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授業で習った形との対応

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第4章 Szilard エンジンと測定・フィードバック

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第4部 第4章 §4.4.6 ★★ Kelvin の原理・Clausius の不等式・Jarzynski 等式・通信路の相互情報量が、測定のある場合にどう書き換わるか

熱力学の授業では、第二法則を Kelvin の原理「1つの熱浴と接して1周する過程で、系が外にする仕事は正にならない」として習う。式で書けば、1周の過程で

−W≤0(授業の形)⟶−⟨W⟩≤kBT I(X;Y)(この章の形)-W\le0\qquad\text{(授業の形)}\qquad\longrightarrow\qquad -\langle W \rangle \le k_{\mathrm B} T\,I(X;Y)\qquad\text{(この章の形)}

である。右側は 1 周で ΔFy=0\Delta F_y=0 とした式 (4.4.15) で、測定が無い(I=0I=0)か、測った結果を使わない(操作が yy によらない)なら左側に戻る。授業の形が仮定していたのは「操作が系の状態に依存しない」ことで、この章はその仮定を外したときの形である。

Clausius の不等式は、1つの熱浴(温度 TT)について、1周で系が受け取る熱 QQ に Q/T≤0Q/T\le0 を課す。1周では ΔU=0\Delta U=0 なので第一法則 ΔU=Q+W\Delta U=Q+W から Q=−WQ=-W で、

QT≤0⟶⟨Q⟩T≤kB I(X;Y)\frac{Q}{T}\le0\qquad\longrightarrow\qquad\frac{\langle Q \rangle }{T}\le k_{\mathrm B}\,I(X;Y)

になる。熱浴のエントロピーは平均で kB I(X;Y)k_{\mathrm B}\,I(X;Y) だけ減ってよい。

1分子の等温膨張の仕事 kBTln⁡(Vf/Vi)k_{\mathrm B} T\ln(V_{\mathrm f}/V_{\mathrm i}) は、NN 分子の理想気体の NkBTln⁡(Vf/Vi)N k_{\mathrm B} T\ln(V_{\mathrm f}/V_{\mathrm i}) の N=1N=1 の場合である。1 mol の気体を等温で体積2倍にすると RTln⁡2RT\ln2(300 K300\,\mathrm K で 1729 J1729\,\mathrm J)が出るが、これを Szilard エンジンで得るには NAN_{\mathrm A} ビットの情報が要る。

統計力学の授業や前の章で習う Jarzynski 等式 ⟨e−βW⟩=e−βΔF\langle \mathrm{e}^{-\beta W} \rangle =\mathrm{e}^{-\beta\Delta F} は、操作の手順を初めに決めておく過程の等式である。フィードバックのある過程では左辺に γ\gamma が掛かり(式 (4.4.18))、あるいは指数に −I-I を足すと 11 に戻る(式 (4.4.17)):

⟨e−β(W−ΔF)⟩=1⟶⟨e−β(W−ΔF)−I⟩=1,⟨e−β(W−ΔF)⟩=γ.\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)} \rangle =1\qquad\longrightarrow\qquad\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)-I} \rangle =1,\qquad\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)} \rangle =\gamma.

情報理論の授業で習う相互情報量 I(X;Y)=H(X)−H(X ∣ Y)I(X;Y)=H(X)-H(X\,|\,Y) は、「YY を見たことで XX のあいまいさが減った量」である。この章では、同じ量が「測定で取り出せるようになった自由エネルギーを kBTk_{\mathrm B} T で割ったもの」になる。2値対称通信路の I=ln⁡2−hb(ε)I=\ln2-h_{\mathrm b}(\varepsilon ) は、誤りのある測定器を使う Szilard エンジンの最大の仕事そのもので(式 (4.4.6))、入力の分布を変えて II を最大にした通信路容量 C=max⁡pI(X;Y)C=\max_pI(X;Y)(第1部第6章)は、仕切りを入れる位置まで選べるときの1回あたりの仕事の上限(kBTk_{\mathrm B} T 単位)になる(総合問題の (5))。

例題 4.4.6 通常の Jarzynski 等式が成り立たない例 ★★

オリジナル誤りの無い測定器を使う Szilard エンジン(仕切りを分子のいない側の壁まで動かす)を考える。T=300 KT=300\,\mathrm K とする。

  1. 1回ごとの仕事 WW を求め、通常の Jarzynski 等式 ⟨e−βW⟩=e−βΔF\langle \mathrm{e}^{-\beta W} \rangle =\mathrm{e}^{-\beta\Delta F} の両辺を計算せよ。
  2. 一般化 Jarzynski 等式 (4.4.17) と、γ\gamma の形 (4.4.18) が成り立つことを確かめよ。
  3. この機械を 1 マイクロ秒に1回まわすと、平均の仕事率はいくらか。
解答

(1) どの回も −βW=ln⁡2-\beta W=\ln2 で、揺らぎが無い。左辺は ⟨e−βW⟩=eln⁡2=2\langle \mathrm{e}^{-\beta W} \rangle =\mathrm{e}^{\ln2}=2、右辺は ΔF=0\Delta F=0 なので 11 で、等式は成り立たない。Jensen の不等式から出る ⟨W⟩≥ΔF\langle W \rangle \ge\Delta F も、⟨W⟩=−kBTln⁡2<0\langle W \rangle =- k_{\mathrm B} T\ln2<0 で破れている。通常の Jarzynski 等式は、手順が状態によらないこと(式 (4.4.10) の仮定)を使っているので、フィードバックのある過程には当てはまらない。

(2) 誤りの無い測定では p(y ∣ x)=1p(y\,|\,x)=1(y=xy=x)、p(y)=1/2p(y)=1/2 なので、どの回も I(x;y)=ln⁡2I(x;y)=\ln2 である。−βW−I=ln⁡2−ln⁡2=0-\beta W-I=\ln2-\ln2=0 で ⟨e−βW−I⟩=1\langle \mathrm{e}^{-\beta W-I} \rangle =1 が成り立つ。逆回しの過程では、仕切りを壁の位置に入れる(分子は確実に yy の側)ところから真ん中まで戻して測るので、結果は確率 11 で yy である。γ=1+1=2\gamma=1+1=2 で、(1) の左辺 22 に一致する。

(3) 1回の仕事は kBTln⁡2=2.87×10−21 Jk_{\mathrm B} T\ln2=2.87\times10^{-21}\,\mathrm J なので、仕事率は 2.87×10−21/10−6=2.87×10−15 W2.87\times10^{-21}/10^{-6}=2.87\times10^{-15}\,\mathrm W である。

実験

1粒子の Szilard 型の機械は実験で作られている。微粒子を回転させる系で測定とフィードバックによって自由エネルギーを上げ、一般化 Jarzynski 等式を確かめた実験(S. Toyabe, T. Sagawa, M. Ueda, E. Muneyuki and M. Sano (2010), Nat. Phys. 6, 988)や、単電子箱で Szilard エンジンを作った実験がある。測定値の詳しい読み方は 第4部第7章 で扱う。

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