何を近似したか・何の実験の量で確かめるか
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第30章 §30.5 ★★ 場の量子化そのものは近似を含まない。近似は、モードを1つに絞ること・双極子近似・回転波近似の3つ。確かめる量は Lamb のずれ・真空 Rabi 振動の ・光子数の量子飛躍
近似を含まない部分
真空の電磁場の Lagrangian は場の2次式で、モードへの分解と各モードの量子化は近似を含まない(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第3章)。Coulomb ゲージの選択も、物理の結果を変えないゲージの固定である。箱の体積 は計算の都合で入れたもので、自由空間の量は の極限で和を積分に置き換えて得る。式 (30.15) で が消えたように、物理の量は に依らない。
1つのモードに絞る近似
30.4節では、原子と共鳴に近い1つのモードだけを残した。ほかのモードを捨てることは、状態を「原子の2準位 1つのモード」の部分空間に限る A 型(射影)の近似である。この近似は、隣のモードまでの離調(共振器の縦モードなら FSR 、第5章)が結合 より十分大きく、ほかのモードへの放出がこのモードとの結合より遅いときに使える。自由空間では、原子の線幅の中に入るモードの数が膨大なので、1つのモードに絞ることはできず、すべてのモードの和を取る必要がある(第34章の Wigner–Weisskopf の扱い)。双極子近似()は第18章の札をそのまま使う(第18章)。
近似の裏付け
型 A(射影) | 小さいもの 原子の2準位と共鳴に近い1つのモードが張る部分空間(隣のモードまでの離調が より十分大きい) | 証明 要確認(捨てたモードへの漏れの大きさを、離調と結合の比で上から押さえる定理の形は確かめていない) | 行き先 近似の数理 第4章
例題 30.5 1つのモードに絞ってよい共振器と、絞れない自由空間 ★★
オリジナル
- (1) 例題 30.1 の光の微小共振器()の FSR を求め、例題 30.4 (2) の との比を求めよ。
- (2) 原子と共鳴した縦モードの隣のモード(離調 が FSR に等しい)は、原子の準位を の桁だけずらす(離調の大きい2準位の光シフト。第18章)。この大きさを周波数で求め、 と比べよ。
- (3) 共振器の無い自由空間で、体積 の箱の中に、角周波数の幅 (原子の自然幅の目安)に入る両偏光のモードの数を求めよ(波長 )。
解答
(1) 。 との比は で、隣の縦モードは結合に比べて非常に遠い。
(2) 周波数で 。 の 倍で、隣のモードの影響は準位のわずかなずれとして残るだけである。
(3) に 、 を入れて 個。自由空間の原子は線幅の中の約 個のモードに同時に結合していて、そのどれか1つに絞ることはできない。1つ1つの結合は で小さいが、モードの数が に比例するので、放出の速さは に依らない有限の値になる(第34章)。
何の実験の量で確かめるか
場の量子化を確かめる量は、半古典の扱いでは出ないものに限られる。第一はLamb のずれで、水素の と は Dirac 方程式では縮退するが、測定では約 離れていた(Lamb, Retherford(1947))。真空の揺らぎの見積もり(例題 30.3)は、この桁を説明する。第二はCasimir 力で、零点のエネルギーが壁の位置で変わる分が力として測られる(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第3章)。
第三は、光子の数が少ないモードでの Rabi 振動である。Brune らは、超伝導のマイクロ波共振器に Rydberg 原子を1個ずつ通し、原子の励起の確率の時間変化を Fourier 変換して、周波数が の比で並ぶ成分を観測した(Brune ほか(1996)、Phys. Rev. Lett. 76, 1800)。古典の場の振幅が連続に分布しているだけなら、周波数は離散の値に並ばない。同じ装置で Gleyzes らは、原子を共振器と共鳴させずに通して光子数を壊さずに読み出し、共振器の中の光子が1個から0個へ飛び移る瞬間(光子数の量子飛躍)を記録した(Gleyzes ほか(2007)、Nature 446, 297)。光子を1個ずつ数える検出器の相関(アンチバンチング)は第32章で扱う。
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