tecktom.com

この章のまとめ

2026年10月9日16分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3章 量子力学の作用素論:自己共役性とスペクトル

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第3章 §3.9 ★★★ 第4〜6章の近似が立つ土台の一覧

第4〜6章の近似が立っている土台

  1. 自己共役性(加藤、Kato–Rellich):原子・分子のハミルトニアンは H2H^2 上で自己共役。スペクトルは実数で、スペクトル分解と時間発展 e−iHt\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht} が一意に定まる。根拠は Hardy の不等式によるクーロンの相対限界0。
  2. 下に有界(第一種の安定性):H≥−CH\ge-C。水素型では完全平方で正確に −Z2/2-Z^2/2。下限が有限なので変分原理(Rayleigh 商の下限)が意味をもつ。
  3. スペクトルの構造(Weyl, HVZ):真性スペクトルは [EN−1,∞)[E_{N-1},\infty)。その下には有限重複の孤立固有値しか無い。
  4. 束縛状態の存在(Zhislin):N≤ZN\le Z なら閾値より下に無限個の固有値。遮蔽電荷 Z−N+1Z-N+1 が鍵。
  5. min-max 原理:閾値より下の nn 番目の固有値は inf⁡dim⁡V=nsup⁡V\inf_{\dim V=n}\sup_V で与えられ、任意の有限次元部分空間での対角化は各固有値の上界を与える。上界が閾値を下回れば束縛状態の存在が証明される。

この章の結果は、それ自体は近似ではなく、近似の「標的」を定める役割をもつ。第1章の分類でいえば、A 型(射影)の近似、すなわち第4章の Rayleigh–Ritz・LCAO・CI と、変分として見た第5章の Hartree–Fock は、全て min-max 原理によって「上界」という保証を得ている。その保証が意味をもつのは、HH が自己共役で下に有界であり、近似したい固有値が真性スペクトルの下端より下の離散固有値であるときに限られる。HVZ 定理は、その下端が物理的にはイオン化閾値であることを教え、変分で得た上界が閾値を下回るかどうかという具体的な判定基準を与えた。B 型(極限)の近似である第6章の平均場極限は、多電子のエネルギーが粒子数に比例するという第二種の安定性を前提にしており、この章の第一種の安定性はその最初の一段である。C 型(閉じる)の近似は、この章の枠組みでは何の保証も得ない。近似した交換相関汎関数を使う DFT でエネルギーを計算しても、それは HH の固有値の上界でも下界でもないからである。

例題 3.9 5つの土台で δ\delta ポテンシャルの束縛を挟む ★★

オリジナル例題 3.5 の H=−12d2dx2−g δ(x)H=-\frac12\frac{\mathrm{d}^2}{\mathrm{d} x^2}-g\,\delta(x)(g>0g>0)について、固有値を解かずにこの章の土台だけで基底エネルギーを挟む。二次形式は ⟨ψ, Hψ⟩=12∥ψ′∥2−g∣ψ(0)∣2\langle \psi,\,H\psi\rangle =\frac12\lVert \psi'\rVert ^2-g\lvert \psi(0)\rvert ^2 である。

  • (1) ψ∈H1(R)\psi\in H^1(\mathbb{R}) について ∣ψ(0)∣2≤∥ψ∥ ∥ψ′∥\lvert \psi(0)\rvert ^2\le\lVert \psi\rVert \,\lVert \psi'\rVert を示し、⟨ψ, Hψ⟩≥−g22∥ψ∥2\langle \psi,\,H\psi\rangle \ge-\frac{g^2}{2}\lVert \psi\rVert ^2 を導け。
  • (2) ガウス関数 ϕβ=(2β/π)1/4e−βx2\phi_\beta=(2\beta/\pi)^{1/4}\mathrm{e}^{-\beta x^2} で E(β)=⟨ϕβ, Hϕβ⟩E(\beta)=\langle \phi_\beta,\,H\phi_\beta\rangle を計算し、最小値を求めよ。
  • (3) (1)(2) と σess(H)=[0,∞)\sigma_{\mathrm{ess}}(H)=[0,\infty) から、束縛状態の存在と基底エネルギー E1E_1 の範囲について何が言えるか。奇関数の試行関数 xe−βx2x\mathrm{e}^{-\beta x^2} からは何が言えるか。
解答

(1) ψ∈H1(R)\psi\in H^1(\mathbb{R}) は連続で遠方で0に近づくので、∣ψ(0)∣2=−∫0∞ddx∣ψ∣2dx≤2∫0∞∣ψ∣∣ψ′∣dx\lvert \psi(0)\rvert ^2=-\int_0^\infty\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\lvert \psi\rvert ^2\mathrm{d} x\le2\int_0^\infty\lvert \psi\rvert \lvert \psi'\rvert \mathrm{d} x。同様に ∣ψ(0)∣2=∫−∞0ddx∣ψ∣2dx≤2∫−∞0∣ψ∣∣ψ′∣dx\lvert \psi(0)\rvert ^2=\int_{-\infty}^0\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} x}\lvert \psi\rvert ^2\mathrm{d} x\le2\int_{-\infty}^0\lvert \psi\rvert \lvert \psi'\rvert \mathrm{d} x。2式を足して2で割り、Cauchy–Schwarz を使うと

∣ψ(0)∣2≤∫R∣ψ∣∣ψ′∣dx≤∥ψ∥ ∥ψ′∥.\lvert \psi(0)\rvert ^2\le\int_{\mathbb{R}}\lvert \psi\rvert \lvert \psi'\rvert \mathrm{d} x\le\lVert \psi\rVert \,\lVert \psi'\rVert .

s=∥ψ′∥s=\lVert \psi'\rVert とおくと ⟨ψ, Hψ⟩≥12s2−g∥ψ∥s=12(s−g∥ψ∥)2−g22∥ψ∥2≥−g22∥ψ∥2\langle \psi,\,H\psi\rangle \ge\frac12s^2-g\lVert \psi\rVert s=\frac12(s-g\lVert \psi\rVert )^2-\frac{g^2}{2}\lVert \psi\rVert ^2\ge-\frac{g^2}{2}\lVert \psi\rVert ^2。HH は下に有界で(土台の2番目)、下界 −g2/2-g^2/2 は例題 3.5 の固有値と一致する。水素型原子の完全平方(命題 3.17)と同じく、平方完成で正確な下界が出る例である。

(2) ∣ϕβ∣2\lvert \phi_\beta\rvert ^2 は分散 1/(4β)1/(4\beta) の正規分布の密度なので ∫x2∣ϕβ∣2=1/(4β)\int x^2\lvert \phi_\beta\rvert ^2=1/(4\beta)。ϕβ′=−2βxϕβ\phi_\beta'=-2\beta x\phi_\beta より12∥ϕβ′∥2=12⋅4β2⋅14β=β2\frac12\lVert \phi_\beta'\rVert ^2=\frac12\cdot4\beta^2\cdot\frac{1}{4\beta}=\frac{\beta}{2}。また ∣ϕβ(0)∣2=2β/π\lvert \phi_\beta(0)\rvert ^2=\sqrt{2\beta/\pi}。よって

E(β)=β2−g2βπ,E′(β)=12−g2πβ=0 ⟹ β=2g2π,E(\beta)=\frac{\beta}{2}-g\sqrt{\frac{2\beta}{\pi}},\qquad E'(\beta)=\frac12-\frac{g}{\sqrt{2\pi\beta}}=0\ \Longrightarrow\ \beta=\frac{2g^2}{\pi},

最小値は E=g2π−g⋅2gπ=−g2π≈−0.3183 g2E=\frac{g^2}{\pi}-g\cdot\frac{2g}{\pi}=-\frac{g^2}{\pi}\approx-0.3183\,g^2。

(3) HH は自己共役(土台の1番目。例題 3.5 で定義域ごと定めた)で、σess(H)=[0,∞)\sigma_{\mathrm{ess}}(H)=[0,\infty)(土台の3番目)。min-max 原理(土台の5番目)からμ1=inf⁡∥ψ∥=1⟨ψ, Hψ⟩≤−g2/π<0=inf⁡σess(H)\mu_1=\inf_{\lVert \psi\rVert =1}\langle \psi,\,H\psi\rangle \le-g^2/\pi<0=\inf\sigma_{\mathrm{ess}}(H) なので、μ1\mu_1 は離散固有値であり、束縛状態が存在する。(1) と合わせると

−g22≤E1≤−g2π.-\frac{g^2}{2}\le E_1\le-\frac{g^2}{\pi}.

上界は真の値 −g2/2-g^2/2 の 2/π≈0.642/\pi\approx0.64 倍にとどまる。原点で ψ′\psi' が跳ぶ真の固有関数 e−g∣x∣\mathrm{e}^{-g\lvert x\rvert } を滑らかなガウス関数1つでは表せないからで、例題 3.6 のカスプと同じ事情である。奇関数 xe−βx2x\mathrm{e}^{-\beta x^2} は ψ(0)=0\psi(0)=0 なので ⟨ψ, Hψ⟩=12∥ψ′∥2>0\langle \psi,\,H\psi\rangle =\frac12\lVert \psi'\rVert ^2>0 となり、第2固有値の上界として 00 以上の値しか得られない。min-max はこのとき何も主張せず、束縛状態がただ1つという例題 3.5 の結論と矛盾しない(検算スクリプト)。

総合問題 有限の大きさの原子核をもつ水素型原子 ★★★

オリジナル原子核を点電荷でなく、半径 RR の一様に帯電した球とする。電荷 ZZ の水素型原子のポテンシャルは

VR(r)={−Z(3R2−r2)2R3(r<R)−Zr(r≥R)V_R(r)=\begin{cases}-\dfrac{Z(3R^2-r^2)}{2R^3}&(r<R)\\[1.5ex]-\dfrac{Z}{r}&(r\ge R)\end{cases}

で、HR=−12Δ+VRH_R=-\frac12\Delta+V_R、点電荷の場合を H=−12Δ−Z/rH=-\frac12\Delta-Z/r、差を W=VR+Z/rW=V_R+Z/r と書く。HH の基底状態を ψ1s=(Z3/π)1/2e−Zr\psi_{1s}=(Z^3/\pi)^{1/2}\mathrm{e}^{-Zr}(固有値 −Z2/2-Z^2/2)とする。

  1. (1) HRH_R が H2(R3)H^2(\mathbb{R}^3) 上で自己共役であることを示せ。(使う道具:第3章 §Hardy の不等式と Kato–Rellich の定理)
  2. (2) W≥0W\ge0 を示し、HRH_R の基底エネルギー ERE_R が ER≥−Z2/2E_R\ge-Z^2/2 を満たすことを示せ。(使う道具:第3章 §下に有界であること)
  3. (3) ⟨ψ1s, Wψ1s⟩≤25Z4R2\langle \psi_{1s},\,W\psi_{1s}\rangle \le\frac25Z^4R^2 を示し、−Z22≤ER≤−Z22+25Z4R2-\frac{Z^2}{2}\le E_R\le-\frac{Z^2}{2}+\frac25Z^4R^2 を導け。(ZR)2<54(ZR)^2<\frac54 なら ERE_R が離散固有値であることも示せ。(使う道具:第3章 §min-max 原理・§スペクトルの分類と Weyl の判定法)
  4. (4) 水素(Z=1Z=1)で陽子を半径 R=1.086R=1.086 fm の一様な球とし(a0=52918a_0=52918 fm)、(3) のずれの上限を hartree と eV で求めよ。(使う道具:(3) の結果)
  5. (5) ∥e−iHRtψ1s−e−iHtψ1s∥≤t ∥Wψ1s∥≤t3335 Z5/2R1/2\lVert \mathrm{e}^{-\mathrm{i} H_Rt}\psi_{1s}-\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}\psi_{1s}\rVert \le t\,\lVert W\psi_{1s}\rVert \le t\sqrt{\tfrac{33}{35}}\,Z^{5/2}R^{1/2} を示し、第2章の連続依存の評価と比べよ。(使う道具:第2章 §Grönwall の不等式とデータへの連続依存、第3章 §対称作用素と自己共役作用素の Stone の定理)
  6. (6) 点電荷の原子核で計算することは、第1章の3つの型のどれに当たるか。(3) の上界はどの型の評価か。(使う道具:第1章 §近似の3つの型)
解答

(1) ∣VR∣\lvert V_R\rvert は r=0r=0 で最大値 3Z/(2R)3Z/(2R) をとるので、VRV_R は有界な掛け算作用素で、∥VRψ∥≤3Z2R∥ψ∥\lVert V_R\psi\rVert \le\frac{3Z}{2R}\lVert \psi\rVert。Kato–Rellich の定理(定理 3.15)を A=−12ΔA=-\frac12\Delta(H2H^2 上で自己共役)、B=VRB=V_R、a=0a=0、b=3Z/(2R)b=3Z/(2R) で使うと、HRH_R は H2(R3)H^2(\mathbb{R}^3) 上で自己共役である。点電荷の HH も加藤の定理(定理 3.16)で同じ H2H^2 上で自己共役なので、HH と HRH_R は同じ定義域をもち、W=HR−HW=H_R-H は H2H^2 の上で意味をもつ。

(2) r≥Rr\ge R では W=0W=0。r<Rr<R では u=r/R∈(0,1)u=r/R\in(0,1) として

W=Zr−Z(3R2−r2)2R3=Z2Ru(2−3u+u3)=Z2Ru(1−u)2(u+2)≥0.W=\frac{Z}{r}-\frac{Z(3R^2-r^2)}{2R^3}=\frac{Z}{2Ru}\bigl(2-3u+u^3\bigr)=\frac{Z}{2Ru}(1-u)^2(u+2)\ge0.

原子核の電荷が広がると、原子核の内側に入った電子が感じる引力は点電荷より弱くなるということである。よって任意の ψ∈H2\psi\in H^2 で⟨ψ, HRψ⟩=⟨ψ, Hψ⟩+⟨ψ, Wψ⟩≥⟨ψ, Hψ⟩≥−Z22∥ψ∥2\langle \psi,\,H_R\psi\rangle =\langle \psi,\,H\psi\rangle +\langle \psi,\,W\psi\rangle \ge\langle \psi,\,H\psi\rangle \ge-\frac{Z^2}{2}\lVert \psi\rVert ^2(命題 3.17)。下限をとって ER≥−Z2/2E_R\ge-Z^2/2。

(3) W≥0W\ge0 と e−2Zr≤1\mathrm{e}^{-2Zr}\le1 より

⟨ψ1s, Wψ1s⟩=4Z3∫0Rr2W(r)e−2Zrdr≤4Z3∫0R(Zr−Z(3R2r2−r4)2R3)dr=4Z4(R22−2R25)=25Z4R2.\begin{aligned}\langle \psi_{1s},\,W\psi_{1s}\rangle &=4Z^3\int_0^R r^2W(r)\mathrm{e}^{-2Zr}\mathrm{d} r\le4Z^3\int_0^R\Bigl(Zr-\frac{Z(3R^2r^2-r^4)}{2R^3}\Bigr)\mathrm{d} r\\ &=4Z^4\Bigl(\frac{R^2}{2}-\frac{2R^2}{5}\Bigr)=\frac25Z^4R^2.\end{aligned}

系 3.24(n=m=1n=m=1、1次元の部分空間 span{ψ1s}\mathrm{span}\{\psi_{1s}\})から μ1(HR)≤⟨ψ1s, HRψ1s⟩=−Z22+⟨ψ1s, Wψ1s⟩≤−Z22+25Z4R2\mu_1(H_R)\le\langle \psi_{1s},\,H_R\psi_{1s}\rangle =-\frac{Z^2}{2}+\langle \psi_{1s},\,W\psi_{1s}\rangle \le-\frac{Z^2}{2}+\frac25Z^4R^2。(2) と合わせて求める挟み撃ちを得る。VRV_R は有界で遠方で0に近づくので、本文の水素型原子と同じく VR(H0+i)−1V_R(H_0+\mathrm{i})^{-1} はコンパクトで、Weyl の定理(定理 3.21)から σess(HR)=[0,∞)\sigma_{\mathrm{ess}}(H_R)=[0,\infty)。上界が負になる条件は 25Z4R2<Z22\frac25Z^4R^2<\frac{Z^2}{2}、すなわち (ZR)2<54(ZR)^2<\frac54 で、このとき μ1<inf⁡σess(HR)\mu_1<\inf\sigma_{\mathrm{ess}}(H_R) なので ER=μ1E_R=\mu_1 は離散固有値である。相対的なずれは (2/5)Z4R2Z2/2=45(ZR)2\frac{(2/5)Z^4R^2}{Z^2/2}=\frac45(ZR)^2 以下で、小さいパラメータは原子核の半径と 1s1s 軌道の半径 1/Z1/Z の比 ZRZR である。

(4) R=1.086/52918=2.052×10−5R=1.086/52918=2.052\times10^{-5}。25R2=1.685×10−10\frac25R^2=1.685\times10^{-10} hartree =4.58×10−9=4.58\times10^{-9} eV(周波数に直すと約 1.1 MHz)。基底エネルギー −12-\frac12 hartree に対する相対的なずれは 3.4×10−103.4\times10^{-10} 以下である。ZR≪1ZR\ll1 なので e−2Zr≈1\mathrm{e}^{-2Zr}\approx1 の近似は r<Rr<R の範囲でほぼ正確で、この上界は1次の摂動のずれそのものにほぼ一致する(検算スクリプト)。水素の精密分光ではこの大きさのずれが測られ、陽子の半径を決める手段になっている。

(5) Stone の定理(定理 3.11)から e−iHt\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}、e−iHRt\mathrm{e}^{-\mathrm{i} H_Rt} はユニタリで、H2H^2 を保ち、H2H^2 の元に対して tt で微分できる。ψ1s∈H2\psi_{1s}\in H^2 について

ddt(eiHRte−iHtψ1s)=i eiHRt(HR−H)e−iHtψ1s=i eiHRtWeiZ2t/2ψ1s.\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} t}\Bigl(\mathrm{e}^{\mathrm{i} H_Rt}\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}\psi_{1s}\Bigr)=\mathrm{i}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} H_Rt}(H_R-H)\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}\psi_{1s}=\mathrm{i}\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} H_Rt}W\mathrm{e}^{\mathrm{i} Z^2t/2}\psi_{1s}.

右辺のノルムは時刻によらず ∥Wψ1s∥\lVert W\psi_{1s}\rVert である。00 から tt まで積分し、左からユニタリ e−iHRt\mathrm{e}^{-\mathrm{i} H_Rt} を掛けてもノルムは変わらないので

∥e−iHtψ1s−e−iHRtψ1s∥=∥eiHRte−iHtψ1s−ψ1s∥≤t ∥Wψ1s∥.\lVert \mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}\psi_{1s}-\mathrm{e}^{-\mathrm{i} H_Rt}\psi_{1s}\rVert =\lVert \mathrm{e}^{\mathrm{i} H_Rt}\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Ht}\psi_{1s}-\psi_{1s}\rVert \le t\,\lVert W\psi_{1s}\rVert .

さらに e−2Zr≤1\mathrm{e}^{-2Zr}\le1 と u=r/Ru=r/R で

∥Wψ1s∥2≤4Z3∫0Rr2W2dr=4Z5R∫01(1−3u2+u32)2du=4Z5R⋅33140=3335Z5R.\lVert W\psi_{1s}\rVert ^2\le4Z^3\int_0^R r^2W^2\mathrm{d} r=4Z^5R\int_0^1\Bigl(1-\frac{3u}{2}+\frac{u^3}{2}\Bigr)^2\mathrm{d} u=4Z^5R\cdot\frac{33}{140}=\frac{33}{35}Z^5R.

第2章の連続依存の評価は「残差 × 増幅率 eLt\mathrm{e}^{Lt}」の形をしていた。ここでも残差は Wψ1sW\psi_{1s} だが、時間発展がユニタリなので増幅率は1で、誤差は時間に比例してしか増えない。第2章で述べた「構造があると増幅率を下げられる」の例で、その構造が自己共役性(Stone の定理)である。なお状態の残差は R1/2R^{1/2} の大きさで、(3) のエネルギーのずれ R2R^2 よりずっと大きい。WW は原点で Z/rZ/r のように大きく、Wψ1sW\psi_{1s} のノルムはその狭い領域で決まるのに対し、エネルギーのずれは WW を体積 R3R^3 の範囲で平均した量だからである。

(6) 点電荷で計算することは、RR を含む問題の族 PRP_R で R→0R\to0 の極限の問題 P0P_0 を解くことなので、B 型(極限)の近似である。小さいパラメータは ZRZR で、(2)(3) の挟み撃ち 0≤ER−(−Z22)≤45(ZR)2⋅Z220\le E_R-(-\frac{Z^2}{2})\le\frac45(ZR)^2\cdot\frac{Z^2}{2} がその誤差評価になっている。一方 (3) の上界そのものは、HRH_R の固有値を1次元の部分空間 span{ψ1s}\mathrm{span}\{\psi_{1s}\} への射影で評価したもので、A 型(射影)の評価である。B 型の近似の誤差を、A 型の上界と下に有界性の下界で挟んで証明した、という組み立てになっている。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ