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この章のまとめ

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第5章 誤り耐性としきい値定理

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第6部 第5章 §6.5.7 ★★★ 誤り耐性・連結・表面符号の3つで、部品が誤る装置でも任意に正確な量子計算ができる。しきい値は環境へ漏れる情報の相転移として読める

この章は、第3部第9章の誤り訂正を、訂正の回路そのものが誤る現実の装置へ持ち込んだ。CNOT は制御の XX を標的へ、標的の ZZ を制御へ写すので、素朴に組んだシンドロームの測定は1か所の故障から2個の誤りを作る。故障の数と誤りの数を1対1以下に保つ組み方が誤り耐性で、横断的なゲート・猫状態の補助・測定の繰り返しがその手段である。誤り耐性を持つ距離3の符号を1段使うと論理誤りは Aε2A\varepsilon ^2 になり、符号を ℓ\ell 段重ねると εth(ε/εth)2ℓ\varepsilon _{\mathrm{th}}(\varepsilon /\varepsilon _{\mathrm{th}})^{2^\ell} と2重指数で下がる。要る段数は回路の大きさの対数の対数でしか増えないので、資源は対数の多項式倍で済む。これがしきい値定理である。

表面符号は、トーリック符号を平面に切り開いた符号で、生成元が隣り合う量子ビットにしか当たらない。シンドロームは誤りの鎖の端点で、復号は端点の組み合わせの問題になり、最適な復号のしきい値はランダムボンド Ising 模型の西森点 10.9% に一致する。測定の誤りを入れると 2.9%、回路のすべての場所の誤りを入れると約 0.75% で、超伝導量子ビットの実験は d=3,5,7d=3,5,7 で Λ=2.14\Lambda=2.14 を示した。情報の側から見ると、復号後の論理量子ビットから環境へ漏れる情報は hb(εL)h_{\mathrm b}(\varepsilon _{\mathrm L}) で、しきい値の下では距離とともに 00 へ、上では ln⁡2\ln2 へ向かう。しきい値はデカップリングが成り立つかどうかの相転移で、その値は hashing の限界 0.11000.1100 のすぐ下にある。誤り訂正は雑音の持ち込むエントロピーを補助へ移して捨て続ける操作でもある。

古典の von Neumann の多数決回路にもしきい値(3入力の多数決で η=1/6\eta=1/6)があるが、そこでは誤りが素子の誤りの程度に留まるだけで、00 には行かない。量子のしきい値定理は、誤り訂正の部品そのものを下の段の論理ゲートで作ることで誤りを 00 へ流し、誤りのないゲートで定義した BQP を物理的に意味のあるクラスにしている。この章で使った I(R;E)=0I(R;E)=0 というデカップリングの条件は、第7部でブラックホールに落とした情報が放射から取り出せるかを問う Hayden–Preskill の議論(第7部第4章)と、ホログラフィーを量子誤り訂正符号として読む議論(第7部第6章)で、そのままの形で再び現れる。

総合問題 連結した繰り返し符号で見るしきい値 ★★★

オリジナル3量子ビットのビット反転符号(第3部第9章)を記憶として使い、各量子ビットが1回の保存のあいだに独立に確率 ε\varepsilon で XX を受ける。ZZ の誤りは考えない。

  1. (1) (使う道具:第3部第9章)ε=0.1\varepsilon =0.1 で訂正を誤りなく行うとき、論理誤りの確率 ε(1)\varepsilon ^{(1)} と、論理量子ビットから環境へ漏れる情報 I(R;E)I(R;E) を求め、符号を使わない場合の hb(0.1)h_{\mathrm b}(0.1) と比べよ。
  2. (2) (使う道具:6.5.2節)この符号を ℓ\ell 段連結する(各段の誤り訂正は誤らない)。ε(ℓ)=3(ε(ℓ−1))2−2(ε(ℓ−1))3\varepsilon ^{(\ell)}=3(\varepsilon ^{(\ell-1)})^2-2(\varepsilon ^{(\ell-1)})^3 を ℓ=1,…,4\ell=1,\dots,4 で求め、10−910^{-9} 以下にするのに要る段数と物理量子ビットの数を求めよ。この再帰のしきい値はいくらか。
  3. (3) (使う道具:6.5.6節)各段の訂正を、確率 η=0.01\eta=0.01 で出力を反転させる多数決の素子で物理的に行うと、再帰は式 (6.5.10) になる。ε=0.1\varepsilon =0.1 から3段の値と、段数を増やしたときの行き先を求めよ。
  4. (4) (使う道具:6.5.1節・6.5.2節)訂正の回路を誤り耐性を持つように下の段の論理ゲートで作ると、再帰は ε(ℓ)=A(ε(ℓ−1))2\varepsilon ^{(\ell)}=A(\varepsilon ^{(\ell-1)})^2 になる。A=30A=30、ε=0.01\varepsilon =0.01 のとき ε(ℓ)\varepsilon ^{(\ell)} を ℓ=1,…,4\ell=1,\dots,4 で求め、しきい値と、10−910^{-9} 以下に要る段数を求めよ。
  5. (5) (使う道具:6.5.5節)(2)・(3)・(4) の行き先それぞれについて、漏れる情報 hb(ε(ℓ))h_{\mathrm b}(\varepsilon ^{(\ell)}) が 00 に向かうかどうかを述べ、(3) と (4) の違いを情報の言葉で説明せよ。
解答

(1) 2個以上の反転で多数決が誤るので ε(1)=3ε2−2ε3=0.03−0.002=0.028\varepsilon ^{(1)}=3\varepsilon ^2-2\varepsilon ^3=0.03-0.002=0.028。訂正の後の論理量子ビットは確率 0.0280.028 のビット反転チャネルを受けるので、式 (6.5.7) により I(R;E)=hb(0.028)=0.1277I(R;E)=h_{\mathrm b}(0.028)=0.1277 nat。符号を使わない1量子ビットでは hb(0.1)=0.3251h_{\mathrm b}(0.1)=0.3251 nat が漏れるので、符号で漏れる情報が約4割に減る。

(2) ε(1)=0.028\varepsilon ^{(1)}=0.028、ε(2)=3(0.028)2−2(0.028)3=2.308×10−3\varepsilon ^{(2)}=3(0.028)^2-2(0.028)^3=2.308\times10^{-3}、ε(3)=1.596×10−5\varepsilon ^{(3)}=1.596\times10^{-5}、ε(4)=7.64×10−10\varepsilon ^{(4)}=7.64\times10^{-10}。10−910^{-9} 以下になるのは ℓ=4\ell=4 で、物理量子ビットは 34=813^4=81 個。再帰 x↦3x2−2x3x\mapsto3x^2-2x^3 の 00 と 11 以外の不動点は x=1/2x=1/2 で、これがしきい値である(第3部第9章で ε<1/2\varepsilon <1/2 なら符号が得をすると見た条件と同じ)。訂正が誤らないという前提があるので、しきい値は 1/21/2 と大きい。

(3) ε(1)=0.01+0.98×0.028=0.03744\varepsilon ^{(1)}=0.01+0.98\times0.028=0.03744、ε(2)=0.01+0.98×(3×0.037442−2×0.037443)=0.01402\varepsilon ^{(2)}=0.01+0.98\times(3\times0.03744^2-2\times0.03744^3)=0.01402、ε(3)=0.01057\varepsilon ^{(3)}=0.01057。6.5.6節の式で η/(1−2η)=0.01/0.98\eta/(1-2\eta)=0.01/0.98、行き先は x−=12(1−1−0.04/0.98)=0.01031x_-=\frac12\bigl(1-\sqrt{1-0.04/0.98}\bigr)=0.01031 で、段数を増やしても 0.01030.0103 より下がらない。

(4) ε(1)=30×10−4=3×10−3\varepsilon ^{(1)}=30\times10^{-4}=3\times10^{-3}、ε(2)=30×9×10−6=2.7×10−4\varepsilon ^{(2)}=30\times9\times10^{-6}=2.7\times10^{-4}、ε(3)=2.187×10−6\varepsilon ^{(3)}=2.187\times10^{-6}、ε(4)=1.435×10−10\varepsilon ^{(4)}=1.435\times10^{-10}。しきい値は εth=1/A=0.0333\varepsilon _{\mathrm{th}}=1/A=0.0333 で、ε(ℓ)=130(0.3)2ℓ\varepsilon ^{(\ell)}=\frac1{30}(0.3)^{2^\ell} と書ける。10−910^{-9} 以下になるのは ℓ=4\ell=4 である。訂正の回路の故障まで数えたので、しきい値は (2) の 1/21/2 から 1/301/30 に下がったが、その下では誤りが 00 へ流れる。

(5) (2) では hb(7.64×10−10)=1.68×10−8h_{\mathrm b}(7.64\times10^{-10})=1.68\times10^{-8} nat、(4) では hb(1.435×10−10)=3.40×10−9h_{\mathrm b}(1.435\times10^{-10})=3.40\times10^{-9} nat で、どちらも段数とともに 00 に向かい、論理量子ビットは環境から切り離される。(3) では行き先が 0.01030.0103 なので hb(0.0103)=0.0574h_{\mathrm b}(0.0103)=0.0574 nat が段数によらず漏れ続け、00 にはならない。違いは、訂正の操作が持ち込む誤りがどの段で入るかにある。(3) では最上段の訂正を物理的な素子で行うので、素子の誤りの分の情報が毎回そのまま環境へ渡る。(4) では訂正の操作そのものも下の段の符号で守られており、素子の誤りが論理の段の誤りになるには何か所も同時に故障する必要があるので、漏れる情報も段とともに2重指数で小さくなる。

木下の勉強ステータス

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