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出てくるもの2:異常 Hall 伝導度と Chern 数

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第11章 Berry 曲率と異常速度
目次
  1. 占有された状態の和
  2. 詰まったバンドと Chern 数
  3. 格子の模型
  4. Bloch 振動に付く横ずれ
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第11章 §4.11.4 ★★★ 異常速度を占有された状態について足すと σxy=−e2ℏ∫d2k(2π)2f Ωn\sigma_{xy}=-\frac{e^2}{\hbar}\int\frac{\mathrm{d}^2k}{(2\pi)^2}f\,\Omega_n。詰まったバンドでは積分が 2π2\pi の整数倍(Chern 数)になり、Hall 伝導度が e2/he^2/h の整数倍になる

占有された状態の和

2次元の結晶で、バンド nn の状態が分布 f(k)f(\bm{k}) で占められているとする。単位面積あたりの状態の数は d2k/(2π)2\mathrm{d}^2k/(2\pi)^2 なので、電流密度は

j=−e∫BZd2k(2π)2 f(k) r˙\bm{j}=-e\int_{\mathrm{BZ}}\frac{\mathrm{d}^2k}{(2\pi)^2}\,f(\bm{k})\,\dot{\bm{r}}

である。磁場が無いとして式 (4.11.14) を入れる。ff が平衡分布 f0(εn(k))f_0(\varepsilon _n(\bm{k})) なら、群速度の項は∫f0(εn)∇kεn d2k=∫∇kF(εn) d2k\int f_0(\varepsilon _n)\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n\,\mathrm{d}^2k=\int\nabla_{\bm{k}}F(\varepsilon _n)\,\mathrm{d}^2k(F′=f0F'=f_0)で、周期関数の勾配を Brillouin 域で積分したものなので 00 になる。群速度による普通の電流は、第3部第8章(第3部第8章)の Boltzmann 方程式で ff が f0f_0 からずれた分から出る。一方、異常速度の項は f=f0f=f_0 のままで残り、2次元で Ωn=Ωnez\bm{\Omega}_n=\Omega_n\bm{e}_z とすると E×ez=(Ey,−Ex)\bm{E}\times\bm{e}_z=(E_y,-E_x) より

jx=σxyEy,jy=σyxEx,σxy=−σyx=−e2ℏ∫BZd2k(2π)2 f0(k) Ωn(k)(4.11.15)j_x=\sigma_{xy}E_y,\quad j_y=\sigma_{yx}E_x,\qquad\sigma_{xy}=-\sigma_{yx}=-\frac{e^2}{\hbar}\int_{\mathrm{BZ}}\frac{\mathrm{d}^2k}{(2\pi)^2}\,f_0(\bm{k})\,\Omega_n(\bm{k})\tag{4.11.15}

を得る。複数のバンドが占められていれば、バンドごとの和をとる。式 (4.11.15) は散乱の緩和時間を含まない。Berry 曲率だけで決まる Hall 伝導度で、異常 Hall 伝導度の内因的な部分と呼ばれる。異常速度が電子の運動に付くことは、強磁性体の Hall 効果を説明するために Karplus と Luttinger が初めて指摘した(R. Karplus and J. M. Luttinger (1954), Phys. Rev. 95, 1154)。

詰まったバンドと Chern 数

Fermi 準位がギャップの中にあり、バンド nn がすべて詰まっている(f0=1f_0=1)とき、式 (4.11.15) の積分は

Cn≔12π∫BZΩn(k) d2k(4.11.16)C_n\coloneqq\frac{1}{2\pi}\int_{\mathrm{BZ}}\Omega_n(\bm{k})\,\mathrm{d}^2k\tag{4.11.16}

を使って σxy=−Cn e2/(2πℏ)=−Cn e2/h\sigma_{xy}=-C_n\,e^2/(2\pi\hbar)=-C_n\,e^2/h と書ける。CnC_n を Chern 数と呼ぶ。

命題 4.11.2(Chern 数は整数)

バンド nn がすべての k\bm{k} でほかのバンドとギャップで隔たっているなら、CnC_n は整数である。

証明の筋

Brillouin 域は kxk_x と kyk_y の両方向に周期的なので、ドーナツの表面(トーラス)と同じく、縁の無い閉じた面である。もし Brillouin 域全体で滑らかで周期的な unku_{n\bm{k}} の位相が選べるなら、Stokes の定理で ∫Ωn d2k\int\Omega_n\,\mathrm{d}^2k は境界の線積分になり、向かい合う辺の寄与が打ち消し合って 00 になる。一般にはそのような選び方ができないので、Brillouin 域を2つの領域 D1D_1, D2D_2 に分け、それぞれで滑らかな u(1)u^{(1)}, u(2)u^{(2)} を選ぶ。境界の線 Γ\Gamma の上で両者は位相だけ違い、u(2)=e−iχ(k)u(1)u^{(2)}=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\chi(\bm{k})}u^{(1)}、したがって A(2)=A(1)+∇kχ\bm{A}^{(2)}=\bm{A}^{(1)}+\nabla_{\bm{k}}\chi である。Stokes の定理を D1D_1, D2D_2 で別々に使うと、Γ\Gamma を逆向きにたどる2つの線積分の差が残り、

∫BZΩn d2k=∮Γ(A(1)−A(2))⋅dk=−∮Γ∇kχ⋅dk\int_{\mathrm{BZ}}\Omega_n\,\mathrm{d}^2k=\oint_\Gamma(\bm{A}^{(1)}-\bm{A}^{(2)})\cdot\mathrm{d}\bm{k}=-\oint_\Gamma\nabla_{\bm{k}}\chi\cdot\mathrm{d}\bm{k}

となる。e−iχ\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\chi} は Γ\Gamma を一周すると元に戻る1価の関数なので、χ\chi の増分は 2π2\pi の整数倍である。よって CnC_n は整数になる。

例題 4.11.1 の Dirac 模型で全流束が π\pi(C=12C=\frac12)になったのは、k\bm{k} が平面全体に広がっていて閉じた面になっていないためである。格子の模型では Brillouin 域が閉じるので、整数しか許されない。式 (4.11.15) と合わせると、

σxy=−e2h∑n 詰まったCn,e2h=3.874×10−5 S,he2=25812.8 Ω(4.11.17)\sigma_{xy}=-\frac{e^2}{h}\sum_{n\ \text{詰まった}}C_n,\qquad\frac{e^2}{h}=3.874\times10^{-5}\,\mathrm{S},\quad\frac{h}{e^2}=25812.8\,\Omega\tag{4.11.17}

となり、絶縁体の Hall 伝導度は e2/he^2/h の整数倍に量子化される。この関係は Thouless・甲元・Nightingale・den Nijs が Kubo 公式から導いた(D. J. Thouless, M. Kohmoto, M. P. Nightingale and M. den Nijs (1982), Phys. Rev. Lett. 49, 405。著者の頭文字から TKNN の式と呼ばれる)。符号は電荷と Berry 接続の流儀で変わるので、ほかの教科書と比べるときは ∣σxy∣=∣C∣e2/h\lvert \sigma_{xy}\rvert =\lvert C\rvert e^2/h の形で照らし合わせる(この本の流儀)。

格子の模型

具体例として、正方格子(格子定数 aa)の2バンド模型

H^(k)=th[sin⁡(kxa) σx+sin⁡(kya) σy+(λ+cos⁡(kxa)+cos⁡(kya))σz](4.11.18)\hat H(\bm{k})=t_{\mathrm h}\bigl[\sin(k_xa)\,\sigma_x+\sin(k_ya)\,\sigma_y+\bigl(\lambda+\cos(k_xa)+\cos(k_ya)\bigr)\sigma_z\bigr]\tag{4.11.18}

をとる(X.-L. Qi, Y.-S. Wu and S.-C. Zhang (2006), Phys. Rev. B 74, 085308 にちなみ Qi–Wu–Zhang 模型と呼ばれる)。λ\lambda は無次元のパラメータである。H^(k)=g(k)⋅σ\hat H(\bm{k})=\bm{g}(\bm{k})\cdot\bm{\sigma} の形で、2つのバンドのエネルギーは ±∣g∣\pm\lvert \bm{g}\rvert、∣g∣=0\lvert \bm{g}\rvert =0 となる点でだけギャップが閉じる。sin⁡(kxa)=sin⁡(kya)=0\sin(k_xa)=\sin(k_ya)=0 を満たすのは kxa,kya∈{0,π}k_xa,k_ya\in\{0,\pi\} の4点で、そこで gzg_z は λ+2\lambda+2、λ\lambda(2点)、λ−2\lambda-2 になる。したがってギャップが閉じるのは λ=−2,0,2\lambda=-2,0,2 だけで、その間では Chern 数は変わらない(整数が連続的に変わることはできないため)。Brillouin 域を 60×6060\times60 の格子に区切り、各小正方形の4辺で ⟨u(k)∣u(k+Δk)⟩\langle u(\bm{k}) | u(\bm{k}+\Delta\bm{k}) \rangle の位相を掛け合わせて Berry 位相を足し上げると(T. Fukui, Y. Hatsugai and H. Suzuki (2005), J. Phys. Soc. Jpn. 74, 1674 の方法)、図 4.11.2 の値を得る。

図

図 4.11.2 Qi–Wu–Zhang 模型 (4.11.18) の下のバンドの Chern 数(点は λ=−3,−1,1,3\lambda=-3,-1,1,3 で数値計算した値、点線はその間で値が変わらないことを示す)。縦の破線 λ=−2,0,2\lambda=-2,0,2 でギャップが閉じ、そこでだけ CC が跳ぶ。λ=0\lambda=0 では2点で同時に閉じるので跳びは 22

Bloch 振動に付く横ずれ

詰まったバンドの電子1つ1つが何をしているかを、第10章の Bloch 振動で見る。xx 方向に一様な電場 EE をかけると ℏk˙x=−eE\hbar\dot k_x=-eE で、kxk_x は周期 TB=2πℏ/(eEa)T_{\mathrm B}=2\pi\hbar/(eEa) で Brillouin 域を一周する。xx 方向には第10章の Bloch 振動をするが、yy 方向の速度は式 (4.11.12) からy˙=1ℏ∂kyεn+k˙xΩn\dot y=\frac1\hbar\partial_{k_y}\varepsilon _n+\dot k_x\Omega_n である(k˙×ez=(k˙y,−k˙x)\dot{\bm{k}}\times\bm{e}_z=(\dot k_y,-\dot k_x) に注意)。1周期で yy が進む距離は、第2項について

Δy=∫0TBk˙x Ωn dt=∫kx0kx0−2π/aΩn(kx,ky) dkx=−∫−π/aπ/aΩn(kx,ky) dkx\Delta y=\int_0^{T_{\mathrm B}}\dot k_x\,\Omega_n\,\mathrm{d} t=\int_{k_{x0}}^{k_{x0}-2\pi/a}\Omega_n(k_x,k_y)\,\mathrm{d} k_x=-\int_{-\pi/a}^{\pi/a}\Omega_n(k_x,k_y)\,\mathrm{d} k_x

である。1本の kyk_y の線ごとには、この値は整数とは限らない。ところが詰まったバンドのすべての kyk_y について平均すると(第1項の ∂kyεn\partial_{k_y}\varepsilon _n は平均で 00)、

⟨Δy⟩=−a2π∫BZΩn d2k=−Cn a(4.11.19)\langle\Delta y\rangle=-\frac{a}{2\pi}\int_{\mathrm{BZ}}\Omega_n\,\mathrm{d}^2k=-C_n\,a\tag{4.11.19}

となる。電子は Bloch 振動の1周期ごとに、平均でちょうど CnC_n 格子間隔だけ横へずれる(図 4.11.3)。これを電流に直すとjy=−e⋅1a2⋅−CnaTB=Cne2hEj_y=-e\cdot\frac{1}{a^2}\cdot\frac{-C_na}{T_{\mathrm B}}=C_n\frac{e^2}{h}E で、σyx=Cne2/h=−σxy\sigma_{yx}=C_ne^2/h=-\sigma_{xy} となり式 (4.11.17) と一致する。Hall 伝導度の量子化は、「Bloch 振動の1周期あたりの横ずれが格子間隔の整数倍になる」と言い換えられる。これは Thouless の量子ポンプ(D. J. Thouless (1983), Phys. Rev. B 27, 6083)と同じ構造である。

図

図 4.11.3 Qi–Wu–Zhang 模型(λ=1\lambda=1、下のバンドの C=−1C=-1)に xx 方向の電場 eEa=0.2 theEa=0.2\,t_{\mathrm h} をかけたときの、半古典運動 (4.11.12) の数値解(近似なので実線)。ky=0k_y=0 の電子は群速度の yy 成分を持たず、異常速度だけで動く。1周期の横ずれは 0.271a0.271a で整数でない。詰まったバンドのすべての kyk_y で平均すると、1周期ごとにちょうど −C a=a-C\,a=a ずつ進む。xx 方向には幅 10a10a の範囲で Bloch 振動をしている

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの E→0E\to0 の線形応答(Fermi 準位がギャップの中) | 証明 条件付き(相互作用の無い電子・周期ポテンシャル・ギャップあり。Kubo 公式から Chern 数の式が出ることは TKNN(1982)、整数への量子化はトポロジーの議論で示された〔Avron–Seiler–Simon(1983)ほか〕) | 行き先 近似の数理 第13章

例題 4.11.4 ギャップが閉じる所で Chern 数が跳ぶ ★★★

オリジナルQi–Wu–Zhang 模型 (4.11.18) について次の問いに答えよ。a=1a=1 とおいてよい。

  1. λ\lambda が 22 に近いとき、ギャップが最も狭い点 k=(π,π)\bm{k}=(\pi,\pi) のまわりで k=(π,π)+q\bm{k}=(\pi,\pi)+\bm{q} と書き、H^\hat H を q\bm{q} の1次まで展開せよ。
  2. 例題 4.11.1 の結果を使い、λ\lambda が 22 を下から上へ越えるときの下のバンドの CC の変化を求めよ。λ>2\lambda>2 で C=0C=0 であることを使い、0<λ<20<\lambda<2 での CC を求めよ。
  3. λ=0\lambda=0 で閉じる2点 (π,0)(\pi,0)、(0,π)(0,\pi) について同じ計算をし、図 4.11.2 の跳び −2-2 を説明せよ。
解答
  1. sin⁡(π+q)=−q+O(q3)\sin(\pi+q)=-q+\mathcal{O}(q^3)、cos⁡(π+q)=−1+O(q2)\cos(\pi+q)=-1+\mathcal{O}(q^2) なので、H^≈th[−qxσx−qyσy+(λ−2)σz]\hat H\approx t_{\mathrm h}\bigl[-q_x\sigma_x-q_y\sigma_y+(\lambda-2)\sigma_z\bigr]。これは例題 4.11.1 の模型で ℏv=th\hbar v=t_{\mathrm h}、M=th(λ−2)M=t_{\mathrm h}(\lambda-2) とし、(qx,qy)(q_x,q_y) を (−qx,−qy)(-q_x,-q_y) に置き換えたものである。(qx,qy)→(−qx,−qy)(q_x,q_y)\to(-q_x,-q_y) は平面の 180∘180^\circ 回転で、向き(右回り・左回り)を変えないので、Berry 曲率の式 (4.11.6) をそのまま使うことができる。
  2. 点 (π,π)(\pi,\pi) の近くの曲率の流束は、例題 4.11.1 (3) から π sgn(M)=π sgn(λ−2)\pi\,\mathrm{sgn}(M)=\pi\,\mathrm{sgn}(\lambda-2)。λ\lambda が 22 をまたぐとき、遠くの点の曲率は滑らかにしか変わらないので、CC の変化はこの局所の流束の変化 12π(π−(−π))=+1\frac{1}{2\pi}(\pi-(-\pi))=+1 で決まる。λ>2\lambda>2 で C=0C=0 なら、λ\lambda がわずかに 22 より小さいとき C=0−1=−1C=0-1=-1。λ=0\lambda=0 まではギャップが閉じないので、0<λ<20<\lambda<2 で C=−1C=-1 である(図 4.11.2 と一致)。
  3. (π,0)+q(\pi,0)+\bm{q} では sin⁡(π+qx)≈−qx\sin(\pi+q_x)\approx-q_x、sin⁡qy≈qy\sin q_y\approx q_y、gz≈λg_z\approx\lambda なので H^≈th[−qxσx+qyσy+λσz]\hat H\approx t_{\mathrm h}[-q_x\sigma_x+q_y\sigma_y+\lambda\sigma_z]。xx だけ符号を変える置き換えは平面の向きを反転させるので、曲率の符号が逆になり、局所の流束は −π sgn(λ)-\pi\,\mathrm{sgn}(\lambda)。(0,π)(0,\pi) も同じ形で同じ値である。λ\lambda が 00 を下から上へ越えると、2点それぞれで 12π(−π−π)=−1\frac{1}{2\pi}(-\pi-\pi)=-1 だけ変わり、合計 −2-2。−2<λ<0-2<\lambda<0 の C=+1C=+1 から 0<λ<20<\lambda<2 の C=−1C=-1 への跳びと一致する。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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