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出てくるもの(2):全反射とエバネッセント波

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第14章 境界での反射と屈折
目次
  1. が純虚数になる
  2. エバネッセント波はエネルギーを奥へ運ばない
  3. s と p の位相差
  4. 隔てられた全反射
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第14章 §14.3 ★★★ kxk_x が媒質2の波数より大きいと k2zk_{2z} が純虚数になり、反射係数の絶対値が 11 になる。媒質2には境界から指数関数で減衰する波が残り、エネルギーを境界に沿って運ぶ

k2zk_{2z} が純虚数になる

媒質1の屈折率が大きい(n1>n2n_1>n_2、どちらも透明)とする。入射角を大きくして kx=n1k0sin⁡θ1k_x=n_1k_0\sin\theta_1 が n2k0n_2k_0 を超えると、式 (14.1) の根号の中が負になり、

k2z=iκ,κ=k0n12sin⁡2θ1−n22>0(14.8)k_{2z}=\mathrm{i}\kappa,\qquad \kappa=k_0\sqrt{n_1^2\sin^2\theta_1-n_2^2}>0\tag{14.8}

となる。境目の角 sin⁡θc=n2/n1\sin\theta_{\mathrm c}=n_2/n_1 を臨界角と呼ぶ。媒質2の中の場は eikxx−κz\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_xx-\kappa z} で、境界に沿って進み、境界から離れると指数関数で減衰する。これをエバネッセント波と呼ぶ。Snell の法則で言えば sin⁡θ2=(n1/n2)sin⁡θ1>1\sin\theta_2=(n_1/n_2)\sin\theta_1>1 となる実数の屈折角が無い場合だが、Fresnel の係数は k2zk_{2z} を複素数に延ばしてもそのまま使える。境界条件から係数を出す計算は、k2zk_{2z} が実数であることを一度も使っていないからである。

k2z=iκk_{2z}=\mathrm{i}\kappa を式 (14.4), (14.5) に入れると、分子と分母が互いに複素共役になる:

rs=k1z−iκk1z+iκ=eiϕs,ϕs=−2arctan⁡κk1z,rp=eiϕp,ϕp=−2arctan⁡n12κn22k1z.(14.9)r_{\mathrm s}=\frac{k_{1z}-\mathrm{i}\kappa}{k_{1z}+\mathrm{i}\kappa}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_{\mathrm s}},\quad \phi_{\mathrm s}=-2\arctan\frac{\kappa}{k_{1z}},\qquad r_{\mathrm p}=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_{\mathrm p}},\quad \phi_{\mathrm p}=-2\arctan\frac{n_1^2\kappa}{n_2^2k_{1z}}.\tag{14.9}

反射率は両方の偏光で 11 になる。これが全反射である。反射は完全だが、反射光は s と p で違う位相のずれを受ける。

エバネッセント波はエネルギーを奥へ運ばない

媒質2の s 偏光の場は Ey=tseikxx−κzE_y=t_{\mathrm s}\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_xx-\kappa z} で、磁場の xx 成分は Hx=−k2zEy/(ωμ0)=−iκEy/(ωμ0)H_x=-k_{2z}E_y/(\omega\mu_0)=-\mathrm{i}\kappa E_y/(\omega\mu_0) になり、EyE_y と位相が 90∘90^\circ ずれる。そのため ⟨Sz⟩=Re⁡(k2z)∣Ey∣2/(2ωμ0)=0\langle S_z \rangle =\operatorname{Re}(k_{2z})\lvert E_y\rvert ^2/(2\omega\mu_0)=0 で、時間平均では媒質2の奥へエネルギーが流れない。R=1R=1 はこれと整合する。一方、Hz=kxEy/(ωμ0)H_z=k_xE_y/(\omega\mu_0) は EyE_y と同じ位相なので、⟨Sx⟩\langle S_x \rangle は 00 でなく、エネルギーは境界に沿って流れる。エバネッセント波は境界に貼りついた波で、境界に沿った位相速度は ω/kx<c/n2\omega/k_x<c/n_2 と媒質2の光速より遅い。

場の振幅が 1/e1/\mathrm{e} になる深さは 1/κ1/\kappa、強度が 1/e1/\mathrm{e} になる深さは 1/(2κ)1/(2\kappa) である。例えばガラス(n1=1.5n_1=1.5)から空気へ入射角 45∘45^\circ(臨界角 41.81∘41.81^\circ より大きい)で λ0=633 nm\lambda_0=633\,\mathrm{nm} の光が当たると、κ/k0=1.125−1=0.354\kappa/k_0=\sqrt{1.125-1}=0.354 で、振幅の侵入長は 285 nm285\,\mathrm{nm}、強度では 142 nm142\,\mathrm{nm} になる。侵入長は波長の程度で、境界から波長より離れた所には光の強度はほとんど残らない。全反射蛍光顕微鏡は、この浅い光で境界のすぐ近くの分子だけを光らせる。

図

図 14.2 ガラス(n1=1.5n_1=1.5)から空気への全反射で反射光が受ける位相のずれ(式 (14.9)。点線は厳密な値)。青が s 偏光、赤が p 偏光、黒が両者の差。差は臨界角とすれすれの入射で 00 になり、その間で最大 45∘45^\circ 余りになる

s と p の位相差

式 (14.9) の2つの位相の差を δ=ϕp−ϕs\delta=\phi_{\mathrm p}-\phi_{\mathrm s} と書く。a=κ/k1za=\kappa/k_{1z}, n=n2/n1n=n_2/n_1 とおくと δ/2=arctan⁡a−arctan⁡(a/n2)\delta/2=\arctan a-\arctan(a/n^2) で、正接の差の公式とa=sin⁡2θ1−n2/cos⁡θ1a=\sqrt{\sin^2\theta_1-n^2}/\cos\theta_1 から

tan⁡δ2=−cos⁡θ1sin⁡2θ1−n2sin⁡2θ1(14.10)\tan\frac{\delta}{2}=-\frac{\cos\theta_1\sqrt{\sin^2\theta_1-n^2}}{\sin^2\theta_1}\tag{14.10}

を得る。位相差は入射角だけで決まり、波長には屈折率の分散を通してしか入らない。直線偏光を s と p が同じ振幅になる向き(入射面から 45∘45^\circ)にして全反射させると、反射光は位相差 δ\delta の楕円偏光になる。δ=±90∘\delta=\pm90^\circ なら円偏光である。

例題 14.4 Fresnel の菱面体 ★★

オリジナル屈折率 n1=1.51n_1=1.51 のガラスの中で、空気との境界に光を2回全反射させて、直線偏光を円偏光に変えたい。

  1. (1) 1回の全反射の位相差 ∣δ∣\lvert \delta\rvert が最大になる入射角と、その最大値を求めよ。
  2. (2) 1回で ∣δ∣=45∘\lvert \delta\rvert =45^\circ になる入射角を求めよ。
  3. (3) 波長板(第15章)と比べた、この方法の利点を答えよ。
解答

(1) n=1/1.51n=1/1.51 で、式 (14.10) の右辺の絶対値を θ1\theta_1 について最大にする。数値で求めると θ1=51.3∘\theta_1=51.3^\circ で、そのとき ∣δ∣=45.9∘\lvert \delta\rvert =45.9^\circ である。1回の全反射の位相差は 90∘90^\circ より小さいので、2回に分ける。最大値が 45∘45^\circ をわずかに超える程度なので、屈折率が 1.51.5 前後のガラスはこの目的にちょうど合う。

(2) tan⁡(∣δ∣/2)=tan⁡22.5∘=0.4142\tan(\lvert \delta\rvert /2)=\tan22.5^\circ=0.4142 を解くと、最大の前後に2つの解 θ1=48.6∘\theta_1=48.6^\circ と 54.6∘54.6^\circ がある。54.6∘54.6^\circ で2回反射させると位相差は 90∘90^\circ になり、入射面から 45∘45^\circ の直線偏光は円偏光になる。この角に面を切った平行四辺形のガラスの塊を Fresnel の菱面体と呼ぶ。

(3) 位相差は式 (14.10) のとおり屈折率だけで決まり、ガラスの屈折率は可視域で数パーセントしか変わらないので、広い波長域でほぼ 90∘90^\circ の位相差が得られる。結晶の厚さで位相差を作る波長板は、位相差が厚さ割る波長に比例するので、決まった波長でしか 90∘90^\circ にならない。

隔てられた全反射

全反射の境界の向こう側の、エバネッセント波が残っている深さの所に、もう1枚の同じガラスを置くと、光の一部が隙間を通り抜けて向こうのガラスへ出る。これを隔てられた全反射と呼ぶ。隙間(媒質2、厚さ dd)を挟む3層の系の透過振幅は、2つの境界の係数 r12,t12r_{12}, t_{12}, r23,t23r_{23}, t_{23} から

t123=t12t23eik2zd1+r12r23e2ik2zd,r123=r12+r23e2ik2zd1+r12r23e2ik2zd(14.11)t_{123}=\frac{t_{12}t_{23}\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_{2z}d}}{1+r_{12}r_{23}\mathrm{e}^{2\mathrm{i} k_{2z}d}},\qquad r_{123}=\frac{r_{12}+r_{23}\mathrm{e}^{2\mathrm{i} k_{2z}d}}{1+r_{12}r_{23}\mathrm{e}^{2\mathrm{i} k_{2z}d}}\tag{14.11}

で与えられる。これは層の中を往復する波を足し合わせた Fabry–Perot の Airy の和(第9章)で、境界条件を2つの境界で直接解いても同じ式になるので、k2zk_{2z} が複素数でも成り立つ。k2z=iκk_{2z}=\mathrm{i}\kappa では eik2zd=e−κd\mathrm{e}^{\mathrm{i} k_{2z}d}=\mathrm{e}^{-\kappa d} で、隙間が厚い(κd≫1\kappa d\gg1)と透過は e−2κd\mathrm{e}^{-2\kappa d} で減る。量子力学で粒子がポテンシャルの壁を通り抜けるトンネル効果と同じ形で、エバネッセント波は壁の中で減衰する波動関数に当たる。

例題 14.5 2つのプリズムの隙間を通り抜ける光 ★★

オリジナル屈折率 1.51.5 のガラスの2つのプリズムが、空気の隙間 dd を挟んで平行に向き合っている。s 偏光の光(λ0=633 nm\lambda_0=633\,\mathrm{nm})が入射角 45∘45^\circ で隙間に当たる。

  1. (1) 式 (14.11) から、κd≫1\kappa d\gg1 のときの透過率が T≈16k1z2κ2(k1z2+κ2)2e−2κdT\approx\frac{16k_{1z}^2\kappa^2}{(k_{1z}^2+\kappa^2)^2}\mathrm{e}^{-2\kappa d} になることを示せ。
  2. (2) d=λ0d=\lambda_0 と d=λ0/4d=\lambda_0/4 の透過率を求めよ。
解答

(1) 媒質1と3は同じガラスなので、t12=2k1z/(k1z+iκ)t_{12}=2k_{1z}/(k_{1z}+\mathrm{i}\kappa), t23=2iκ/(iκ+k1z)t_{23}=2\mathrm{i}\kappa/(\mathrm{i}\kappa+k_{1z}), r12r23=−((k1z−iκ)/(k1z+iκ))2r_{12}r_{23}=-\bigl((k_{1z}-\mathrm{i}\kappa)/(k_{1z}+\mathrm{i}\kappa)\bigr)^2 である。κd≫1\kappa d\gg1 では分母の r12r23e−2κdr_{12}r_{23}\mathrm{e}^{-2\kappa d} が 11 に比べて小さいので落とすと t123≈t12t23e−κdt_{123}\approx t_{12}t_{23}\mathrm{e}^{-\kappa d} で、∣t12t23∣2=16k1z2κ2/(k1z2+κ2)2\lvert t_{12}t_{23}\rvert ^2=16k_{1z}^2\kappa^2/(k_{1z}^2+\kappa^2)^2 を得る。媒質1と3が同じなので、透過率は式 (14.6) の前の因子が 11 で T=∣t123∣2T=\lvert t_{123}\rvert ^2 である。

(2) k1z/k0=1.5cos⁡45∘=1.061k_{1z}/k_0=1.5\cos45^\circ=1.061、κ/k0=0.354\kappa/k_0=0.354 で、前の因子は 16×1.125×0.125/1.252=1.4416\times1.125\times0.125/1.25^2=1.44 である。d=λ0d=\lambda_0 では 2κd=4.442\kappa d=4.44 で漸近形は T=1.44 e−4.44=0.0169T=1.44\,\mathrm{e}^{-4.44}=0.0169、式 (14.11) の厳密な値は T=0.0170T=0.0170 で、1%1\% 以内で一致する。d=λ0/4d=\lambda_0/4 では漸近形の仮定が成り立たず、厳密な値は T=0.513T=0.513 になる。隙間を波長の数分の1まで詰めると、全反射のはずの光の半分が向こうへ抜ける。2つのプリズムの間隔で透過と反射の割合を変えるビームスプリッタは、この原理を使う。

ほかの巻では

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