解答
(1) H2=∣p∣2/(2n0)+n0α2∣x∣2/2 の Hamilton 方程式 x′=p/n0, p′=−n0α2x を解いて
M(z)=cosαz−n0αsinαzn0αsinαzcosαz,detM=cos2αz+sin2αz=1.
z=π/α で A=D=−1, B=C=0。物体面の点は向きによらず −X0 に集まり、倍率 −1 の倒立の像ができる。長さ π/α=6.28mm である。
(2) 例題 3.1 から H4=H22/(2n0) で、H2 は近軸の流れで保存するので、近軸の光線に沿って H2=Q/(2n0)+n0α2U/2(U=∣X0∣2, Q=∣P0∣2)のまま一定である。したがって
W(X0,P0)=απ⋅2n01(2n0Q+2n0α2U)2=8αn03πQ2+4n0παUQ+8πn0α3U2,
w1=8αn03π,w2=w3=0,w4=4n0πα,w5=0,w6=8πn0α3.
(3) w1=0, w4=0 なので球面収差と像面湾曲がある。V=X0⋅P0 を含む項が無いので、コマ・非点収差・歪曲は3次の範囲で無い。H4 が H2 だけの関数で、H2 が X0⋅P0 を含まないことが、この3つが消える理由である。
(4) 定理 3.2 で A=−1、∂W/∂P0=απ⋅n01H2⋅n0P0 なので、xz 面の中で
Δx=−αn02π(2n0ρ2+2n0α2h2)ρ=−2αn0πρ(n02ρ2+α2h2).
数値では Δx=−1.078μm。厳密な光線では Ωπ/α=π/1−α2h2−ρ2/n02 で、x(π/α)+h=−1.056μm となり、2パーセントの差は5次収差である。厳密な式を h, ρ について3次まで展開すると、Ωπ/α≈π(1+21(α2h2+ρ2/n02)) から上の Δx がそのまま出る。
(5) (4) のずれのうち ρ の1次の部分 −2n0παh2ρ が像面湾曲で、像面の近くでは光線は dx/dz=p/n0=−ρ/n0(D=−1)で動くので、像面を δz ずらしたときの位置の変化 −ρδz/n0 でこれを打ち消す δz が、高さ h の点の像の位置である:
δz=−2παh2.
像の面は z=π/α−h2/(2RP), RP=1/(πα)=0.637mm の曲面で、棒の内側(物体の側)へ凹む。h=0.2mm では δz=−0.0314mm である。(ρ→0 の2本の厳密な光線の交点を数値で求めても −0.0314mm になる。)この反りは、正の屈折力を持つ系の Petzval 面が凸レンズの側へ凹むのと同じ向きである。