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当てる道具:Noether の2つの定理と場の Euler–Lagrange 方程式

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第5章 ゲージ原理と QED
目次
  1. 2つの運動方程式
  2. 源は大域的な対称性の Noether の流れ
  3. 両立の条件と Noether の第2定理
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第5章 §5.5.2 ★★★ ψˉ\bar\psi と AμA_\mu で変分すると共変微分つきの Dirac 方程式と ∂μFμν=jν\partial_\mu F^{\mu\nu}=j^\nu。大域的な対称性の Noether の流れが源になり、その保存が両立の条件になる

2つの運動方程式

式 (5.5.7) を第2部第5章の場の Euler–Lagrange 方程式に入れる。ψ\psi と ψˉ\bar\psi を独立な場とみなし、ψˉ\bar\psi で変分すると、L\mathcal L が ψˉ\bar\psi の微分を含まないので

∂L∂ψˉ=0⟹(iγμDμ−m)ψ=0(5.5.8)\frac{\partial \mathcal L}{\partial \bar\psi}=0\quad\Longrightarrow\quad(\mathrm{i}\gamma^\mu D_\mu-m)\psi=0\tag{5.5.8}

になる。AνA_\nu で変分すると、∂L/∂(∂μAν)=−Fμν\partial\mathcal L/\partial(\partial_\mu A_\nu)=-F^{\mu\nu}(第2部第6章)と ∂L/∂Aν=−qψˉγνψ\partial\mathcal L/\partial A_\nu=-q\bar\psi\gamma^\nu\psi から

∂μFμν=jν,jν≔−∂L∂Aν=qψˉγνψ(5.5.9)\partial_\mu F^{\mu\nu}=j^\nu,\qquad j^\nu\coloneqq-\frac{\partial \mathcal L}{\partial A_\nu}=q\bar\psi\gamma^\nu\psi\tag{5.5.9}

になる。1つの L\mathcal L から、電磁場の中の電子の運動方程式と、電子を源とする Maxwell 方程式が同時に出る。ν=0\nu=0 の成分は ∇⋅E=j0=qψ†ψ\nabla\cdot\bm{E}=j^0=q\psi^\dagger\psi で、Gauss の法則である。

源は大域的な対称性の Noether の流れ

式 (5.5.9) の源 jνj^\nu を、Noether の定理の側から見直す。Λ\Lambda を定数にした大域的な変換 δψ=iqϵψ\delta\psi=\mathrm{i} q\epsilon\psi, δψˉ=−iqϵψˉ\delta\bar\psi=-\mathrm{i} q\epsilon\bar\psi, δAμ=0\delta A_\mu=0 で LQED\mathcal L_{\mathrm{QED}} は変わらない。第2部第7章の場の Noether の流れは、L\mathcal L が微分を含む場 ψ\psi だけから

∂L∂(∂μψ) δψϵ=ψˉiγμ⋅iqψ=−qψˉγμψ\frac{\partial \mathcal L}{\partial (\partial_\mu\psi)}\,\frac{\delta\psi}{\epsilon}=\bar\psi\mathrm{i}\gamma^\mu\cdot\mathrm{i} q\psi=-q\bar\psi\gamma^\mu\psi

と計算され、符号の取り決めを除いて jμj^\mu と一致する。つまり、電磁場の源は大域的な位相の対称性の Noether の流れで、局所化のために足した結合項は「Noether の流れ × AμA_\mu」の形をしている。電荷が保存する理由と、電磁場が電荷に結合する理由が、同じ対称性に帰着する。

両立の条件と Noether の第2定理

FμνF^{\mu\nu} は反対称なので、式 (5.5.9) の両辺の発散をとると左辺は恒等的に ∂ν∂μFμν=0\partial_\nu\partial_\mu F^{\mu\nu}=0 である。したがって Maxwell 方程式が解を持つには ∂νjν=0\partial_\nu j^\nu=0 が必要になる。これは第2部第8章で Noether の第2定理から導いた両立の条件である。QED ではこの条件が Dirac 方程式 (5.5.8) から自動的に満たされる。(iγμDμ−m)ψ=0(\mathrm{i}\gamma^\mu D_\mu-m)\psi=0 の Hermite 共役に右から γ0\gamma^0 を掛けるとDμψ‾ iγμ=−mψˉ\overline{D_\mu\psi}\,\mathrm{i}\gamma^\mu=-m\bar\psi となり(Dμψ‾≔(Dμψ)†γ0\overline{D_\mu\psi}\coloneqq(D_\mu\psi)^\dagger\gamma^0、γ0γμ†γ0=γμ\gamma^0\gamma^{\mu\dagger}\gamma^0=\gamma^\mu を使う)、

∂μ(ψˉγμψ)=Dμψ‾ γμψ+ψˉγμDμψ=(imψˉ)ψ+ψˉ(−imψ)=0\partial_\mu(\bar\psi\gamma^\mu\psi)=\overline{D_\mu\psi}\,\gamma^\mu\psi+\bar\psi\gamma^\mu D_\mu\psi=(\mathrm{i} m\bar\psi)\psi+\bar\psi(-\mathrm{i} m\psi)=0

になる。1つ目の等号で ∂μ\partial_\mu を DμD_\mu に置き換えてよいのは、ψˉ\bar\psi 側の −iqAμ-\mathrm{i} qA_\mu と ψ\psi 側の +iqAμ+\mathrm{i} qA_\mu が打ち消すからである。

このしくみを一般の形で述べると次のようになる。物質の作用が局所的な変換で不変なら、物質の運動方程式が成り立つとき、−∂L/∂Aν-\partial\mathcal L/\partial A_\nu として定めた流れは必ず保存する。ゲージ原理で作った理論では、Maxwell 方程式の両立の条件は物質の側の対称性によって保証されている。

電荷はゲージ原理だけでは決まらない

ゲージ原理は「場ごとに eiqΛ\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Lambda} の qq が決まれば、その場の結合の強さも qq になる」ことを言うが、qq の値そのものは決めない。電子と陽子の電荷の大きさがそろうことは、可換な位相の群 U(1) の局所化からは出てこない。一方、異なる場が同じ項の中で掛け合わさるとき、その項が局所的な変換で不変であるためには電荷の和が 00 でなければならない。次の例題で、この条件が電流の保存と Maxwell 方程式の両立の条件に直結していることを確かめる。

例題 5.5.2 混ぜる項は電荷の等しい場どうしでしか書けない ★★

オリジナル2つの Dirac 場 ψ1\psi_1(電荷 q1q_1、質量 m1m_1)と ψ2\psi_2(電荷 q2q_2、質量 m2m_2)に、混ぜる項 −μ(ψˉ1ψ2+ψˉ2ψ1)-\mu(\bar\psi_1\psi_2+\bar\psi_2\psi_1)(μ\mu は実数の定数)を足した

L=∑a=1,2ψˉa(iγμDμ(a)−ma)ψa−μ(ψˉ1ψ2+ψˉ2ψ1)−14FμνFμν,Dμ(a)=∂μ+iqaAμ\mathcal L=\sum_{a=1,2}\bar\psi_a(\mathrm{i}\gamma^\mu D^{(a)}_\mu-m_a)\psi_a-\mu(\bar\psi_1\psi_2+\bar\psi_2\psi_1)-\frac14F_{\mu\nu}F^{\mu\nu},\qquad D^{(a)}_\mu=\partial_\mu+\mathrm{i} q_aA_\mu

を考える。

  1. (1) 混ぜる項が局所的な変換 ψa→eiqaΛψa\psi_a\to\mathrm{e}^{\mathrm{i} q_a\Lambda}\psi_a で不変であるための条件を求めよ。
  2. (2) 運動方程式を使って、jμ=q1ψˉ1γμψ1+q2ψˉ2γμψ2j^\mu=q_1\bar\psi_1\gamma^\mu\psi_1+q_2\bar\psi_2\gamma^\mu\psi_2 の発散を計算せよ。
  3. (3) q1≠q2q_1\neq q_2 で μ≠0\mu\neq0 のとき、この理論の Maxwell 方程式に何が起きるか。
解答

(1) ψˉ1ψ2→ei(q2−q1)Λψˉ1ψ2\bar\psi_1\psi_2\to\mathrm{e}^{\mathrm{i}(q_2-q_1)\Lambda}\bar\psi_1\psi_2 なので、不変であるためには q1=q2q_1=q_2 が必要である。

(2) ψˉ1\bar\psi_1 と ψˉ2\bar\psi_2 で変分すると、iγμDμ(1)ψ1=m1ψ1+μψ2\mathrm{i}\gamma^\mu D^{(1)}_\mu\psi_1=m_1\psi_1+\mu\psi_2、iγμDμ(2)ψ2=m2ψ2+μψ1\mathrm{i}\gamma^\mu D^{(2)}_\mu\psi_2=m_2\psi_2+\mu\psi_1 が得られる。本文と同じ手順で Hermite 共役をとると Dμ(1)ψ1‾ iγμ=−(m1ψˉ1+μψˉ2)\overline{D^{(1)}_\mu\psi_1}\,\mathrm{i}\gamma^\mu=-(m_1\bar\psi_1+\mu\bar\psi_2) なので、

∂μ(ψˉ1γμψ1)=i(m1ψˉ1+μψˉ2)ψ1−iψˉ1(m1ψ1+μψ2)=iμ(ψˉ2ψ1−ψˉ1ψ2)\partial_\mu(\bar\psi_1\gamma^\mu\psi_1)=\mathrm{i}(m_1\bar\psi_1+\mu\bar\psi_2)\psi_1-\mathrm{i}\bar\psi_1(m_1\psi_1+\mu\psi_2)=\mathrm{i}\mu(\bar\psi_2\psi_1-\bar\psi_1\psi_2)

となる。ψ2\psi_2 についても同じ計算で ∂μ(ψˉ2γμψ2)=iμ(ψˉ1ψ2−ψˉ2ψ1)\partial_\mu(\bar\psi_2\gamma^\mu\psi_2)=\mathrm{i}\mu(\bar\psi_1\psi_2-\bar\psi_2\psi_1)。したがって

∂μjμ=iμ(q1−q2)(ψˉ2ψ1−ψˉ1ψ2)\partial_\mu j^\mu=\mathrm{i}\mu(q_1-q_2)(\bar\psi_2\psi_1-\bar\psi_1\psi_2)

である。q1=q2q_1=q_2 なら 00 になる。混ぜる項が1つ目の粒子を2つ目の粒子に変えても、電荷が等しければ全体の電荷は変わらない。

(3) AνA_\nu の方程式は ∂μFμν=jν\partial_\mu F^{\mu\nu}=j^\nu のままだが、左辺の発散は恒等的に 00 なのに右辺の発散は 00 でない。方程式は一般に解を持たない。(1) でゲージ不変性が破れたことと、(3) で Maxwell 方程式が両立しなくなったことは、第2部第8章の第2定理を通して同じことの2つの表れである。自然界で μ\mu のような混合が起きる場合(たとえばクォークの世代の混合)は、混ざる場どうしの電荷が等しい組に限られている。

木下の勉強ステータス

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