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何を近似したか・何の実験の量で確かめるか

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第25章 光の力
目次
  1. 置いた近似
  2. 何の実験の量で確かめるか
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第25章 §25.5 ★★ 内部の状態を定常解で置き換えたこと・重心を古典的に扱ったこと・平均の力だけを残したこと・原子を2準位に縮めたこと。確かめる量は原子線の曲がり、捕獲の周波数、光ピンセットの力

置いた近似

1つ目は、原子の内部の状態を、その位置での光 Bloch 方程式の定常解で置き換えたことである。内部の状態が落ち着く時間は 1/Γ1/\Gamma の桁で、原子が動いて感じる場が変わる時間(λ/v\lambda/v や w0/vw_0/v)がそれより十分長いことが前提になる。内部の速い自由度を消して遅い自由度(重心)の式だけを残す、断熱消去の形の近似である。速さに依る力(式 (25.18))は、この近似の1次の補正として現れる。

2つ目は、重心を古典的な点として扱い、力を期待値 (25.4) で定めたことである。これには、原子の波束の広がりが光の波長より小さく、同時に運動量の広がりが1回の反跳 ℏk\hbar k より大きいことが要る。不確定性関係でこの2つを両立させる条件は ℏk2/m≪Γ\hbar k^2/m\ll\Gamma(反跳の周波数 ωrec=Erec/ℏ\omega_{\mathrm{rec}}=E_{\mathrm{rec}}/\hbar が線幅より小さい)で、Gordon と Ashkin (1980) はこの条件のもとで力の式を導いた。Rb の D2 線では ωrec/Γ=2π×3.77 kHz/(2π×6.07 MHz)=6.2×10−4\omega_{\mathrm{rec}}/\Gamma=2\pi\times3.77\,\mathrm{kHz}/(2\pi\times6.07\,\mathrm{MHz})=6.2\times10^{-4} である。1つ目と2つ目は同じ小さいパラメータを持ち、まとめて半古典の力の近似と呼ぶ。札はまとめて1枚にする。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ωrec/Γ=ℏk2/(2mΓ)→0\omega_{\mathrm{rec}}/\Gamma=\hbar k^2/(2m\Gamma)\to0(内部の状態の緩和が重心の運動より速い) | 証明 要確認(Gordon–Ashkin (1980) は前提を述べて導出しているが、極限としての誤差の評価の形を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章

3つ目は、力の平均だけを残し、そのゆらぎを捨てたことである。自然放出の向きはでたらめなので、1回ごとの反跳は平均のまわりにばらつき、原子の運動量は拡散する。このゆらぎが加熱になり、レーザー冷却で到達できる温度の下限(Doppler 限界)を決める。ゆらぎは第26章(第26章)で扱う。遠い離調の双極子トラップの加熱の速さは、1回の散乱で運動エネルギーが平均 2Erec2E_{\mathrm{rec}} 増えることから 2ErecΓsc2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}} で見積もれる(Grimm ほか (2000))。

4つ目は、原子を2準位に縮めたことである。Rb の基底状態からは D1 線(795 nm795\,\mathrm{nm})と D2 線(780 nm780\,\mathrm{nm})の2本が出ていて、直線偏光の遠い離調の光では、2本の寄与の和は Grimm ほか (2000) の式で πc2Γ2ω03(2Δ2+1Δ1)I\frac{\pi c^2\Gamma}{2\omega_0^3}\bigl(\frac{2}{\Delta_2}+\frac{1}{\Delta_1}\bigr)I に比例する(Δ1,Δ2\Delta_1,\Delta_2 は各線からの離調、回転波近似の部分)。1064 nm1064\,\mathrm{nm} ではこれと1本の2準位の式との比が 1.031.03 で、この章の2準位の模型は 3%3\% の範囲で2本の線を代表する。光の周波数が D1 線と D2 線の間に近づくと、2本の寄与の符号が違ってこの模型は成り立たない。また、式 (25.22) の反共鳴の項は回転波近似を外した補正で、その札は第1章に置いた。

何の実験の量で確かめるか

散乱力の最初の観測は、ナトリウムの原子線を横から共鳴の光で照らし、原子線が曲がることを見た O. R. Frisch (1933)、Z. Phys. 86, 42 である。原子線の曲がり方は、1個の原子が受け取った光子の数を直接数える量になる。散乱力で原子線を止めることは、W. D. Phillips, H. Metcalf (1982)、Phys. Rev. Lett. 48, 596 が Zeeman 減速器で行った(例題 25.3 (3) の Doppler のずれの問題を磁場で解いたもの。第26章)。

双極子力は、まずマイクロメートルの大きさの透明な粒子で確かめられた。A. Ashkin (1970)、Phys. Rev. Lett. 24, 156 は、集光した光で粒子が軸に引き寄せられ、光の進む向きに押されることを観測した。1本の強く集光した光だけで粒子を3次元に捕まえる光ピンセットは A. Ashkin, J. M. Dziedzic, J. E. Bjorkholm, S. Chu (1986)、Opt. Lett. 11, 288、原子を赤い離調の集光した光で捕まえた最初の実験は S. Chu, J. E. Bjorkholm, A. Ashkin, A. Cable (1986)、Phys. Rev. Lett. 57, 314 である。

捕まえた原子の双極子力のポテンシャルは、捕獲の振動の周波数として測れる。焦点の近くでガウスビームのポテンシャル Udip(ρ,z)=U0e−2ρ2/w(z)2w02/w(z)2U_{\mathrm{dip}}(\rho,z)=U_0\mathrm{e}^{-2\rho^2/w(z)^2}w_0^2/w(z)^2 を2次まで展開すると(U0<0U_0<0、w(z)2=w02(1+z2/zR2)w(z)^2=w_0^2(1+z^2/z_{\mathrm R}^2)、zR=πw02/λLz_{\mathrm R}=\pi w_0^2/\lambda_{\mathrm L}。第4章)

ωρ=4∣U0∣mw02,ωz=2∣U0∣mzR2(25.23)\omega_\rho=\sqrt{\frac{4\lvert U_0\rvert }{mw_0^2}},\qquad\omega_z=\sqrt{\frac{2\lvert U_0\rvert }{mz_{\mathrm R}^2}}\tag{25.23}

になる。光の強度を周波数 2ωρ2\omega_\rho で小さく揺らすと、原子は共鳴的に揺すられて捕獲から逃げる(パラメータ共鳴)。逃げた原子の数が最も多くなる揺らしの周波数から ωρ\omega_\rho が求まり、ビーム半径を別に測っておけば、式 (25.23) から深さ U0U_0 が出る。

例題 25.5 捕獲の周波数から深さを読む ★★

オリジナル例題 25.4 の 1064 nm1064\,\mathrm{nm}・5 W5\,\mathrm W・w0=50 μmw_0=50\,\mu\mathrm m の双極子トラップを考える。

  1. (1) 例題 25.4 の深さから zRz_{\mathrm R}、ωρ/(2π)\omega_\rho/(2\pi)、ωz/(2π)\omega_z/(2\pi) を求めよ。
  2. (2) 強度を揺らすパラメータ共鳴で、逃げる原子が最も多くなったのは揺らしの周波数 1.715 kHz1.715\,\mathrm{kHz} だった。深さ U0/kBU_0/ k_{\mathrm B} を求めよ。
  3. (3) 焦点の中心での加熱の速さ 2ErecΓsc2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}} を μK/s\mu\mathrm K/\mathrm s で求めよ(反跳は 1064 nm1064\,\mathrm{nm} の光子で数える)。
解答

(1) zR=πw02/λL=π×(50×10−6)2/(1064×10−9)=7.38 mmz_{\mathrm R}=\pi w_0^2/\lambda_{\mathrm L}=\pi\times(50\times10^{-6})^2/(1064\times10^{-9})=7.38\,\mathrm{mm}。∣U0∣=2.62×10−27 J\lvert U_0\rvert =2.62\times10^{-27}\,\mathrm J からωρ/(2π)=12π4∣U0∣/(mw02)=858 Hz\omega_\rho/(2\pi)=\frac{1}{2\pi}\sqrt{4\lvert U_0\rvert /(mw_0^2)}=858\,\mathrm{Hz}、ωz/(2π)=4.11 Hz\omega_z/(2\pi)=4.11\,\mathrm{Hz}。軸の向きは zR≫w0z_{\mathrm R}\gg w_0 なので、捕獲は軸に沿って 200200 倍緩い葉巻の形になる。

(2) パラメータ共鳴は 2ωρ2\omega_\rho で起こるので、ωρ/(2π)=857.5 Hz\omega_\rho/(2\pi)=857.5\,\mathrm{Hz}。式 (25.23) を解いて∣U0∣=mωρ2w02/4=1.443×10−25×(2π×857.5)2×(50×10−6)2/4=2.62×10−27 J\lvert U_0\rvert =m\omega_\rho^2w_0^2/4=1.443\times10^{-25}\times(2\pi\times857.5)^2\times(50\times10^{-6})^2/4=2.62\times10^{-27}\,\mathrm J、U0/kB=−0.190 mKU_0/ k_{\mathrm B}=-0.190\,\mathrm{mK} で、例題 25.4 と一致する。深さはビーム半径の2乗で決まるので、w0w_0 を 5%5\% 間違えると深さは 10%10\% ずれる。

(3) 1064 nm1064\,\mathrm{nm} の光子の反跳エネルギーは Erec/kB=97.3 nKE_{\mathrm{rec}}/ k_{\mathrm B}=97.3\,\mathrm{nK} で、2ErecΓsc/kB=2×97.3×10−9×0.669=0.130 μK/s2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}}/ k_{\mathrm B}=2\times97.3\times10^{-9}\times0.669=0.130\,\mu\mathrm K/\mathrm s。深さ 190 μK190\,\mu\mathrm K まで温まるのに 103 s10^3\,\mathrm s の桁がかかり、原子を秒の単位で捕まえておける。

木下の勉強ステータス

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