この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第16章 §16.7 ★★★ 外場は振動子の共鳴を動かして感受率テンソルを変える。電場は対称な変化、磁場は反対称で時間反転の奇な変化を作る。総合問題は Faraday 回転子による光アイソレータ
要点
- 静的な電場は非調和な振動子の釣り合いの位置をずらし、共鳴を だけ動かす(式 (16.2))。 の1次(Pockels)は反転対称の無い物質にだけある。
- 変化は 、 と書く。半波長電圧は縦型で 、横型で 。
- 分子の向きの Kerr 効果は で、温度に反比例し、平行と垂直の変化の比は 。
- 静的な磁場は円偏光の感受率を に分け、偏光を だけ回す。共鳴から遠い所では (Becquerel)、自由電子の気体では 。
- 磁場の項は (Onsager)の反対称な部分で、回転の向きは磁場で決まり、往復で になる(非相反)。旋光性は往復で打ち消す(相反)。
この章は、第11章の Lorentz 振動子に外場を1つ加え、振動子の共鳴を動かすという1つの操作で、電気光学と磁気光学の3つの効果を読んだ。どの効果も屈折率の変化は 以下と小さく、それを位相差 や の回転まで積み上げるために、長い導波路や長いガラスや強い磁場が要る。効果の種類を分けるのは大きさでなく、外場が空間反転と時間反転についてどう振る舞うかである。電場は時間反転で変わらないので、電気光学の変化は相反で、偏光の状態を Poincaré 球の赤道面の軸のまわりに回す。磁場は時間反転で符号を変えるので、磁気光学の変化だけが非相反になり、偏光の状態を極の軸のまわりに回す。光の場そのものについての非線形性は第17章(第17章)で扱い、2準位の原子の共鳴を磁場で分ける話(Zeeman 効果を使う磁気光学トラップ)は第26章(第26章)で再び現れる。
総合問題 Faraday 回転子による光アイソレータ ★★★
オリジナルレーザーの出力から戻ってくる反射光を止めるため、2枚の偏光子の間に Faraday 回転子を置いた光アイソレータを作る。回転子の材料は反磁性のガラスで、屈折率は1つの共鳴を持つ Sellmeier の式
に従い、Verdet 定数は Becquerel の式で決まるとする。磁場は で光の進む向き()に平行とする。角度は実験室に固定した座標で、 から見て反時計回りを正に測る。
- (1) (使う道具:第11章の Sellmeier の式・16.5節の Becquerel の式)波長 での と を求め、Verdet 定数 を求めよ。
- (2) (使う道具:16.5節) で偏光を 回す回転子の長さ を求めよ。
- (3) (使う道具:第15章の Jones 行列・16.5節の非相反性)入口に透過軸 の偏光子、出口に透過軸 の偏光子を置く。順方向の透過率と、出口の側から入ってくる戻り光の透過率を、回転の角 の関数として求めよ。 のときの戻り光の透過率を dB で答えよ。
- (4) (使う道具:(1)〜(3)・第11章の正常分散)同じアイソレータを波長 のレーザーに使うと、回転の角と戻り光の透過率はいくらになるか。
- (5) (使う道具:16.2節の Onsager の関係・第15章の波長板)回転子の代わりに、速い軸を に向けた 板を置くと、順方向の光は の偏光になって出口を通る。戻り光が止まらないことを示し、その理由を誘電率テンソルの対称性で述べよ。
解答
(1) , から 、。 なので
である。式 (16.25) から 。
(2) 、つまり 。反磁性のガラスでは でも十数 が要る。実用のアイソレータが Verdet 定数の大きい常磁性の結晶を使うのはこのためで、16.6節で述べたとおり、その大きさは Becquerel の式の外にある。
(3) 偏光子の透過軸の向きを とすると、向き の直線偏光の透過率は (Malus の法則、Jones 行列では射影 )である。順方向では、入口の偏光子を通った の偏光が回転子で になり、出口の の偏光子で が通る。戻り光は、出口の偏光子を逆向きに通って の偏光になり、回転子を 向きに通る。Faraday 回転は磁場の向きで決まるので、実験室の座標でやはり 回って になり、入口の偏光子で が通る。 で , である。 なら で、 では 、すなわち 。順方向の損失は でほとんど無い。
(4) では 、、 で、同じ での回転の角は 。 なので 、つまり に悪化する。正常分散では短い波長ほど が大きく、Verdet 定数はほぼ で大きくなるので、アイソレータは決まった波長で使い、波長を変えるときは磁石の位置で回転の角を合わせ直す。
(5) 板は、速い軸の向き について偏光の向きを と折り返す。軸は実験室に固定されているので、この写像は光の向きに依らない。順方向では で出口を通り、戻り光は になって入口の偏光子をそのまま通る()。波長板は損失の無い異方性の媒質で、誘電率テンソルは実対称()である。Onsager の関係 (16.11) で外場が無ければ は対称になり、対称な の媒質では Lorentz の相反定理が成り立つので、順方向に通る光の経路を逆にたどる光は必ず通る。戻り光を止めるには相反定理を破る必要があり、それには時間反転で符号を変える外場(ここでは )が媒質に要る。
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