何を近似したか・何の実験の量で確かめるか
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第33章 §33.5 ★★ ビームスプリッタの周波数と偏光への依存を捨てたこと・各口を1つのモードにしたこと・ポンプを古典の振幅にしたこと・対を1組に打ち切ったこと。確かめる量は HOM の谷の可視度、1光子の反相関、、Bell の
置いた近似
1つ目は、ビームスプリッタの が周波数にも偏光にも依らないとしたことである。実際の誘電体の多層膜は、帯域の中で反射率が少し変わり、s 偏光と p 偏光で反射率が違う(第14章の Fresnel 係数)。帯域の中で が変わると式 (33.12) は周波数ごとの の重みつき平均になり、谷の底が から浮く。例題 33.3 のとおり、浮き方はずれの2乗で、数 % のずれは可視度を も下げない。
2つ目は、各口を1つの横モード・1つの偏光に限ったことである。2個の光子の横モードや偏光が違えば、それは重なり を小さくする区別の手がかりとして式 (33.12) に入る。実験では単一モードの光ファイバーに光子を通して横モードをそろえる。
3つ目は、SPDC のポンプを古典の振幅のまま置いたことである(パラメトリック近似と呼ぶ)。ポンプのモードも量子化すると相互作用は で、ポンプが強いコヒーレント状態 にあり、下方変換で減る光子の数がポンプの光子の数に比べて無視できるとき、 を に置き換えられる。連続波のポンプで実際に変換される割合は より小さい桁(下の例題の数)で、この近似の小さいパラメータは非常に小さい。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (結合と の積を一定に保ってポンプの光子の数を大きくする) | 証明 要確認(量子化したポンプを古典の振幅に置き換える極限の誤差の評価の形を原論文で未確認) | 行き先 近似の数理 第6章
4つ目は、状態 (33.18) を に打ち切って「光子の対」として扱ったことである。この打ち切りはモデルの中で誤差が評価できて、規格化した打ち切りの状態と厳密な状態の差のノルムは の程度である(verify で , , について確かめた)。2組の対の混入は告知した1光子の と、2つの源を使う HOM の谷の浅さとして測れる。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (1組のモードあたりの対の数) | 証明 証明済み(2モードのスクイーズド真空の級数 (33.18) は厳密で、打ち切りとの差のノルムは の程度) | 行き先 近似の数理 第7章
5つ目は、検出器を理想的なものとしたことである。量子効率 は 33.2節の損失として書けて、同時計数の確率を 倍にするが、HOM の谷の可視度と は変えない。暗計数と、異なる対の光子が偶然に同時に来る偶然計数は、同時計数の底を持ち上げる。
何の実験の量で確かめるか
SPDC の光子の対が同時に生まれることは、D. C. Burnham, D. L. Weinberg (1970)、Phys. Rev. Lett. 25, 84 が同時計数で確かめた。1光子がビームスプリッタで2つに分かれないこと(例題 33.1 の同時計数 )は、P. Grangier, G. Roger, A. Aspect (1986)、Europhys. Lett. 1, 173 が Ca のカスケードの片方の光子で告知した1光子を使って、2つの出口の同時計数が古典の下限より小さいことで示した。
HOM の谷は C. K. Hong, Z. Y. Ou, L. Mandel (1987)、Phys. Rev. Lett. 59, 2044 が、SPDC の対の2個の光子を 50:50 のビームスプリッタで重ね、ビームスプリッタの位置を動かして遅れを走査して観測した。谷の幅から2個の光子の到着の時刻の差をサブピコ秒の精度で測れることが、論文の題にもなっている。谷の可視度は、2個の光子がどれだけ区別できないかの直接の量で、今では量子ドットや捕まえた原子の単一光子源の性能を、別々に出した2個の光子の HOM の可視度で比べる。
偏光の相関による Bell の不等式の検証は、Ca のカスケードを使った S. J. Freedman, J. F. Clauser (1972)、Phys. Rev. Lett. 28, 938 に始まる。A. Aspect, P. Grangier, G. Roger (1982)、Phys. Rev. Lett. 49, 91 は、2つの出口を持つ偏光ビームスプリッタで透過と反射を同時に数え、本文の4つの角で を得た。同じ年の A. Aspect, J. Dalibard, G. Roger (1982)、Phys. Rev. Lett. 49, 1804 は、光子が飛んでいる間に偏光子の向きを切り替えた。SPDC の偏光のもつれた対では、G. Weihs ほか (1998)、Phys. Rev. Lett. 81, 5039 が測定の設定を乱数で速く選び、2015年には検出の効率の抜け道も同時に残さない実験が M. Giustina ほか、Phys. Rev. Lett. 115, 250401 と L. K. Shalm ほか、Phys. Rev. Lett. 115, 250402 で報告された。
検出の効率の抜け道とは、検出器が鳴った対だけで を数えると、鳴らなかった対の偏りで局所的な模型でも を真似できる、という問題である。最大にもつれた状態で CHSH を使うとき、それを避けるには検出の効率が を超える必要がある(A. Garg, N. D. Mermin (1987)、Phys. Rev. D 35, 3831)。もつれの小さい状態を使うとこの境は まで下がる(P. H. Eberhard (1993)、Phys. Rev. A 47, R747)。Aspect らの実験は検出の効率が低く、鳴った対が全体を代表するという仮定(公平な標本の仮定)のもとで を出している。
例題 33.6 光子対の計数率と偶然計数 ★★
オリジナルSPDC の源が光子の対を毎秒 組作る。シグナルとアイドラーの腕の検出の効率(ファイバーへの結合を含む)はどちらも 、同時計数の時間の窓は とする。
- (1) 各腕の単独の計数率、同時計数率、告知の効率(同時計数率/アイドラーの計数率)を求めよ。
- (2) 異なる対の光子が偶然に窓に入る計数率 を求め、本当の同時計数との比を求めよ。
- (3) この効率で、公平な標本の仮定なしに CHSH の破れを示せるか。
解答
(1) 単独の計数率は 、同時計数率は 、告知の効率は である。告知の効率は、シグナルの腕の効率そのものになる。
(2) で、本当の同時計数との比は である。比は で、対の作る速さを上げると偶然計数の割合が増える。33.4節の の と同じ構造で、対の密度が低いほど相関がはっきり見える。
(3) 効率 は にも にも届かないので、公平な標本の仮定なしには示せない。2015年の実験は超伝導の検出器で効率を を超える程度まで上げ、もつれの小さい状態と組み合わせた。
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