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出てくるもの2:エンタングルメント・無信号・デバイス独立な鍵

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第5章 Bell の不等式
目次
  1. 分離可能な状態は局所の箱を出す
  2. 量子の箱は信号を送らない
  3. デバイス独立な鍵
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第5章 §3.5.5 ★★ 分離可能な状態の箱は局所であること、量子の箱は信号を送らないこと、SS だけから盗聴者の情報の上限が決まることを示す

分離可能な状態は局所の箱を出す

命題 3.5.6(分離可能な状態の箱は局所 ★★★)

ρ^AB=∑kqk ρ^A(k)⊗ρ^B(k)\hat\rho_{AB}=\sum_kq_k\,\hat\rho_A^{(k)}\otimes\hat\rho_B^{(k)}(分離可能な状態)を、どのような測定で測っても、得られる箱は L\mathcal L に入る。

証明

式 (3.5.8) に代入すると p(ab ∣ xy)=∑kqkTr⁡[ρ^A(k)Π^a∣xA]Tr⁡[ρ^B(k)Π^b∣yB]p(ab\,|\,xy)=\sum_kq_k\operatorname{Tr}\bigl[\hat\rho_A^{(k)}\hat\Pi^A_{a|x}\bigr]\operatorname{Tr}\bigl[\hat\rho_B^{(k)}\hat\Pi^B_{b|y}\bigr] となる。λ=k\lambda=k、q(λ)=qkq(\lambda)=q_k、pA(a ∣ x,k)=Tr⁡[ρ^A(k)Π^a∣xA]p_A(a\,|\,x,k)=\operatorname{Tr}[\hat\rho_A^{(k)}\hat\Pi^A_{a|x}] とおけば式 (3.5.3) の形である。

対偶をとると、CHSH 不等式の破れはエンタングルメントの証拠になる。この判定は、Hilbert 空間の次元や測定が何であるかを仮定せず、箱の数字だけで言える。この性質をデバイス独立と呼ぶ。前の章の判定(部分転置の固有値など)は、状態の密度行列を知っていることを前提にしていた。

逆は成り立たない。Werner 状態 ρ^V\hat\rho_V の部分転置の最小固有値は (1−3V)/4(1-3V)/4 なので、V>1/3V>1/3 でエンタングルしている(第3部第4章)。一方、例題 3.5.3 から CHSH 不等式を破るのは V>1/2V>1/\sqrt2 だけである。1/3<V≤1/21/3<V\le1/\sqrt2 の Werner 状態は、エンタングルしているが CHSH 不等式を破らない。さらに Werner(1989、Phys. Rev. A 40、4277)は、V≤1/2V\le1/2 の範囲では、あらゆる射影測定の結果を再現する局所の模型を作った。エンタングルメントと、局所の模型で説明できない相関(非局所性)は、別の量である。

量子の箱は信号を送らない

式 (3.5.8) で bb について和をとると、∑bΠ^b∣yB=1\sum_b\hat\Pi^B_{b|y}=\mathbf 1 なので

∑bp(ab ∣ xy)=Tr⁡[ρ^AB Π^a∣xA⊗1]=Tr⁡[ρ^A Π^a∣xA](3.5.20)\sum_bp(ab\,|\,xy)=\operatorname{Tr}\bigl[\hat\rho_{AB}\,\hat\Pi^A_{a|x}\otimes\mathbf 1\bigr]=\operatorname{Tr}\bigl[\hat\rho_A\,\hat\Pi^A_{a|x}\bigr]\tag{3.5.20}

となり、yy によらない(ρ^A=Tr⁡Bρ^AB\hat\rho_A=\operatorname{Tr}_B\hat\rho_{AB})。Bob の側も同じで、量子の箱は無信号条件を満たす。CHSH 不等式を破る相関があっても、Alice は自分の結果だけからは Bob の設定を読み取れない。2人の記録を古典の通信で持ち寄って比べたときにだけ、相関が見える。

デバイス独立な鍵

相関を秘密の鍵に使う発想は Ekert(1991、Phys. Rev. Lett. 67、661)にさかのぼる。Alice は CHSH の2つの設定に加えて鍵用の3つ目の設定 A^2\hat A_2 を持ち、Bob の B^0\hat B_0 と同じ向きに測って鍵のビットを作る。一部の試行で SS を測り、鍵のビットの不一致の割合 QQ を測る。

S=22S=2\sqrt2 のとき、式 (3.5.12) の等号条件から Alice と Bob の観測量は状態の上で完全に結びつき、状態は(局所的なユニタリを除いて)∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle に決まる。純粋状態 ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle は外の系 EE とエンタングルできないので、盗聴者 Eve は鍵について何も知らない。SS が 222\sqrt2 より小さいときは、Eve が持ちうる情報が SS で上から押さえられる。Acín ほか(2007、Phys. Rev. Lett. 98、230501)は、Eve が各試行に同じ攻撃をする(集団攻撃)という仮定の下で、Bob の鍵のビットと Eve の系の Holevo 量(第3部第2章)を次のように抑えた。

χE≤hb(1+(S/2)2−12).(3.5.21)\chi_E\le h_{\mathrm b}\biggl(\frac{1+\sqrt{(S/2)^2-1}}{2}\biggr).\tag{3.5.21}

S=2S=2 で右辺は ln⁡2\ln2(Eve が鍵のビットを完全に知りうる)、S=22S=2\sqrt2 で 00 である。Devetak–Winter の式で、1回あたりに取り出せる鍵の量は

r≥ln⁡2−hb(Q)−χE(3.5.22)r\ge\ln2-h_{\mathrm b}(Q)-\chi_E\tag{3.5.22}

となる。ln⁡2−hb(Q)\ln2-h_{\mathrm b}(Q) は Alice と Bob の鍵のビットの相互情報量(不一致の割合 QQ の2値対称通信路)で、そこから Eve の情報を引いた残りが秘密の鍵になる。Werner 状態の雑音(S=22VS=2\sqrt2V、Q=(1−V)/2Q=(1-V)/2)では、r>0r>0 となるのは V>0.857V>0.857、すなわち Q<7.1%Q<7.1\% のときである。この上限は装置の中身を仮定せずに SS と QQ だけで書かれている。詳しい議論は量子鍵配送の章(第3部第10章)で扱う。

例題 3.5.5 SS と QQ から鍵の量を見積もる ★★

オリジナルある実験で S=2.6S=2.6、鍵のビットの不一致の割合 Q=0.03Q=0.03 を得た。式 (3.5.21)・(3.5.22) を使って次を求めよ。

  1. (1) Eve の Holevo 量の上限 χE\chi_E。
  2. (2) 1回あたりの鍵の量の下限 rr(nat とビットで)。
  3. (3) 同じ QQ で SS が 2.22.2 に下がると rr はどうなるか。
解答

(1) (S/2)2−1=1.69−1=0.69(S/2)^2-1=1.69-1=0.69、0.69=0.8307\sqrt{0.69}=0.8307、(1+0.8307)/2=0.9153(1+0.8307)/2=0.9153。hb(0.9153)=0.2900h_{\mathrm b}(0.9153)=0.2900 nat なので χE≤0.2900\chi_E\le0.2900 nat。

(2) hb(0.03)=0.1347h_{\mathrm b}(0.03)=0.1347 nat。r≥0.6931−0.1347−0.2900=0.2684r\ge0.6931-0.1347-0.2900=0.2684 nat、ビットに直すと 0.2684/ln⁡2=0.3870.2684/\ln2=0.387 ビット。

(3) S=2.2S=2.2 では (S/2)2−1=0.21(S/2)^2-1=0.21、0.21=0.4583\sqrt{0.21}=0.4583、(1+0.4583)/2=0.7291(1+0.4583)/2=0.7291、hb(0.7291)=0.5841h_{\mathrm b}(0.7291)=0.5841 nat。r≥0.6931−0.1347−0.5841=−0.026<0r\ge0.6931-0.1347-0.5841=-0.026<0 で、この上限からは鍵を取り出せない。不一致の割合が同じでも、SS が小さいと Eve の情報の上限が大きくなるので、鍵の量は SS に強く依存する。

木下の勉強ステータス

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