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出てくるもの(3):Page 時間の後の放射は前の放射ともつれる

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第3章 Page 曲線
目次
  1. 3つに分ける
  2. もつれの相手の入れ替わり
  3. Hawking の描像と両立しない理由
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部 第3章 §7.3.5 ★★★ 次に出る1個の qubit がもつれる相手は、Page 時間の前はブラックホールの中、後は前に出た放射に入れ替わり、相互情報量の和 2S(ρ^L)2S(\hat\rho_L) の配分が Hawking の描像と両立しない

3つに分ける

Page 曲線は放射全体のエントロピーだけを述べている。情報がどこにあるかを細かく見るために、放射を「これまでに出た kk 個」EE(early)と「次に出る1個」LL(late)に分け、全体を EE、LL、BB(残りの N−k−1N-k-1 個)の3つの部分の純粋状態とみる。LL がどこともつれているかは、相互情報量 I(L;E)I(L;E) と I(L;B)I(L;B) で測る。

全体が純粋なら、S(ρ^LE)=S(ρ^B)S(\hat\rho_{LE})=S(\hat\rho_B)、S(ρ^LB)=S(ρ^E)S(\hat\rho_{LB})=S(\hat\rho_E) なので

I(L;E)+I(L;B)=(SL+SE−SB)+(SL+SB−SE)=2S(ρ^L)≤2ln⁡2(7.3.14)I(L;E)+I(L;B)=\bigl(S_L+S_E-S_B\bigr)+\bigl(S_L+S_B-S_E\bigr)=2S(\hat\rho_L)\le2\ln2\tag{7.3.14}

が成り立つ(SX=S(ρ^X)S_X=S(\hat\rho_X) と略した)。1個の qubit が他と持てる相関の総量は 2ln⁡22\ln2 と決まっていて、EE と BB の間で取り合いになる。第7部第5章では同じ3つを BB(次に出る1個)・RR(前の放射)・CC(内側の相手)と書き、混合状態でも成り立つ不等式(定理 7.5.1)として扱う。ここの等式は全体が純粋な場合である。これは第3部第3章の弱単調性(もつれの一夫一婦制の最小形)を、純粋な3つの部分で等式にしたものである。

もつれの相手の入れ替わり

乱数の状態では、(7.3.7) を EE と LELE に当てて

I(L;E)=ln⁡2+S(ρ^E)−S(ρ^LE)≈{0(k+1≤N/2)2ln⁡2(k≥N/2)(7.3.15)I(L;E)=\ln2+S(\hat\rho_E)-S(\hat\rho_{LE})\approx \begin{cases} 0 & (k+1\le N/2)\\ 2\ln2 & (k\ge N/2) \end{cases}\tag{7.3.15}

になる。Page 時間の前は EE も LELE も小さい側なので、SS は qubit の数に比例し、S(ρ^LE)−S(ρ^E)=ln⁡2S(\hat\rho_{LE})-S(\hat\rho_E)=\ln2 で I(L;E)≈0I(L;E)\approx0 である。このとき (7.3.14) から I(L;B)≈2ln⁡2I(L;B)\approx2\ln2 で、LL はブラックホールの中と最大にもつれている。これは Hawking の描像(外へ出る qubit は中の相手と対をなす)と同じである。Page 時間の後は EE も LELE も大きい側なので S(ρ^E)−S(ρ^LE)=ln⁡2S(\hat\rho_E)-S(\hat\rho_{LE})=\ln2 で、I(L;E)≈2ln⁡2I(L;E)\approx2\ln2、I(L;B)≈0I(L;B)\approx0 になる。後から出る qubit は、前に出た放射と最大にもつれていて、中とはほとんど相関を持たない。放射全体の SS が1個ごとに ln⁡2\ln2 ずつ減るのは、新しい qubit が前の放射の混ざり具合を1個分ずつ打ち消している(前の放射を純粋化している)からである。

図

図 7.3.4 次に出る1個の qubit LL と、前に出た放射 EE、ブラックホール BB との相互情報量(Page の式による厳密な平均、14 qubit)。2つの和はどの kk でも 2ln⁡22\ln2 で、Page 時間を境に相手が入れ替わる。

Hawking の描像と両立しない理由

Hawking の計算は、地平面の近くが Minkowski 時空の真空と区別できないことから、外へ出る qubit がいつでも中の相手と最大にもつれている(I(L;B)=2ln⁡2I(L;B)=2\ln2)と結論する。一方、ユニタリ性と典型性からは、Page 時間の後は I(L;E)≈2ln⁡2I(L;E)\approx2\ln2 である。(7.3.14) から和は 2ln⁡22\ln2 を超えられないので、2つは同時に成り立たない。「放射は全体として純粋」「地平面のまわりは真空と区別できない」「外は場の量子論で書ける」の3つがこの形でぶつかるというのが、Almheiri–Marolf–Polchinski–Sully(2012)のファイアウォールの議論で、第7部第5章の式 (7.5.9) で扱う。

I(L;E)I(L;E) が大きいことは、Page 時間の後のブラックホールに物を落とすと、その情報が短い時間で放射に出てくることも示唆する。ブラックホールの中がすでに前の放射と最大にもつれていれば、新しく入れた qubit の分の情報は、少しの放射を待つだけで前の放射と合わせて読み取れる。これは Hayden と Preskill(2007)の議論で、デカップリングの定理(第7部第4章の定理 7.4.2)として示す。

ただし I(L;E)≈2ln⁡2I(L;E)\approx2\ln2 の情報は、LL と前の放射のたくさんの qubit を合わせて測ったときにだけ読み取れる。前の放射の少数の qubit と LL の相互情報量は、(7.3.15) と同じ計算で、その少数の qubit が全体の半分を超えない限りほぼ 00 である。情報が出ていることと、それを取り出す手順が簡単であることは別の話である。

例題 7.3.5 12 qubit の模型でもつれの相手を数える ★★

オリジナル12 qubit の乱数の状態で、kk 個が出た後に次の1個 LL が出る。

  1. (1) k=3k=3 と k=8k=8 のとき、Page の式で I(L;E)I(L;E) と I(L;B)I(L;B) を求め、和が 2ln⁡22\ln2 であることを確かめよ。
  2. (2) Page 時間の直前と直後(k=5k=5 と k=6k=6)の値を求め、入れ替わりがどれだけ急かを述べよ。
解答

(1) Sk=EψSS_k=\mathbb E_\psi S(kk 個の放射)と書く。k=3k=3 では I(L;E)=ln⁡2+S3−S4=0.0234I(L;E)=\ln2+S_3-S_4=0.0234、I(L;B)=2ln⁡2−0.0234=1.3629I(L;B)=2\ln2-0.0234=1.3629。LL はほぼ BB とだけもつれている。k=8k=8 では I(L;E)=ln⁡2+S8−S9=1.3629I(L;E)=\ln2+S_8-S_9=1.3629、I(L;B)=0.0234I(L;B)=0.0234 で、値がちょうど入れ替わる。Page の式が k↔N−kk\leftrightarrow N-k で対称なので、k=3k=3 と k=8k=8(=N−1−3=N-1-3)の値は入れ替えの関係にある。数値で乱数の状態を5個作って k=8k=8 の I(L;E)I(L;E) を計算すると平均 1.3621.362 で、Page の式と合う。

(2) k=5k=5 で I(L;E)=0.3750I(L;E)=0.3750、k=6k=6 で 1.01131.0113(2ln⁡2=1.38632\ln2=1.3863 に対して 27% と 73%)。12 qubit では1刻みで半分近く入れ替わる。qubit の数が増えても入れ替わりは Page 時間のまわりの数刻みで起き、ブラックホールの全体の qubit 数 ∼1077\sim10^{77} に比べると一瞬である。

木下の勉強ステータス

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