解答
(1) [p^x,x^]=−iℏ で、p^y は x^、p^x と交換するから[mv^x,mv^y]=[p^x,−qeBx^]=iℏqeB、すなわち [v^x,v^y]=iℏωc/m。H^=2m(v^x2+v^y2)−qeEx^ と書けるので、[x^,H^]=iℏv^x、[y^,H^]=iℏv^y([y^,p^y]=iℏ)。Leibniz 則から [v^x,v^y2]=2iℏωcv^y/m、[v^x,−qeEx^]=iℏqeE/m、[v^y,v^x2]=−2iℏωcv^x/m、[v^y,x^]=0 なので
x^˙=v^x,y^˙=v^y,v^˙x=ωcv^y+mqeE,v^˙y=−ωcv^x.
古典の mv˙=qe(E+v×B) は成分で mv˙x=qeE+qeBvy、mv˙y=−qeBvx で、帽子を外せば同じ式である。p^y と x^ が交換するので、(p^y−qeBx^)2 に順序の曖昧さは無い(前の章の処方がそのまま当たる)。
(2) qeE/m=ωcE/B だから v^˙x=ωcu^、u^˙=−ωcv^x で、(v^x,u^) は角速度 ωc で回る。
v^x(t)=v^xcosωct+u^sinωct,v^y(t)=−BE+u^cosωct−v^xsinωct.
1周期 2π/ωc で平均すると三角関数の項が消え、速度の平均は (0,−E/B)、すなわち E×B/B2 の向きのドリフトになる。古典の解と同じ式で、状態によらず演算子として成り立つ。
(3) X^˙=v^x+v^˙y/ωc=v^x−v^x=0、Y^˙=v^y−v^˙x/ωc=v^y−v^y−E/B=−E/B。交換子は [X^,Y^]=[x^,−v^x]/ωc+[v^y,y^]/ωc−[v^y,v^x]/ωc2 で、[x^,v^x]=iℏ/m、[v^y,y^]=−iℏ/m、[v^y,v^x]=−iℏωc/m を入れるとωc1(−miℏ−miℏ+miℏ)=−mωciℏ=−qeBiℏ。E=0 なら X^ と Y^ はどちらも保存し、互いに交換しないので、命題 2.3.5 により準位は縮退する(面積が有限の試料で考えればスペクトルは離散的)。古典では、旋回中心がどこにあっても同じエネルギーの円運動ができることに当たる。
(4) x^=X^−v^y/ωc を代入すると −qeEx^=−qeEX^+m(E/B)v^y で、2mv^y2+mBEv^y=2mu^2−2B2mE2 だから与えられた形になる。[X^,v^x]=[x^,v^x]+[v^y,v^x]/ωc=iℏ/m−iℏ/m=0、[X^,v^y]=0(x^ と v^y は交換)で、X^ は u^ とも交換する。[v^x+iu^,v^x−iu^]=−2i[v^x,u^]=2ℏωc/m から [a^,a^†]=1、a^†a^=2ℏωcm(v^x2+u^2)−21 だから 2m(v^x2+u^2)=ℏωc(a^†a^+21)。a^†a^ の固有値は n=0,1,2,…(第2部第4章)、X^ はそれと交換して固有値 X を持つので
En,X=ℏωc(n+21)−qeEX−2B2mE2.
E=0 では X によらない Landau 準位 ℏωc(n+21) になる。[X^,Y^]=−iℓ2(ℓ2=ℏ/(qeB))は、ℏ を ℓ2 に置き換えた正準交換関係である(符号は Y^ を座標、X^ を運動量と読めばそろう)。1自由度の相空間で状態1つが面積 2πℏ を占めるのと同じく(第2部第1章の Bohr–Sommerfeld の数え方)、(X,Y) の平面では状態1つが面積 2πℓ2 を占めるので、面積 S あたりの状態の数は S/(2πℓ2)=qeBS/(2πℏ) である。
(5) ℏωc=ℏeB/m=1.73meV、ℓB=25.7nm、面密度 eB/(2πℏ)=eB/h=2.42×1014m−2(スピン1つあたり)、ドリフトの速さ E/B=103ms−1、mE2/(2B2)=1.9×10−7eV(ℏωc の約 10−4)。電子は qe=−e<0 なので回る向きは逆になるが、ドリフトの向き E×B/B2 と、上の大きさは変わらない。