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この章のまとめ

2026年10月9日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4章 射影型近似:Rayleigh–Ritz・Galerkin と収束の速さ

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第4章 §4.8 ★★★ 射影型近似について数学が保証することと保証しないことの一覧

射影型近似(A 型)について数学が言えること

  1. 誤差の分解(Céa の補題):Galerkin 解の誤差 ≤\le(方程式だけで決まる定数)×\times(部分空間が真の解をどこまで近似できるか)。対称な問題では Galerkin 解はエネルギーノルムでの最良近似そのもの。
  2. 上界と単調性(Rayleigh–Ritz):すべての Ritz 値は対応する真の固有値の上界で、基底を足すと単調に下がり、古い値の間に1つずつ入る(交互定理)。LCAO・基底展開・完全 CI・打ち切り CI のすべてに当てはまる。
  3. 収束:部分空間の列が運動エネルギーを含むノルムで稠密(基底が完備)なら、本質的スペクトルの下の固有値に収束する。
  4. 誤差の次数:エネルギーの誤差は波動関数の誤差の2乗、他の物理量の誤差は1乗。
  5. 下界:分散 σ2\sigma^2 と第2固有値の下界から、Temple の不等式で真の値を下からも押さえられる。
  6. 収束の速さ:真の解の正則性で決まる。滑らかなら速く(指数的)、尖りがあれば遅い(代数的)。クーロン系の尖りは Kato のカスプ条件 ∂ψˉ/∂r=μqiqjψ\partial\bar\psi/\partial r=\mu q_iq_j\psi で決まり、ガウス基底や Slater 行列式はこれを満たせない。
  7. 保証しないこと:どの部分空間を選べばよいか。原子軌道を使う、指数を最適化する、分極関数を足す、r12r_{12} を入れる、といった選択は真の解の形についての物理的推測であり、その良し悪しは数学の外で決まる。

この章で扱った近似はすべて第1章の分類の A 型(射影)である。LCAO・ガウス基底展開・CI は、いずれも「真の解を有限次元の部分空間へ射影する」操作として、Céa の補題と min-max 原理という2つの定理で統一的に正当化される。正当化の中身は、上界・単調性・収束という定性的な保証と、収束の速さが解の正則性で決まるという定量的な保証の2段からなる。前者は自己共役性と下に有界であること(第3章)だけから従い、後者は方程式の特異点(クーロンの 1/r1/r)から解の尖りを読み取る微分方程式の定性的理論(第2章)を必要とする。物理の直観は、部分空間の選択という数学が何も言わない部分を受け持っていて、その選択が良かったかどうかは、Temple の下界や基底を増やしたときの収束の様子という形で、数学の側から事後に検証できる。第5章の Hartree–Fock 法は、部分空間でなく「Slater 行列式1個」という曲がった集合の上の変分なので、上界性は残るが線型代数の議論(交互定理など)は使えなくなる。その違いが次の章の主題である。

総合問題 V 字型ポテンシャルの変分計算を両側から押さえる ★★★

オリジナル1次元の粒子を H=−12d2dx2+∣x∣H=-\frac12\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d} x^2}+\lvert x\rvert で考える(ℏ=m=1\hbar=m=1)。x>0x>0 で x=2−1/3ξx=2^{-1/3}\xi とおくと方程式は Airy 方程式になり、固有値は Airy 関数 Ai\mathrm{Ai} とその導関数の零点で書ける。偶の状態は E=2−1/3∣ak′∣E=2^{-1/3}\lvert a'_k\rvert、奇の状態は E=2−1/3∣ak∣E=2^{-1/3}\lvert a_k\rvert で、a1′=−1.01879a'_1=-1.01879、a1=−2.33811a_1=-2.33811、a2′=−3.24820a'_2=-3.24820 を使うと E0=0.80862E_0=0.80862(偶)、E1=1.85576E_1=1.85576(奇)、E2=2.57810E_2=2.57810(偶)である。試行関数には規格化したガウス関数 ψα=(2α/π)1/4e−αx2\psi_\alpha=(2\alpha/\pi)^{1/4}\mathrm{e}^{-\alpha x^2}(α>0\alpha>0)を使う。

  1. (1) E(α)=⟨ψα, Hψα⟩E(\alpha)=\langle \psi_\alpha,\,H\psi_\alpha\rangle がどの α\alpha でも E0E_0 の上界になる理由を述べ、E(α)E(\alpha) を最小にする α∗\alpha^* と最小値を求めよ。(使う道具:第3章 §下に有界であること・§min-max 原理、第4章 §固有値問題への適用)
  2. (2) α=α∗\alpha=\alpha^* での分散 σ2=⟨H2⟩−⟨H⟩2\sigma^2=\langle H^2 \rangle -\langle H \rangle ^2 を求め、Temple の不等式で E0E_0 の下界を出せ。ε\varepsilon として E1E_1 を使う場合と、対称性を使って E2E_2 を使う場合の両方を比べよ。(使う道具:第4章 §下界)
  3. (3) 厳密な E0E_0 を使わずに、(2) の下界だけから、重なりの欠損 1−∣⟨ψ0, ψα∗⟩∣21-\lvert \langle \psi_0,\,\psi_{\alpha^*}\rangle \rvert ^2 の上界を出せ(ψ0\psi_0 は規格化した基底状態)。(使う道具:第4章 §エネルギーの誤差は波動関数の誤差の2乗)
  4. (4) 真の基底状態 ψ0\psi_0 は x=0x=0 で3階導関数が跳ぶことを示し、ガウス関数や調和振動子の固有関数のような滑らかな関数の線型結合でψ0\psi_0 を近似したときの収束がなぜ指数的にならないかを説明せよ。(使う道具:第2章 §常微分方程式の存在と一意性、第4章 §収束の速さは解の正則性で決まる)
解答

(1) 第3章・第4章 §固有値問題への適用。∣x∣≥0\lvert x\rvert \ge0 なので H≥0H\ge0 で、HH は下に有界な自己共役作用素である。さらに ∣x∣→∞\lvert x\rvert \to\infty でポテンシャルが際限なく大きくなるので、スペクトルは離散固有値だけからなり、最低固有値 E0E_0 がある。ψα\psi_\alpha は HH の定義域に入るので、1次元の部分空間{c ψα}\{c\,\psi_\alpha\} で Rayleigh–Ritz を行ったことになり、定理 4.6(第3章の min-max 原理)から E(α)≥E0E(\alpha)\ge E_0 がすべての α\alpha で成り立つ。

∣ψα∣2\lvert \psi_\alpha\rvert ^2 は分散 1/(4α)1/(4\alpha) の正規分布なので ⟨x2⟩=1/(4α)\langle x^2 \rangle =1/(4\alpha)、⟨∣x∣⟩=22α/π∫0∞xe−2αx2dx=1/2πα\langle \lvert x\rvert \rangle =2\sqrt{2\alpha/\pi}\int_0^\infty x\mathrm{e}^{-2\alpha x^2}\mathrm{d} x=1/\sqrt{2\pi\alpha} である。運動エネルギーは 12∫∣ψα′∣2dx=12⋅4α2⟨x2⟩=α/2\frac12\int\lvert \psi_\alpha'\rvert ^2\mathrm{d} x=\frac12\cdot4\alpha^2\langle x^2 \rangle =\alpha/2 なので

E(α)=α2+12πα,E′(α)=12−12 (2π)−1/2α−3/2=0.E(\alpha)=\frac\alpha2+\frac{1}{\sqrt{2\pi\alpha}},\qquad E'(\alpha)=\frac12-\frac12\,(2\pi)^{-1/2}\alpha^{-3/2}=0 .

よって α∗3/2=(2π)−1/2\alpha^{*3/2}=(2\pi)^{-1/2}、すなわち α∗=(2π)−1/3=0.54193\alpha^*=(2\pi)^{-1/3}=0.54193。このとき 1/2πα∗=α∗1/\sqrt{2\pi\alpha^*}=\alpha^* なのでE(α∗)=32α∗=0.81289E(\alpha^*)=\frac32\alpha^*=0.81289 である。厳密値 E0=0.80862E_0=0.80862 との差は 4.27×10−34.27\times10^{-3}(相対誤差 0.53%0.53\%)で、確かに上にある。

(2) 第4章 §下界。ψα′′=(4α2x2−2α)ψα\psi_\alpha''=(4\alpha^2x^2-2\alpha)\psi_\alpha なので Hψα=(α−2α2x2+∣x∣)ψαH\psi_\alpha=(\alpha-2\alpha^2x^2+\lvert x\rvert )\psi_\alpha である。2乗の期待値を展開し、⟨x4⟩=3/(16α2)\langle x^4 \rangle =3/(16\alpha^2)、⟨∣x∣3⟩=1/(2α2πα)\langle \lvert x\rvert ^3 \rangle =1/(2\alpha\sqrt{2\pi\alpha}) を使うと

⟨H2⟩=α2−4α3⟨x2⟩+4α4⟨x4⟩+⟨x2⟩+2α⟨∣x∣⟩−4α2⟨∣x∣3⟩=3α24+14α.\langle H^2 \rangle =\alpha^2-4\alpha^3\langle x^2 \rangle +4\alpha^4\langle x^4 \rangle +\langle x^2 \rangle +2\alpha\langle \lvert x\rvert \rangle -4\alpha^2\langle \lvert x\rvert ^3 \rangle =\frac{3\alpha^2}{4}+\frac{1}{4\alpha}.

∣x∣\lvert x\rvert を含む2項 2α/2πα2\alpha/\sqrt{2\pi\alpha} と −2α/2πα-2\alpha/\sqrt{2\pi\alpha} はちょうど打ち消し合う。α=α∗\alpha=\alpha^* では α∗3=1/(2π)\alpha^{*3}=1/(2\pi) なので

σ2=3α∗24+14α∗−9α∗24=1−6α∗34α∗=1−3/π4α∗=0.020792,σ=0.1442.\sigma^2=\frac{3\alpha^{*2}}{4}+\frac{1}{4\alpha^*}-\frac{9\alpha^{*2}}{4}=\frac{1-6\alpha^{*3}}{4\alpha^*}=\frac{1-3/\pi}{4\alpha^*}=0.020792,\qquad\sigma=0.1442 .

ε=E1=1.85576\varepsilon =E_1=1.85576 とすると (4.9) から E0≥0.81289−0.020792/(1.85576−0.81289)=0.79295E_0\ge0.81289-0.020792/(1.85576-0.81289)=0.79295。HH は x↦−xx\mapsto-x と可換で ψα∗\psi_{\alpha^*} は偶関数なので、偶関数の部分空間だけで考えれば比べる相手は次の偶の状態 E2E_2 になり、ε=E2=2.57810\varepsilon =E_2=2.57810 として E0≥0.81289−0.020792/1.76521=0.80111E_0\ge0.81289-0.020792/1.76521=0.80111。結局

0.80111≤E0≤0.812890.80111\le E_0\le0.81289

と幅 0.0120.012 で挟める。対称性で ε\varepsilon を遠ざけると下界が厳密値に近づく、という Temple の不等式の使い方そのものである。参考までに、Weinstein の評価だけでは幅は ±σ=±0.144\pm\sigma=\pm0.144 で、10倍以上粗い。

(3) 第4章 §エネルギーの誤差は波動関数の誤差の2乗。ψ~=ψα∗/⟨ψ0, ψα∗⟩=ψ0+e\tilde\psi=\psi_{\alpha^*}/\langle \psi_0,\,\psi_{\alpha^*}\rangle =\psi_0+e とすると、1−∣⟨ψ0, ψα∗⟩∣2=∥e∥2/(1+∥e∥2)1-\lvert \langle \psi_0,\,\psi_{\alpha^*}\rangle \rvert ^2=\lVert e\rVert ^2/(1+\lVert e\rVert ^2) である。ee は偶関数なので (4.8) の E1E_1 に E2E_2 を使ってよく、

1−∣⟨ψ0, ψα∗⟩∣2≤E(α∗)−E0E2−E0.1-\lvert \langle \psi_0,\,\psi_{\alpha^*}\rangle \rvert ^2\le\frac{E(\alpha^*)-E_0}{E_2-E_0}.

E0E_0 は分からないことにするので、分子は (2) の下界で E(α∗)−E0≤0.81289−0.80111=0.01178E(\alpha^*)-E_0\le0.81289-0.80111=0.01178 と上から押さえ、分母は E0≤E(α∗)E_0\le E(\alpha^*) から E2−E0≥2.57810−0.81289=1.76521E_2-E_0\ge2.57810-0.81289=1.76521 と下から押さえる。よって

1−∣⟨ψ0, ψα∗⟩∣2≤0.011781.76521=6.7×10−3.1-\lvert \langle \psi_0,\,\psi_{\alpha^*}\rangle \rvert ^2\le\frac{0.01178}{1.76521}=6.7\times10^{-3}.

厳密な E0E_0 を使えば上界は 2.4×10−32.4\times10^{-3}、数値積分で求めた実際の値は 1.1×10−31.1\times10^{-3} である。数学の側だけで「波動関数の重なりは 99.3%99.3\% 以上」と保証できたことになる。エネルギーの相対誤差 0.5%0.5\% に対して∥e∥\lVert e\rVert は 3%3\% 程度で、ここでも誤差の2乗則が見えている。

(4) 第2章 §常微分方程式の存在と一意性、第4章 §収束の速さは解の正則性で決まる。固有値方程式を ψ0′′=2(∣x∣−E0)ψ0\psi_0''=2(\lvert x\rvert -E_0)\psi_0 と書くと、右辺は連続なので ψ0′′\psi_0'' は連続である。もう一度微分すると、x≠0x\ne0 で

ψ0′′′=2sgn⁡(x) ψ0+2(∣x∣−E0)ψ0′\psi_0'''=2\operatorname{sgn}(x)\,\psi_0+2(\lvert x\rvert -E_0)\psi_0'

となる。基底状態は偶関数なので ψ0′(0)=0\psi_0'(0)=0 で、x→0±x\to0^\pm の極限は ψ0′′′(0±)=±2ψ0(0)\psi_0'''(0^\pm)=\pm2\psi_0(0)、跳びは 4ψ0(0)4\psi_0(0) である。ここで ψ0(0)≠0\psi_0(0)\ne0 である。もし ψ0(0)=0\psi_0(0)=0 なら ψ0(0)=ψ0′(0)=0\psi_0(0)=\psi_0'(0)=0 となり、初期値問題の解の一意性(第2章)からψ0≡0\psi_0\equiv0 となって固有関数であることに反する。したがって ψ0\psi_0 は C2C^2 だが C3C^3 ではなく、とくに解析的でない。

一方、ガウス関数や調和振動子の固有関数(ガウス関数と多項式の積)は実軸全体で解析的である。命題 4.13 の (iii) と同じく、部分積分を繰り返したときに x=0x=0 の跳びが境界項として残るので、展開係数はある冪でしか減らず、Céa の補題の右辺inf⁡v∈Vn∥ψ0−v∥\inf_{v\in V_n}\lVert \psi_0-v\rVert は代数的にしか小さくならない。実際、振動数を 2α∗2\alpha^* に選んだ偶の調和振動子固有関数 nn 個でRayleigh–Ritz を行うと、誤差は n=4,8,16,32n=4,8,16,32 で 4.13×10−44.13\times10^{-4}、5.62×10−55.62\times10^{-5}、8.85×10−68.85\times10^{-6}、1.47×10−61.47\times10^{-6} となり、nn を倍にするごとに約 1/61/6 にしかならない(指数収束なら倍にするごとに減り方の比そのものが2乗で縮む)。ポテンシャルが x2/2x^2/2 なら真の解はガウス関数そのもので1個で厳密になることと比べると、ポテンシャルの折れ目1つが解の正則性を通して収束の速さを決めていることが分かる(検算スクリプト)。

木下の勉強ステータス

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