この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第4部 第4章 §4.4.7 ★★★ 測定で得た相互情報量 は、第二法則の右辺に として入る。経路の比に を足すだけで、第二法則と Jarzynski 等式が測定つきの形になる
この章で比べた2つの分布は、測定の後で知っている事後分布 と測定の前の平衡分布である。その を結果で平均すると相互情報量 になり(命題 4.4.1)、Gibbs の変分原理を当てると、取り出せる仕事の上限は になる。Szilard エンジンでは、仕切りを事後確率の位置まで動かせばこの上限に達し、ほかの位置では事後分布と仕切りの位置の だけ損をする(定理 4.4.2)。
経路1本ごとに見ると、測定を含む経路の確率と、結果ごとに操作を逆回しにした経路の確率の比の対数は になる(定理 4.4.3)。この比の平均が非負であることが測定つきの第二法則 で(定理 4.4.4)、比の規格化が一般化 Jarzynski 等式 である(定理 4.4.5)。前の章の「第二法則は経路の の非負性」は、測定がある場合にも、比べる経路の分布に測定の結果を含めればそのまま成り立つ。等号は、測った直後に事後分布を平衡とする Hamiltonian に切り替え、準静的に戻すときに限り、有限の速さでは損失が段数に反比例して残る。
系だけを見ると第二法則は だけ破れてよいが、その情報は測定器の記録に残っている。記録を消すまで含めれば、全体の第二法則が破れることはない。代償を測定と消去にどう割り振るかが次の章 第4部第5章 の主題で、精度とエントロピー生成の関係は 第4部第6章、量子系の測定とフィードバックは 第4部第8章 で扱う。
要点
- 。測定の後で取り出せる仕事の上限は 。
- Szilard エンジン:。最適は仕切りを事後確率の位置へ。
- 経路の比:。
- 測定つきの第二法則 、一般化 Jarzynski 等式 、効率の形 。
総合問題 読み落としのある検出器で回す Szilard エンジン ★★★
オリジナル1分子の Szilard エンジンで、仕切りを左の壁から測って体積の割合 の位置に入れる。分子は確率 で左()、 で右()にいる。検出器は左の部屋だけを見ていて、分子が左にいれば確率 で点灯し、確率 で読み落として消えたままになる。分子が右にいるときは必ず消えている。、温度 とする。結果を と書く。
- (1) のとき、 の同時分布と 、、 を求めよ。(使う道具:第1部第3章 の相互情報量)
- (2) のとき、取り出す仕事の平均を最大にする仕切りの終わりの位置 を結果ごとに求めよ。3通りの経路の を求め、平均が に等しいことを確かめよ。(使う道具:4.4.2 節)
- (3) (2) の操作で と を求めよ。 を逆回しの過程の確率から求め直せ。(使う道具:4.4.4 節)
- (4) 「消」のときは仕切りを動かさずに取り去る、という簡単な操作に変える。平均の仕事の損失を で求め、一般化 Jarzynski 等式が成り立つことを確かめよ。(使う道具:4.4.2 節・4.4.4 節)
- (5) 仕切りを入れる位置 も選べるとき、1回あたりの取り出す仕事の平均の最大値は、この検出器を通信路とみなした通信路容量になることを示し、最適な と、そのときの仕事(J 単位)を求めよ。(使う道具:4.4.1 節、第1部第6章 の通信路容量)
- (6) (5) の最適な で、検出器の記録 のエントロピー を求めよ。記録の消去に少なくとも が要るとすると、1周の正味の仕事の上限はいくらか。(使う道具:4.4.5 節、第4部第5章 の Landauer 原理)
解答
(1) 同時分布は 、、、 である。 なので 、 で、
である。
(2) 定理 4.4.2 から、最適な は事後分布である。点灯したときは分子は確実に左なので (仕切りを右の壁まで動かす)。消えているときは なので (仕切りを左へ動かし、左の部屋を全体の に縮める)。式 (4.4.7) の形で
である。平均は で、(1) の に等しい。読み落としの回( で消)は仕事を払うが、その確率は と小さい。
(3) 最適な操作では、どの経路でも なので で、平均も である。 である。逆回しの過程で求め直す。「点」の操作の逆回しは、仕切りを右の壁の位置に入れて(分子は確実に左)真ん中まで戻し、検出器で見るので、「点」が出る確率は である。「消」の操作の逆回しは、仕切りを割合 の位置に入れて(分子は確率 で左)真ん中まで戻すので、「消」が出る確率は である。 で一致する。
(4) 「消」のときの終わりの位置が になるので、式 (4.4.9) から損失は
で、取り出す仕事の平均は である。経路ごとには、 が 、、 が 、、 が 、 なので
で、等式は操作が最適でなくても成り立つ。
(5) 仕切りを位置 に入れると で、仕切りの初めの体積の割合は に等しいので、式 (4.4.9) がそのまま使え、最適なフィードバックでの仕事の平均は である。 は入力の分布 と通信路 で決まり、
である。 について最大にしたものが通信路容量 で、取り出す仕事の上限は になる。 を解くと で、 nat( ビット)である。 では になる。仕切りを真ん中より少し左に入れると、読み落としのある「点」側の不確かさが減り、 の より仕事が増える。
(6) なので nat である。記録を消すのに 以上が要るなら、1周の正味の取り出す仕事は
以下で、負である。測定器の雑音 の分は、記録には残るが系についての情報ではないので、消すときに払うだけになる。測定と消去を合わせた代償が まで下がりうること(メモリーを工夫して の分を取り戻す方法)は 第4部第5章 で扱う。
木下の勉強ステータス
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