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当てる道具:場の Euler–Lagrange 方程式と Noether の恒等式

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 場の Noether の定理(電荷保存・エネルギー運動量テンソル)
目次
  1. 前の章から借りる2つの道具
  2. Noether の恒等式
  3. 局所的な保存と全体の保存
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第7章 §2.7.2 ★★★ 積の微分だけから恒等式を作り、保存する流れ jμj^\mu を読み取る

前の章から借りる2つの道具

1つめは場の Euler–Lagrange 方程式である(第2部第5章)。解でない配位でも使えるように左辺に名前を付けておく。

Ea≔∂L∂ϕa−∂μ∂L∂(∂μϕa),運動方程式は Ea=0.(2.7.6)\mathcal E_a\coloneqq\frac{\partial \mathcal L}{\partial \phi_a}-\partial_\mu\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)},\qquad \text{運動方程式は }\mathcal E_a=0 .\tag{2.7.6}

2つめは第1部第10章の Noether の恒等式の作り方で、δL\delta L の中の piK˙ip_i\dot K_i を積の微分で ddt(piKi)−p˙iKi\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}(p_iK_i)-\dot p_iK_i と書き直すという操作である。場では時間の微分 d/dt\mathrm{d}/\mathrm{d} t が4つの偏微分 ∂μ\partial_\mu に、運動量 pi=∂L/∂q˙ip_i=\partial L/\partial\dot q_i が4つの成分を持つ量 ∂L/∂(∂μϕa)\partial\mathcal L/\partial(\partial_\mu\phi_a) に替わる。

Noether の恒等式

式 (2.7.2) の第2項を積の微分で書き直すと

∂L∂(∂μϕa)∂μKa=∂μ(∂L∂(∂μϕa)Ka)−(∂μ∂L∂(∂μϕa))Ka\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}\partial_\mu K_a=\partial_\mu\Bigl(\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}K_a\Bigr)-\Bigl(\partial_\mu\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}\Bigr)K_a

で、右辺の第2項を第1項の ∂L/∂ϕa Ka\partial\mathcal L/\partial\phi_a\,K_a とまとめると EaKa\mathcal E_aK_a になる。したがって、すべての配位で

δL=ϵ∑aEaKa+ϵ ∂μ(∑a∂L∂(∂μϕa)Ka)(2.7.7)\delta\mathcal L=\epsilon\sum_a\mathcal E_aK_a+\epsilon\,\partial_\mu\Bigl(\sum_a\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}K_a\Bigr)\tag{2.7.7}

が成り立つ。これが場の Noether の恒等式である。KaK_a が場の微分によっていても、積の微分しか使っていないので成り立つ。

定理 2.7.2(場の Noether の定理 ★★★)

変換 (2.7.1) がすべての配位で δL=ϵ ∂μΛμ\delta\mathcal L=\epsilon\,\partial_\mu\Lambda^\mu を満たすなら、

jμ≔∑a∂L∂(∂μϕa)Ka−Λμ(2.7.8)j^\mu\coloneqq\sum_a\frac{\partial\mathcal L}{\partial(\partial_\mu\phi_a)}K_a-\Lambda^\mu\tag{2.7.8}

は運動方程式の解の上で ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 を満たす。

証明

恒等式 (2.7.7) の左辺に仮定 δL=ϵ ∂μΛμ\delta\mathcal L=\epsilon\,\partial_\mu\Lambda^\mu を入れて移項すると、すべての配位で ϵ ∂μjμ=−ϵ∑aEaKa\epsilon\,\partial_\mu j^\mu=-\epsilon\sum_a\mathcal E_aK_a。解の上では Ea=0\mathcal E_a=0 なので右辺は 00 である。

jμj^\mu を Noether 流(保存流)と呼ぶ。∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 を成分で書くと

1c∂j0∂t+∇⋅j=0(2.7.9)\frac1c\frac{\partial j^0}{\partial t}+\nabla\cdot\bm{j}=0\tag{2.7.9}

で、これは連続の式である。j0/cj^0/c を「何かの密度」、j\bm{j} をその「流れの密度」と読む。

局所的な保存と全体の保存

連続の式 (2.7.9) を空間の領域 Ω\Omega で積分し、Gauss の定理を使うと

ddt∫Ωj0c d3x=−∮∂Ωj⋅n dA(2.7.10)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\int_\Omega\frac{j^0}{c}\,\mathrm{d}^3x=-\oint_{\partial\Omega}\bm{j}\cdot\bm{n}\,\mathrm{d} A\tag{2.7.10}

となる(n\bm{n} は外向きの単位法線)。領域の中の量は、境界を通って流れ出た分だけ減る(図 2.7.1)。場が無限遠で十分速く 00 になるなら、Ω\Omega を全空間に広げると右辺が消え、

Q≔1c∫j0 d3x=∫∑aπaKa d3x−1c∫Λ0 d3x(2.7.11)Q\coloneqq\frac1c\int j^0\,\mathrm{d}^3x=\int\sum_a\pi_aK_a\,\mathrm{d}^3x-\frac1c\int\Lambda^0\,\mathrm{d}^3x\tag{2.7.11}

が時間によらない。ここで ∂/∂(∂0ϕa)=c ∂/∂(∂tϕa)\partial/\partial(\partial_0\phi_a)=c\,\partial/\partial(\partial_t\phi_a) を使い、場の正準運動量 πa=∂L/∂(∂tϕa)\pi_a=\partial\mathcal L/\partial(\partial_t\phi_a) で書いた。粒子の保存量 Q=∑ipiKi−ΛQ=\sum_ip_iK_i-\Lambda と並べると、番号 ii についての和が、場の番号 aa についての和と空間の点 x\bm{x} についての積分に替わっている。第2部第4章で原子の番号 nn が位置 xx に替わったのと同じ読み替えである。

場の保存則は、全体の量が保存するというだけでなく、「ある所で減った分は境界を通って隣へ流れた」という局所的な形で出てくる。連続の式のもとでは、ある量が遠く離れた2点で同時に消えて現れることは起こらない。この局所性は、相互作用が隣り合う点どうしにしか働かない(L\mathcal L が場とその1階微分だけで書ける)ことの帰結である。

図

図 2.7.1 左:連続の式を領域 Ω\Omega で積分した形 (2.7.10)。中の量の減り方は、境界から流れ出る量(矢印)で決まる。右:時空の箱で見ると、t2t_2 の量 == t1t_1 の量 −- 側面から出た量になる。4元の Gauss の定理で ∂μjμ=0\partial_\mu j^\mu=0 を箱の中で積分した式と同じである

例題 2.7.2 Noether 流は一意でない ★★

オリジナルBμνB^{\mu\nu} を添字について反対称(Bνμ=−BμνB^{\nu\mu}=-B^{\mu\nu})な、場と時空の点の任意の関数とする。Noether 流 jμj^\mu に∂νBμν\partial_\nu B^{\mu\nu} を足した j′μ=jμ+∂νBμνj'^\mu=j^\mu+\partial_\nu B^{\mu\nu} を考える。

  1. (1) ∂μj′μ=∂μjμ\partial_\mu j'^\mu=\partial_\mu j^\mu がすべての配位で成り立つことを示せ。
  2. (2) BμνB^{\mu\nu} が無限遠で十分速く 00 になるとき、j′μj'^\mu から作った Q′Q' が QQ に等しいことを示せ。
  3. (3) 定理 2.7.2 の Λμ\Lambda^\mu の選び方に、このような自由度があることを説明せよ。
解答

(1) ∂μ∂νBμν\partial_\mu\partial_\nu B^{\mu\nu} で、偏微分は順序を入れ替えてよいので ∂μ∂ν\partial_\mu\partial_\nu は μ,ν\mu,\nu について対称である。対称なものと反対称なものの縮約は、添字の名前を入れ替えて ∂μ∂νBμν=∂ν∂μBνμ=−∂μ∂νBμν\partial_\mu\partial_\nu B^{\mu\nu}=\partial_\nu\partial_\mu B^{\nu\mu}=-\partial_\mu\partial_\nu B^{\mu\nu} となるので 00 である。よって ∂μj′μ=∂μjμ\partial_\mu j'^\mu=\partial_\mu j^\mu。

(2) j′0−j0=∂νB0ν=∑i∂iB0ij'^0-j^0=\partial_\nu B^{0\nu}=\sum_i\partial_iB^{0i}(B00=0B^{00}=0)。これは空間の発散なので、全空間の積分は Gauss の定理で無限遠の面積分になり、00 である。よって Q′=QQ'=Q。

(3) Λμ\Lambda^\mu は δL=ϵ ∂μΛμ\delta\mathcal L=\epsilon\,\partial_\mu\Lambda^\mu を満たせばよいので、Λμ\Lambda^\mu に ∂νBμν\partial_\nu B^{\mu\nu} を足しても同じ式を満たす((1) より発散が変わらない)。したがって Noether 流は「反対称な BμνB^{\mu\nu} の発散を足す」自由度を残して決まり、保存する全体量 QQ はその自由度によらない。2.7.5節では、この自由度を使って電磁場のエネルギー運動量テンソルを対称でゲージ不変な形に直す。

木下の勉強ステータス

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