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出てくるもの (1):Fermi の黄金律

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第12章 光と物質
目次
  1. 時間とともに鋭くなる関数
  2. 黄金律
  3. 黄金律が成り立つ時間の窓
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第12章 §4.12.3 ★★★ 長い時間のあと sin⁡2(Δt/2)/(Δ/2)2\sin^2(\Delta t/2)/(\Delta/2)^2 は 2πt δ(Δ)2\pi t\,\delta(\Delta) になり、遷移確率が時間に比例する。その係数が遷移の速さになる

時間とともに鋭くなる関数

式 (4.12.13) の時間と離調への依存は、関数

Ft(Δ)=sin⁡2(Δt/2)(Δ/2)2(4.12.14)\mathcal F_t(\Delta)=\frac{\sin^2(\Delta t/2)}{(\Delta/2)^2}\tag{4.12.14}

にまとまっている。Ft(0)=t2\mathcal F_t(0)=t^2 で、最初に 00 になるのは Δ=±2π/t\Delta=\pm2\pi/t である。つまり高さは t2t^2、幅は 1/t1/t に比例する。面積は

∫−∞∞Ft(Δ) dΔ=2πt(4.12.15)\int_{-\infty}^{\infty}\mathcal F_t(\Delta)\,\mathrm{d}\Delta=2\pi t\tag{4.12.15}

で、tt に比例する(u=Δt/2u=\Delta t/2 と置換して ∫sin⁡2u/u2 du=π\int\sin^2u/u^2\,\mathrm{d} u=\pi を使う)。図 4.12.2 に Ft/(2πt)\mathcal F_t/(2\pi t) を描いた。面積が 11 に保たれたまま幅が狭くなるので、t→∞t\to\infty で

Ft(Δ)  ⟶  2πt δ(Δ)(4.12.16)\mathcal F_t(\Delta)\;\longrightarrow\;2\pi t\,\delta(\Delta)\tag{4.12.16}

と見なせる。時間 tt だけ見ている測定は、角振動数を 1/t1/t より細かく区別できない。Ft\mathcal F_t の幅はこの「時間とエネルギーの不確定性」を表している。

図

図 4.12.2 1次の遷移確率の離調への依存 Ft(Δ)=sin⁡2(Δt/2)/(Δ/2)2\mathcal F_t(\Delta)=\sin^2(\Delta t/2)/(\Delta/2)^2 を 2πt2\pi t で割ったもの。どの tt でも面積は 11 で、高さ t/(2π)t/(2\pi)、幅 2π/t2\pi/t の山になる。t→∞t\to\infty で δ(Δ)\delta(\Delta) に近づく

黄金律

式 (4.12.16) を式 (4.12.13) に入れると、δ(Δ)=δ(ω−ωfi)=ℏ δ(Ef−Ei−ℏω)\delta(\Delta)=\delta(\omega-\omega_{fi})=\hbar\,\delta(E_f-E_i-\hbar\omega) から

Pf←i(t)=2πℏ∣⟨f∣H^ω∣i⟩∣2 δ(Ef−Ei−ℏω) tP_{f\leftarrow i}(t)=\frac{2\pi}{\hbar}\lvert \langle f | \hat H_\omega | i \rangle \rvert ^2\,\delta(E_f-E_i-\hbar\omega)\,t

となる。確率が時間に比例するので、単位時間あたりの遷移確率(遷移の速さ)が意味を持つ。

定理 4.12.1(Fermi の黄金律 ★★★)

摂動 (4.12.12) による ∣i⟩| i \rangle から ∣f⟩| f \rangle への単位時間あたりの遷移確率は

wf←i=2πℏ∣⟨f∣H^ω∣i⟩∣2 δ(Ef−Ei−ℏω)(4.12.17)w_{f\leftarrow i}=\frac{2\pi}{\hbar}\lvert \langle f | \hat H_\omega | i \rangle \rvert ^2\,\delta(E_f-E_i-\hbar\omega)\tag{4.12.17}

である(吸収。放出は H^ω→H^ω†\hat H_\omega\to\hat H_\omega^\dagger、−ℏω→+ℏω-\hbar\omega\to+\hbar\omega)。

デルタ関数が残っている式は、そのままでは数にならない。数になるのは、終状態か光のどちらかが連続的に分布していて、デルタ関数を積分で消せるときである。終状態がエネルギーについて密度 ρ(E)\rho(E) で連続的に並んでいる(電離した電子・固体のバンド)なら、終状態について和をとって

w=2πℏ∣⟨f∣H^ω∣i⟩∣2ρ(Ei+ℏω)(4.12.18)w=\frac{2\pi}{\hbar}\lvert \langle f | \hat H_\omega | i \rangle \rvert ^2\rho(E_i+\hbar\omega)\tag{4.12.18}

になる。終状態がとびとびの原子の準位でも、光の角振動数が幅を持って分布していれば、ω\omega について積分してデルタ関数を消せる(4.12.5節)。

黄金律が成り立つ時間の窓

式 (4.12.16) の置き換えには、2つの条件が要る。1つ目は、Ft\mathcal F_t の幅 2π/t2\pi/t が、終状態の密度 ρ\rho や光のスペクトルが変わる幅 δω\delta\omega より十分狭いこと、つまり t≫1/δωt\gg1/\delta\omega である。2つ目は、1次の摂動が使えること、つまり遷移確率の合計 wtwt が 11 より十分小さいことである。2つを合わせると

1δω≪t≪1w(4.12.19)\frac{1}{\delta\omega}\ll t\ll\frac1w\tag{4.12.19}

の時間の窓で黄金律が成り立つ。窓が開くのは w≪δωw\ll\delta\omega、すなわち遷移の速さが分布の幅より十分遅いときである。窓より長い時間については、始状態の確率が e−wt\mathrm{e}^{-wt} で減っていくと考えるのが自然で、実際に Weisskopf と Wigner1V. Weisskopf, E. Wigner (1930), Z. Phys. 63, 54.下の脚注へは、終状態が連続的なときに始状態の振幅がe−Γt/(2ℏ)\mathrm{e}^{-\Gamma t/(2\hbar)}(Γ=ℏw\Gamma=\hbar w)で減ることを示した。第4部第2章の例題で扱った非エルミートな H^0−iΓ/2\hat H_0-\mathrm{i}\Gamma/2 は、この減衰を始状態だけに注目して書いたものである。Γ\Gamma は準位の幅にあたり、その準位から出る光のスペクトルは幅 Γ/ℏ\Gamma/\hbar の Lorentz 形になる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 結合の強さ λ→0\lambda\to0 と t→∞t\to\infty を λ2t\lambda^2t 一定で取る(van Hove の極限) | 証明 要確認(終状態の連続スペクトルに対する滑らかさの条件のもとで、この極限で指数減衰と黄金律の速さが厳密に出ることが van Hove と Davies の仕事で示されたとされるが、前提を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第14章

例題 4.12.3 主峰の重みと時間分解能 ★★

オリジナル

  1. (1) 式 (4.12.15) を示せ。
  2. (2) 主峰 ∣Δ∣<2π/t\lvert \Delta\rvert <2\pi/t に含まれる重みは、全体の何割か。数値で求めよ。
  3. (3) 時間 t=1 μst=1\,\mu\mathrm s だけ光を当てたとき、遷移の周波数 ωfi/(2π)\omega_{fi}/(2\pi) がどの程度の幅で区別できるか。主峰の半幅を周波数(Hz\mathrm{Hz})で答えよ。
解答

(1) u=Δt/2u=\Delta t/2 とおくと dΔ=2 du/t\mathrm{d}\Delta=2\,\mathrm{d} u/t、Ft=t2sin⁡2u/u2\mathcal F_t=t^2\sin^2u/u^2 なので∫Ft dΔ=t2⋅2t∫−∞∞sin⁡2uu2du=2t⋅π=2πt\int\mathcal F_t\,\mathrm{d}\Delta=t^2\cdot\frac2t\int_{-\infty}^\infty\frac{\sin^2u}{u^2}\mathrm{d} u=2t\cdot\pi=2\pi t。最後の積分は、sin⁡2u/u2\sin^2u/u^2 が幅 11 の矩形関数の Fourier 変換の2乗であることとParseval の等式から π\pi になる。

(2) 主峰は ∣u∣<π\lvert u\rvert <\pi にあたり、1π∫−ππsin⁡2uu2du=0.903\frac1\pi\int_{-\pi}^{\pi}\frac{\sin^2u}{u^2}\mathrm{d} u=0.903。重みの 90%90\% が主峰に入り、残りの 10%10\% が両側の小さな山に分かれる。

(3) 主峰の半幅は Δ=2π/t\Delta=2\pi/t、周波数では Δ/(2π)=1/t=1 MHz\Delta/(2\pi)=1/t=1\,\mathrm{MHz}。1 μs1\,\mu\mathrm s の測定では、1 MHz1\,\mathrm{MHz} より近い2つの遷移を分けられない。光の周波数(1014 Hz10^{14}\,\mathrm{Hz} 台)を 1 Hz1\,\mathrm{Hz} まで区別するには、原理的には 1 s1\,\mathrm s の間、原子と光が乱されずに相互作用し続ける必要がある。原子時計で長い相互作用時間を確保する工夫は、光学と量子エレクトロニクス 第28章(光学と量子エレクトロニクス 第28章)で扱う。

ほかの巻では

1 V. Weisskopf, E. Wigner (1930), Z. Phys. 63, 54.

木下の勉強ステータス

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