物理のための微分幾何入門 第2章 §2.6
2.1 曲線の速度としての接ベクトル
- 2.1-1 時刻 0 での位置は、どちらも原点である。速度の成分は次のとおりである。
γ˙1(t)=(1, 2t)→(1,0),γ˙2(t)=(cost, sint)→(1,0)(t→0).
成分が一致するので、定義 2.1 により2本は同じ接ベクトル ∂x を定める。2. 2.1-2 まず合成を直接微分する。合成は次の式である。
f(γ(t))=(1+t)2(1+2t)+(1+2t)3.
時刻で微分して 0 を入れると
[2(1+t)(1+2t)+2(1+t)2+6(1+2t)2]t=0=2+2+6=10.
次に展開 (2.6) を使う。偏微分は ∂xf=2xy と ∂yf=x2+3y2 である。点 (1,1) での値は、それぞれ2と4である。速度の成分は (1,2) なので、次のように2つは一致する。
vγ(f)=2×1+4×2=10.
3. 2.1-3 曲線の角度は θ(t)=π/2+ωt である。角度のチャートでの成分は θ˙=ω で、接ベクトルは ω∂θ である。横の座標のチャートでは、座標表示は次の式になる。
x(t)=cos(π/2+ωt)=−sinωt.
その微分は x˙(0)=−ω なので、接ベクトルは −ω∂x と書ける。点 (0,1) で角度を増やすと横の座標は減るので、符号が逆になる。4. 2.1-4 Leibniz 則に f(p)=g(p)=0 を入れると、次の式になる。
v(fg)=f(p)v(g)+g(p)v(f)=0.
次に、2次の零点を持つ関数を考える。各項は、因子 qi−ai と因子 (qj−aj)hij の積である。どちらの因子もこの点で 0 になる。
前半の結果から各項の微分は 0 で、線形性から全体の微分も 0 となる。この結果は、微分の値が関数の1次の部分だけで決まることを表す。
2.2 座標基底と変換則
- 2.2-1 逆の関係は x=u−y である。変換則 (2.7) の係数は、(∂x/∂y)u=−1 と (∂y/∂y)u=1 である。
∂y∂u=−∂x∂+∂y∂x.
同じ記号の縦の偏微分でも、相方が違えば別のベクトルになる。例えば横の座標の関数に作用させると、前者のチャートでは 0、後者では −1 を返す。2. 2.2-2 極座標の逆の関係は、r=x2+y2 と θ=arctan(y/x) である。偏微分は次のようになる。
∂x∂r=cosθ,∂y∂r=sinθ,∂x∂θ=−rsinθ,∂y∂θ=rcosθ.
変換則 (2.7) を、新しい座標を直交座標として使う。
∂x∂=cosθ∂r∂−rsinθ∂θ∂,∂y∂=sinθ∂r∂+rcosθ∂θ∂.
これは本文の極座標の例の行列の逆行列であり、掛けると単位行列になる。3. 2.2-3 温度を止めると、内部エネルギーの第1項は動かない。したがって (∂U/∂V)T=aN2/V2 である。エントロピーを止めると、次の式が成り立つ。
dS=CVTdT+NkBV−NbdV=0,(∂V∂T)S=−CV(V−Nb)NkBT.
(2.13) に、(∂U/∂T)V=CV と合わせて入れる。
(∂V∂U)S=V2aN2−CVCV(V−Nb)NkBT=−(V−NbNkBT−V2aN2)=−p.
理想気体と違って、温度を止めた偏微分は 0 でない。分子間の引力の分だけ、内部エネルギーが体積に陽に依存する。4. 2.2-4 回る系のチャートで、回る系の座標を止めて時刻で微分する。
(∂t∂x)X,Y=−Ω(XsinΩt+YcosΩt)=−Ωy,(∂t∂y)X,Y=Ω(XcosΩt−YsinΩt)=Ωx.
時刻の係数 (∂t/∂t)X,Y=1 と合わせて、変換則 (2.7) から
∂t∂X,Y=∂t∂x,y+Ω(−y∂x∂+x∂y∂).
関数 x に作用させると −Ωy なので、回る系のチャートではこの関数は時刻に陽に依存する。関数 x2+y2 に作用させると、−2Ωxy+2Ωxy=0 である。したがって陽に依存しない。実際、この関数は X2+Y2 と書けて時刻を含まない。5. 2.2-5 命題 2.8 から、2つの偏微分の差は次の式である。
(∂q1∂q2)q′2∂q2∂.
一致は、この係数が近傍で恒等的に 0 であることと同値である。
新しい座標が一定の曲線の上で全微分をとると、次の式になる。
∂q1∂q′2dq1+∂q2∂q′2dq2=0,(∂q1∂q2)q′2=−∂q′2/∂q2∂q′2/∂q1.
組 (q1,q′2) はチャートなので、分母の ∂q′2/∂q2 は消えない。
よって係数が消えることは、偏微分 ∂q′2/∂q1 が恒等的に消えることと同値である。凸な近傍では、最初の座標の方向の線分に沿って新しい座標が変わらない。したがって、新しい座標は q2 だけの関数である。逆に q′2=g(q2) なら、偏微分 ∂q′2/∂q1 は消える。
2.3 ベクトル場と積分曲線
- 2.3-1 積分曲線の方程式は、x˙=x と y˙=−y で、2つは独立に解ける。
x(t)=x0et,y(t)=y0e−t.
ベクトル場を関数に作用させると、次のように 0 になる。
X(xy)=x∂x(xy)−y∂y(xy)=xy−xy=0.
したがって積は積分曲線の上で一定である。実際 x(t)y(t)=x0y0 で、積分曲線は双曲線の上にある。2. 2.3-2 流れを時刻で微分すると
∂t∂1−txx=(1−tx)2x2=Φt(x)2
となり、方程式 x˙=x2 を満たす。時刻 0 では Φ0(x)=x である。
合成を計算する。
Φt(Φs(x))=1−tx/(1−sx)x/(1−sx)=1−sx−txx=Φt+s(x).
これは分母が 0 にならない範囲で成り立つ。その範囲は、1−sx=0 かつ 1−(t+s)x=0 である。3. 2.3-3 積分曲線の方程式は、x˙=γy と y˙=0 である。縦の座標は一定なので、横の座標は x=x0+γy0t となる。流れは Φt(x0,y0)=(x0+γty0, y0) である。ヤコビ行列とその行列式は次のとおりである。
DΦt=(10γt1),detDΦt=1.
面積要素は行列式の倍率で変わるので、流体の面積は保たれる。4. 2.3-4 成分は Xq=∂H/∂p と Xp=−∂H/∂q である。
∂qXq+∂pXp=∂q∂p∂2H−∂p∂q∂2H=0.
ハミルトニアンは滑らかなので、2階の偏微分の順序を入れ替えられることを使った。発散が 0 であることは、相空間の流れが面積を保つことを示唆する(Liouville の定理。第14章 §14.3)。
- 2.4-1 例題 2.5 の式を使う。
F∗∂θ=−rsinθ∂x+rcosθ∂y.
値 r=2 と θ=π/2 を入れる。成分は (−2, 0) である。したがって F∗∂θ=−2∂x となる。行き先の点 (0,2) で、円周を反時計回りに回る向きは横軸の負の向きなので、図 2.6 と合う。2. 2.4-2 合成は G(F(u,v))=(u+v)2−2uv=u2+v2 である。直接の微分は (2u, 2v)=(2, 4) である。ヤコビ行列は次のとおりである。
DF=(1v1u)=(1211),DG(F(1,2))=(2x, −2)(3,2)=(6, −2).
積は次のように直接の微分と一致する。
DG⋅DF=(6×1−2×2, 6×1−2×1)=(2, 4).
3. 2.4-3 (2.19) から次の式を得る。
ι∗(q˙∂q)=ℓq˙cosq∂x+ℓq˙sinq∂y.
大きさの2乗は ℓ2q˙2(cos2q+sin2q)=ℓ2q˙2 なので、速さは ℓ∣q˙∣ である。運動エネルギーは T=21mℓ2q˙2 で、角度には依らない。4. 2.4-4 写像の微分は f′(x)=ex=y である。(2.19) から、押し出しは f∗∂x=y∂y となる。この積分曲線は、方程式 y˙=y を解いて y(t)=y0et となる。一方、次の計算が成り立つ。
f(Φt(f−1(y0)))=exp(lny0+t)=y0et.
2つは一致し、命題 2.18 の例になっている。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com