この章のまとめと試験での出方
AI 生成・木下が未勉強
統計学の復習 第11章 §11.7
この章では、母比率と母分散の区間推定を、使う分布の出自から組み立てた。
母比率の区間は、二項分布に従う成功回数を標本平均として見て、中心極限定理で正規分布に近づけることから作った。標準誤差の を で置き換えても 分布にならないのは、ベルヌーイ分布の母数が の1つだけで、置き換えが別の母数の推定にならないからである。近似が崩れるのは や が小さいときで、そのときは2次不等式を解く Wilson の区間の方が名目に近い被覆確率を持つ。必要な標本の大きさは、半幅の式を について解いて得られ、見当が無ければ を使い、最後に切り上げる。2つの母比率の差の区間では、帰無仮説を置かないので比率をプールせず、独立な差の分散は和になる。
母分散の区間は、正規母集団での をピボットにして作った。 分布の密度は、自由度 を累積分布関数の微分で、自由度 を畳み込みの積分で出し、自由度を ずつ上げる積分で全部の自由度が得られた。期待値 と分散 は から出る。区間は大きい方の点で割ったものが下端で、 について上の側に長い。この区間は正規性の仮定に強く依存し、 を増やしてもその依存は消えない。
使う式を1つの表にまとめる()。
| 推定するもの | 使う量とその分布 | 信頼区間 |
| 母比率 | ||
| 差 | 独立な2標本、分散は和 | |
| 母分散 | ||
| ( 既知) | 分子を 、自由度を に |
2級では、母比率の区間・必要な ・母分散の区間のいずれもが推定の分野の中心にある。失点の多い所は、半幅と幅の取り違え、 の切り上げ忘れ、 の上側と下側の点の取り違え、 と ・ と の取り違えである。
1級の統計数理では、区間推定は「統計量の分布を導く → ピボットを作る → 不等式を母数について解く → 具体的な数値で区間を計算する」という小問の連鎖で問われる。この章の母分散の区間はその最も基本的な型で、指数分布の母数の区間( を使う)や、二項分布の母数の区間(漸近正規性から作る区間と、Wilson の区間のような2次不等式を解く区間)も同じ手順で書ける。 分布の密度の導出そのものも、変数変換の小問として出る。ピボットによる区間の一般論は数理統計の解説 第8章、 分布と標本分散の分布の一般の証明は同じく第5章 §5.2 で扱う。
次の総合問題は、本章の母分散の区間と母比率の区間に、第6章の標準化と第9章の不偏性をつなぐ。
総合問題 寸法のばらつきから規格外の割合を推定する ★★★
オリジナルある部品の寸法の目標値は で、製造工程の調整によって母平均はちょうど に保たれている。寸法 は に従い、 は未知とする。寸法が mm の外にある部品を規格外とする。大きさ の標本 から を作る。
- (1) を示し、 と を導け。(使う道具:本章 §11.4、第9章 不偏性)
- (2) で だった。 と の95% 信頼区間を求めよ(、)。(使う道具:本章 §11.6)
- (3) 規格外の割合 を の式で表し、 の増加関数であることを示せ。(2) の点推定 に対応する と、(2) の区間から得られる の95% 信頼区間を求めよ。(使う道具:第6章 標準化と )
- (4) 寸法を測らずに「規格外かどうか」だけを数えて を推定するとき、 を見当として、95% 区間の半幅を 以下にするには何個調べればよいか。(2) の25個の測定と比べて、測定値を使うことの利点を述べよ。(使う道具:本章 §11.1・§11.2)
解答
(1) は独立にそれぞれ に従うので、(11.9) から である。定理 11.6 から 、 なので、
が既知なので で割っても不偏になる。 を使う不偏分散の分散 ((11.13))より少し小さいのは、自由度が1つ多いからである。
(2) (11.16) で自由度 とすると
が の区間で、平方根をとって の区間は mm である。
(3) と標準化すると、
である。 が増えると が減り、 は増加関数なので が減って は増える。よって は の増加関数である。点推定は で なので である。増加関数なので、 と は同値で、同じ確率 で成り立つ。、 から
で、 の95% 信頼区間は である。
(4) 規格外の個数は に従う。(11.5) で 、 とすると
なので 個が必要である。しかも25個を数えるだけでは規格外は1個前後しか見つからず、 の目安を満たさないので、正規近似の区間はそもそも使うことができない。寸法の測定値は、規格外かどうかの2値よりも多くの情報を持っている。正規分布という形の仮定を置けば、25個の測定から を通して を推定でき、数える方法なら数百個を要する精度の見当が得られる。ただしこの利点は、寸法が正規分布に従うという仮定が正しいときに限られる。§11.6 で見たように、 による区間は正規性が崩れると信頼係数を保たない。
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