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この章で選ぶ L\mathcal L:ϕ4\phi^4 理論と発散する2つの積分

2026年10月15日13分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第9章 正則化
目次
  1. 単位と記号の約束
  2. 選ぶ Lagrangian 密度
  3. 1ループの2つの図
  4. Euclid の積分にする
  5. 正則化とは何をすることか
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第9章 §5.9.1 ★★★ L=12∂μϕ ∂μϕ−12m2ϕ2−λ4!ϕ4\mathcal L=\frac12\partial_\mu\phi\,\partial^\mu\phi-\frac12m^2\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4 を選ぶ。1ループのおたまじゃくし AA と泡 B(p)B(p) を Euclid の積分で書き、正則化とは何をすることかを定める

第5部第7章(第5部第7章)では、相互作用の項を含む作用 S[ϕ]S[\phi] から、摂動展開の各項を図に対応させる Feynman 則を作った。第5部第8章(第5部第8章)では、ループを1つ含む図の運動量積分が大きな運動量で発散すること、その発散の強さを図の形だけから数える表面的発散次数を見た。この章では、発散した積分にどう意味を持たせるかを扱う。

選ぶのは、第5部でくりこみ群まで使い続ける実スカラー場の ϕ4\phi^4 理論の Lagrangian 密度である。この L\mathcal L から出る1ループの図のうち、2点関数の「おたまじゃくし」の図と4点関数の「泡」の図の2つが、それぞれ2乗と対数で発散する。当てる道具は3つで、虚時間への回転(Wick 回転。第5部第1章の「e−βH\mathrm{e}^{-\beta H} は虚時間の時間発展」と同じ操作)、分母を1つにまとめる Feynman パラメータ、Γ\Gamma 関数による dd 次元の積分の公式である。

出てくるものは次の3つである。1つ目は、運動量の上限 Λ\Lambda で積分を打ち切る方法(切断)と、重い粒子の図を引く方法(Pauli–Villars 型)で、どちらも直観に合うが、積分変数のずらしやゲージ不変性を壊すことがある。2つ目は、時空の次元 dd を連続な数とみなして積分を dd の関数として定義し、d→4d\to4 の極を取り出す方法(次元正則化)で、対称性を保つ。3つ目は、正則化のやり方を変えても、外の運動量や質量について低い次数の多項式の部分しか変わらない、という性質である。物理量はこの多項式の部分を含まない組み合わせ(2つの運動量での値の差など)で書けるので、正則化の選び方は物理量に残らない。5.9.6節では、電磁気学で習う無限に長い線電荷の電位と点電荷の自己エネルギー、Casimir 効果の和 ∑n=−1/12\sum n=-1/12 を、同じ見方で並べる。

単位と記号の約束

この章では ℏ=c=1\hbar=c=1 とし、演算子の帽子を省く。計量は ημν=diag(+1,−1,−1,−1)\eta_{\mu\nu}=\mathrm{diag}(+1,-1,-1,-1)(この本の流儀)で、4元運動量の2乗 ℓ2=(ℓ0)2−∣ℓ∣2\ell^2=(\ell^0)^2-\lvert \bm{\ell}\rvert ^2 は時間的なときに正である。5.9.6節だけは電磁気学の授業の式と並べるために SI で書き、その節の冒頭で断る。

選ぶ Lagrangian 密度

この章で選ぶのは

L=12∂μϕ ∂μϕ−12m2ϕ2−λ4!ϕ4(5.9.1)\mathcal L=\frac12\partial_\mu\phi\,\partial^\mu\phi-\frac12m^2\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4\tag{5.9.1}

である。第5部第2章(第5部第2章)の Klein–Gordon 場に、ϕ\phi の4次の相互作用を足したものである。λ>0\lambda>0 ならポテンシャル 12m2ϕ2+λ4!ϕ4\frac12m^2\phi^2+\frac{\lambda}{4!}\phi^4 は下に有界で、真空が安定である。ℏ=c=1\hbar=c=1 では ϕ\phi が質量の1乗の次元、L\mathcal L が質量の4乗の次元を持つので、λ\lambda は無次元である。この「結合定数が無次元」という性質が、この章と次の2章で発散の形を決める。

第5部第7章の Feynman 則を結果だけ引くと、内線1本ごとに伝播関数 i/(ℓ2−m2+i0)\mathrm{i}/(\ell^2-m^2+\mathrm{i}0)、頂点1つごとに −iλ-\mathrm{i}\lambda、閉じたループ1つごとに運動量積分 ∫d4ℓ/(2π)4\int\mathrm{d}^4\ell/(2\pi)^4 を掛け、図の対称因子で割る。ここで i0\mathrm{i}0 は、時間順序をとった伝播関数の極を実軸からずらす向きを表す無限小である。相互作用の項を λ/4!\lambda/4! と書いたのは、4本の線を頂点につなぐ 4!4! 通りの付け方で頂点の因子が −iλ-\mathrm{i}\lambda になるようにするためである。

1ループの2つの図

λ\lambda の1次で2点関数を補正する図は、頂点から出た2本の線を結んだループ1つを持つ(おたまじゃくしの図。対称因子は 22 で、1/21/2 が掛かる)。その値を −iΠ-\mathrm{i}\Pi と書くと

−iΠ=12(−iλ)∫d4ℓ(2π)4iℓ2−m2+i0(5.9.2)-\mathrm{i}\Pi=\frac12(-\mathrm{i}\lambda)\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{\mathrm{i}}{\ell^2-m^2+\mathrm{i}0}\tag{5.9.2}

である。伝播関数に −iΠ-\mathrm{i}\Pi を1つ挟んだものを足すと ip2−m2+ip2−m2(−iΠ)ip2−m2≈ip2−m2−Π\frac{\mathrm{i}}{p^2-m^2}+\frac{\mathrm{i}}{p^2-m^2}(-\mathrm{i}\Pi)\frac{\mathrm{i}}{p^2-m^2}\approx\frac{\mathrm{i}}{p^2-m^2-\Pi} なので、Π\Pi は質量の2乗のずれ m2→m2+Πm^2\to m^2+\Pi を表す。

λ\lambda の2次で4点関数を補正する図のうち、入ってくる2本の運動量の和 pp がループを回る図(ss チャンネルの泡の図。対称因子は 22 で、1/21/2 が掛かる)は

iMs=12(−iλ)2∫d4ℓ(2π)4iℓ2−m2+i0 i(ℓ+p)2−m2+i0(5.9.3)\mathrm{i}\mathcal M_s=\frac12(-\mathrm{i}\lambda)^2\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{\mathrm{i}}{\ell^2-m^2+\mathrm{i}0}\,\frac{\mathrm{i}}{(\ell+p)^2-m^2+\mathrm{i}0}\tag{5.9.3}

である。tt, uu チャンネルの図は pp を別の運動量の組み合わせに替えたものになる。

第5部第8章の表面的発散次数 DD で数えると、4次元の ϕ4\phi^4 理論で外線を EE 本持つ図は D=4−ED=4-E だった(DD は「積分変数を全部 Λ\Lambda 倍したとき積分が ΛD\Lambda^{D} のように増える」ことを表す)。おたまじゃくしは E=2E=2 で D=2D=2(被積分関数が ℓ−2\ell^{-2}、測度が ℓ4\ell^4)、泡は E=4E=4 で D=0D=0(被積分関数が ℓ−4\ell^{-4})なので、それぞれ2乗と対数で発散する。

Euclid の積分にする

(5.9.2) と (5.9.3) は Minkowski の計量のままでは被積分関数が ℓ2=m2\ell^2=m^2 の殻の上で特異で、扱いにくい。5.9.2節で示すように、ℓ0\ell^0 の積分路を虚軸へ回して ℓ0=iℓ4\ell^0=\mathrm{i}\ell^4(ℓ4\ell^4 は実数)とおくと、ℓ2=−(ℓ4)2−∣ℓ∣2≕−ℓE2\ell^2=-(\ell^4)^2-\lvert \bm{\ell}\rvert ^2\eqqcolon-\ell_{\mathrm E}^2、d4ℓ=i d4ℓE\mathrm{d}^4\ell=\mathrm{i}\,\mathrm{d}^4\ell_{\mathrm E} になる。外の運動量も同じく p0=ip4p^0=\mathrm{i} p^4 と Euclid 化する(s=p2<0s=p^2<0 の領域の値を求め、s>0s>0 へは解析接続でつなぐ)。すると i⋅i/(−1)=1\mathrm{i}\cdot\mathrm{i}/(-1)=1 などの因子がそろって

Π=λ2A,Ms=λ22B(p),(5.9.4)\Pi=\frac{\lambda}{2}A,\qquad \mathcal M_s=\frac{\lambda^2}{2}B(p),\tag{5.9.4}

A≔∫d4ℓ(2π)41ℓ2+m2,B(p)≔∫d4ℓ(2π)41(ℓ2+m2)((ℓ+p)2+m2)(5.9.5)A\coloneqq\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{1}{\ell^2+m^2},\qquad B(p)\coloneqq\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{1}{(\ell^2+m^2)((\ell+p)^2+m^2)}\tag{5.9.5}

を得る。ここから先、(5.9.5) の ℓ\ell, pp は Euclid の4元ベクトルで、ℓ2\ell^2 は4成分の2乗の和(正)である。被積分関数はどこでも正で有限になり、問題は大きな ∣ℓ∣\lvert \ell\rvert での振る舞いだけに絞られた。4次元の球面の面積が 2π22\pi^2 なのでd4ℓ/(2π)4=ℓ3dℓ /(8π2)×(方向の平均)\mathrm{d}^4\ell/(2\pi)^4=\ell^3\mathrm{d}\ell\,/(8\pi^2)\times(\text{方向の平均}) で、AA は ∫∞ℓ dℓ\int^\infty\ell\,\mathrm{d}\ell、BB は ∫∞dℓ/ℓ\int^\infty\mathrm{d}\ell/\ell のように発散する。

1ループの4点の振幅は3つのチャンネルを足して

M=−λ+λ22[B(ps)+B(pt)+B(pu)]+O(λ3)(5.9.6)\mathcal M=-\lambda+\frac{\lambda^2}{2}\bigl[B(p_s)+B(p_t)+B(p_u)\bigr]+\mathcal{O}(\lambda^3)\tag{5.9.6}

になる(ps=p1+p2p_s=p_1+p_2, pt=p1−p3p_t=p_1-p_3, pu=p1−p4p_u=p_1-p_4)。

正則化とは何をすることか

AA と BB は値を持たないので、(5.9.4) と (5.9.6) はこのままでは式として意味を持たない。そこで、元の積分の代わりに、パラメータ κ\kappa を1つ持つ有限な量の族 AκA_\kappa, Bκ(p)B_\kappa(p) を考え、次の3つを要求する。

定義 5.9.1(正則化)

発散する積分 II の正則化とは、パラメータ κ\kappa を持つ量の族 IκI_\kappa で、(i) κ\kappa が有限なあいだ IκI_\kappa は有限、(ii) 元の積分が収束する場合には κ\kappa を極限へ送ると元の積分の値に戻る、(iii) 被積分関数の外の運動量・質量についての微分と積分の順序を入れ替えてよい、の3つを満たすものをいう。κ\kappa を正則化のパラメータと呼ぶ(切断 Λ\Lambda、重い質量 MM、次元 dd など)。

(ii) によって、正則化は収束する積分を変えない。発散する積分についての答えは κ\kappa に依存し、極限では発散する。この章の後半で示すのは、その依存が外の運動量と質量の低い次数の多項式の中に閉じ込められることで、だから物理量は κ\kappa によらずに書ける。多項式の部分を L\mathcal L のパラメータに吸い込む手続きが第5部第10章のくりこみである。この章では吸い込みは行わず、正則化の方法そのものを比べる。

例題 5.9.1 収束する積分で Wick 回転を確かめる ★★

オリジナル

  1. (1) 1次元の積分 J(η)=∫−∞∞dx(x2−w2)3J(\eta)=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{\mathrm{d} x}{(x^2-w^2)^3}(w2=ω2−iηw^2=\omega^2-\mathrm{i}\eta、ω,η>0\omega,\eta>0、ww は第4象限の根)を留数で求め、η→0\eta\to0 の極限が i∫−∞∞dy(−y2−ω2)3\mathrm{i}\int_{-\infty}^\infty\frac{\mathrm{d} y}{(-y^2-\omega^2)^3} に等しいことを確かめよ。
  2. (2) 4次元の収束する積分 ∫d4ℓ(2π)41(ℓ2−m2+i0)3\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{1}{(\ell^2-m^2+\mathrm{i}0)^3}(Minkowski)を Euclid の積分に直して求めよ。
解答

(1) 被積分関数の極は x=wx=w(第4象限)と x=−wx=-w(第2象限)にあり、どちらも3位である。上半面を回る大きな半円の寄与は ∣x∣−6\lvert x\rvert ^{-6} の減り方で 00 になるので、上半面の極 x=−wx=-w の留数だけを拾う。(x−w)−3(x+w)−3(x-w)^{-3}(x+w)^{-3} の x=−wx=-w での留数は 12!d2dx2(x−w)−3∣x=−w=12⋅12(−2w)−5=−316w5\frac{1}{2!}\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d} x^2}(x-w)^{-3}\big|_{x=-w}=\frac12\cdot12(-2w)^{-5}=-\frac{3}{16w^5} なので

J(η)=2πi(−316w5)=−3πi8w5 → η→0  −3πi8ω5.J(\eta)=2\pi\mathrm{i}\Bigl(-\frac{3}{16w^5}\Bigr)=-\frac{3\pi\mathrm{i}}{8w^5}\ \xrightarrow{\ \eta\to0\ }\ -\frac{3\pi\mathrm{i}}{8\omega^5}.

一方 ∫−∞∞dy(y2+ω2)3=3π8ω5\int_{-\infty}^\infty\frac{\mathrm{d} y}{(y^2+\omega^2)^3}=\frac{3\pi}{8\omega^5} なので、i∫dy(−y2−ω2)3=−i⋅3π8ω5\mathrm{i}\int\frac{\mathrm{d} y}{(-y^2-\omega^2)^3}=-\mathrm{i}\cdot\frac{3\pi}{8\omega^5} で一致する。実軸の上の積分を、極を避けて虚軸の上の積分(x=iyx=\mathrm{i} y、dx=i dy\mathrm{d} x=\mathrm{i}\,\mathrm{d} y)に置き換えてよいことが、1つの例で確かめられた。η=0.25\eta=0.25, ω=1.3\omega=1.3 の数値積分でも留数の式と 10−810^{-8} まで一致する。

(2) ℓ0=iℓ4\ell^0=\mathrm{i}\ell^4 とおくと ℓ2−m2=−(ℓE2+m2)\ell^2-m^2=-(\ell_{\mathrm E}^2+m^2)、d4ℓ=i d4ℓE\mathrm{d}^4\ell=\mathrm{i}\,\mathrm{d}^4\ell_{\mathrm E} なので

∫d4ℓ(2π)41(ℓ2−m2+i0)3=i(−1)3∫d4ℓE(2π)41(ℓE2+m2)3.\int\frac{\mathrm{d}^4\ell}{(2\pi)^4}\frac{1}{(\ell^2-m^2+\mathrm{i}0)^3}=\mathrm{i}(-1)^3\int\frac{\mathrm{d}^4\ell_{\mathrm E}}{(2\pi)^4}\frac{1}{(\ell_{\mathrm E}^2+m^2)^3}.

右辺の積分は 18π2∫0∞ℓ3dℓ(ℓ2+m2)3=116π2∫0∞u du(u+m2)3=116π2⋅12m2\frac{1}{8\pi^2}\int_0^\infty\frac{\ell^3\mathrm{d}\ell}{(\ell^2+m^2)^3}=\frac{1}{16\pi^2}\int_0^\infty\frac{u\,\mathrm{d} u}{(u+m^2)^3}=\frac{1}{16\pi^2}\cdot\frac{1}{2m^2}(u=ℓ2u=\ell^2)なので、答えは −i/(32π2m2)-\mathrm{i}/(32\pi^2m^2) である。被積分関数が ℓ−6\ell^{-6} で減るので、この積分は正則化なしで意味を持つ。正則化の要求 (ii) は、この種の積分を変えないことを求めている。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの λ/(16π2)→0\lambda/(16\pi^2)\to0(1ループの項で摂動展開を打ち切る) | 証明 未解決(4次元の ϕ4\phi^4 は連続極限が自由場になる〔Aizenman–Duminil-Copin 2021〕ので、1ループで止めた展開が何の漸近展開かが定まらない) | 行き先 近似の数理 第7章

木下の勉強ステータス

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AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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