物理のための微分幾何入門 第13章 §13.7
- 13.1-1 関数 g に作用させる。(fY)g=f(Yg) なので、X を作用させるときは積の微分が出る。
[X,fY]g=X(fYg)−fY(Xg)=(Xf)(Yg)+fX(Yg)−fY(Xg).
右辺は (Xf)Yg+f[X,Y]g に等しい。g は任意なので、Leibniz 則が成り立つ。2. 13.1-2 成分は D=(x,y)、R=(−y,x) である。回転の成分は1次式なので、Dj∂jRi は Ri そのものになる。拡大の成分の微分は単位行列なので、Rj∂jDi も Ri になる。
[D,R]i=Dj∂jRi−Rj∂jDi=Ri−Ri=0.
拡大の流れは ΦsD(x,y)=es(x,y)、回転の流れは角 t の回転である。回転行列は数の掛け算と可換なので、どちらを先に行っても同じ点に着き、流れは可換である。系 13.5 と定理 13.9 のどちらとも合う。3. 13.1-3 成分は Ry=(z,0,−x)、Rz=(−y,x,0) である。(13.2) の2つの項を順に計算する。
Ryj∂jRzRzj∂jRy=z∂xRz=(0,z,0)=−y∂xRy+x∂yRy=(0,0,y)(Rz は x,y だけによる),(∂xRy=(0,0,−1)、∂yRy=0).
差は次のとおりである。
[Ry,Rz]=(0,z,−y)=−(0,−z,y)=−Rx.
後半は、(x,y)=(rcosθ,rsinθ) を連鎖律に使う。
∂θ=∂θ∂x∂x+∂θ∂y∂y=−y∂x+x∂y=Rz.
4. 13.1-4 2つの流れは次のとおりである。
ΦtX(x,y)=(x+t,y),ΦtY(x,y)=(x,y+ext).
原点から順にたどる。
(0,0)→(t,0)→(t,ett)→(0,ett)→(0,ett−t).
縦の座標を展開すると t(et−1)=t2+21t3+O(t4) である。一方、括弧は [X,Y]=∂x(ex)∂y=ex∂y で、原点では ∂y になる。(13.4) の予言 t2+O(t3) と合う。5. 13.2-1 距離の2乗には R(x2+y2)=(−y)(2x)+x(2y)=0 となる。原点からの距離は回転で変わらない。横の座標には Rx=−y となり、点が回るとき横の座標は −y の速さで変わる。6. 13.2-2 内部積は ιX(dx∧dy)=Xxdy−Xydx=x2dy−xydx である。外微分をとる。
d(x2dy−xydx)=2xdx∧dy−xdy∧dx=3xdx∧dy.
面積形式は閉形式なので、LX(dx∧dy)=3xdx∧dy である。
係数が0になるのは縦軸の上だけで、面積を持つ領域では面積を保たない。右半平面では面積を広げ、左半平面では縮める。7. 13.2-3 直交座標では (LXδ)ij=∂iXj+∂jXi である。回転では成分の微分が次のとおりになる。
∂xRx=∂yRy=0,∂xRy+∂yRx=1−1=0.
よって LRδ=0 で、回転は長さを変えない。
横方向の伸び U=(x,0) では、0でない成分は (LUδ)xx=2 だけである。したがって LUδ=2dx2 になる。流れ (etx,y) は横方向の長さを et 倍に伸ばし、縦方向の長さは変えない。8. 13.2-4 α を k 形式とし、2つの項を順に展開する。
ιXd(α∧β)dιX(α∧β)=ιX(dα∧β+(−1)kα∧dβ)=ιXdα∧β+(−1)k+1dα∧ιXβ+(−1)kιXα∧dβ+α∧ιXdβ,=d(ιXα∧β+(−1)kα∧ιXβ)=dιXα∧β+(−1)k−1ιXα∧dβ+(−1)kdα∧ιXβ+α∧dιXβ.
ここで、外微分が次数を1上げ、内部積が次数を1下げることを使った。
2式を足すと、交差項の係数はどちらも0になる。
(−1)k+1+(−1)k=0,(−1)k+(−1)k−1=0.
残りは Pα∧β+α∧Pβ である。9. 13.2-5 内部積を2回続けると0になる(交代性から ω(X,X,…)=0)。これを使う。
LXιX=(ιXd+dιX)ιX=ιXdιX,ιXLX=ιX(ιXd+dιX)=ιXdιX.
両者は等しい。10. 13.3-1 成分は D=(x,y) で、成分の微分は ∂iDj=δij である。
(LDδ)ij=∂iDj+∂jDi=2δij,LDδ=2δ=0.
拡大は Killing ベクトルではない。流れ et(x,y) は長さを et 倍にし、角は変えない(計量を定数倍するだけ)。11. 13.3-2 計量の成分は gij=y−2δij である。(13.13) の3つの項を計算する。
Dk∂kgij=y∂y(y−2)δij=−2y−2δij,gkj∂iDk+gik∂jDk=2y−2δij.
和は0なので、拡大は双曲平面の Killing ベクトルである。
測地線の速度は次のとおりである。
x˙=asech2τ,y˙=−asechτtanhτ.
これを代入する。
g(D,x˙)=y2xx˙+yy˙=a2sech2τ(c+atanhτ)asech2τ−a2sech2τtanhτ=ac.
パラメータによらず一定である。中心が原点の半円では値が0で、この半円は拡大の流れの線(原点から出る半直線)と直交する。12. 13.3-3 成分は (Bt,Bx)=(x,t)、計量は (gtt,gxx)=(1,−1) で、計量は定数である。(13.13) の第1項は0で、残りを成分ごとに計算する。
(LBg)tt(LBg)tx=2gtt∂tBt=0,(LBg)xx=2gxx∂xBx=0,=gtt∂xBt+gxx∂tBx=1−1=0.
ブーストは Killing ベクトルである。
等速運動では、固有時についての速度は (t˙,x˙)=(γ,γv) である(γ=1/1−v2)。
g(B,x˙)=gttBtt˙+gxxBxx˙=xγ−tγv=γ(x0+vt−vt)=γx0.
一定値 γx0 は、エネルギー γ を重みとした「時刻0の位置」である。この保存則は、エネルギーの重心が等速で動くことを表す。13. 13.3-4 Rz=∂φ の成分は定数なので、(13.2) で残るのは [Rz,Rx]i=∂φRxi だけである。
[Rz,Rx]=∂φ(−sinφ)∂θ+∂φ(−cotθcosφ)∂φ=−cosφ∂θ+cotθsinφ∂φ.
これは (13.14) の Ry の −1 倍で、(13.6) の3番目の式と一致する。14. 13.4-1 回転の成分は (Rx,Ry)=(−y,x) である。速度の成分の変化率 q˙j∂jRi は (−y˙,x˙) になる。
R~=−y∂x+x∂y−y˙∂x˙+x˙∂y˙.
これを速さの2乗に作用させると 2x˙(−y˙)+2y˙(x˙)=0 である。速度ベクトルも同じ角だけ回るので、速さは変わらない。15. 13.4-2 並進 X=a∂x+b∂y では持ち上げは並進そのもので、運動エネルギーは変わらない。ポテンシャルには XV=V′⋅(a−2b) となるので、a=2b のとき対称性である。向きは (2,1) で、保存量は次のとおりである。
Q=2px+py=m(2x˙+y˙).
16. 13.4-3 運動エネルギーの計量は半径 a の球面の計量で、3つの回転はすべて Killing ベクトルである。(13.20) から、ポテンシャル V=−mgacosθ を変えない回転が対称性になる。3つの回転を cosθ に作用させる。
Rzcosθ=0,Rxcosθ=sinφsinθ,Rycosθ=−cosφsinθ.
対称性は Rz だけで、保存量は Q=pφ=ma2sin2θφ˙ である。
与えられた初期値では sin2(π/3)=3/4 なので、次の値になる。
Q=ma2⋅43⋅2ag=23ma3/2g1/2.
17. 13.4-4 座標変換で、ベクトルの成分は次のように変わる。
X′i=∂qj∂q′iXj.
運動量は、速度の関係 q˙j=(∂qj/∂q′i)q˙′i を使って次のように変わる。
pi′=∂q˙′i∂L=pj∂q′i∂qj.
2つを縮約する。
pi′X′i=pk∂q′i∂qk∂qj∂q′iXj=pkδjkXj=pjXj.
2つの Jacobi 行列は互いに逆行列なので、値は変わらない。18. 13.5-1 流れは es(x,y) で、流れの線は原点から出る半直線である。不変量は角 f=θ で、流れの時間は s=lnr である。
Dθ=x⋅r2−y+y⋅r2x=0,Dlnr=x⋅r2x+y⋅r2y=1.
逆変換は (x,y)=es(cosf,sinf) で、運動エネルギーは次の式になる。
2m(x˙2+y˙2)=2me2s(s˙2+f˙2).
Lagrangian は s を含むので、この座標は循環座標ではない。拡大は Killing ベクトルではなく(確認テスト 13.3-1)、対称性ではないからである。流れの箱は止まらないどんな流れにも作れるが、循環座標になるのは流れが対称性のときだけである。19. 13.5-2 流れは (esx,e−sy) で、流れの線は双曲線である。不変量は f=xy、流れの時間は s=lnx である。
Xf=x⋅y+(−y)⋅x=0,Xs=x⋅x1=1.
逆変換は (x,y)=(es,fe−s) である。Jacobi 行列式は ∂(s,f)/∂(x,y)=(1/x)⋅x−0⋅y=1 で、0にならない。20. 13.5-3 曲面 z=h(x,y) に2つのベクトル場が接するとする。曲面の上で関数 F=z−h(x,y) は0なので、接するベクトル場は F を0にする。
XF=−hx=0,YF=x−hy=0.
第2式を横の座標で微分すると hxy=1 である。第1式を縦の座標で微分すると hxy=0 になり、矛盾する。したがってそのような曲面は無い。この矛盾は [X,Y]F=X(YF)−Y(XF) に表れ、括弧 ∂z が面から外へ出ることに対応する。21. 13.5-4 円柱座標では X=∂φ+b∂z、Rz=∂φ である。どちらも成分が定数なので、括弧は0である。新しい座標からの逆変換は φ=w+s、z=bs である。連鎖律で座標基底を元の座標で書く。
∂w∂=∂w∂φ∂φ+∂w∂z∂z=∂φ=Rz,∂s∂=∂φ+b∂z=X.
22. 13.5-5 半径は不変量で、角は流れの時間なので、X(θ+r)=1+0=1 である。s′=0 の曲線は θ=−r で、原点から出て時計回りに巻く渦巻き(図 13.3 の緑の破線)である。
θ˙=s˙′−r˙ を代入すると、Lagrangian は次の式になる。
L=2m(r˙2+r2(s˙′−r˙)2)−V(r),ps′=∂s˙′∂L=mr2(s˙′−r˙)=mr2θ˙.
Lagrangian は s′ を含まないので、この座標は循環座標である。面を取り替えても、保存量は同じ角運動量になる(piXi は座標の取り方によらない)。
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