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授業で習った形との対応

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第1章 ブラックホールの熱力学を情報で読む

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部 第1章 §7.1.6 ★★ Clausius の不等式・熱浴との接触・熱容量の正値性という熱力学の3つの形が、真空を熱浴とみた相対エントロピーの式とブラックホールの負の熱容量に対応する

学部の熱力学では、温度 TT の熱浴から熱 QQ を受け取った系について Clausius の不等式 ΔS≥Q/T\Delta S\ge Q/T を習う。系と熱浴を合わせた全体のエントロピーが減らない、というのが第二法則の形である。統計力学では、熱浴と接した系の平衡は自由エネルギー F=U−TSF=U-TS の最小で決まり、平衡が安定であるためには熱容量が正(C=∂U/∂T>0C=\partial U/\partial T>0)でなければならない、と習う。この章の式を、この3つの形と並べる。

熱力学の授業での形この章の形
熱浴温度 TT の大きな系真空 σ^V\hat\sigma_V(局所の温度 ℏc/(2πkBx)\hbar c/(2\pi k_{\mathrm B}x))、ブラックホール(温度 THT_{\mathrm H})
自由エネルギーの最小F(ρ^)−Feq=kBT D(ρ^ ∥ ρ^β)≥0F(\hat\rho)-F_{\mathrm{eq}}=k_{\mathrm B}T\,D(\hat\rho\,\|\,\hat\rho_\beta)\ge0ΔK−ΔS=D(ρ^V ∥ σ^V)≥0\Delta K-\Delta S=D(\hat\rho_V\,\|\,\hat\sigma_V)\ge0 (7.1.8)
第一法則dS=dU/T\mathrm{d} S=\mathrm{d} U/TδS=δK\delta S=\delta K (7.1.10)、dSBH=c2dM/TH\mathrm{d} S_{\mathrm{BH}}=c^2\mathrm{d} M/T_{\mathrm H}
第二法則ΔS系+ΔS浴≥0\Delta S_{\text{系}}+\Delta S_{\text{浴}}\ge0ΔSgen=ΔSBH+ΔS外≥0\Delta S_{\mathrm{gen}}=\Delta S_{\mathrm{BH}}+\Delta S_{\text{外}}\ge0 (7.1.19)
熱容量C>0C>0(安定)CBH=−2SBH<0C_{\mathrm{BH}}=-2S_{\mathrm{BH}}<0

第2部第4章(第2部第4章)では、系と熱浴の第二法則を Σ=ΔH(ρS)−βQ=I(S;B)+D(ρB ∥ ρBcan)≥0\Sigma=\Delta H(\rho_S)-\beta Q=I(S;B)+D(\rho_B\,\|\,\rho_B^{\mathrm{can}})\ge0 と書き、エントロピー生成が「系と熱浴の相関」と「熱浴の平衡からのずれ」の2つの相対エントロピーに分かれることを見た。一般化第二法則の証明でも、ブラックホールを熱浴とみなして同じ構造を使っている。ΔK\Delta K が熱浴に渡したエネルギー βQ\beta Q の役をし、DD の単調性が Σ≥0\Sigma\ge0 の役をしている。

違いは熱容量の符号である。Schwarzschild のブラックホールでは TH∝1/MT_{\mathrm H}\propto1/M なので、エネルギーを得ると温度が下がる。熱容量はCBH=d(Mc2)/dTH=−2SBHC_{\mathrm{BH}}=\mathrm{d}(Mc^2)/\mathrm{d} T_{\mathrm H}=-2S_{\mathrm{BH}} で負になる(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第12章)。熱容量が負の系は、周りの無限に大きな熱浴とは安定に平衡できない。周りより少し熱くなると放射でエネルギーを失ってさらに熱くなり、少し冷たくなると吸収してさらに冷たくなるからである。カノニカル分布(Gibbs の変分原理の最小)が存在しない、と言い換えてもよい。安定に平衡させるには、ブラックホールを放射ごと有限の箱に入れ、全エネルギーを固定する(ミクロカノニカル)必要がある。S. W. Hawking(1976)はこの箱の中のブラックホールを論じた1S. W. Hawking (1976), Phys. Rev. D 13, 191.下の脚注へ。安定になる条件を、次の例題で出す。

例題 7.1.7 箱の中のブラックホールが安定である条件 ★★★

オリジナル体積 V箱V_{\text{箱}} の箱に、質量 MM の Schwarzschild ブラックホールと温度 TT の放射(エネルギー Er=arV箱T4E_{\mathrm r}=a_{\mathrm r}V_{\text{箱}}T^4、エントロピーSr=43ar1/4V箱1/4Er3/4S_{\mathrm r}=\frac43a_{\mathrm r}^{1/4}V_{\text{箱}}^{1/4}E_{\mathrm r}^{3/4})を入れ、全エネルギー Mc2+ErMc^2+E_{\mathrm r} を一定に保つ。

  1. 全エントロピー SBH(M)+Sr(Er)S_{\mathrm{BH}}(M)+S_{\mathrm r}(E_{\mathrm r}) が MM について停留する条件が T=THT=T_{\mathrm H} であることを示せ。
  2. 停留点が極大(安定)である条件が Er<Mc2/4E_{\mathrm r}<Mc^2/4 であることを示せ。
    1. を熱容量の言葉で言い直せ。
解答
  1. Er=E全−Mc2E_{\mathrm r}=E_{\text{全}}-Mc^2 なので ddM(SBH+Sr)=dSBHdM−c2dSrdEr=c2TH−c2T\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} M}(S_{\mathrm{BH}}+S_{\mathrm r})=\frac{\mathrm{d} S_{\mathrm{BH}}}{\mathrm{d} M}-c^2\frac{\mathrm{d} S_{\mathrm r}}{\mathrm{d} E_{\mathrm r}}=\frac{c^2}{T_{\mathrm H}}-\frac{c^2}{T}(第一法則と dSr/dEr=1/T\mathrm{d} S_{\mathrm r}/\mathrm{d} E_{\mathrm r}=1/T)。0 になるのは T=THT=T_{\mathrm H}。

  2. 2階微分は d2SBHdM2+c4d2SrdEr2\frac{\mathrm{d}^2S_{\mathrm{BH}}}{\mathrm{d} M^2}+c^4\frac{\mathrm{d}^2S_{\mathrm r}}{\mathrm{d} E_{\mathrm r}^2}。SBH=4πGkBM2/(ℏc)S_{\mathrm{BH}}=4\pi Gk_{\mathrm B}M^2/(\hbar c) から第1項は 8πGkB/(ℏc)>08\pi Gk_{\mathrm B}/(\hbar c)>0。第2項は d2SrdEr2=−14ar1/4V箱1/4Er−5/4=−14ErT\frac{\mathrm{d}^2S_{\mathrm r}}{\mathrm{d} E_{\mathrm r}^2}=-\frac14a_{\mathrm r}^{1/4}V_{\text{箱}}^{1/4}E_{\mathrm r}^{-5/4}=-\frac{1}{4E_{\mathrm r}T}(arV箱=Er/T4a_{\mathrm r}V_{\text{箱}}=E_{\mathrm r}/T^4 を使った)。極大の条件は c44ErTH>8πGkBℏc\frac{c^4}{4E_{\mathrm r}T_{\mathrm H}}>\frac{8\pi Gk_{\mathrm B}}{\hbar c}。kBTH=ℏc3/(8πGM)k_{\mathrm B}T_{\mathrm H}=\hbar c^3/(8\pi GM) を入れると Er<c4ℏc4⋅8πGkBTH=Mc24E_{\mathrm r}<\frac{c^4\hbar c}{4\cdot8\pi Gk_{\mathrm B}T_{\mathrm H}}=\frac{Mc^2}{4}。

  3. 2つの系が全エネルギーを分け合って平衡するとき、安定の条件は 1C1+1C2>0\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}>0 の形になる(1. の2階微分は −1T2(1C1+1C2)-\frac{1}{T^2}(\frac1{C_1}+\frac1{C_2}) に比例する)。ブラックホールの CBH<0C_{\mathrm{BH}}<0 を、放射の小さな正の熱容量 Cr=4Er/TC_{\mathrm r}=4E_{\mathrm r}/T が上回ればよい。Cr<∣CBH∣C_{\mathrm r}<\lvert C_{\mathrm{BH}}\rvert のとき 1Cr>1∣CBH∣\frac1{C_{\mathrm r}}>\frac{1}{\lvert C_{\mathrm{BH}}\rvert } となり、これが Er<Mc2/4E_{\mathrm r}<Mc^2/4 と同じ条件である。箱が小さく、放射の熱容量が小さいほど安定になる。

1 S. W. Hawking (1976), Phys. Rev. D 13, 191.

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