=rE0\Delta(1/n^2)=rE_0 の形に書いたときの係数 rr を求めよ(rr は 16.2節の Pockels 係数)。
解答

(1) mω02=9.109×10−31×(1.884×1016)2=323 N m−1m\omega_0^2=9.109\times10^{-31}\times(1.884\times10^{16})^2=323\,\mathrm{N\,m^{-1}} なので、∣x0∣=eE0/(mω02)=4.96×10−16 m\lvert x_0\rvert =eE_0/(m\omega_0^2)=4.96\times10^{-16}\,\mathrm m である。原子の大きさの 5×10−65\times10^{-6} 倍にすぎない。式 (16.2) の aa の項は Δ(ω02)/ω02=2a∣x0∣/ω02=2∣x0∣/d=9.9×10−6\Delta(\omega_0^2)/\omega_0^2=2a\lvert x_0\rvert /\omega_0^2=2\lvert x_0\rvert /d=9.9\times10^{-6} で(符号は aa と E0E_0 の向きで決まる。ここでは大きさだけを追う)、これは光の場でなく外から掛けた場と原子の中の場 Eat=5.14×1011 V m−1E_{\mathrm{at}}=5.14\times10^{11}\,\mathrm{V\,m^{-1}} の比 1.9×10−61.9\times10^{-6} と近い桁である。

(2) 吸収を無視すると χ=ωp2/(ω02−ω2)\chi=\omega_{\mathrm p}^2/(\omega_0^2-\omega^2) なので、式 (16.3) は Δχ=−χ Δ(ω02)/(ω02−ω2)\Delta\chi=-\chi\,\Delta(\omega_0^2)/(\omega_0^2-\omega^2) と書ける。χ=n2−1=1.25\chi=n^2-1=1.25、ω02/(ω02−ω2)=1/(1−(100/633)2)=1.026\omega_0^2/(\omega_0^2-\omega^2)=1/(1-(100/633)^2)=1.026 から、∣Δχ∣=1.25×9.9×10−6×1.026=1.27×10−5\lvert \Delta\chi\rvert =1.25\times9.9\times10^{-6}\times1.026=1.27\times10^{-5}、∣Δn∣=∣Δχ∣/(2n)=4.2×10−6\lvert \Delta n\rvert =\lvert \Delta\chi\rvert /(2n)=4.2\times10^{-6} である。

(3) Δ(1/n2)=−2Δn/n3\Delta(1/n^2)=-2\Delta n/n^3 なので ∣r∣=2∣Δn∣/(n3E0)=2×4.2×10−6/(3.375×106)=2.5×10−12 m V−1=2.5 pm V−1\lvert r\rvert =2\lvert \Delta n\rvert /(n^3E_0)=2\times4.2\times10^{-6}/(3.375\times10^{6})=2.5\times10^{-12}\,\mathrm{m\,V^{-1}}=2.5\,\mathrm{pm\,V^{-1}}。実在の電気光学結晶の Pockels 係数は 11 から数十 pm V−1\mathrm{pm\,V^{-1}} の桁にあり、この見積もりはその下の端に当たる。外場は振動子をごくわずかにしか動かさないので、屈折率の変化は 10−610^{-6} の桁にとどまる。電気光学効果を使うには、この小さな Δn\Delta n を長い距離や高い電圧で位相差 π\pi まで積み上げる工夫が要る(16.3節)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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