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授業で習った形との対応:Landau の秩序変数と Z2\mathbb Z_2 ゲージ理論

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第2章 位相秩序は量子誤り訂正符号である
目次
  1. 対称性の破れの縮退は局所的に見分けられる
  2. 格子の上の Gauss の法則と磁束
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第5部 第2章 §5.2.6 ★★ 統計力学の Landau 理論の「局所的な秩序変数で見分けられる縮退」と、トーリック符号の「局所的には見分けられない縮退」を同じ DD で並べ、トーリック符号を電磁気の Gauss の法則と磁束の格子版として読む

対称性の破れの縮退は局所的に見分けられる

統計力学の授業では、強磁性の Ising 模型

H^Is=−J∑iZiZi+1(5.2.17)\hat H_{\mathrm{Is}}=-J\sum_iZ_iZ_{i+1}\tag{5.2.17}

の低温相を、磁化 m=⟨Zi⟩m=\langle Z_i \rangle が 00 でない値を取る対称性の破れとして習う。Landau の理論は、自由エネルギーを秩序変数 mm で展開し、m≠0m\neq0 の相と m=0m=0 の相を区別する(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第10章)。2つの基底状態 ∣↑⋯↑⟩| \uparrow\cdots\uparrow \rangle と ∣↓⋯↓⟩| \downarrow\cdots\downarrow \rangle は、ただ1つのサイトの ZiZ_i を測るだけで見分けることができる。1サイトに制限した縮約状態は ∣↑⟩⟨↑∣| \uparrow \rangle \langle \uparrow | と ∣↓⟩⟨↓∣| \downarrow \rangle \langle \downarrow | で直交し、

D(ρ^{i} ∥ σ^{i})=+∞D(\hat\rho_{\{i\}}\,\|\,\hat\sigma_{\{i\}})=+\infty

である。定理 5.2.1 の条件は1サイトの領域ですでに破れている。

この Ising 鎖は、第3部第9章のビット反転符号(繰り返し符号)を NN 量子ビットに伸ばしたものの安定化群 ⟨ZiZi+1⟩\langle Z_iZ_{i+1}\rangle を Hamiltonian にしたものである。その論理演算子は Xˉ=∏iXi\bar X=\prod_iX_i(重み NN)と Zˉ=Z1\bar Z=Z_1(重み 11)で、XX の誤りに対する距離は NN だが、ZZ の誤りに対する距離は 11 である。横磁場 −λ∑iXi-\lambda\sum_iX_i による縮退の分裂は NN 次まで現れないが、縦磁場 −λ∑iZi-\lambda\sum_iZ_i は1次で縮退を解く(例題 5.2.5 の (3))。対称性の破れの縮退が守られるのは、摂動がその対称性(ここでは ∏iXi\prod_iX_i)を保つときに限られる。トーリック符号の縮退は、XX と ZZ の両方に対して距離が LL なので、対称性を仮定せずに守られる。

対称性の破れ(Ising 強磁性)位相秩序(トーリック符号)
縮退を見分ける量局所的な秩序変数 ZiZ_i一周する輪 Zˉ1,Xˉ1\bar Z_1,\bar X_1
1サイトの D(ρ^A∥σ^A)D(\hat\rho_A\|\hat\sigma_A)+∞+\infty00
符号としてXX には距離 NN、ZZ には距離 11XX にも ZZ にも距離 LL
縮退が守られる摂動対称性 ∏Xi\prod X_i を保つものだけすべての局所的な摂動
縮退の数を決めるもの破れた対称性の群空間の形(トーラスで4、種数 gg で 4g4^g)

格子の上の Gauss の法則と磁束

電磁気学の授業で習う静電場と静磁場の法則を、トーリック符号と並べる。辺の XeX_e を辺に沿った電場の向き(±1\pm1)、辺の ZeZ_e を辺に沿ったベクトルポテンシャルの位相 eiqAeℓ/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i} qA_e\ell/\hbar}(ℓ\ell は辺の長さ)と読む。すると、頂点に流れ込む電場の和を数える AvA_v は Gauss の法則、面を囲む ZZ の積 BpB_p は面を貫く磁束の位相になる:

∇⋅E=ρε0 ⟷ Av=(−1)Ne(v),exp⁡(iqℏ∮∂pA⋅dl)=eiqΦp/ℏ ⟷ Bp=(−1)Nm(p).(5.2.18)\nabla\cdot\bm{E}=\frac{\rho}{\varepsilon_0}\ \longleftrightarrow\ A_v=(-1)^{N_{\mathsf e}(v)},\qquad \exp\Bigl(\frac{\mathrm{i} q}{\hbar}\oint_{\partial p}\bm{A}\cdot\mathrm{d}\bm{l}\Bigr)=\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Phi_p/\hbar}\ \longleftrightarrow\ B_p=(-1)^{N_{\mathsf m}(p)} .\tag{5.2.18}

e\mathsf e は電荷、m\mathsf m は磁束で、e\mathsf e を m\mathsf m の周りに回したときの −1-1 は Aharonov–Bohm の位相 eiqΦ/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Phi/\hbar} の格子版である。トーリック符号は、場の値が ±1\pm1 しか取らない Z2\mathbb Z_2 ゲージ理論の、電荷と磁束が1つも無い状態を基底状態にしたものと読むことができる。

この読み替えで、秩序変数が無い理由がはっきりする。AvA_v は頂点 vv のまわりの局所的なゲージ変換で、基底状態はすべての AvA_v で不変である。ゲージ変換で不変でない局所的な量(1本の辺の ZeZ_e など)は、基底状態の中で期待値が 00 になり、秩序変数になることができない。これは Elitzur の定理(局所的なゲージ対称性は自発的に破れない)の格子の上の姿である1S. Elitzur (1975), Phys. Rev. D 12, 3978。格子の Z2\mathbb Z_2 ゲージ理論が局所的な秩序変数なしに相転移を持つことは F. J. Wegner (1971), J. Math. Phys. 12, 2259 が先に示した。下の脚注へ。ゲージ不変な量は閉じた輪の積(Wilson ループ)で、縮退を区別できるのはトーラスを一周する輪 Zˉ1,Zˉ2\bar Z_1,\bar Z_2 だけである。連続のゲージ理論のゲージ不変性は 解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部第8章、バンドのトポロジー(Berry 曲率と Chern 数)は ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第5章で扱う。後者は相互作用の無い電子のトポロジーで、この章の位相秩序(多体のもつれのトポロジー)とは別のものだが、どちらも局所的な秩序変数で書けない相を区別する。

例題 5.2.6 Ising 鎖の基底状態を部分系で比べる ★★

オリジナル4サイトの周期的な Ising 鎖 (5.2.17) の基底状態の空間は ∣⇑⟩=∣↑↑↑↑⟩| \Uparrow \rangle =| \uparrow\uparrow\uparrow\uparrow \rangle と ∣⇓⟩=∣↓↓↓↓⟩| \Downarrow \rangle =| \downarrow\downarrow\downarrow\downarrow \rangle が張る。∣±⟩=12(∣⇑⟩±∣⇓⟩)| \pm \rangle =\frac{1}{\sqrt2}(| \Uparrow \rangle \pm| \Downarrow \rangle ) とおく。

  1. (1) ∣⇑⟩| \Uparrow \rangle と ∣+⟩| + \rangle を1サイトに制限した縮約状態を求め、DD を計算せよ。
  2. (2) ∣+⟩| + \rangle と ∣−⟩| - \rangle を1・2・3サイトに制限した縮約状態はどうなるか。
  3. (3) (1)(2) から、この基底状態の空間が定理 5.2.1 の条件を満たさないことを説明し、トーリック符号との違いを述べよ。
解答

(1) ∣⇑⟩| \Uparrow \rangle の1サイトは ∣↑⟩⟨↑∣| \uparrow \rangle \langle \uparrow |。∣+⟩| + \rangle の1サイトは、残りの3サイトの ∣↑↑↑⟩| \uparrow\uparrow\uparrow \rangle と ∣↓↓↓⟩| \downarrow\downarrow\downarrow \rangle が直交するので 12(∣↑⟩⟨↑∣+∣↓⟩⟨↓∣)=121\frac12(| \uparrow \rangle \langle \uparrow |+| \downarrow \rangle \langle \downarrow |)=\frac12\mathbf 1。D(∣↑⟩⟨↑∣ ∥ 121)=Tr⁡[∣↑⟩⟨↑∣(ln⁡∣↑⟩⟨↑∣−ln⁡12)]=ln⁡2D(| \uparrow \rangle \langle \uparrow |\,\|\,\tfrac12\mathbf 1)=\operatorname{Tr}\bigl[| \uparrow \rangle \langle \uparrow |(\ln| \uparrow \rangle \langle \uparrow |-\ln\tfrac12)\bigr]=\ln2。

(2) ∣±⟩| \pm \rangle のどちらも、mm サイト(m≤3m\le3)に制限すると残りの 4−m4-m サイトの ∣↑⋯ ⟩| \uparrow\cdots \rangle と ∣↓⋯ ⟩| \downarrow\cdots \rangle が直交するので、12(∣↑⋯↑⟩⟨↑⋯↑∣+∣↓⋯↓⟩⟨↓⋯↓∣)\frac12(| \uparrow\cdots\uparrow \rangle \langle \uparrow\cdots\uparrow |+| \downarrow\cdots\downarrow \rangle \langle \downarrow\cdots\downarrow |) になり、2つは一致する(D=0D=0)。∣+⟩| + \rangle と ∣−⟩| - \rangle を見分けるには4サイト全部の X⊗4X^{\otimes4} が要る。

(3) 定理の条件はすべての基底状態の組で D=0D=0 を要求する。∣+⟩| + \rangle と ∣−⟩| - \rangle の組は満たすが、∣⇑⟩| \Uparrow \rangle と ∣+⟩| + \rangle の組(あるいは ∣⇑⟩| \Uparrow \rangle と ∣⇓⟩| \Downarrow \rangle の組)は1サイトで D>0D>0 なので、条件は破れる。符号の言葉では、Xˉ=X⊗4\bar X=X^{\otimes4} の重みは 44 だが Zˉ=Z1\bar Z=Z_1 の重みは 11 で、距離は 11 である。トーリック符号では XX 側と ZZ 側の論理演算子がどちらも長さ LL の輪なので、すべての組で小さな領域の DD が 00 になる。

1 S. Elitzur (1975), Phys. Rev. D 12, 3978。格子の Z2\mathbb Z_2 ゲージ理論が局所的な秩序変数なしに相転移を持つことは F. J. Wegner (1971), J. Math. Phys. 12, 2259 が先に示した。

木下の勉強ステータス

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