この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第28章 §28.7 ★★★ 原子時計は、周波数を合わせる局部発振器と、ずれを知らせる2準位原子の Ramsey 分光と、数える光周波数コムの組で、安定度は Q 値と原子の数、確度は格子の魔法波長などで決まり、 に達すると高さの物差しになる
原子時計は、局部発振器の周波数を2準位原子の遷移の周波数に合わせ続ける装置である。Ramsey の方法で自由な時間 のあいだ原子と発振器の位相の差を積算し、縞の傾きが最大の点でずれを読む。原子 個の測定の二項分布の揺らぎ(量子射影雑音)から、安定度は で、遷移の周波数 が1乗で入るので、マイクロ波から光へ移ると安定度が数桁上がる。光の周波数は光周波数コムでマイクロ波の数に直して数える。
光の時計では原子の運動による周波数のずれが大きく、原子を光格子に閉じ込めて Lamb–Dicke の領域に入れ、搬送波だけを測る。格子の光が準位ごとに違う光シフトを与える問題は、基底状態と励起状態の分極率が等しくなる魔法波長で解き、Sr では である。こうして の桁に達した時計は、静止した時計の進みが重力ポテンシャルで変わる効果を の高さの差で見分け、時計の比較が高さの測定になる。
この章で使ったモードと2準位系の見方を、巻の表に合わせてまとめておく。取り出したモードは、時計遷移を駆動する局部発振器の1つのモードと、原子を閉じ込める格子の定在波のモードである。物質のモデルは、寿命の長い時計遷移を持つ2準位原子と、格子の中の重心の調和振動子である。結合は時計の光では共鳴の双極子相互作用(パルスの面積で制御する)、格子の光では遠い離調の光シフトで、近似は短いパルスの極限・Lamb–Dicke の展開・光シフトの2次での打ち切り・重力場の1次の展開だった。次の第29章(第29章)では、Ramsey の手順の「2つのパルスで分けて、自由な時間の位相を積算して、重ねて読む」を原子の重心の運動に当て、物質波の干渉計を作る。
総合問題 光格子時計2台で建物の高さを測る ★★★
オリジナルSr の光格子時計()を2台作り、建物の1階と上の階に置いて光ファイバーで比べる。どちらの時計も 個の原子、、 で動き、量子射影雑音だけで安定度が決まるとする。格子は 、深さ ()で、時計の光の反跳エネルギーは である。
- (1) 1台の時計の と、2台の周波数の比の を求めよ。1台で に達するまでの時間も求めよ。(使う道具:28.2節、第24章の Ramsey の縞)
- (2) 格子の振動の周波数 と Lamb–Dicke パラメータ を求め、Ramsey の縞の幅と比べて搬送波だけを選べることを確かめよ。(使う道具:28.3節、第27章の光格子)
- (3) 格子の光の周波数が魔法の値から ずれたときの周波数のずれと、 を保つために許される格子の光の周波数のずれを求めよ。 を使え。(使う道具:28.3節、第25章の双極子力のポテンシャル)
- (4) 長時間の比較で、上の階の時計の周波数が1階より相対的に 高かった。高さの差を求めよ。また、 の高さの差を2台の比の雑音(1標準偏差)と同じ大きさにするのに要する平均の時間を求めよ。(使う道具:28.4節、解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第11章)
- (5) Sr の時計の周波数を SI 秒(Cs の噴水時計、)で測る。相対的な不確かさ に達するまでの時間と、そのときの Sr の周波数の不確かさを で求めよ。周波数のつなぎには何を使うか。(使う道具:28.1節・28.2節、第23章の光周波数コム)
解答
(1) 式 (28.9) から
である。2台の雑音は独立なので、比の揺らぎは分散の和で 倍になり、 である。1台で に達する時間は である。
(2) 式 (28.12) から 、式 (28.13) から である。Ramsey の縞の幅は で、側帯波の間隔 よりおよそ 倍狭いので、搬送波だけを選んで測れる。
(3) なので、 である。許されるずれは で、格子が浅いぶん例題 28.4 の より緩い。
(4) 式 (28.18) から 、すなわち である。 は で、比の雑音 がこれに等しくなる時間は 、15分足らずである。
(5) Cs 噴水の不確かさが に下がる時間は 、およそ 時間である。Sr の時計自身は数秒でこの精度を超えるので、測定の不確かさは Cs の側で決まる。Sr の周波数の不確かさは である。つなぎには光周波数コムを使い、 を Sr の時計のレーザーに合わせて、 を Cs の時計で数える(式 (28.4))。SI 秒で光の時計の周波数を測る精度が Cs の時計で頭打ちになることは、秒の定義を光の遷移へ移す議論の理由の1つである。
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