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出てくるもの1:運動量の切断と Pauli–Villars 型の差し引き

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第9章 正則化
目次
  1. 切断
  2. 切断は積分変数のずらしで値を変える
  3. Pauli–Villars 型の差し引き
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第9章 §5.9.3 ★★ 積分の上限 Λ\Lambda で打ち切ると AA は Λ2\Lambda^2、BB は ln⁡Λ2\ln\Lambda^2 で増える。直観に合うが、積分変数のずらしで値が変わり、ゲージ不変性を壊す

切断

いちばん素朴な正則化は、Euclid の運動量の大きさに上限を置いて ∣ℓ∣<Λ\lvert \ell\rvert <\Lambda で積分を打ち切る切断である。AA と p=0p=0 の BB は、第5部第8章の式 (5.8.16)・(5.8.17) で切断して求めた。この章の記号で AA を書き写すと

AΛ=18π2∫0Λℓ3dℓℓ2+m2=116π2[Λ2−m2ln⁡(1+Λ2m2)](5.9.12)A_\Lambda=\frac{1}{8\pi^2}\int_0^\Lambda\frac{\ell^3\mathrm{d}\ell}{\ell^2+m^2}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\Lambda^2-m^2\ln\Bigl(1+\frac{\Lambda^2}{m^2}\Bigr)\Bigr]\tag{5.9.12}

で、Λ≫m\Lambda\gg m では Λ2\Lambda^2 の項と m2ln⁡Λ2m^2\ln\Lambda^2 の項が増える。2乗の発散は「1ループの質量の補正 Π=λA/2\Pi=\lambda A/2 が、場の質量ではなく切断の大きさで決まる」ことを意味する。これはスカラー場の質量を小さく保つことの難しさ(階層性の問題)として知られる性質で、正則化の方法によって見え方が変わる(5.9.4節)。

泡の図は、p≠0p\neq0 でも使えるように、Feynman パラメータでまとめた (5.9.8) のずらした後の変数で切断をかける(p=0p=0 では第8章の (5.8.17) に戻る)。Λ≫m\Lambda\gg m で展開して他の正則化と比べる形にすると

BΛ(p)=116π2∫01dx[ln⁡(1+Λ2Δ)−Λ2Λ2+Δ]=116π2[ln⁡Λ2m2−1−F(p2m2)]+O(m2Λ2,p2Λ2)(5.9.13)B_\Lambda(p)=\frac{1}{16\pi^2}\int_0^1\mathrm{d} x\Bigl[\ln\Bigl(1+\frac{\Lambda^2}{\Delta}\Bigr)-\frac{\Lambda^2}{\Lambda^2+\Delta}\Bigr] =\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\ln\frac{\Lambda^2}{m^2}-1-F\Bigl(\frac{p^2}{m^2}\Bigr)\Bigr]+\mathcal{O}\Bigl(\frac{m^2}{\Lambda^2},\frac{p^2}{\Lambda^2}\Bigr)\tag{5.9.13}

になる。ここで

F(z)≔∫01ln⁡(1+x(1−x)z) dx=βln⁡β+1β−1−2,β=1+4/z(5.9.14)F(z)\coloneqq\int_0^1\ln\bigl(1+x(1-x)z\bigr)\,\mathrm{d} x=\beta\ln\frac{\beta+1}{\beta-1}-2,\qquad \beta=\sqrt{1+4/z}\tag{5.9.14}

は外の運動量への依存を表す関数で、F(0)=0F(0)=0、小さな zz で F(z)≈z/6F(z)\approx z/6、大きな zz で F(z)≈ln⁡z−2F(z)\approx\ln z-2 である(閉じた形は xx の積分を部分積分して得られる)。

切断は積分変数のずらしで値を変える

(5.9.13) では、ずらした後の変数 ℓ+xp\ell+xp に切断をかけた。ずらす前の ℓ\ell に切断をかけると、境界の球がずれる分だけ値が違う。泡の図は対数発散なので、その違いは O(p2/Λ2)\mathcal{O}(p^2/\Lambda^2) で Λ→∞\Lambda\to\infty で消える。ところが1次の発散をする積分では、ずらしによる違いが Λ→∞\Lambda\to\infty でも有限に残る。1次元の例で見るのが早い(例題 5.9.3)。4次元では、fα(ℓ)=ℓα/(ℓ2+m2)2f_\alpha(\ell)=\ell_\alpha/(\ell^2+m^2)^2 のように ℓ−3\ell^{-3} で減るベクトルの積分について、

∫∣ℓ∣<Λd4ℓ [fα(ℓ+a)−fα(ℓ)] → Λ→∞  aβ∮∣ℓ∣=ΛdSβ fα=aβ∫dΩ nαnβ=π22aα(5.9.15)\int_{\lvert \ell\rvert <\Lambda}\mathrm{d}^4\ell\,\bigl[f_\alpha(\ell+a)-f_\alpha(\ell)\bigr]\ \xrightarrow{\ \Lambda\to\infty\ }\ a_\beta\oint_{\lvert \ell\rvert =\Lambda}\mathrm{d} S_\beta\,f_\alpha=a_\beta\int\mathrm{d}\Omega\,n_\alpha n_\beta=\frac{\pi^2}{2}a_\alpha\tag{5.9.15}

になる。f(ℓ+a)−f(ℓ)≈aβ∂βff(\ell+a)-f(\ell)\approx a_\beta\partial_\beta f の積分は Gauss の定理で無限遠の球面の積分になり、fα∼nα/Λ3f_\alpha\sim n_\alpha/\Lambda^3 と面積 Λ3dΩ\Lambda^3\mathrm{d}\Omega が打ち消し合って有限の値が残る(4次元の球面の上で nαnβn_\alpha n_\beta の平均は δαβ/4\delta_{\alpha\beta}/4、面積は 2π22\pi^2)。積分変数を定数だけずらしても値が変わらないという、収束する積分では当たり前の性質が、切断のもとでは成り立たない。ゲージ理論では、どの変数で切断したかによってこの種の項が現れ、保存するはずの電流に見かけの破れが入る。

例題 5.9.3 1次元で変数のずらしが値を変える ★★

オリジナルf(x)=arctan⁡xf(x)=\arctan x は x→±∞x\to\pm\infty で ±π/2\pm\pi/2 に近づく。

  1. (1) ∫−ΛΛ[f(x+a)−f(x)]dx\int_{-\Lambda}^{\Lambda}\bigl[f(x+a)-f(x)\bigr]\mathrm{d} x を原始関数 G(x)=xarctan⁡x−12ln⁡(1+x2)G(x)=x\arctan x-\frac12\ln(1+x^2) を使って書き、Λ→∞\Lambda\to\infty の極限が πa\pi a であることを示せ。
  2. (2) 「∫−∞∞f(x+a)dx=∫−∞∞f(x)dx\int_{-\infty}^\infty f(x+a)\mathrm{d} x=\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{d} x だから差は 00」という議論はどこで誤っているか。
解答

(1) 積分は [G(Λ+a)−G(−Λ+a)]−[G(Λ)−G(−Λ)]=[G(Λ+a)−G(Λ)]−[G(−Λ+a)−G(−Λ)][G(\Lambda+a)-G(-\Lambda+a)]-[G(\Lambda)-G(-\Lambda)]=[G(\Lambda+a)-G(\Lambda)]-[G(-\Lambda+a)-G(-\Lambda)] と組み替えられる。G′(x)=arctan⁡xG'(x)=\arctan x なので、平均値の定理から G(Λ+a)−G(Λ)=aarctan⁡ξ+G(\Lambda+a)-G(\Lambda)=a\arctan\xi_+(ξ+\xi_+ は Λ\Lambda と Λ+a\Lambda+a の間)、G(−Λ+a)−G(−Λ)=aarctan⁡ξ−G(-\Lambda+a)-G(-\Lambda)=a\arctan\xi_-(ξ−\xi_- は −Λ-\Lambda と −Λ+a-\Lambda+a の間)。Λ→∞\Lambda\to\infty で arctan⁡ξ±→±π/2\arctan\xi_\pm\to\pm\pi/2 なので、極限は aπ/2−a(−π/2)=πaa\pi/2-a(-\pi/2)=\pi a である。a=0.7a=0.7, Λ=104\Lambda=10^4 で 2.198972.19897、πa=2.19911\pi a=2.19911 と一致に向かう。

(2) ∫−∞∞f(x)dx\int_{-\infty}^\infty f(x)\mathrm{d} x 自体が存在しない(f→±π/2f\to\pm\pi/2 なので1次で発散する)。存在しない2つの量を引いても 00 とは言えない。切断 ∫−ΛΛ\int_{-\Lambda}^\Lambda をかけると、ずらした積分は区間 [−Λ+a,Λ+a][-\Lambda+a,\Lambda+a] の積分と同じになり、両端に幅 aa の帯がはみ出す。はみ出した帯の上で ff は ±π/2\pm\pi/2 なので、右端で +aπ/2+a\pi/2、左端で −(−aπ/2)-(-a\pi/2) の寄与が残り、合計 πa\pi a になる。4次元の (5.9.15) はこの帯が球殻になったものである。

Pauli–Villars 型の差し引き

もう1つの古典的な方法は、質量 MM の重い粒子が回る同じ図を引く方法である。泡の図なら

BM(p)≔B(p;m)−B(p;M)=116π2∫01dxln⁡M2+x(1−x)p2Δ=116π2[ln⁡M2m2−F(p2m2)]+O(p2M2)(5.9.16)B_M(p)\coloneqq B(p;m)-B(p;M)=\frac{1}{16\pi^2}\int_0^1\mathrm{d} x\ln\frac{M^2+x(1-x)p^2}{\Delta}=\frac{1}{16\pi^2}\Bigl[\ln\frac{M^2}{m^2}-F\Bigl(\frac{p^2}{m^2}\Bigr)\Bigr]+\mathcal{O}\Bigl(\frac{p^2}{M^2}\Bigr)\tag{5.9.16}

で、差の被積分関数は大きな ℓ\ell で (M2−Δ)/ℓ6(M^2-\Delta)/\ell^6 のように減るので、引き算の後は切断なしで収束する。重い粒子の図は M→∞M\to\infty で低い運動量の物理から切り離されるので、(ii) の要求を満たす。被積分関数の形を保ったまま差し引くので、切断と違って積分変数のずらしで値が変わらず、ゲージ不変性も保つことができる(名前は、この方法を量子電磁気学の計算に導入した W. Pauli と F. Villars による)。ただし2乗の発散を持つ AA は、質量の違う重い粒子を2つ以上引かないと有限にならない。

(5.9.13) と (5.9.16) を比べると、ln⁡Λ2−1\ln\Lambda^2-1 と ln⁡M2\ln M^2 が同じ位置にあり、pp への依存 −F(p2/m2)-F(p^2/m^2) は同じ形である。この一致は偶然でなく、5.9.5節で一般の形で示す。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの m/Λ→0m/\Lambda\to0 と ∣p∣/Λ→0\lvert p\rvert /\Lambda\to0(O(m2/Λ2)\mathcal{O}(m^2/\Lambda^2) の項を捨てる) | 証明 証明済み(積分を閉じた形 (5.9.13) で求めてから展開した) | 行き先 近似の数理 第7章

木下の勉強ステータス

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