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出てくるもの3:正則化の選び方は物理量に残らない

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第9章 正則化
目次
  1. 3つの正則化を並べる
  2. なぜ多項式の部分しか変わらないか
  3. 格子も正則化の1つ
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第9章 §5.9.5 ★★★ 正則化の違いは外の運動量と質量の低い次数の多項式に限られる。異なる運動量での値の差のような物理量は、どの正則化でも同じ値になる

3つの正則化を並べる

泡の図の3つの結果 (5.9.13)・(5.9.16)・(5.9.19) を並べると、どれも

16π2B(p)=Creg−ln⁡m2−F(p2m2)(5.9.22)16\pi^2B(p)=C_{\mathrm{reg}}-\ln m^2-F\Bigl(\frac{p^2}{m^2}\Bigr)\tag{5.9.22}

の形をしていて、正則化ごとに違うのは定数 CregC_{\mathrm{reg}} だけである。

正則化パラメータCregC_{\mathrm{reg}}
切断 (5.9.13)Λ\Lambdaln⁡Λ2−1\ln\Lambda^2-1
Pauli–Villars 型 (5.9.16)MMln⁡M2\ln M^2
次元正則化 (5.9.19)ϵ\epsilon, μ\mu2ϵ−γE+ln⁡4π+ln⁡μ2\frac2\epsilon-\gamma_{\mathrm E}+\ln4\pi+\ln\mu^2
格子(例題 5.9.7)格子間隔 aaln⁡(1/a2)+3.792\ln(1/a^2)+3.792

対数の係数(16π2B16\pi^2B で 11)と pp への依存 FF はどの正則化でも同じである。次元正則化で 2/ϵ−γE+ln⁡4π2/\epsilon-\gamma_{\mathrm E}+\ln4\pi をまとめて引いて捨てる約束をMS‾\overline{\mathrm{MS}}(修正最小差し引き)と呼び、そのとき C=ln⁡μ2C=\ln\mu^2 になる。図 5.9.3 は、3つの正則化の 16π2B(p)16\pi^2B(p) が互いに平行な曲線になることを示す。

図

図 5.9.3 泡の図 16π2B(p)16\pi^2B(p) を3つの正則化で計算した値(実線)。どれも −F(p2/m2)-F(p^2/m^2)(点線)を定数だけずらした形になる。MS‾\overline{\mathrm{MS}} で μ=m\mu=m のときは点線と重なる。切断は Λ=10m\Lambda=10m で有限の値のまま計算したので、O(p2/Λ2)\mathcal{O}(p^2/\Lambda^2) のずれを含む(p2≤20m2p^2\le20m^2 で 0.070.07 以内)

なぜ多項式の部分しか変わらないか

この一致は泡の図に限らない。理由は、外の運動量や質量で微分すると積分の表面的発散次数が下がることにある。

命題 5.9.3(正則化の違いは多項式 ★★★)

1ループの積分 I(p,m2)I(p,m^2) の表面的発散次数を D≥0D\ge0 とする。定義 5.9.1 を満たす2つの正則化 IκI_{\kappa}, Iκ′′I'_{\kappa'} について、差 Iκ−Iκ′′I_\kappa-I'_{\kappa'} は、パラメータを極限へ送ると、外の運動量 pp の成分と m2m^2 についての次数 DD 以下の多項式に近づく(質量の次元で数えて DD 以下。係数は正則化のパラメータに依存してよい)。

証明の筋

被積分関数を pp で1回微分すると、伝播関数 1/((ℓ+p)2+m2)1/((\ell+p)^2+m^2) が −2(ℓ+p)/((ℓ+p)2+m2)2-2(\ell+p)/((\ell+p)^2+m^2)^2 に変わり、大きな ℓ\ell での減り方が1次速くなる。m2m^2 で1回微分すると2次速くなる。したがって pp または m2m^2 で、質量の次元の合計が D+1D+1 になるまで微分した積分は表面的発散次数が負になり、1ループでは収束する。定義の (iii) により、正則化した量を微分したものは微分した被積分関数を正則化したものに等しく、それは (ii) によって極限で収束する積分の値に戻る。2つの正則化で微分した量の極限は同じなので、差 Iκ−Iκ′′I_\kappa-I'_{\kappa'} の D+1D+1 階の微分は 00 に近づく。D+1D+1 階の微分が 00 の関数は DD 次以下の多項式である。

泡の図は D=0D=0 なので違いは定数(CregC_{\mathrm{reg}})だけで、∂B/∂p2\partial B/\partial p^2 は正則化によらず収束する(p=0p=0 で 16π2∂B/∂p2=−1/(6m2)16\pi^2\partial B/\partial p^2=-1/(6m^2))。おたまじゃくしは D=2D=2 で、違いは a+bm2a+bm^2 の形になる。実際、切断と次元正則化では a=Λ2/(16π2)a=\Lambda^2/(16\pi^2) 対 00、bb は −ln⁡Λ2-\ln\Lambda^2 対 −(2/ϵ+1−γE+ln⁡4πμ2)-(2/\epsilon+1-\gamma_{\mathrm E}+\ln4\pi\mu^2) が対応し、残りの m2ln⁡m2m^2\ln m^2 の項は一致する。

多項式は、L\mathcal L の項と同じ形をしている。運動量の0次の定数は ϕ4\phi^4 の係数 λ\lambda に、m2m^2 に比例する項は質量の項に、p2p^2 に比例する項は運動項 12(∂ϕ)2\frac12(\partial\phi)^2 の係数に当たる。運動量の多項式は Fourier 変換すると位置の微分の多項式、すなわち1点で決まる局所的な項になる。正則化のパラメータへの依存はこうした局所的な項の中に閉じ込められているので、L\mathcal L のパラメータを測った値で決め直せば外へ出てこない。これが第5部第10章(第5部第10章)でくりこみとして行うことである。2ループ以上では、ループの一部分だけが発散する(部分発散)ので、証明は Bogoliubov–Parasiuk–Hepp–Zimmermann の手続きを要し、第5部第10章で結果を引く。

例題 5.9.6 運動量の違う2点の差は正則化によらない ★★★

オリジナル泡の図の p2=4m2p^2=4m^2(Euclid)と p=0p=0 での値の差 ΔB≔B(p)−B(0)\Delta B\coloneqq B(p)-B(0) を、切断・Pauli–Villars 型・次元正則化で求め、一致することを確かめよ。数値も求めよ。

解答

(5.9.13) から 16π2ΔB=[ln⁡Λ2/m2−1−F(4)]−[ln⁡Λ2/m2−1−F(0)]=−F(4)16\pi^2\Delta B=[\ln\Lambda^2/m^2-1-F(4)]-[\ln\Lambda^2/m^2-1-F(0)]=-F(4)(Λ→∞\Lambda\to\infty)。(5.9.16) から [ln⁡M2/m2−F(4)]−[ln⁡M2/m2−0]=−F(4)[\ln M^2/m^2-F(4)]-[\ln M^2/m^2-0]=-F(4)。(5.9.19) でも 2/ϵ−γE+ln⁡4π+ln⁡μ2/m22/\epsilon-\gamma_{\mathrm E}+\ln4\pi+\ln\mu^2/m^2 が引き算で消えて −F(4)-F(4)。z=4z=4 で β=2\beta=\sqrt2、β+1β−1=(2+1)2\frac{\beta+1}{\beta-1}=(\sqrt2+1)^2 なので

F(4)=22ln⁡(1+2)−2=2×1.41421×0.88137−2=0.4929,F(4)=2\sqrt2\ln(1+\sqrt2)-2=2\times1.41421\times0.88137-2=0.4929,

ΔB=−0.4929/(16π2)=−3.12×10−3\Delta B=-0.4929/(16\pi^2)=-3.12\times10^{-3}。パラメータ Λ\Lambda, MM, ϵ\epsilon, μ\mu はどれも答えに残らない。検算では Λ=M=104m\Lambda=M=10^4m の有限の値で3通りを数値計算し、−F(p2/m2)-F(p^2/m^2) と 10−610^{-6} まで一致することを p2/m2=0.5,4,20p^2/m^2=0.5,4,20 で確かめた。

格子も正則化の1つ

統計力学で臨界現象を扱うときの格子模型(第3部第10章(第3部第10章))も、場の理論の正則化として読める。Euclid の4次元の空間を間隔 aa の超立方格子に置き換えると、微分は差分になり、伝播関数は

1m2+k^2,k^2=∑i=144a2sin⁡2kia2(5.9.23)\frac{1}{m^2+\hat k^2},\qquad \hat k^2=\sum_{i=1}^4\frac{4}{a^2}\sin^2\frac{k_ia}{2}\tag{5.9.23}

になる。運動量は Brillouin 域 ∣ki∣≤π/a\lvert k_i\rvert \le\pi/a に限られ、これが切断の役をする。小さな kk では k^2≈k2\hat k^2\approx k^2 で連続の理論に戻る。格子の上の ϕ4\phi^4 理論は、各格子点にスピンの代わりに実数を置いた Ising 型の模型そのものである。

例題 5.9.7 格子の上のおたまじゃくしと泡 ★★

オリジナル

  1. (1) Schwinger の表示 (5.9.9) と ∫−π/aπ/adk2πe−t(4/a2)sin⁡2(ka/2)=1ae−2t/a2I0(2t/a2)\int_{-\pi/a}^{\pi/a}\frac{\mathrm{d} k}{2\pi}\mathrm{e}^{-t(4/a^2)\sin^2(ka/2)}=\frac1a\mathrm{e}^{-2t/a^2}I_0(2t/a^2)(I0I_0 は変形 Bessel 関数)を使い、格子のおたまじゃくしと泡(p=0p=0)を s=t/a2s=t/a^2 の1重積分で書け。
  2. (2) 大きな ss で e−2sI0(2s)≈(4πs)−1/2\mathrm{e}^{-2s}I_0(2s)\approx(4\pi s)^{-1/2} であることを使い、泡が 116π2ln⁡1m2a2\frac{1}{16\pi^2}\ln\frac{1}{m^2a^2} のように発散することを示せ。
  3. (3) 数値積分の結果 Alat(m=0)=0.1549/a2A_{\mathrm{lat}}(m=0)=0.1549/a^2、16π2Blat(0)=ln⁡(1/(m2a2))+3.79216\pi^2B_{\mathrm{lat}}(0)=\ln(1/(m^2a^2))+3.792 を、切断の (5.9.12)・(5.9.13) と比べ、それぞれ切断 Λ\Lambda のいくつに当たるかを求めよ。
解答

(1) 1/(m2+k^2)n=1Γ(n)∫0∞dt tn−1e−tm2∏i=14e−t(4/a2)sin⁡2(kia/2)1/(m^2+\hat k^2)^n=\frac{1}{\Gamma(n)}\int_0^\infty\mathrm{d} t\,t^{n-1}\mathrm{e}^{-tm^2}\prod_{i=1}^4\mathrm{e}^{-t(4/a^2)\sin^2(k_ia/2)} で、4つの方向の積分がそれぞれ 1ae−2t/a2I0(2t/a2)\frac1a\mathrm{e}^{-2t/a^2}I_0(2t/a^2) になる(4sin⁡2(ka/2)=2−2cos⁡ka4\sin^2(k a/2)=2-2\cos ka と ∫−ππdθ2πezcos⁡θ=I0(z)\int_{-\pi}^\pi\frac{\mathrm{d}\theta}{2\pi}\mathrm{e}^{z\cos\theta}=I_0(z) による)。s=t/a2s=t/a^2 とおいて

Alat=1a2∫0∞ds e−sm2a2[e−2sI0(2s)]4,Blat(0)=∫0∞ds s e−sm2a2[e−2sI0(2s)]4.A_{\mathrm{lat}}=\frac{1}{a^2}\int_0^\infty\mathrm{d} s\,\mathrm{e}^{-sm^2a^2}\bigl[\mathrm{e}^{-2s}I_0(2s)\bigr]^4,\qquad B_{\mathrm{lat}}(0)=\int_0^\infty\mathrm{d} s\,s\,\mathrm{e}^{-sm^2a^2}\bigl[\mathrm{e}^{-2s}I_0(2s)\bigr]^4 .

(2) 大きな ss で [e−2sI0(2s)]4≈(4πs)−2[\mathrm{e}^{-2s}I_0(2s)]^4\approx(4\pi s)^{-2} なので、BlatB_{\mathrm{lat}} の被積分関数は s⋅(16π2s2)−1e−sm2a2=e−sm2a2/(16π2s)s\cdot(16\pi^2s^2)^{-1}\mathrm{e}^{-sm^2a^2}=\mathrm{e}^{-sm^2a^2}/(16\pi^2s)。これを s∼1s\sim1 から積分すると 116π2∫1∞e−sm2a2sds≈116π2ln⁡1m2a2\frac{1}{16\pi^2}\int_1^\infty\frac{\mathrm{e}^{-sm^2a^2}}{s}\mathrm{d} s\approx\frac{1}{16\pi^2}\ln\frac{1}{m^2a^2} で、対数の係数 1/(16π2)1/(16\pi^2) は連続の理論と同じである。大きな ss は大きな距離、すなわち小さな運動量に当たり、そこでは格子の細部が見えないので、係数は格子の形によらない。AlatA_{\mathrm{lat}} は大きな ss で (16π2s2)−1(16\pi^2s^2)^{-1} と減るので m=0m=0 でも有限で、2乗の発散は 1/a21/a^2 の因子に入る。

(3) 切断では Λ≫m\Lambda\gg m で AΛ≈Λ2/(16π2)A_\Lambda\approx\Lambda^2/(16\pi^2)。0.1549/a20.1549/a^2 と等しくおくと Λa=16π2×0.1549=4.95\Lambda a=\sqrt{16\pi^2\times0.1549}=4.95。泡では ln⁡(Λ2/m2)−1=ln⁡(1/(m2a2))+3.792\ln(\Lambda^2/m^2)-1=\ln(1/(m^2a^2))+3.792 とおいて Λa=e(3.792+1)/2=11.0\Lambda a=\mathrm{e}^{(3.792+1)/2}=11.0。同じ格子が、おたまじゃくしには Λ≈4.95/a\Lambda\approx4.95/a、泡には Λ≈11.0/a\Lambda\approx11.0/a の切断として振る舞う。「格子は Λ=π/a\Lambda=\pi/a の切断と同じ」という言い方は、どちらの数とも合わない。正則化のパラメータの値そのものには物理的な意味が無く、意味を持つのは対数の係数と pp への依存だけである。(数値は ma=10−3ma=10^{-3} と 3×10−33\times10^{-3} で 3.792013.79201, 3.791983.79198 と一致し、m→0m\to0 の極限に収束している。)

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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