この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第2部 第6章 §2.6.7 ★★★ 基準と行列力学の同値を両向きにまとめ、総合問題で磁場中の電子の旋回中心に Weyl の形と定理を当てる
この章では、基準(状態ベクトル)と行列力学が同じ理論であることを両向きに示した。基準から行列力学への向きは描像の変換で、ハミルトニアンが時間に依る場合も相互作用描像も含めて、3つの描像がすべての期待値を同じに与える(命題 2.6.2)。相互作用描像の時間発展を繰り返し代入で展開したものが Dyson 級数で、パルスで揺すった振動子では3つの描像が同じ を与えた。
行列力学から基準への向きには2つの段階があった。第一の段階で、交換子の形の運動方程式からユニタリな時間発展を作るには、ハミルトニアンの自己共役な拡張を選ぶ必要がある(Stone の定理)。箱の中の粒子では、同じ形式的な Heisenberg 方程式から、境界条件ごとに別のスペクトルをもつ理論が出た。第二の段階で、交換関係を稠密な部分空間で満たすだけでは表現は決まらず(区間の運動量の の族)、交換関係を Weyl の形に直すと、有限自由度の既約な表現は Schrödinger の表現1つになる(Stone–von Neumann の定理)。証明では、Weyl 演算子の Gauss 平均 が Weyl の関係だけで射影になることを Gauss 積分で示し、その像のベクトルが消滅演算子で消える真空であることを示した。これで第2部第4章の梯子の議論の前提(一番下の状態の存在)が Weyl の形から保証される。
定理から、交換関係を保つ時間発展は位相を除いて一意なユニタリで書け、残る位相はハミルトニアンの定数項にあたる。共通例題①では、4分の1周期の時間発展が Fourier 変換に零点の位相 を掛けたもので、Mehler 核の前の因子と一致した。1周期の は Heisenberg 描像には現れないが、重ね合わせの相対位相としては観測にかかる。定理の外側(区間・円・無限自由度・正則でない表現)は、第2部第5章のオフセット電荷と第8部で扱う。
総合問題 磁場中の電子の旋回中心:Weyl の形と状態の数え方 ★★★
オリジナル一様な磁場 ( 方向)の中で平面を動く電荷 の粒子を考える。第2部第3章の総合問題で、旋回中心の演算子 はハミルトニアンと交換し、()を満たすことを示した。1つの Landau 準位の中の状態は、この の表現で数えられる。
- (1) とおくと であることを示し、無限に広い平面では1つの Landau 準位の状態の空間がどんな表現になるかを、Stone–von Neumann の定理を使って述べよ。(使う道具:第2部第3章の総合問題・この章の第4節)
- (2) 磁気並進 、 が旋回中心をそれぞれ 、 だけずらすことを示し、 を導け。(使う道具:この章の第3節の Weyl の関係)
- (3) 試料を周期 のトーラスにすると、 と は状態の空間の上で数(境界条件の位相)として作用しなければならない。このことから が整数でなければならないことを示せ。、 のとき、 は許されるか。許される磁場の間隔と、 に最も近い値を求めよ。(使う道具:第3節・第2部第5章の と同じ境界条件のねじれ)
- (4) トーラスの上で境界条件と両立する磁気並進は 、 で生成されることを使い、 を示せ。この関係の既約な表現が 次元であることから、1つの Landau 準位の状態の数が であることを導き、第2部第3章の面密度 と比べよ。(使う道具:第1部第2章の有限次元の表現・第4節)
- (5) 有限次元では は満たせない(トレース)。それでも (4) で 次元の表現があることは、Stone–von Neumann の定理とどう両立するか。(使う道具:第1部第2章・第3節・第4節)
解答
(1) 。 は1自由度の正準な組で、平面の上ではその並進 、 がすべての実数 で定義され、Weyl の関係を満たす正則な表現になる。1つの Landau 準位の中には と交換する演算子がほかに無いので表現は既約で、定理 2.6.5 により Schrödinger 表現 とユニタリ同値である。状態の空間は無限次元で、準位は無限に縮退している(波動関数の言葉では、 の固有値 を中心とする Landau ゲージの帯状の状態が だけある)。
(2) なので、(交換子が数なので級数は1次で止まる)。同様に 。指数の肩 、 の交換子は で、 から 。これは (2.6.10) の で を に置き換えた形である。
(3) トーラスでは旋回中心を や だけずらすと同じ点に戻るので、、(数)でなければならない。数どうしは交換するので、(2) から 、すなわち 、 は整数である。位相 は第2部第5章の と同じ境界条件のねじれで、選び方ごとに別の表現になる。 では 、 で、 あたり 。整数でないので許されない。許される磁場は の整数倍で、 に最も近いのは の である。
(4) が と交換する(境界条件を保つ)条件は 、すなわち で、 も同様に である。よって両立する並進は と で生成される。(2) で 、 とおくと なので 。さらに 、 は数である。 の固有ベクトル (固有値 )に を当てると なので、固有値は ()の 個が必ずそろい、それらの張る 次元の空間は ・ で不変である。その上で と の両方と交換する行列は数だけなので(検算スクリプトで の交換子環が1次元であることを確かめた)、既約な表現は 次元である。1つの Landau 準位の状態の数は で、面積 に面密度 を掛けたものと一致する。
(5) 次元の表現で Weyl の関係が成り立つのは、、 という離散的な格子の上だけである。連続な で が定義されないので、生成子 も も存在せず、トレースの議論が使う はそもそも書けない( は と矛盾しない)。Stone–von Neumann の定理は全部の実数 で Weyl の関係が成り立つ正則な表現についての主張なので、格子の上だけの表現は定理の前提の外にある。第2.6.3節の区間の運動量と同じく、配置空間が閉じると Weyl の関係が格子に制限され、表現が有限次元や の族に変わる。
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