この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第1部 第4章 §1.4.7 ★★ 基準の公理は、別々に生まれた2つの構成を1つの空間の2つの表示として収めるために作られた
古い量子論は軌道を残したまま作用に整数条件を課し、水素の準位を説明したが、多電子原子・異常 Zeeman 効果・遷移の強さ・零点エネルギーで行き詰まった。1925 年の夏から秋に、Heisenberg・Born・Jordan・Dirac は軌道を捨て、観測量の表(行列)と交換関係 から理論を組んだ。この理論は状態の空間を持たなかった。1926 年の前半に Schrödinger は物質波を固有値問題として書き、配位空間の関数を基本の対象にした。同じ年の 3 月に Schrödinger は、波動関数の完全系から行列力学の行列を作れることを示したが、逆向きは示されず、2つの理論は時間の扱いと の読み方でも違っていた。Born の確率解釈、Dirac と Jordan の変換理論、Kennard の不等式、Weyl の形を経て、von Neumann が 1927 年に と を同じ抽象的なヒルベルト空間の2つの実現として並べ、Stone と von Neumann が 1930〜1931 年に表現の一意性を示し、1932 年の本で公理の形が整った。橋の節では、この統合を命題 1.4.1 として両向きに証明し、行列力学がエネルギー表示、波動力学が位置表示であることを (1.4.14) で並べた。
この経緯から、この巻の残りの部で同値を示すときに何が要るかが読み取れる。1つ目は、両方の構成を同じ空間の上に置くこと、2つ目は、写像が両向きに(全単射として)働くことを示すこと、3つ目は、予言(確率と期待値)の読み方をそろえることである。図 1.4.3 に7年間の流れをまとめる。
図 1.4.3 1913〜1932 年の流れ。左の青い線が行列力学の系統、右の赤い線が波動力学の系統で、1926 年の後半から1つの理論(緑)に合流する。年の目盛りは等間隔でなく、出来事の順に並べた。
総合問題 1つの分子振動を、1925〜1932 年の言葉で順に解く ★★★
オリジナル振動数 、質量 の1次元の調和振動子(分子の振動の模型)を考える。 とする。
- (1) 古い量子論の条件 (1.4.2) が与える準位と、正しい準位の差を meV で求めよ。(使う道具:1.4.1 節)
- (2) Born–Jordan の行列を で切り、 と の対角成分を求めよ。切ったことで壊れる成分を指摘せよ。(使う道具:1.4.2 節)
- (3) Schrödinger の構成 (1.4.10) で を計算し、 と を pm で求めよ。(使う道具:1.4.4 節)
- (4) 例題 1.4.6 の波束で のとき、振動の振幅・エネルギーの期待値・位置の幅を求めよ。さらに Heisenberg 描像の で を出し、波束の中心の動きと一致することを確かめよ。(使う道具:1.4.5 節・第1部第2章の Heisenberg 描像)
- (5) 同じ波束( は複素数)で を、行列力学( を使った行列の和)と波動力学(Gauss 分布の2次モーメント)の両方で計算し、一致を確かめよ。(使う道具:1.4.6 節の命題 1.4.1)
解答
(1) 。古い量子論は 、正しくは なので、全ての準位で差は零点エネルギー である。遷移の振動数 (1.4.1) は差しか見ないので、この差は1つの分子のスペクトル線の位置には現れず、例題 1.4.2 のように同位体を比べたときに現れる。
(2) 例題 1.4.3 で とおいて 、。壊れているのは切り口の成分 と (正しくは )で、どちらもトレースを に保つために生じた誤差である。
(3) 例題 1.4.5 から 。数値は
分子の結合の長さ( の桁)より小さいので、振動を調和振動子で扱う模型は大きくは外れない。
(4) 中心は で振動し、振幅は 。エネルギーは ( は Poisson 分布の平均)。位置の幅(標準偏差)は で時間によらない。Heisenberg 描像では、時刻 の期待値 、 を使って( を使った)。状態を動かした例題 1.4.6 の結果と、演算子を動かした結果が一致する。
(5) 行列力学: と、数列 が ()を満たすことから
( の期待値が 、 の分の )。波動力学: は中心 、分散 の Gauss 分布なので 。 なので両者は一致する。 で数値の積分でも一致を確かめた()。
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