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授業で習った形との対応

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第4章 エンタングルメント
目次
  1. 一重項と三重項
  2. 同じ種類の粒子について
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第4章 §3.4.6 ★★ 角運動量の合成で習う一重項・三重項を Schmidt 分解で読み直す。全スピンの大きさともつれの量は別の量で、熱平衡の2スピンは温度が上がるともつれを失う

一重項と三重項

学部の量子力学では、2つのスピン 12\frac12 の合成を次の形で習う。全スピン S^=S^1+S^2\hat{\bm{S}}=\hat{\bm{S}}_1+\hat{\bm{S}}_2 の大きさ SS と zz 成分 mm で状態を分類し、

∣S=0⟩=12(∣↑↓⟩−∣↓↑⟩),∣1,1⟩=∣↑↑⟩,∣1,0⟩=12(∣↑↓⟩+∣↓↑⟩),∣1,−1⟩=∣↓↓⟩(3.4.20)| S=0 \rangle =\frac{1}{\sqrt2}(| \uparrow\downarrow \rangle -| \downarrow\uparrow \rangle ),\qquad | 1,1 \rangle =| \uparrow\uparrow \rangle ,\quad| 1,0 \rangle =\frac{1}{\sqrt2}(| \uparrow\downarrow \rangle +| \downarrow\uparrow \rangle ),\quad| 1,-1 \rangle =| \downarrow\downarrow \rangle\tag{3.4.20}

と書く。∣↑⟩=∣0⟩| \uparrow \rangle =| 0 \rangle、∣↓⟩=∣1⟩| \downarrow \rangle =| 1 \rangle と読み替えると、一重項は ∣Ψ−⟩| \Psi^- \rangle、∣1,0⟩| 1,0 \rangle は ∣Ψ+⟩| \Psi^+ \rangle である。この章の言葉では、一重項と ∣1,0⟩| 1,0 \rangle はどちらも Schmidt 係数 (1/2,1/2)(1/2,1/2) の最大にもつれた状態(1 ebit)で、∣1,±1⟩| 1,\pm1 \rangle は積状態(E=0E=0)である。全スピンの大きさが同じ ∣1,0⟩| 1,0 \rangle と ∣1,1⟩| 1,1 \rangle はもつれの量が違い、全スピンの大きさが違う一重項と ∣1,0⟩| 1,0 \rangle は (Z⊗1)∣Ψ+⟩=∣Ψ−⟩(Z\otimes\mathbf 1)| \Psi^+ \rangle =| \Psi^- \rangle という Alice だけのユニタリで移り合う。全スピンは2つのスピンをまとめて回す操作 U^⊗U^\hat U\otimes\hat U に対する分類で、もつれは別々の操作 U^A⊗U^B\hat U_A\otimes\hat U_B で変わらない量による分類なので、両者は別の量である。

授業では一重項の性質として、2つのスピンの任意の方向の成分が完全に逆向きに相関すること

⟨S=0∣(a⋅σ)⊗(b⋅σ)∣S=0⟩=−a⋅b(3.4.21)\langle S=0 | (\bm{a}\cdot\bm{\sigma})\otimes(\bm{b}\cdot\bm{\sigma}) | S=0 \rangle =-\bm{a}\cdot\bm{b}\tag{3.4.21}

を、S^∣S=0⟩=0\hat{\bm{S}}| S=0 \rangle =0 から (σ1+σ2)∣S=0⟩=0(\bm{\sigma}_1+\bm{\sigma}_2)| S=0 \rangle =0、つまり (b⋅σ)⊗1∣S=0⟩=−1⊗(b⋅σ)∣S=0⟩(\bm{b}\cdot\bm{\sigma})\otimes\mathbf 1| S=0 \rangle =-\mathbf 1\otimes(\bm{b}\cdot\bm{\sigma})| S=0 \rangle を使って導く(a\bm{a}、b\bm{b} は単位ベクトル。(a⋅σ)(b⋅σ)(\bm{a}\cdot\bm{\sigma})(\bm{b}\cdot\bm{\sigma}) の期待値に Pauli 行列の積の公式を当てると右辺が出る)。この章の側から見ると、片方の状態は ρ^A=1/2\hat\rho_A=\mathbf 1/2 でどの方向を測っても結果は半々に出るのに、2人の結果は必ず逆になる。局所的には何の情報もないのに、相関は完全である。この組み合わせは純粋状態で S(ρ^A)=ln⁡2S(\hat\rho_A)=\ln2 が最大であることの言い換えで、分離可能な状態では、どの方向でも完全に逆向きに相関させることはできない。実際、積状態では ⟨X⊗X⟩+⟨Y⊗Y⟩+⟨Z⊗Z⟩\langle X\otimes X \rangle +\langle Y\otimes Y \rangle +\langle Z\otimes Z \rangle が2つの Bloch ベクトルの内積になって −1-1 以上であり、混合を取ってもそのままなので、分離可能な状態ではこの和は −1-1 以上である。一重項では式 (3.4.21) から −3-3 になる。この相関が局所的な隠れた変数ではどうやっても再現できないことは、次の章 第3部第5章 の主題になる。

授業で「EPR の思考実験」として習う話も同じ状態についての話である1A. Einstein, B. Podolsky and N. Rosen (1935), Physical Review 47, 777–780。下の脚注へ。Alice が zz 方向を測ると Bob のスピンの zz 成分が確定する、という説明がよくされる。この章の言葉で付け加えると、Alice が測っても、結果を知らない Bob の状態ρ^B=1/2\hat\rho_B=\mathbf 1/2 は何も変わらない。Alice の測定のあとの状態を結果について平均すると Tr⁡A\operatorname{Tr}_A の値は測定前と同じだからで(Alice の操作は Tr⁡A\operatorname{Tr}_A の中で消える)、これが「もつれを使っても信号は送れない」ことの式の上での理由である。

同じ種類の粒子について

授業では、2つの電子のスピンの一重項を、粒子の入れ替えに対する反対称性と結び付けて習うことも多い。この章の扱いは、Alice と Bob の系が別の場所にあって区別できる場合(離れた2つの原子のスピン、2つの量子ドットなど)を前提にしている。同じ種類の粒子を番号で区別して部分トレースをとると、反対称化だけからも S(ρ^1)>0S(\hat\rho_1)>0 が出るが、その値は LOCC の資源としての ebit の数とは一般に一致しない。同じ種類の粒子のもつれは、粒子の番号でなく、場所などの区別できるモードに分けてから定義し直すのが普通である。

例題 3.4.6 熱平衡の2スピンのもつれ ★★★

オリジナル2つのスピン 12\frac12 が反強磁性的に結合した H^=K S^1⋅S^2/ℏ2\hat H=K\,\hat{\bm{S}}_1\cdot\hat{\bm{S}}_2/\hbar^2(K>0K>0)を、温度 TT の熱平衡に置く。2固体の巻(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第2章)はスピンを ℏ\hbar を単位にした無次元の量にして JS^1⋅S^2J\hat{\bm{S}}_1\cdot\hat{\bm{S}}_2 と書き、J=ET−ESJ=E_T-E_S を交換相互作用から出す。この章の KK は向こうの JJ にあたる。下の脚注へ

  1. 固有値を求め、熱平衡状態が一重項の重み ww と三重項の重み (1−w)/3(1-w)/3 ずつの混合であることを示して ww を βK\beta K で表せ。
  2. この状態は Werner 状態 (3.4.11) と局所ユニタリで移り合うことを示し、もつれが消える温度を求めよ。
  3. kBT=K/2k_{\mathrm B} T=K/2 のとき、concurrence、EFE_{\mathrm F}、ERE_{\mathrm R}、ENE_{\mathrm N} を求めよ。
解答

(1) S^1⋅S^2=12(S^2−S^12−S^22)=ℏ22(S(S+1)−32)\hat{\bm{S}}_1\cdot\hat{\bm{S}}_2=\frac12(\hat{\bm{S}}^2-\hat{\bm{S}}_1^2-\hat{\bm{S}}_2^2)=\frac{\hbar^2}{2}\bigl(S(S+1)-\frac32\bigr) なので、一重項(S=0S=0)で −34K-\frac34K、三重項(S=1S=1、3つ)で +14K+\frac14K。熱平衡状態 e−βH^/Z\mathrm{e}^{-\beta\hat H}/Z は一重項に e3βK/4/Z\mathrm{e}^{3\beta K/4}/Z、各三重項に e−βK/4/Z\mathrm{e}^{-\beta K/4}/Z の重みを与えるので

w=e3βK/4e3βK/4+3e−βK/4=11+3e−βK.w=\frac{\mathrm{e}^{3\beta K/4}}{\mathrm{e}^{3\beta K/4}+3\mathrm{e}^{-\beta K/4}}=\frac{1}{1+3\mathrm{e}^{-\beta K}}.

(2) 4つの状態の和は 1\mathbf 1 なので、熱平衡状態は w∣Ψ−⟩⟨Ψ−∣+1−w3(1−∣Ψ−⟩⟨Ψ−∣)=p∣Ψ−⟩⟨Ψ−∣+(1−p)14w| \Psi^- \rangle \langle \Psi^- |+\frac{1-w}{3}(\mathbf 1-| \Psi^- \rangle \langle \Psi^- |)=p| \Psi^- \rangle \langle \Psi^- |+(1-p)\frac{\mathbf 1}{4} と書ける。∣Ψ−⟩| \Psi^- \rangle の係数を比べて w=p+(1−p)/4=(1+3p)/4w=p+(1-p)/4=(1+3p)/4。∣Ψ−⟩=−(XZ⊗1)∣Φ+⟩| \Psi^- \rangle =-(XZ\otimes\mathbf 1)| \Phi^+ \rangle で 1\mathbf 1 は局所ユニタリで変わらないので、この状態は Werner 状態 ρ^p\hat\rho_p に局所ユニタリで移る。もつれているのは p>1/3p>1/3、つまり w>1/2w>1/2 のときで、3e−βK<13\mathrm{e}^{-\beta K}<1 から

kBT<Kln⁡3=0.910 K.k_{\mathrm B} T<\frac{K}{\ln3}=0.910\,K.

この温度より上では、基底状態が 1 ebit の一重項であっても、熱平衡状態は分離可能になる。

(3) βK=2\beta K=2 で w=1/(1+3e−2)=0.7112w=1/(1+3\mathrm{e}^{-2})=0.7112。Bell 対角で F=wF=w なので C=2w−1=0.4225C=2w-1=0.4225、1−C2=0.9064\sqrt{1-C^2}=0.9064、EF=hb(0.9532)=0.1890E_{\mathrm F}=h_{\mathrm b}(0.9532)=0.1890 nat。ER=ln⁡2−hb(0.7112)=0.0921E_{\mathrm R}=\ln2-h_{\mathrm b}(0.7112)=0.0921 nat。部分転置の負の固有値は (1−3p)/4=(1−2w)/2(1-3p)/4=(1-2w)/2 で、∥ρ^TB∥1=1+(2w−1)=2w\|\hat\rho^{\mathsf T_B}\|_1=1+(2w-1)=2w から EN=ln⁡(2w)=0.3524E_{\mathrm N}=\ln(2w)=0.3524 nat。

ほかの巻では

1 A. Einstein, B. Podolsky and N. Rosen (1935), Physical Review 47, 777–780。

2 固体の巻(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第2章)はスピンを ℏ\hbar を単位にした無次元の量にして JS^1⋅S^2J\hat{\bm{S}}_1\cdot\hat{\bm{S}}_2 と書き、J=ET−ESJ=E_T-E_S を交換相互作用から出す。この章の KK は向こうの JJ にあたる。

木下の勉強ステータス

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