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出てくるもの (3):臨界指数と普遍性

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第11章 くりこみ群
目次
  1. 特異部分の同次性
  2. 6つの指数
  3. 普遍性
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第11章 §5.11.5 ★★★ 固定点のまわりで自由エネルギーは fs(t,h)=e−dℓfs(eytℓt,eyhℓh)f_{\mathrm s}(t,h)=\mathrm{e}^{-d\ell}f_{\mathrm s}(\mathrm{e}^{y_t\ell}t,\mathrm{e}^{y_h\ell}h) を満たす。そこから6つの指数がすべて yt,yhy_t,y_h の2つで決まり、4つのスケーリング則が出る

特異部分の同次性

臨界点の近くの自由エネルギー密度(kBTk_{\mathrm B} T で割ったもの)を、解析的な部分と特異な部分 fsf_{\mathrm s} に分ける。くりこみ群の変換は ZZ を変えないので、ℓ\ell だけ進めると体積が e−dℓ\mathrm{e}^{-d\ell} 倍になる分、1体積あたりの自由エネルギーは edℓ\mathrm{e}^{d\ell} 倍になる。固定点のまわりで、温度と外場の方向の成分はt→eytℓtt\to\mathrm{e}^{y_t\ell}t、h→eyhℓhh\to\mathrm{e}^{y_h\ell}h と変わるので

fs(t,h)=e−dℓfs(eytℓt,eyhℓh)(5.11.20)f_{\mathrm s}(t,h)=\mathrm{e}^{-d\ell}f_{\mathrm s}(\mathrm{e}^{y_t\ell}t,\mathrm{e}^{y_h\ell}h)\tag{5.11.20}

が成り立つ。eytℓ∣t∣=1\mathrm{e}^{y_t\ell}\lvert t\rvert =1 と選ぶと fs(t,h)=∣t∣d/ytΦ(h/∣t∣yh/yt)f_{\mathrm s}(t,h)=\lvert t\rvert ^{d/y_t}\Phi\bigl(h/\lvert t\rvert ^{y_h/y_t}\bigr) となり、関数 Φ\Phi は1変数の関数である。

外場 hh は ϕ\phi に結合する(作用に −h∫ϕ-h\int\phi を足す)ので、yhy_h は ϕ\phi の次元で決まる。[ϕ]=(d−2+η)/2[\phi]=(d-2+\eta)/2 と書くと yh=d−[ϕ]=(d+2−η)/2y_h=d-[\phi]=(d+2-\eta)/2 で、1ループでは η=0\eta=0、yh=(d+2)/2=3−ϵ/2y_h=(d+2)/2=3-\epsilon/2 である。

6つの指数

式 (5.11.20) を微分すると、指数がすべて決まる。比熱は ∂2fs/∂t2∝∣t∣d/yt−2\partial^2f_{\mathrm s}/\partial t^2\propto\lvert t\rvert ^{d/y_t-2}、磁化は ∂fs/∂h∝∣t∣(d−yh)/yt\partial f_{\mathrm s}/\partial h\propto\lvert t\rvert ^{(d-y_h)/y_t}、磁化率は ∂2fs/∂h2∝∣t∣(d−2yh)/yt\partial^2f_{\mathrm s}/\partial h^2\propto\lvert t\rvert ^{(d-2y_h)/y_t}、t=0t=0 では fs∝hd/yhf_{\mathrm s}\propto h^{d/y_h} から m∝h(d−yh)/yhm\propto h^{(d-y_h)/y_h} である。第3部第10章の定義と並べて

α=2−dyt,βexp=d−yhyt,γ=2yh−dyt,δ=yhd−yh,ν=1yt,η=d+2−2yh(5.11.21)\alpha=2-\frac{d}{y_t},\quad \beta_{\mathrm{exp}}=\frac{d-y_h}{y_t},\quad \gamma=\frac{2y_h-d}{y_t},\quad \delta=\frac{y_h}{d-y_h},\quad \nu=\frac{1}{y_t},\quad \eta=d+2-2y_h\tag{5.11.21}

を得る。ここに 1 ループの yt=2−ϵ/3y_t=2-\epsilon/3、yh=3−ϵ/2y_h=3-\epsilon/2 を入れて ϵ\epsilon の1次まで展開すると

α=ϵ6,βexp=12−ϵ6,γ=1+ϵ6,δ=3+ϵ,ν=12+ϵ12,η=0(5.11.22)\alpha=\frac{\epsilon}{6},\quad \beta_{\mathrm{exp}}=\frac12-\frac{\epsilon}{6},\quad \gamma=1+\frac{\epsilon}{6},\quad \delta=3+\epsilon,\quad \nu=\frac12+\frac{\epsilon}{12},\quad \eta=0\tag{5.11.22}

になる。ϵ=0\epsilon=0(d=4d=4)では Gauss 固定点の yt=2y_t=2、yh=3y_h=3 から平均場の値 (0,12,1,3,12,0)(0,\frac12,1,3,\frac12,0) が出る。表 5.11.2 に3つを並べる。

表 5.11.2 臨界指数。平均場は第3部第10章の Landau 理論、ϵ\epsilon の1次は式 (5.11.22) に ϵ=1\epsilon=1 を入れた値、3次元 Ising は第3部第10章の表と同じく Kos ら(2016)のスケーリング次元から計算した値
指数平均場ϵ\epsilon の1次(ϵ=1\epsilon=1)3次元 Ising
α\alpha000.1670.1670.1100.110
βexp\beta_{\mathrm{exp}}0.50.50.3330.3330.3260.326
γ\gamma111.1671.1671.2371.237
δ\delta33444.794.79
ν\nu0.50.50.5830.5830.6300.630
η\eta00000.0360.036

ϵ=1\epsilon=1 は小さいパラメータとは言いがたいが、1次の項だけで、η\eta を除く5つの指数が平均場の値から3次元 Ising の値の向きへ動き、α\alpha 以外では差の半分以上に達する(α\alpha は行き過ぎる)。図 5.11.3 に ν\nu を次元 dd の関数として示す。

図

図 5.11.3 相関長の指数 ν\nu と次元 dd。実線は ϵ\epsilon の1次の展開、破線は 1/yt1/y_t を展開せずに使ったもの(どちらも近似)。黒丸は d=4d=4 の平均場、d=3d=3 の Ising(Kos ら 2016 から計算)、d=2d=2 の Ising(Onsager の厳密解)。d=4d=4 から離れるほど1次の展開との差は大きくなる

2次元 Ising の値は L. Onsager (1944), Phys. Rev. 65, 117 の厳密解による(ν=1\nu=1、α=0\alpha=0 は比熱の対数発散)。

普遍性

式 (5.11.21) の指数は、固定点での yt,yhy_t,y_h だけで決まり、出発点の作用の細部(Λ\Lambda、uu の値、ϕ6\phi^6 の係数、格子の形)によらない。細部の違いは irrelevant な方向の成分で、変換を繰り返すと eyℓ\mathrm{e}^{y\ell}(y<0y<0)で消えていくからである。同じ固定点に流れ込む系は同じ指数を持ち、これを普遍性クラスと呼ぶ。何が普遍性クラスを決めるかは、固定点の位置と relevant な方向の数を決めるもの、すなわち空間の次元 dd と秩序変数の成分の数・対称性である。一軸の磁性体と液体・気体の臨界点は、どちらも1成分で ϕ→−ϕ\phi\to-\phi の対称性(液体・気体では臨界点の近くでだけ現れる近似的な対称性)を持つので、3次元 Ising の普遍性クラスに属する。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ϵ=4−d→0\epsilon=4-d\to0(ϵ=1\epsilon=1 まで外挿する) | 証明 要確認(ϵ\epsilon 展開は収束せず漸近級数にとどまると考えられている。ϵ=1\epsilon=1 での値は打ち切りの次数と総和の方法による。収束と Borel 総和の可否は原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第1章

例題 5.11.5 ϵ=1\epsilon=1 の指数を2通りに出す ★★

オリジナル

  1. (1) yt=5/3y_t=5/3、yh=5/2y_h=5/2、d=3d=3 を式 (5.11.21) にそのまま入れて、α,βexp,γ,δ,ν\alpha,\beta_{\mathrm{exp}},\gamma,\delta,\nu を求めよ。
  2. (2) (1) の値と、式 (5.11.22) に ϵ=1\epsilon=1 を入れた値の、どちらが3次元 Ising に近いか。指数ごとに比べよ。
  3. (3) (1) の値が α+2βexp+γ=2\alpha+2\beta_{\mathrm{exp}}+\gamma=2 と 2−α=dν2-\alpha=d\nu を満たすことを確かめよ。式 (5.11.22) の値は ϵ\epsilon の何次まで満たすか。
解答

(1) ν=3/5=0.6\nu=3/5=0.6、α=2−3⋅35=0.2\alpha=2-3\cdot\frac35=0.2、βexp=(3−52)⋅35=0.3\beta_{\mathrm{exp}}=(3-\frac52)\cdot\frac35=0.3、γ=(5−3)⋅35=1.2\gamma=(5-3)\cdot\frac35=1.2、δ=5/21/2=5\delta=\frac{5/2}{1/2}=5。

(2) 3次元 Ising(α=0.110\alpha=0.110、βexp=0.326\beta_{\mathrm{exp}}=0.326、γ=1.237\gamma=1.237、δ=4.79\delta=4.79、ν=0.630\nu=0.630)と比べると、(1) は γ,δ,ν\gamma,\delta,\nu で近く、1次の展開(0.167,0.333,1.167,4,0.5830.167,0.333,1.167,4,0.583)は α,βexp\alpha,\beta_{\mathrm{exp}} で近い。どちらかが一様に良いわけではない。どちらも ϵ\epsilon の1次までしか正しくなく、2次の項の扱いが違うだけなので、この差は5.11.3の例題で見た1ループの不確かさと同じ種類のものである。

(3) (1) では 0.2+0.6+1.2=20.2+0.6+1.2=2、2−0.2=1.8=3×0.62-0.2=1.8=3\times0.6 で、どちらも厳密に満たす。式 (5.11.21) から作った値は、yt,yhy_t,y_h が何であっても関係式を満たす(5.11.6節)。式 (5.11.22) では ϵ6+1−ϵ3+1+ϵ6=2\frac{\epsilon}{6}+1-\frac{\epsilon}{3}+1+\frac{\epsilon}{6}=2 で Rushbrooke は厳密に、dν=(4−ϵ)(12+ϵ12)=2−ϵ6−ϵ212d\nu=(4-\epsilon)(\frac12+\frac{\epsilon}{12})=2-\frac{\epsilon}{6}-\frac{\epsilon^2}{12} でJosephson は ϵ\epsilon の1次まで満たす。展開で打ち切った式は、関係式を打ち切った次数までしか満たさない。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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