解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第3章 §2.3.7 ★★ 学部の特殊相対論で天下りに置く p=γmv・E=γmc2・E2=p2c2+m2c4・dtdp=F を、この章の式番号と並べる
式の対応
解析力学を使わない特殊相対論の授業では、Lorentz 変換と時間の遅れ・Lorentz 収縮を先に導き、次に「運動量の保存が Lorentz 変換で崩れないように」運動量の定義を γmv に改め、さらに運動量の時間変化を力と定め、力のする仕事からエネルギー γmc2 を求める、という順に進むことが多い。この章ではそれぞれが次の所から出た。
| 授業での書き方 | この章での出どころ | 式 |
| 時間の遅れ Δt=γΔτ | 作用そのもの(固有時) | (2.3.3) |
| p=γmv(定義) | 正準運動量 ∂L/∂v | (2.3.9) |
| E=γmc2(仕事から) | Legendre 変換 p⋅v−L | (2.3.10) |
| E2=p2c2+m2c4 | 質量殻の拘束 | (2.3.16) |
| (E/c,p) は4元ベクトル | −∂Lλ/∂x˙μ | (2.3.14) |
| dtdp=F | Euler–Lagrange 方程式 | (2.3.19)・(2.3.22) |
| 運動量とエネルギーの保存 | 時空の並進の Noether の保存量 | (2.3.13) |
授業の順序では、p=γmv は「衝突で保存するように」選んだ定義で、E=γmc2 は「力のする仕事を積分したもの」なので、2つは別々の議論から出る。この章ではどちらも L=−mc2/γ という1つの関数から、微分(∂L/∂v)と Legendre 変換で機械的に出た。保存則も、別に要請したのでなく L の対称性の帰結である。
「相対論的質量」と縦・横の質量
古い教科書には mrel=γm を「動いている物体の質量」と呼ぶ書き方がある。この章では質量 m は作用に入る1つの定数で、Lorentz 変換で変わらない(質量殻 (2.3.16) の右辺)。γm は運動量と速度の比 ∣p∣/∣v∣ にすぎず、力と加速度の比にはならない。次の例題がそれを示す。
例題 2.3.8 力と加速度の比は向きによって違う ★★
オリジナル速度 v で動く粒子に力 F が働くとき、dtd(γmv)=F とする。
- (1) dtdγ=γ3c2v⋅a(a=dtdv)を示せ。
- (2) F が v に平行なとき F=γ3ma、垂直なとき F=γma となることを示せ。
- (3) 2つの係数 γ3m と γm が、式 (2.3.11) の Hessian の2つの固有値と一致する理由を述べよ。
解答
(1) γ=(1−v2/c2)−1/2 を微分して dtdγ=−21(1−v2/c2)−3/2⋅(−2v⋅a/c2)=γ3v⋅a/c2。
(2) F=γma+mvγ3(v⋅a)/c2。a∥v なら v(v⋅a)=v2a なので F=γm(1+γ2v2/c2)a=γ3ma(1+γ2v2/c2=γ2)。a⊥v なら第2項が消えて F=γma。
(3) p=∂L/∂v なので dtdp=∑j∂v∂vj∂2Laj で、力と加速度を結ぶ行列は Hessian そのものである。その固有ベクトルが速度の方向と垂直な方向で、固有値が γ3m と γm だった。Newton 力学では Hessian が mδij で向きによらない。
遅い極限
授業の最後に「v≪c で Newton 力学に戻る」ことを確かめるのは、この章では式 (2.3.5) の展開の1行と、運動方程式 (2.3.19) で γ→1 とすることにあたる。有限の時間区間で軌道がどれだけ近いかは、パラメータ v/c への解の連続依存の問題になる。図 2.3.3 の2本の曲線は、t≲0.5mc/F の範囲で重なっている。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの v/c→0(速さが光速に比べて小さい) | 証明 証明済み(有限の時間区間で、力が位置について Lipschitz 連続なとき。運動方程式の解のパラメータへの連続依存) | 行き先 近似の数理 第2章
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com