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運動エネルギーの形は対称性で決まる

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第5章 L=T-V の由来
目次
  1. 一様性と等方性
  2. Galilei 変換で全微分だけ変わること
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第5章 §1.5.4 ★★★ 一様性・等方性で L=L(v2)L=L(v^2)、Galilei 変換で LL が全微分だけ変わることを要求すると L=12mv2L=\frac12mv^2。相対論では同じ手順で −mc21−v2/c2-mc^2\sqrt{1-v^2/c^2}

一様性と等方性

1つの自由粒子の LL を、運動の法則を前提にせず対称性だけから決める。慣性系で次の3つを要求する。

  1. (i) 時間の一様性:LL は時刻 tt をあらわに含まない。
  2. (ii) 空間の一様性:LL は位置 r\bm{r} をあらわに含まない。
  3. (iii) 空間の等方性:LL は速度 v=r˙\bm{v}=\dot{\bm{r}} の向きによらない。

(i)(ii)(iii) から LL は速さの2乗 v2=∣v∣2v^2=\lvert \bm{v}\rvert ^2 だけの関数 L=L(v2)L=L(v^2) になる。∂L/∂r=0\partial L/\partial\bm{r}=0 なので Euler–Lagrange 方程式は ddt∂L∂v=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\frac{\partial L}{\partial \bm{v}}=0 で、∂L/∂v=2L′(v2)v\partial L/\partial\bm{v}=2L'(v^2)\bm{v} が一定になる。L′L' が 00 でなければ v\bm{v} は一定で、自由粒子は等速直線運動をする。慣性の法則は (i)〜(iii) から出る。しかし L(v2)L(v^2) の関数形は決まらない。

Galilei 変換で全微分だけ変わること

ここで Galilei の相対性を要求する。速度 −u-\bm{u} で動く別の慣性系から見ると、粒子の速度は v′=v+u\bm{v}'=\bm{v}+\bm{u} になる。2つの系で同じ運動方程式が出ればよいので、命題 1.5.3 により、L(v′2)L(v'^2) と L(v2)L(v^2) の差が時間の全微分 ddtΛ(r,t)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Lambda(\bm{r},t) であればよい。u\bm{u} が小さいとして1次まで展開すると

L(∣v+u∣2)=L(v2)+2L′(v2) v⋅u+O(u2)L\bigl(\lvert \bm{v}+\bm{u}\rvert ^2\bigr)=L(v^2)+2L'(v^2)\,\bm{v}\cdot\bm{u}+\mathcal{O}(u^2)

となる。ddtΛ(r,t)=∇Λ⋅v+∂tΛ\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Lambda(\bm{r},t)=\nabla\Lambda\cdot\bm{v}+\partial_t\Lambda は v\bm{v} の1次式で、係数 ∇Λ\nabla\Lambda は r\bm{r} と tt だけの関数である。2L′(v2) v⋅u2L'(v^2)\,\bm{v}\cdot\bm{u} がこの形になるには、L′(v2)L'(v^2) が v\bm{v} によらない定数でなければならない。

命題 1.5.4(自由粒子の Lagrangian ★★★)

(i)〜(iii) と、無限小の Galilei 変換で LL が時間の全微分だけ変わることを要求すると、

L=12m v2(m は定数)(1.5.7)L=\frac12m\,v^2\qquad(m\text{ は定数})\tag{1.5.7}

となる(加える定数は運動に関係しないので落とした)。

係数を 12m\frac12m と書いたのは、この定数を質量と呼ぶための約束である。有限の u\bm{u} でも

12m∣v+u∣2=12mv2+ddt(mu⋅r+12mu2t)\frac12m\lvert \bm{v}+\bm{u}\rvert ^2=\frac12mv^2+\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Bigl(m\bm{u}\cdot\bm{r}+\frac12mu^2t\Bigr)

となり、要求は満たされている。m>0m>0 は対称性からは出ない。m<0m<0 だと、端を固定した経路を速く振動させるほど 12m∫η˙2 dt\frac12m\int\dot\eta^2\,\mathrm{d} t がいくらでも負になり、作用に下限が無くなる。1.5.5節で見るように、真の経路は短い時間では作用の最小点であり、そのために m>0m>0 が要る。

相互作用する NN 個の粒子では、各粒子の 12mava2\frac12m_av_a^2 を足し、相互作用を表す項を加える。相互作用の項がどんな形かは対称性からは決まらない。速度によらない相互作用なら、それを −V(r1,…,rN)-V(\bm{r}_1,\dots,\bm{r}_N) と書き、VV が静力学で測る位置エネルギーと一致するように選ぶ。VV が粒子の相対位置 ra−rb\bm{r}_a-\bm{r}_b だけの関数なら、Galilei 変換で VV は変わらない。こうして式 (1.5.1) が得られる。速度による相互作用(電磁場中の荷電粒子)では −V-V の代わりに −qϕ+qv⋅A-q\phi+q\bm{v}\cdot\bm{A} が入る(第2部第2章)。

運動エネルギーの部分 ∑a12mava2\sum_a\frac12m_av_a^2 は、どの系でも同じ形をしている。これは自由な空間の対称性(時刻と位置の並進・回転・Galilei 変換)だけから決めたので、それらの対称性をすべて持っている。したがって、系ごとに違う物理はすべて相互作用の項 VV に入り、どの保存量が残るかも VV の対称性だけで決まる。

VV の性質LL を変えない変換保存する量
座標 yy を含まないyy 方向の並進pyp_y
原点からの距離 rr だけによる原点のまわりの回転角運動量 L\bm{L}
位置の差 r1−r2\bm{r}_1-\bm{r}_2 だけによる全体の並進全運動量 p1+p2\bm{p}_1+\bm{p}_2
時刻 tt を含まない時刻の並進エネルギー

1行目の yy のように LL に現れない座標を循環座標と呼ぶ。対称性から保存量を出す一般の定理(Noether の定理)は第1部第10章で示す。

相対論では同じ手順が別の答えを出す

Galilei 変換の代わりに Lorentz 変換で L dtL\,\mathrm{d} t が変わらないことを要求すると、自由粒子の LL は L=−mc21−v2/c2L=-mc^2\sqrt{1-v^2/c^2} になる(第2部第3章)。v≪cv\ll c で展開すると −mc2+12mv2+mv48c2+⋯-mc^2+\frac12mv^2+\frac{mv^4}{8c^2}+\cdots で、定数 −mc2-mc^2 は運動に関係せず、v4v^4 以降の項を落としたものが式 (1.5.7) である。

例題 1.5.4 Galilei 変換と運動エネルギーの形 ★★

オリジナル1次元の自由粒子について次に答えよ。

  1. (1) x′=x+utx'=x+ut(uu は定数)として、12mx˙′2\frac12m\dot x'^2 と 12mx˙2\frac12m\dot x^2 の差を、ある関数 Λ(x,t)\Lambda(x,t) の時間の全微分の形に書け。
  2. (2) κx˙4\kappa\dot x^4 を同じ変換で書き直したとき、uu の1次の変化が Λ(x,t)\Lambda(x,t) の全微分の形に書けないことを示せ。
  3. (3) L=−mc21−x˙2/c2L=-mc^2\sqrt{1-\dot x^2/c^2} を x˙\dot x について4次まで展開せよ。地球の公転の速さ v=3.0×104 m s−1v=3.0\times10^4\,\mathrm{m\,s^{-1}} で、v4v^4 の項と v2v^2 の項の比を求めよ(c=2.998×108 m s−1c=2.998\times10^8\,\mathrm{m\,s^{-1}})。
解答

(1) x˙′=x˙+u\dot x'=\dot x+u なので

12m(x˙+u)2−12mx˙2=mux˙+12mu2=ddt(mux+12mu2t).\frac12m(\dot x+u)^2-\frac12m\dot x^2=mu\dot x+\frac12mu^2=\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Bigl(mux+\frac12mu^2t\Bigr).

Λ=mux+12mu2t\Lambda=mux+\frac12mu^2t である。

(2) κ(x˙+u)4−κx˙4=4κx˙3u+O(u2)\kappa(\dot x+u)^4-\kappa\dot x^4=4\kappa\dot x^3u+\mathcal{O}(u^2)。一方 ddtΛ(x,t)=∂xΛ x˙+∂tΛ\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\Lambda(x,t)=\partial_x\Lambda\,\dot x+\partial_t\Lambda は x˙\dot x の1次式である。4κx˙3u4\kappa\dot x^3u は x˙\dot x の3次式なので、どんな Λ(x,t)\Lambda(x,t) を選んでもこの形にならない。κx˙4\kappa\dot x^4 を Lagrangian にすると、慣性系を取り替えたときに運動方程式の形が変わる。

(3) 1−s=1−s2−s28−⋯\sqrt{1-s}=1-\frac s2-\frac{s^2}{8}-\cdots に s=x˙2/c2s=\dot x^2/c^2 を入れて

L=−mc2+12mx˙2+mx˙48c2+O(x˙6).L=-mc^2+\frac12m\dot x^2+\frac{m\dot x^4}{8c^2}+\mathcal{O}(\dot x^6).

v4v^4 の項と v2v^2 の項の比は mv4/(8c2)mv2/2=v24c2=(3.0×104)24×(2.998×108)2=2.5×10−9\dfrac{mv^4/(8c^2)}{mv^2/2}=\dfrac{v^2}{4c^2}=\dfrac{(3.0\times10^4)^2}{4\times(2.998\times10^8)^2}=2.5\times10^{-9} である。地球の公転の速さでも、Galilei 変換から決めた 12mv2\frac12mv^2 との違いは 10−910^{-9} の程度にとどまる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの v/c→0v/c\to0(速さが光速に比べて小さい) | 証明 証明済み(有限の時間区間で、力が位置について Lipschitz 連続なとき。運動方程式の解のパラメータへの連続依存) | 行き先 近似の数理 第2章

木下の勉強ステータス

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