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この章のまとめ

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第4章 Szilard エンジンと測定・フィードバック

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第4部 第4章 §4.4.7 ★★★ 測定で得た相互情報量 II は、第二法則の右辺に kBT Ik_{\mathrm B} T\,I として入る。経路の比に I(x;y)I(x;y) を足すだけで、第二法則と Jarzynski 等式が測定つきの形になる

この章で比べた2つの分布は、測定の後で知っている事後分布 pX∣yp_{X|y} と測定の前の平衡分布である。その DD を結果で平均すると相互情報量 I(X;Y)I(X;Y) になり(命題 4.4.1)、Gibbs の変分原理を当てると、取り出せる仕事の上限は kBT I(X;Y)k_{\mathrm B} T\,I(X;Y) になる。Szilard エンジンでは、仕切りを事後確率の位置まで動かせばこの上限に達し、ほかの位置では事後分布と仕切りの位置の DD だけ損をする(定理 4.4.2)。

経路1本ごとに見ると、測定を含む経路の確率と、結果ごとに操作を逆回しにした経路の確率の比の対数は β(W−ΔFy)+I(x0;y)\beta(W-\Delta F_y)+I(x_0;y) になる(定理 4.4.3)。この比の平均が非負であることが測定つきの第二法則 ⟨W⟩≥⟨ΔF⟩−kBT I\langle W \rangle \ge\langle \Delta F \rangle - k_{\mathrm B} T\,I で(定理 4.4.4)、比の規格化が一般化 Jarzynski 等式⟨e−β(W−ΔF)−I⟩=1\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)-I} \rangle =1 である(定理 4.4.5)。前の章の「第二法則は経路の DD の非負性」は、測定がある場合にも、比べる経路の分布に測定の結果を含めればそのまま成り立つ。等号は、測った直後に事後分布を平衡とする Hamiltonian に切り替え、準静的に戻すときに限り、有限の速さでは損失が段数に反比例して残る。

系だけを見ると第二法則は kBT Ik_{\mathrm B} T\,I だけ破れてよいが、その情報は測定器の記録に残っている。記録を消すまで含めれば、全体の第二法則が破れることはない。代償を測定と消去にどう割り振るかが次の章 第4部第5章 の主題で、精度とエントロピー生成の関係は 第4部第6章、量子系の測定とフィードバックは 第4部第8章 で扱う。

要点

  • ∑yp(y)D(pX∣y ∥ pX)=I(X;Y)\sum_yp(y)D(p_{X|y}\,\|\,p_X)=I(X;Y)。測定の後で取り出せる仕事の上限は kBT I(X;Y)k_{\mathrm B} T\,I(X;Y)。
  • Szilard エンジン:−β⟨W⟩=I(X;Y)−∑yp(y)D(pX∣y ∥ qy)-\beta\langle W \rangle =I(X;Y)-\sum_yp(y)D(p_{X|y}\,\|\,q_y)。最適は仕切りを事後確率の位置へ。
  • 経路の比:ln⁡P[Γ,y]P~[Γ~,y]=β(W−ΔFy)+I(x0;y)\ln\dfrac{P[\Gamma,y]}{\tilde P[\tilde\Gamma,y]}=\beta(W-\Delta F_y)+I(x_0;y)。
  • 測定つきの第二法則 ⟨W⟩≥⟨ΔF⟩−kBT I(X0;Y)\langle W \rangle \ge\langle \Delta F \rangle - k_{\mathrm B} T\,I(X_0;Y)、一般化 Jarzynski 等式 ⟨e−β(W−ΔF)−I⟩=1\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)-I} \rangle =1、効率の形 ⟨e−β(W−ΔF)⟩=γ\langle \mathrm{e}^{-\beta(W-\Delta F)} \rangle =\gamma。

総合問題 読み落としのある検出器で回す Szilard エンジン ★★★

オリジナル1分子の Szilard エンジンで、仕切りを左の壁から測って体積の割合 aa の位置に入れる。分子は確率 aa で左(x=Lx=\mathrm L)、1−a1-a で右(x=Rx=\mathrm R)にいる。検出器は左の部屋だけを見ていて、分子が左にいれば確率 1−s1-s で点灯し、確率 ss で読み落として消えたままになる。分子が右にいるときは必ず消えている。s=1/4s=1/4、温度 T=300 KT=300\,\mathrm K とする。結果を y∈{点,消}y\in\{\text{点},\text{消}\} と書く。

  1. (1) a=1/2a=1/2 のとき、(x,y)(x,y) の同時分布と H(Y)H(Y)、H(Y ∣ X)H(Y\,|\,X)、I(X;Y)I(X;Y) を求めよ。(使う道具:第1部第3章 の相互情報量)
  2. (2) a=1/2a=1/2 のとき、取り出す仕事の平均を最大にする仕切りの終わりの位置 qy(L)q_y(\mathrm L) を結果ごとに求めよ。3通りの経路の −βW-\beta W を求め、平均が I(X;Y)I(X;Y) に等しいことを確かめよ。(使う道具:4.4.2 節)
  3. (3) (2) の操作で ⟨e−βW−I⟩\langle \mathrm{e}^{-\beta W-I} \rangle と γ=⟨e−βW⟩\gamma=\langle \mathrm{e}^{-\beta W} \rangle を求めよ。γ\gamma を逆回しの過程の確率から求め直せ。(使う道具:4.4.4 節)
  4. (4) 「消」のときは仕切りを動かさずに取り去る、という簡単な操作に変える。平均の仕事の損失を DD で求め、一般化 Jarzynski 等式が成り立つことを確かめよ。(使う道具:4.4.2 節・4.4.4 節)
  5. (5) 仕切りを入れる位置 aa も選べるとき、1回あたりの取り出す仕事の平均の最大値は、この検出器を通信路とみなした通信路容量になることを示し、最適な aa と、そのときの仕事(J 単位)を求めよ。(使う道具:4.4.1 節、第1部第6章 の通信路容量)
  6. (6) (5) の最適な aa で、検出器の記録 yy のエントロピー H(Y)H(Y) を求めよ。記録の消去に少なくとも kBT H(Y)k_{\mathrm B} T\,H(Y) が要るとすると、1周の正味の仕事の上限はいくらか。(使う道具:4.4.5 節、第4部第5章 の Landauer 原理)
解答

(1) 同時分布は p(L,点)=12⋅34=38p(\mathrm L,\text{点})=\frac12\cdot\frac34=\frac38、p(L,消)=12⋅14=18p(\mathrm L,\text{消})=\frac12\cdot\frac14=\frac18、p(R,消)=12p(\mathrm R,\text{消})=\frac12、p(R,点)=0p(\mathrm R,\text{点})=0 である。p(点)=3/8p(\text{点})=3/8 なので H(Y)=hb(3/8)=0.6616H(Y)=h_{\mathrm b}(3/8)=0.6616、H(Y ∣ X)=12hb(1/4)+12⋅0=12×0.5623=0.2812H(Y\,|\,X)=\frac12h_{\mathrm b}(1/4)+\frac12\cdot0=\frac12\times0.5623=0.2812 で、

I(X;Y)=H(Y)−H(Y ∣ X)=0.6616−0.2812=0.3804 natI(X;Y)=H(Y)-H(Y\,|\,X)=0.6616-0.2812=0.3804\ \text{nat}

である。

(2) 定理 4.4.2 から、最適な qyq_y は事後分布である。点灯したときは分子は確実に左なので q点(L)=1q_{\text{点}}(\mathrm L)=1(仕切りを右の壁まで動かす)。消えているときは p(L ∣ 消)=1/85/8=15p(\mathrm L\,|\,\text{消})=\frac{1/8}{5/8}=\frac15 なので q消(L)=1/5q_{\text{消}}(\mathrm L)=1/5(仕切りを左へ動かし、左の部屋を全体の 1/51/5 に縮める)。式 (4.4.7) の形で

(L,点) ln⁡11/2=0.6931,(L,消) ln⁡1/51/2=−0.9163,(R,消) ln⁡4/51/2=0.4700(\mathrm L,\text{点})\ \ln\frac{1}{1/2}=0.6931,\qquad(\mathrm L,\text{消})\ \ln\frac{1/5}{1/2}=-0.9163,\qquad(\mathrm R,\text{消})\ \ln\frac{4/5}{1/2}=0.4700

である。平均は 38×0.6931+18×(−0.9163)+12×0.4700=0.2599−0.1145+0.2350=0.3804\frac38\times0.6931+\frac18\times(-0.9163)+\frac12\times0.4700=0.2599-0.1145+0.2350=0.3804 で、(1) の I(X;Y)I(X;Y) に等しい。読み落としの回(L\mathrm L で消)は仕事を払うが、その確率は 1/81/8 と小さい。

(3) 最適な操作では、どの経路でも −βW=ln⁡p(x ∣ y)p(x)=I(x;y)-\beta W=\ln\frac{p(x\,|\,y)}{p(x)}=I(x;y) なので e−βW−I=1\mathrm{e}^{-\beta W-I}=1 で、平均も 11 である。γ=⟨e−βW⟩=38×2+18×0.4+12×1.6=0.75+0.05+0.8=1.6\gamma=\langle \mathrm{e}^{-\beta W} \rangle =\frac38\times2+\frac18\times0.4+\frac12\times1.6=0.75+0.05+0.8=1.6 である。逆回しの過程で求め直す。「点」の操作の逆回しは、仕切りを右の壁の位置に入れて(分子は確実に左)真ん中まで戻し、検出器で見るので、「点」が出る確率は 3/43/4 である。「消」の操作の逆回しは、仕切りを割合 1/51/5 の位置に入れて(分子は確率 1/51/5 で左)真ん中まで戻すので、「消」が出る確率は 15⋅14+45⋅1=0.85\frac15\cdot\frac14+\frac45\cdot1=0.85 である。γ=0.75+0.85=1.6\gamma=0.75+0.85=1.6 で一致する。

(4) 「消」のときの終わりの位置が q消=(1/2,1/2)q_{\text{消}}=(1/2,1/2) になるので、式 (4.4.9) から損失は

p(消) D((1/5,4/5) ∥ (1/2,1/2))=58(ln⁡2−hb(1/5))=58(0.6931−0.5004)=0.1205p(\text{消})\,D\bigl((1/5,4/5)\,\|\,(1/2,1/2)\bigr)=\frac58\bigl(\ln2-h_{\mathrm b}(1/5)\bigr)=\frac58(0.6931-0.5004)=0.1205

で、取り出す仕事の平均は 0.3804−0.1205=0.25990.3804-0.1205=0.2599 である。経路ごとには、(L,点)(\mathrm L,\text{点}) が −βW=ln⁡2-\beta W=\ln2、I=ln⁡3/43/8=ln⁡2I=\ln\frac{3/4}{3/8}=\ln2、(L,消)(\mathrm L,\text{消}) が −βW=0-\beta W=0、I=ln⁡1/45/8=ln⁡0.4I=\ln\frac{1/4}{5/8}=\ln0.4、(R,消)(\mathrm R,\text{消}) が −βW=0-\beta W=0、I=ln⁡15/8=ln⁡1.6I=\ln\frac{1}{5/8}=\ln1.6 なので

⟨e−βW−I⟩=38×1+18×10.4+12×11.6=0.375+0.3125+0.3125=1\langle \mathrm{e}^{-\beta W-I} \rangle =\frac38\times1+\frac18\times\frac{1}{0.4}+\frac12\times\frac{1}{1.6}=0.375+0.3125+0.3125=1

で、等式は操作が最適でなくても成り立つ。

(5) 仕切りを位置 aa に入れると p(x)=(a,1−a)p(x)=(a,1-a) で、仕切りの初めの体積の割合は p(x)p(x) に等しいので、式 (4.4.9) がそのまま使え、最適なフィードバックでの仕事の平均は kBT I(X;Y)k_{\mathrm B} T\,I(X;Y) である。II は入力の分布 (a,1−a)(a,1-a) と通信路 p(y ∣ x)p(y\,|\,x) で決まり、

I(a)=hb(a(1−s))−a hb(s)I(a)=h_{\mathrm b}\bigl(a(1-s)\bigr)-a\,h_{\mathrm b}(s)

である。aa について最大にしたものが通信路容量 CC で、取り出す仕事の上限は kBT Ck_{\mathrm B} T\,C になる。dIda=(1−s)ln⁡1−a(1−s)a(1−s)−hb(s)=0\frac{\mathrm{d} I}{\mathrm{d} a}=(1-s)\ln\frac{1-a(1-s)}{a(1-s)}-h_{\mathrm b}(s)=0 を解くとa∗=1(1−s)(1+ehb(s)/(1−s))=0.4278a^*=\dfrac{1}{(1-s)\bigl(1+\mathrm{e}^{h_{\mathrm b}(s)/(1-s)}\bigr)}=0.4278 で、C=I(a∗)=0.3869C=I(a^*)=0.3869 nat(0.5580.558 ビット)である。300 K300\,\mathrm K では kBT C=1.60×10−21 Jk_{\mathrm B} T\,C=1.60\times10^{-21}\,\mathrm J になる。仕切りを真ん中より少し左に入れると、読み落としのある「点」側の不確かさが減り、a=1/2a=1/2 の 0.38040.3804 より仕事が増える。

(6) p(点)=a∗(1−s)=0.3209p(\text{点})=a^*(1-s)=0.3209 なので H(Y)=hb(0.3209)=0.6275H(Y)=h_{\mathrm b}(0.3209)=0.6275 nat である。記録を消すのに kBT H(Y)k_{\mathrm B} T\,H(Y) 以上が要るなら、1周の正味の取り出す仕事は

kBT[I(X;Y)−H(Y)]=−kBT H(Y ∣ X)=−kBT a∗hb(s)=−0.2406 kBTk_{\mathrm B} T\bigl[I(X;Y)-H(Y)\bigr]=- k_{\mathrm B} T\,H(Y\,|\,X)=- k_{\mathrm B} T\,a^*h_{\mathrm b}(s)=-0.2406\, k_{\mathrm B} T

以下で、負である。測定器の雑音 H(Y ∣ X)H(Y\,|\,X) の分は、記録には残るが系についての情報ではないので、消すときに払うだけになる。測定と消去を合わせた代償が kBT Ik_{\mathrm B} T\,I まで下がりうること(メモリーを工夫して H(Y ∣ X)H(Y\,|\,X) の分を取り戻す方法)は 第4部第5章 で扱う。

木下の勉強ステータス

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