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出てくるもの(2):スクイーズド状態

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第31章 コヒーレント状態とスクイーズド状態
目次
  1. スクイーズド真空の揺らぎ
  2. 光子数の分布
  3. スクイーズしたコヒーレント状態
  4. 2モードのスクイーズと熱分布
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第31章 §31.4 ★★★ スクイーズド真空 S^(ζ)∣0⟩\hat S(\zeta)| 0 \rangle は一方の直交位相の分散が e−2r/4\mathrm{e}^{-2r}/4 と真空より小さく、光子は偶数個だけで平均 sinh⁡2r\sinh^2r、分散 2sinh⁡2rcosh⁡2r2\sinh^2r\cosh^2r。2モードに分けると片方は熱分布になる

スクイーズド真空の揺らぎ

真空にスクイーズ演算子を当てた状態 ∣ζ⟩=S^(ζ)∣0⟩| \zeta \rangle =\hat S(\zeta)| 0 \rangle をスクイーズド真空と呼ぶ。命題 31.2 から ⟨X^θ⟩\langle \hat X_\theta \rangle はすべて 00 のままで、揺らぎは

(ΔXθ)2=e−2r4,(ΔXθ+π/2)2=e2r4,ΔXθ ΔXθ+π/2=14(31.21)(\Delta X_\theta)^2=\frac{\mathrm{e}^{-2r}}{4},\qquad(\Delta X_{\theta+\pi/2})^2=\frac{\mathrm{e}^{2r}}{4},\qquad\Delta X_\theta\,\Delta X_{\theta+\pi/2}=\frac14\tag{31.21}

である。不確定性の下限をちょうど満たしたまま、向き θ\theta の揺らぎが真空の e−r\mathrm{e}^{-r} 倍になる(図 31.1 の楕円)。中間の向き θ+ψ\theta+\psi では(ΔXθ+ψ)2=14(e−2rcos⁡2ψ+e2rsin⁡2ψ)(\Delta X_{\theta+\psi})^2=\frac14(\mathrm{e}^{-2r}\cos^2\psi+\mathrm{e}^{2r}\sin^2\psi) で、縮めた向きから少しずれるだけで、伸ばした向きの大きな揺らぎが混ざる(31.5節の図 31.3)。揺らぎを dB で表すときは、真空の分散 14\frac14 との比を 10log⁡1010\log_{10} で書く。rr のスクイーズは −10log⁡10e−2r=8.69r dB-10\log_{10}\mathrm{e}^{-2r}=8.69r\,\mathrm{dB} で、10 dB10\,\mathrm{dB} は分散を 110\frac1{10} にすること、r=12ln⁡10=1.151r=\frac12\ln10=1.151 に当たる。

光子数の分布

スクイーズの変換の逆 S^a^S^†=a^cosh⁡r+a^†e2iθsinh⁡r\hat S\hat a\hat S^\dagger=\hat a\cosh r+\hat a^\dagger\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta}\sinh r(式 (31.12) で r→−rr\to-r)と a^∣0⟩=0\hat a| 0 \rangle =0 から、スクイーズド真空は

(a^cosh⁡r+a^†e2iθsinh⁡r)∣ζ⟩=0(31.22)\bigl(\hat a\cosh r+\hat a^\dagger\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta}\sinh r\bigr)| \zeta \rangle =0\tag{31.22}

を満たす。∣ζ⟩=∑ncn∣n⟩| \zeta \rangle =\sum_nc_n| n \rangle を入れて ∣n⟩| n \rangle の係数を比べると cn+1n+1cosh⁡r+cn−1n e2iθsinh⁡r=0c_{n+1}\sqrt{n+1}\cosh r+c_{n-1}\sqrt n\,\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta}\sinh r=0 である。c1=0c_1=0 から奇数の係数はすべて 00 で、偶数の係数は c2m+2=−e2iθtanh⁡r(2m+1)/(2m+2) c2mc_{2m+2}=-\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta}\tanh r\sqrt{(2m+1)/(2m+2)}\,c_{2m} でつながる。これを解いて規格化すると

∣ζ⟩=1cosh⁡r∑m=0∞(−e2iθtanh⁡r)m(2m)!2mm!∣2m⟩,P(2m)=(2m)!4m(m!)2tanh⁡2mrcosh⁡r(31.23)| \zeta \rangle =\frac{1}{\sqrt{\cosh r}}\sum_{m=0}^\infty\bigl(-\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta}\tanh r\bigr)^m\frac{\sqrt{(2m)!}}{2^mm!}| 2m \rangle ,\qquad P(2m)=\frac{(2m)!}{4^m(m!)^2}\frac{\tanh^{2m}r}{\cosh r}\tag{31.23}

を得る(規格化は ∑m(2m)!4m(m!)2xm=(1−x)−1/2\sum_m\frac{(2m)!}{4^m(m!)^2}x^m=(1-x)^{-1/2} を x=tanh⁡2rx=\tanh^2r で使う)。光子は偶数個しか無い。2個ずつ作ったり消したりする相互作用 (31.9) で真空から作った状態なので、光子数の偶奇は変わらない。

平均と分散は、式 (31.12) で a^\hat a を変換してから真空の期待値をとると

⟨n^⟩=sinh⁡2r,(Δn)2=2sinh⁡2rcosh⁡2r=2⟨n^⟩(⟨n^⟩+1)(31.24)\langle \hat n \rangle =\sinh^2r,\qquad(\Delta n)^2=2\sinh^2r\cosh^2r=2\langle \hat n \rangle \bigl(\langle \hat n \rangle +1\bigr)\tag{31.24}

である。分散は同じ平均のコヒーレント状態(Poisson)の 2(⟨n^⟩+1)2(\langle \hat n \rangle +1) 倍で、光子数の揺らぎは大きい。一方の直交位相の揺らぎを小さくした状態は、光子数で見ると揺らぎの大きい状態であり、「揺らぎが小さい」は向きを指定して初めて意味を持つ。光子数の揺らぎの小さい光(アンチバンチングした光)は第32章で扱う。

図

図 31.2 平均の光子数が同じ 2.0252.025 のコヒーレント状態(青緑・左の棒)とスクイーズド真空(赤・右の棒)の光子数の分布。スクイーズド真空は偶数だけに分布し、n=0n=0 の確率が 0.5750.575 と大きく、裾が長い(分散 12.2512.25。Poisson は 2.0252.025)。

スクイーズしたコヒーレント状態

スクイーズド真空を変位させた D^(α)S^(ζ)∣0⟩\hat D(\alpha)\hat S(\zeta)| 0 \rangle をスクイーズしたコヒーレント状態と呼ぶ。期待値は ⟨a^⟩=α\langle \hat a \rangle =\alpha でコヒーレント状態と同じ古典の振動をし、揺らぎは式 (31.21) の楕円のままである。θ\theta を arg⁡α\arg\alpha にそろえて動径の向きを縮めると光子数の揺らぎが Poisson より小さい光(振幅スクイーズ)、θ=arg⁡α+π/2\theta=\arg\alpha+\pi/2 にして接線の向きを縮めると位相の揺らぎが小さい光(位相スクイーズ)になる。干渉計で使うのは、強いコヒーレント状態の光とスクイーズド真空を別々の入口から入れる配置で、ビームスプリッタで重ねた後の各腕の光は、スクイーズしたコヒーレント状態に近いものになる(総合問題)。

2モードのスクイーズと熱分布

第17章の縮退していないパラメトリック過程では、ポンプ光子1個がシグナル光とアイドラー光の2つのモード a^\hat a、b^\hat b に光子を1個ずつ作る。同じ手順で相互作用は a^†b^†\hat a^\dagger\hat b^\dagger と a^b^\hat a\hat b の和になり、時間発展は

S^2(ζ)=exp⁡[ζa^†b^†−ζ∗a^b^],S^2(ζ)∣0,0⟩=1cosh⁡r∑n=0∞tanh⁡nr ∣n,n⟩(31.25)\hat S_2(\zeta)=\exp\bigl[\zeta\hat a^\dagger\hat b^\dagger-\zeta^*\hat a\hat b\bigr],\qquad \hat S_2(\zeta)| 0,0 \rangle =\frac1{\cosh r}\sum_{n=0}^\infty\tanh^nr\,| n,n \rangle\tag{31.25}

である。引数は1モードと同じく複素のスクイーズ・パラメータ ζ=re2iθ\zeta=r\mathrm{e}^{2\mathrm{i}\theta} で、位相を選んで ζ=r\zeta=r(実数)とすると右の式になる。光子は2つのモードに同じ数ずつ入るので、光子数の差 n^a−n^b\hat n_a-\hat n_b は揺らがない。これを2モードのスクイーズド真空と呼ぶ。片方のモードだけを見て b^\hat b について部分トレースをとると

ρ^a=1cosh⁡2r∑ntanh⁡2nr ∣n⟩⟨n∣,tanh⁡2r=e−ℏω/(kBT),⟨n^a⟩=sinh⁡2r(31.26)\hat\rho_a=\frac1{\cosh^2r}\sum_n\tanh^{2n}r\,| n \rangle \langle n |,\qquad\tanh^2r=\mathrm{e}^{-\hbar\omega/( k_{\mathrm B} T)},\qquad\langle \hat n_a \rangle =\sinh^2r\tag{31.26}

で、温度 TT の熱分布(Planck 分布)そのものになる。全体は純粋状態なのに、片方だけを見ると熱い。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第12章(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第12章)で、一様に加速する観測者の見る真空が Rindler の左右の楔のモードの対の状態(熱場二重状態)になり、片方の楔では Unruh 温度の熱分布に見えることを示した。その状態は、この式で tanh⁡r=e−ℏΩ/(2kBTU)\tanh r=\mathrm{e}^{-\hbar\Omega/(2 k_{\mathrm B} T_{\mathrm U})} とおいた2モードのスクイーズド真空である。

例題 31.4 10 dB10\,\mathrm{dB} のスクイーズド真空 ★★★

オリジナルX^1\hat X_1 の分散を真空の 110\frac1{10} にしたスクイーズド真空(θ=0\theta=0)を考える。

  1. (1) rr、ΔX1\Delta X_1、ΔX2\Delta X_2 を求めよ。
  2. (2) 平均の光子数と、光子数が 00・22・44 個である確率を求めよ。光子数の分散を、同じ平均のコヒーレント状態と比べよ。
  3. (3) 同じ rr の2モードのスクイーズド真空を、角周波数 ω/2π=5 GHz\omega/2\pi=5\,\mathrm{GHz} の2つのモードに作った。片方のモードだけを見ると何 K の熱分布に見えるか。
解答

(1) e−2r=110\mathrm{e}^{-2r}=\frac1{10} から r=12ln⁡10=1.151r=\frac12\ln10=1.151。ΔX1=e−r/2=0.158\Delta X_1=\mathrm{e}^{-r}/2=0.158、ΔX2=er/2=1.58\Delta X_2=\mathrm{e}^{r}/2=1.58 で、積は 14\frac14 のままである。

(2) sinh⁡2r=(e2r+e−2r−2)/4=(10+0.1−2)/4=2.025\sinh^2r=(\mathrm{e}^{2r}+\mathrm{e}^{-2r}-2)/4=(10+0.1-2)/4=2.025。cosh⁡2r=3.025\cosh^2r=3.025、tanh⁡2r=2.025/3.025=0.669\tanh^2r=2.025/3.025=0.669 で、式 (31.23) からP(0)=1/cosh⁡r=0.575P(0)=1/\cosh r=0.575、P(2)=12tanh⁡2r/cosh⁡r=0.192P(2)=\frac12\tanh^2r/\cosh r=0.192、P(4)=38tanh⁡4r/cosh⁡r=0.0966P(4)=\frac38\tanh^4r/\cosh r=0.0966 である。分散は 2×2.025×3.025=12.252\times2.025\times3.025=12.25 で、同じ平均のコヒーレント状態の分散 2.0252.025 の約6倍である(図 31.2)。半分以上の確率で光子は1個も無いのに、平均は2個を超える。

(3) e−ℏω/(kBT)=tanh⁡2r=0.669\mathrm{e}^{-\hbar\omega/( k_{\mathrm B} T)}=\tanh^2r=0.669 から ℏω/(kBT)=0.401\hbar\omega/( k_{\mathrm B} T)=0.401、T=h×5×109/(kB×0.401)=0.598 KT=h\times5\times10^9/( k_{\mathrm B}\times0.401)=0.598\,\mathrm K である。この温度の Planck 分布の平均 1/(e0.401−1)=2.0251/(\mathrm{e}^{0.401}-1)=2.025 は sinh⁡2r\sinh^2r と一致する。2つのモードの光子数を同時に測ると、値はいつも等しい。片方だけでは温度 0.6 K0.6\,\mathrm K の雑音に見える光が、もう片方と合わせると完全に相関している。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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