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当てる道具:Legendre 変換で作る有効作用

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第10章 くりこみ
目次
  1. 生成汎関数とその Legendre 変換
  2. 1ループの有効作用
  3. くりこみの条件
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第10章 §5.10.2 ★★★ W[J]=ln⁡Z[J]W[J]=\ln Z[J] を ϕˉ=δW/δJ\bar\phi=\delta W/\delta J へ Legendre 変換した Γ[ϕˉ]\Gamma[\bar\phi] が「量子補正込みの作用」。1ループでは Γ=S+12Tr⁡ln⁡S′′\Gamma=S+\frac12\operatorname{Tr}\ln S''。くりこみの条件は Γ\Gamma の微分の値で書く

生成汎関数とその Legendre 変換

第5部第7章では、源 J(x)J(x) を入れた経路積分

Z[J]=∫Dϕ  e−SE[ϕ]+∫d4x Jϕ(5.10.6)Z[J]=\int\mathcal D\phi\;\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}[\phi]+\int\mathrm{d}^4x\,J\phi}\tag{5.10.6}

を JJ で微分して相関関数を作った。W[J]≔ln⁡Z[J]W[J]\coloneqq\ln Z[J] を微分すると連結な相関関数だけが残り、1階微分は場の平均

ϕˉ(x)=δWδJ(x)=⟨ϕ(x)⟩J(5.10.7)\bar\phi(x)=\frac{\delta W}{\delta J(x)}=\langle \phi(x) \rangle _J\tag{5.10.7}

になる。WW は JJ について凸である(2階微分は揺らぎ ⟨ϕϕ⟩J−⟨ϕ⟩J⟨ϕ⟩J\langle \phi\phi \rangle _J-\langle \phi \rangle _J\langle \phi \rangle _J で、正定値)。したがって JJ と ϕˉ\bar\phi は1対1に対応し、第1部第7章の Legendre 変換を行うことができる。

定義 5.10.1(有効作用)

JJ を ϕˉ\bar\phi の関数とみなして

Γ[ϕˉ]≔∫d4x J(x)ϕˉ(x)−W[J](5.10.8)\Gamma[\bar\phi]\coloneqq\int\mathrm{d}^4x\,J(x)\bar\phi(x)-W[J]\tag{5.10.8}

を有効作用と呼ぶ。Legendre 変換の性質から δΓδϕˉ(x)=J(x)\dfrac{\delta\Gamma}{\delta\bar\phi(x)}=J(x) である。

力学の Legendre 変換 H(p)=pq˙−L(q˙)H(p)=p\dot q-L(\dot q) と同じく、変換した量の1階微分はもとの変数を返す。源が無いとき(J=0J=0)、場の平均 ϕˉ\bar\phi は δΓ/δϕˉ=0\delta\Gamma/\delta\bar\phi=0 で決まる。古典の場が δS=0\delta S=0 で決まったのと同じ形で、Γ\Gamma は「量子の揺らぎを積分し終えた後の作用」として読むことができる。

Legendre 変換のもう1つの性質は、2階微分が互いに逆になることである。力学では ∂2H/∂p2=(∂2L/∂q˙2)−1\partial^2H/\partial p^2=(\partial^2L/\partial\dot q^2)^{-1} だった。ここでは

∫d4y δ2Γδϕˉ(x)δϕˉ(y) δ2WδJ(y)δJ(z)=δ(4)(x−z)(5.10.9)\int\mathrm{d}^4y\,\frac{\delta^2\Gamma}{\delta\bar\phi(x)\delta\bar\phi(y)}\,\frac{\delta^2W}{\delta J(y)\delta J(z)}=\delta^{(4)}(x-z)\tag{5.10.9}

で、δ2W/δJδJ\delta^2W/\delta J\delta J は連結な2点関数(伝播関数)なので、Γ\Gamma の2階微分は伝播関数の逆になる。運動量で書いた Γ(2)(k2)\Gamma^{(2)}(k^2) は、自由場では k2+m2k^2+m^2 で、相互作用があると補正を受ける。Γ\Gamma の3階以上の微分 Γ(n)\Gamma^{(n)} は、1本の内線を切っても2つに分かれない図(1粒子既約、1PI)の和になる。外線の伝播関数を外した「頂点そのもの」である。

1ループの有効作用

ℏ\hbar を戻して e−SE/ℏ\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}/\hbar} と書くと、ℏ→0\hbar\to0 で経路積分 (5.10.6) は SE−∫JϕS_{\mathrm E}-\int J\phi の停留点 ϕc\phi_{\mathrm c} のまわりで評価することができる。第4部第8章で経路積分から古典の経路を取り出したのと同じ停留位相(虚時間では鞍点)の評価である。停留点のまわりの2次までの展開で Gauss 積分をすると

W[J]=1ℏ(−SE[ϕc]+∫Jϕc)−12Tr⁡ln⁡SE′′[ϕc]+O(ℏ)W[J]=\frac{1}{\hbar}\Bigl(-S_{\mathrm E}[\phi_{\mathrm c}]+\int J\phi_{\mathrm c}\Bigr)-\frac12\operatorname{Tr}\ln S_{\mathrm E}''[\phi_{\mathrm c}]+\mathcal{O}(\hbar)

となる。SE′′[ϕ]=−∂2+V′′(ϕ)S''_{\mathrm E}[\phi]=-\partial^2+V''(\phi) は2階の汎関数微分で、Tr⁡ln⁡\operatorname{Tr}\ln は Gauss 積分の行列式 det⁡S′′\det S'' の対数である。これを Legendre 変換すると、ϕˉ\bar\phi と ϕc\phi_{\mathrm c} の差は O(ℏ)\mathcal{O}(\hbar) で、その差は SE−∫JϕS_{\mathrm E}-\int J\phi の停留性のため1次では寄与しないので

Γ[ϕˉ]=SE[ϕˉ]+ℏ2Tr⁡ln⁡SE′′[ϕˉ]+O(ℏ2)(5.10.10)\Gamma[\bar\phi]=S_{\mathrm E}[\bar\phi]+\frac{\hbar}{2}\operatorname{Tr}\ln S_{\mathrm E}''[\bar\phi]+\mathcal{O}(\hbar^2)\tag{5.10.10}

を得る。ℏ\hbar の次数がループの数を数えている。以下は再び ℏ=1\hbar=1 とする。

ϕˉ\bar\phi が定数なら Γ=∫d4x Veff(ϕˉ)\Gamma=\int\mathrm{d}^4x\,V_{\mathrm{eff}}(\bar\phi) と書け、S′′S'' は運動量の表示で対角なので

Veff(ϕˉ)=V(ϕˉ)+12∫d4k(2π)4ln⁡(k2+V′′(ϕˉ))+(ϕˉ によらない定数)(5.10.11)V_{\mathrm{eff}}(\bar\phi)=V(\bar\phi)+\frac12\int\frac{\mathrm{d}^4k}{(2\pi)^4}\ln\bigl(k^2+V''(\bar\phi)\bigr)+({\bar\phi}\text{ によらない定数})\tag{5.10.11}

になる。これを有効ポテンシャルと呼ぶ。式 (5.10.11) の積分は、質量 V′′(ϕˉ)\sqrt{V''(\bar\phi)} の振動子の零点エネルギーの和を虚時間で書いたもので、第5部第2章の零点エネルギーが ϕˉ\bar\phi に依存する形で現れている。

くりこみの条件

測る量 m,ϕ,λm,\phi,\lambda を Γ\Gamma で定義する。Euclid の運動量で

Γ(2)(k2)=k2+m2+O((k2+m2)2),Γ(4)(ki=0)=λ(5.10.12)\Gamma^{(2)}(k^2)=k^2+m^2+\mathcal{O}\bigl((k^2+m^2)^2\bigr),\qquad \Gamma^{(4)}(k_i=0)=\lambda\tag{5.10.12}

とする。第1式は、伝播関数 1/Γ(2)1/\Gamma^{(2)} の極が k2=−m2k^2=-m^2(実時間で p2=m2p^2=m^2)にあって留数が 11 であることを言っている。これが「粒子の質量を mm と測り、場をその粒子1個を作る規格で数える」ことの式である。第2式は、4本の外線の運動量がすべて 00 の点で4点の頂点を測り、その値を λ\lambda と呼ぶ、という約束である。λ\lambda の定め方には他の選び方(外線の運動量を μ\mu の程度にそろえた点など)もあり、どれを選んでも予言は変わらない(5.10.4節)。

条件 (5.10.12) は、カウンター項の係数 δZ,δm,δλ\delta_Z,\delta_m,\delta_\lambda を摂動の各次数で決める3つの方程式である。カウンター項は ϕ\phi について式 (5.10.5) の形しかないので、くりこみの条件も3つで足りる。この「足りる」ことが成り立つ理論をくりこみ可能と呼ぶ(5.10.4節)。

例題 5.10.2 0次元の ϕ4\phi^4:有効作用を2通りに計算する ★★★

オリジナル時空の次元を 00 にした「経路積分」Z(J)=12π∫−∞∞dϕ e−S(ϕ)+JϕZ(J)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int_{-\infty}^{\infty}\mathrm{d}\phi\,\mathrm{e}^{-S(\phi)+J\phi}、S(ϕ)=12ϕ2+g4!ϕ4S(\phi)=\frac12\phi^2+\frac{g}{4!}\phi^4(g>0g>0)を考える。W(J)=ln⁡Z(J)W(J)=\ln Z(J)、Γ(ϕˉ)=Jϕˉ−W(J)\Gamma(\bar\phi)=J\bar\phi-W(J) とする。

  1. (1) ⟨ϕ2⟩=1−g2+O(g2)\langle \phi^2 \rangle =1-\frac g2+\mathcal{O}(g^2) を示し、Legendre 変換の性質から Γ′′(0)=1+g2+O(g2)\Gamma''(0)=1+\frac g2+\mathcal{O}(g^2) を導け。
  2. (2) 1ループの式 Γ(ϕˉ)=S(ϕˉ)+12ln⁡S′′(ϕˉ)\Gamma(\bar\phi)=S(\bar\phi)+\frac12\ln S''(\bar\phi) から Γ′′(0)\Gamma''(0) と Γ′′′′(0)\Gamma''''(0) を g2g^2 まで求め、(1) と比べよ。
  3. (3) Γ′′(0)\Gamma''(0) を「測る質量の2乗」m2m^2 と読む。gg の1次で m2m^2 は 11 より大きいか小さいか。
解答

(1) e−gϕ4/24≈1−g24ϕ4\mathrm{e}^{-g\phi^4/24}\approx1-\frac{g}{24}\phi^4 と Gauss の積分 ⟨ϕ2n⟩0=(2n−1)!!\langle \phi^{2n} \rangle _0=(2n-1)!! から

⟨ϕ2⟩=⟨ϕ2⟩0−g24⟨ϕ6⟩01−g24⟨ϕ4⟩0=1−15g241−3g24=1−12g24+O(g2)=1−g2+O(g2).\langle \phi^2 \rangle =\frac{\langle \phi^2 \rangle _0-\frac g{24}\langle \phi^6 \rangle _0}{1-\frac g{24}\langle \phi^4 \rangle _0}=\frac{1-\frac{15g}{24}}{1-\frac{3g}{24}}=1-\frac{12g}{24}+\mathcal{O}(g^2)=1-\frac g2+\mathcal{O}(g^2).

ϕ→−ϕ\phi\to-\phi の対称性で J=0J=0 では ϕˉ=0\bar\phi=0、W′′(0)=⟨ϕ2⟩W''(0)=\langle \phi^2 \rangle。式 (5.10.9) の0次元版は Γ′′(0)W′′(0)=1\Gamma''(0)W''(0)=1 なのでΓ′′(0)=1/⟨ϕ2⟩=1+g2+O(g2)\Gamma''(0)=1/\langle \phi^2 \rangle =1+\frac g2+\mathcal{O}(g^2)。

(2) S′′(ϕˉ)=1+g2ϕˉ2S''(\bar\phi)=1+\frac g2\bar\phi^2 で、12ln⁡(1+g2ϕˉ2)=g4ϕˉ2−g216ϕˉ4+⋯\frac12\ln(1+\frac g2\bar\phi^2)=\frac g4\bar\phi^2-\frac{g^2}{16}\bar\phi^4+\cdots。SS の分と足すと Γ(ϕˉ)=12(1+g2)ϕˉ2+14!(g−32g2)ϕˉ4+⋯\Gamma(\bar\phi)=\frac12\bigl(1+\frac g2\bigr)\bar\phi^2+\frac{1}{4!}\bigl(g-\frac32g^2\bigr)\bar\phi^4+\cdots で、Γ′′(0)=1+g2\Gamma''(0)=1+\frac g2、Γ′′′′(0)=g−32g2\Gamma''''(0)=g-\frac32g^2。(1) と一致する。Γ′′′′(0)\Gamma''''(0) を厳密な WW の微分から作った −W′′′′(0)/W′′(0)4-W''''(0)/W''(0)^4 も g−32g2+O(g3)g-\frac32g^2+\mathcal{O}(g^3) になり(検算 verify_ch5-10.py)、1ループの式は g2g^2 の項まで正しい(2ループの4点の図は g3g^3 から始まる)。

(3) m2=1+g2>1m^2=1+\frac g2>1。斥力の ϕ4\phi^4 は揺らぎ ⟨ϕ2⟩\langle \phi^2 \rangle を小さくし、その逆数の「質量」を大きくする。この符号は、4次元の場で質量の補正 δm2\delta m^2 が正になること(5.10.3節)と同じである。

木下の勉強ステータス

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