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取り出すモード:2本の経路とビームスプリッタ

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第9章 干渉計とコヒーレンス
目次
  1. ビームスプリッタの散乱行列
  2. Mach–Zehnder 干渉計
  3. Michelson 干渉計
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第9章 §9.1 ★★★ 損失の無いビームスプリッタの散乱行列はユニタリで、反射と透過の位相は π/2\pi/2 ずれる。2つの出口の強度は足して入力になり、縞は互いに逆になる

第6章(第6章)の回折は、1つの開口を通った波の重ね合わせだった。この章では、光をいったん別々の経路に分け、経路ごとに違う位相を持たせてから重ね直す装置、つまり干渉計を扱う。干渉計で測るのは強度だけだが、強度の縞の位置から位相差が、縞の濃さから光の相関が読める。

この巻の言葉で言えば、この章で取り出すモードは、空間的に分けた2本の経路を進む平面波(第4章(第4章)のガウスビームの基本モード1つと思ってよい)と、2枚の鏡の間を往復する共振器のモードである。物質のモデルは、光を吸わずに分けたり返したりする線形の素子(ビームスプリッタと鏡)で、結合は入ってくるモードの振幅を出ていくモードの振幅に移す 2×22\times2 の散乱行列で書ける。光源は、振幅が時間とともにでたらめに揺らぐ場として扱い、その統計的な性質を相関関数で表す。

9.1節では、エネルギーが保存することから散乱行列がユニタリになり、Mach–Zehnder 干渉計と Michelson 干渉計の出力がそこから決まることを示す。9.2節では、2枚の鏡の間の多重反射を足し上げて Fabry–Perot 干渉計の Airy 関数とフィネスを出し、共鳴の近くでは共振器が1つの減衰するモードとして書けること、入口の鏡の結合と内部の損失が釣り合うと反射が消えること(臨界結合)を示す。9.3節と9.4節が「出てくるもの」で、縞の濃さが時間の相関関数で決まり、その Fourier 変換がスペクトルであること(Wiener–Khinchin の定理)、2点の間の相関が光源の強度分布の Fourier 変換であること(van Cittert–Zernike の定理)を順に導く。9.5節で置いた近似と測る量(縞の可視度・共振器の減衰時間・星の角直径)を述べ、9.6節で学部の光学で習う多重反射の和と干渉縞の式に並べる。

ビームスプリッタの散乱行列

ビームスプリッタは、2つの入口の平面波の複素振幅 a1a_1, a2a_2 を2つの出口の振幅 b1b_1, b2b_2 に線形に移す素子である。この章では振幅を、絶対値の2乗がそのビームの運ぶパワーになるように規格化する。振幅の時間の因子はこの本の流儀どおり e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} で、以下では省く。線形なので

(b1b2)=S(a1a2),S=(tr′rt′)(9.1)\begin{pmatrix}b_1\\ b_2\end{pmatrix}=S\begin{pmatrix}a_1\\ a_2\end{pmatrix},\qquad S=\begin{pmatrix}t&r'\\ r&t'\end{pmatrix}\tag{9.1}

と書ける。tt, t′t' が透過、rr, r′r' が反射の振幅である。

命題 9.1(損失の無いビームスプリッタ)

ビームスプリッタが光を吸わないなら SS はユニタリで、∣t∣2+∣r∣2=1\lvert t\rvert ^2+\lvert r\rvert ^2=1、∣t∣=∣t′∣\lvert t\rvert =\lvert t'\rvert、∣r∣=∣r′∣\lvert r\rvert =\lvert r'\rvert、t∗r′+r∗t′=0t^*r'+r^*t'=0 が成り立つ。とくに t=t′t=t', r=r′r=r' の対称な素子では Re⁡(t∗r)=0\operatorname{Re}(t^*r)=0 で、反射の振幅は透過の振幅から位相が ±π/2\pm\pi/2 ずれる。

証明

出ていくパワーの和は ∣b1∣2+∣b2∣2=a†S†Sa\lvert b_1\rvert ^2+\lvert b_2\rvert ^2=\bm{a}^\dagger S^\dagger S\bm{a} で、吸収が無ければこれがすべての入力 a=(a1,a2)T\bm{a}=(a_1,a_2)^{\mathsf T} について ∣a1∣2+∣a2∣2\lvert a_1\rvert ^2+\lvert a_2\rvert ^2 に等しい。すべての a\bm{a} について a†(S†S−1)a=0\bm{a}^\dagger(S^\dagger S-1)\bm{a}=0 となるエルミート行列は 00 なので、S†S=1S^\dagger S=1 である。対角成分から ∣t∣2+∣r∣2=1\lvert t\rvert ^2+\lvert r\rvert ^2=1 と ∣r′∣2+∣t′∣2=1\lvert r'\rvert ^2+\lvert t'\rvert ^2=1、非対角成分から t∗r′+r∗t′=0t^*r'+r^*t'=0 が出る。後者の絶対値をとると ∣t∣∣r′∣=∣r∣∣t′∣\lvert t\rvert \lvert r'\rvert =\lvert r\rvert \lvert t'\rvert で、対角成分の2式と合わせて ∣t∣=∣t′∣\lvert t\rvert =\lvert t'\rvert, ∣r∣=∣r′∣\lvert r\rvert =\lvert r'\rvert になる。対称な素子では非対角成分が t∗r+r∗t=2Re⁡(t∗r)=0t^*r+r^*t=2\operatorname{Re}(t^*r)=0 になる。

以下では対称な素子を、強度の透過率 TT と反射率 RR(R+T=1R+T=1)を使って t=Tt=\sqrt T, r=iRr=\mathrm{i}\sqrt R と書く。位相の i\mathrm{i} は、2つの出口へ出た光を足したパワーが入力に等しくなるために要るもので、ガラスの面の性質ではない。基準面を動かせば別の位相の取り方(9.6節の Stokes の関係)に移れるが、反射と透過の位相の差が入力の位相によらず決まっている点は変わらない。

Mach–Zehnder 干渉計

図 9.1(a) の Mach–Zehnder 干渉計では、1枚目のビームスプリッタ(T1T_1, R1R_1)で分けた光が2本の腕を進み、腕の長さと屈折率で決まる位相 φ1\varphi_1, φ2\varphi_2 をもらってから2枚目のビームスプリッタ(T2T_2, R2R_2)で重なる。入口1にだけ振幅 E0E_0 を入れると、腕の振幅は T1E0eiφ1\sqrt{T_1}E_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}\varphi_1} と iR1E0eiφ2\mathrm{i}\sqrt{R_1}E_0\mathrm{e}^{\mathrm{i}\varphi_2} で、2枚目の行列を掛けて

∣b1∣2∣E0∣2=T1T2+R1R2−2R1T1R2T2cos⁡φ,∣b2∣2∣E0∣2=T1R2+R1T2+2R1T1R2T2cos⁡φ,φ=φ1−φ2(9.2)\begin{aligned} \frac{\lvert b_1\rvert ^2}{\lvert E_0\rvert ^2}&=T_1T_2+R_1R_2-2\sqrt{R_1T_1R_2T_2}\cos\varphi,\\ \frac{\lvert b_2\rvert ^2}{\lvert E_0\rvert ^2}&=T_1R_2+R_1T_2+2\sqrt{R_1T_1R_2T_2}\cos\varphi, \end{aligned} \qquad\varphi=\varphi_1-\varphi_2\tag{9.2}

となる。2つを足すと (T1+R1)(T2+R2)=1(T_1+R_1)(T_2+R_2)=1 で、腕の位相によらず入力のパワーがどちらかの出口から出る。cos⁡φ\cos\varphi の前の符号が逆なのは、出口1へ来る2本の光は反射の回数が0回と2回で、命題 9.1 の位相 π/2\pi/2 の2回分(合わせて π\pi)だけ違うのに対し、出口2へ来る2本はどちらも反射が1回で、この位相の差が無いからである。50:50 のビームスプリッタ(Ri=Ti=1/2R_i=T_i=1/2)では∣b1∣2=∣E0∣2sin⁡2(φ/2)\lvert b_1\rvert ^2=\lvert E_0\rvert ^2\sin^2(\varphi/2), ∣b2∣2=∣E0∣2cos⁡2(φ/2)\lvert b_2\rvert ^2=\lvert E_0\rvert ^2\cos^2(\varphi/2) で、腕の位相差 φ\varphi を変えると光が2つの出口の間を行き来する。

縞の濃さを表す量として可視度

V=Imax⁡−Imin⁡Imax⁡+Imin⁡(9.3)\mathcal V=\frac{I_{\max}-I_{\min}}{I_{\max}+I_{\min}}\tag{9.3}

を使う(Imax⁡I_{\max}, Imin⁡I_{\min} は φ\varphi を変えたときの出口の強度の最大と最小)。式 (9.2) から、出口1の可視度は 2R1T1R2T2/(T1T2+R1R2)2\sqrt{R_1T_1R_2T_2}/(T_1T_2+R_1R_2)、出口2は 2R1T1R2T2/(T1R2+R1T2)2\sqrt{R_1T_1R_2T_2}/(T_1R_2+R_1T_2) である。

Michelson 干渉計

図 9.1(b) の Michelson 干渉計は、1枚のビームスプリッタで分けた光を2枚の鏡で返し、同じビームスプリッタで重ねる。鏡までの距離を d1d_1, d2d_2 とすると、往復で腕の位相は 2kd12kd_1, 2kd22kd_2 で、検出器の側の出口へは「透過して往復し反射する」光と「反射して往復し透過する」光が来る。どちらも振幅は iRTE0\mathrm{i}\sqrt{RT}E_0 に腕の位相を掛けたものなので

IoutI0=2RT(1+cos⁡φ),φ=2k(d1−d2)(9.4)\frac{I_{\mathrm{out}}}{I_0}=2RT\bigl(1+\cos\varphi\bigr),\qquad \varphi=2k(d_1-d_2)\tag{9.4}

となる。最大値は 4RT4RT で、R=T=1/2R=T=1/2 のとき 11 になる。残りの光は入ってきた向きへ戻る。鏡を λ/2\lambda/2 動かすと縞が1本ぶん動くので、縞を数えると鏡の変位が波長の単位で測れる。

図

図 9.1 (a) Mach–Zehnder 干渉計。1枚目のビームスプリッタ(BS1)で分けた光が2本の腕で位相 φ1\varphi_1, φ2\varphi_2 をもらい、BS2 で重なって2つの出口へ出る。(b) Michelson 干渉計。1枚のビームスプリッタで分けた光を2枚の鏡で返し、同じビームスプリッタで重ねて検出器へ送る。

例題 9.1 50:50 からずれたビームスプリッタと、縞の傾きで測る変位 ★★

オリジナル

  1. (1) Mach–Zehnder 干渉計の2枚のビームスプリッタがどちらも R=0.4R=0.4, T=0.6T=0.6 のとき、2つの出口の可視度を求めよ。
  2. (2) 50:50 の Michelson 干渉計を、出力が最大値の半分になる位置(φ=π/2\varphi=\pi/2)に置く。波長 633 nm633\,\mathrm{nm} の光で、鏡1が 1 nm1\,\mathrm{nm} 動いたときの出力の変化を、入力 I0I_0 に対する比で求めよ。
解答

(1) 出口1の可視度は 2RT/(T2+R2)=0.48/0.52=0.9232RT/(T^2+R^2)=0.48/0.52=0.923、出口2は 2RT/(TR+RT)=12RT/(TR+RT)=1 である。2枚が同じ素子なら出口2は RR の値によらず完全な縞を出し、出口1は縞が浅くなる。出口2へ来る2本の光はどちらも「反射1回・透過1回」で同じ強度を持つので打ち消し合いが完全になり、出口1へ来る2本は「透過2回」と「反射2回」で強度が T2T^2 と R2R^2 に分かれるので完全には打ち消せない。

(2) 式 (9.4) で R=T=1/2R=T=1/2 とすると Iout/I0=(1+cos⁡φ)/2I_{\mathrm{out}}/I_0=(1+\cos\varphi)/2 で、d(Iout/I0)/dφ=−12sin⁡φ\mathrm{d}(I_{\mathrm{out}}/I_0)/\mathrm{d}\varphi=-\tfrac12\sin\varphi は φ=π/2\varphi=\pi/2 で大きさ 1/21/2 になる。変位 Δd1=1 nm\Delta d_1=1\,\mathrm{nm} による位相の変化は 2kΔd1=4π×10−9/(633×10−9)=1.99×10−22k\Delta d_1=4\pi\times10^{-9}/(633\times10^{-9})=1.99\times10^{-2} なので、出力の変化は ∣ΔIout∣/I0=9.93×10−3\lvert \Delta I_{\mathrm{out}}\rvert /I_0=9.93\times10^{-3} である。縞の傾きが最も大きい所に置くと、波長の 1/6001/600 程度の変位が入力の1パーセントの強度の変化として読める。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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