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橋:基準の言葉で同じものを書く

2026年10月17日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第1章 二重スリットから「全経路の和」へ
目次
  1. 対応表
  2. 自由粒子で両向きを示す
  3. 学部の授業での書き方との対応
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第3部 第1章 §3.1.6 ★★★ 伝播関数は時間発展の演算子の位置表示、合成則は完全系の挿入。自由粒子で両向きを確かめる

この章で置いた対象を、基準(第1部の状態ベクトルと演算子)の言葉に移す。これは巻の同値性の地図の「状態ベクトル ↔ 経路積分」の橋に当たる。橋の一般の証明は、基準から経路積分へが第3部第2章(時間分割と完全系の挿入)、経路積分から基準へが第3部第5章(短い時間の核から Schrödinger 方程式)である。ここでは対応を式で並べ、自由粒子に限って両向きを示す。

対応表

基準では、状態 ∣ψ(t)⟩| \psi(t) \rangle は Schrödinger 方程式 iℏ ∂t∣ψ⟩=H^∣ψ⟩\mathrm{i}\hbar\,\partial_t| \psi \rangle =\hat H| \psi \rangle に従い、H^\hat H が時間によらなければ ∣ψ(t)⟩=e−iH^(t−t′)/ℏ∣ψ(t′)⟩| \psi(t) \rangle =\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat H(t-t')/\hbar}| \psi(t') \rangle である。この章の対象との対応は次のとおりである。

K(xf,tf;xi,ti)=⟨xf∣e−iH^(tf−ti)/ℏ∣xi⟩ψ(x,t)=⟨x∣ψ(t)⟩合成則 (3.1.9)⟺e−iH^(tf−ti)/ℏ=e−iH^(tf−t)/ℏ(∫dx ∣x⟩⟨x∣)e−iH^(t−ti)/ℏK→δ(xf−xi) (tf→ti)⟺⟨xf∣xi⟩=δ(xf−xi)\begin{align*}K(x_f,t_f;x_i,t_i)&=\langle x_f | \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat H(t_f-t_i)/\hbar} | x_i \rangle\tag{3.1.25}\\\psi(x,t)&=\langle x | \psi(t) \rangle\tag{3.1.26}\\\text{合成則~(3.1.9)}\quad&\Longleftrightarrow\quad \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat H(t_f-t_i)/\hbar}=\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat H(t_f-t)/\hbar}\Bigl(\int\mathrm{d} x\,| x \rangle \langle x |\Bigr)\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat H(t-t_i)/\hbar}\tag{3.1.27}\\K\to\delta(x_f-x_i)\ (t_f\to t_i)\quad&\Longleftrightarrow\quad\langle x_f | x_i \rangle =\delta(x_f-x_i)\tag{3.1.28}\end{align*}

式 (3.1.27) の右辺の括弧は位置の固有状態の完全性 ∫dx ∣x⟩⟨x∣=1^\int\mathrm{d} x\,| x \rangle \langle x |=\hat 1 で、左右の指数関数は H^\hat H が自分自身と可換であることから1つにまとめることができる。3.1.2節で「隙間なくあけた衝立のどこを通ったかで道すじを分ける」と言ったことは、基準では「位置の固有状態で完全系を挟む」ことに当たる。式 (3.1.10) は式 (3.1.27) と同じ操作を ∣ψ(t′)⟩| \psi(t') \rangle に当てたものである。

振幅の規則(3.1.1節の要点の箱)も基準の言葉に移る。

  1. 規則 1 は Born の規則(第1部第2章)である。位置 xx に見つかる確率密度は ∣⟨x∣ψ⟩∣2\lvert \langle x | \psi \rangle \rvert ^2 になる。
  2. 規則 2 は重ね合わせの原理である。衝立を通った直後の状態は ∣ψ⟩=c1∣1⟩+c2∣2⟩| \psi \rangle =c_1| 1 \rangle +c_2| 2 \rangle(∣j⟩| j \rangle はスリット jj を通った状態)で、時間発展が線形なので振幅の和が保たれる。
  3. 規則 3 は合成系の状態で書ける。検出器の状態を ∣Dj⟩| D_j \rangle として c1∣1⟩⊗∣D1⟩+c2∣2⟩⊗∣D2⟩c_1| 1 \rangle \otimes| D_1 \rangle +c_2| 2 \rangle \otimes| D_2 \rangle とし、検出器について部分トレースをとると、干渉項に ⟨D2∣D1⟩\langle D_2 | D_1 \rangle が掛かる。

規則 3 で ⟨D2∣D1⟩=0\langle D_2 | D_1 \rangle =0 なら干渉項が消え、∣⟨D2∣D1⟩∣=1\lvert \langle D_2 | D_1 \rangle \rvert =1 なら規則 2 に戻る。その中間を扱えることが基準の言葉に移す利点で、部分トレースと密度行列による扱いは第4部第1章・第4部第2章で行う。

自由粒子で両向きを示す

基準から経路積分の向きは、式 (3.1.25) の右辺を自由粒子 H^=p^2/(2m)\hat H=\hat p^2/(2m) について計算し、式 (3.1.16) が出ることを示せばよい(例題 3.1.6)。

経路積分から基準の向きは、式 (3.1.16) の K0K_0 が Schrödinger 方程式を満たすことを確かめる。xfx_f を xx と書いて微分すると

iℏ ∂tK0=[−iℏ2t+m(x−xi)22t2]K0,−ℏ22m∂x2K0=[−iℏ2t+m(x−xi)22t2]K0\mathrm{i}\hbar\,\partial_tK_0=\Bigl[-\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}+\frac{m(x-x_i)^2}{2t^2}\Bigr]K_0,\qquad -\frac{\hbar^2}{2m}\partial_x^2K_0=\Bigl[-\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}+\frac{m(x-x_i)^2}{2t^2}\Bigr]K_0

となり、両者は等しい。さらに 3.1.4節で見たとおり t→0t\to0 で K0→δ(x−xi)K_0\to\delta(x-x_i) である。

Schrödinger 方程式の解は初期条件で一つに決まるので、K0K_0 は ⟨x∣e−ip^2t/(2mℏ)∣xi⟩\langle x | \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat p^2t/(2m\hbar)} | x_i \rangle に等しい。一般のポテンシャルでは、短い時間の核を ϵ\epsilon について展開して同じことを示す。その証明が第3部第5章である。

学部の授業での書き方との対応

学部の量子力学の授業では、二重スリットを波動関数の重ね合わせ ψ=ψ1+ψ2\psi=\psi_1+\psi_2 と ∣ψ∣2=∣ψ1∣2+∣ψ2∣2+2Re⁡(ψ1ψ2∗)\lvert \psi\rvert ^2=\lvert \psi_1\rvert ^2+\lvert \psi_2\rvert ^2+2\operatorname{Re}(\psi_1\psi_2^*) で説明することが多い。これは式 (3.1.2) と同じで、ψj\psi_j を「スリット jj を通る経路の振幅の和」と読めばこの章の形になる。両者の違いは、波動関数の記述では ψ1\psi_1 と ψ2\psi_2 がそれぞれ Schrödinger 方程式の解として与えられるのに対し、この章では各 ψj\psi_j も経路の和として作り直せる点にある。

光学の授業では、回折を Huygens–Fresnel の原理で計算する。開口の各点から2次波が出て、近軸では伝播の核

∝exp⁡[ik(x−x′)22ℓ]\propto\exp\Bigl[\frac{\mathrm{i} k(x-x')^2}{2\ell}\Bigr]

で検出面に届く(Fresnel 近似)。自由粒子の核 (3.1.16) の指数に t=ℓ/vt=\ell/v と k=mv/ℏk=mv/\hbar を入れると m(x−x′)2/(2ℏt)=k(x−x′)2/(2ℓ)m(x-x')^2/(2\hbar t)=k(x-x')^2/(2\ell) となり、同じ形である。自由粒子の経路積分は、Huygens の2次波を時間方向に何段も重ねたものと読むことができる。光の側からの扱いは、光学と量子エレクトロニクス 第4章(光学と量子エレクトロニクス 第4章、Fresnel の伝搬核と近軸波動方程式)と第6章(光学と量子エレクトロニクス 第6章、回折)にある。

例題 3.1.6 基準から自由粒子の伝播関数を出す ★★★

オリジナルH^=p^2/(2m)\hat H=\hat p^2/(2m) とし、運動量の固有状態 ∣p⟩| p \rangle を ⟨x∣p⟩=eipx/ℏ/2πℏ\langle x | p \rangle =\mathrm{e}^{\mathrm{i} px/\hbar}/\sqrt{2\pi\hbar}、∫dp ∣p⟩⟨p∣=1^\int\mathrm{d} p\,| p \rangle \langle p |=\hat 1 で規格化する。⟨xf∣e−iH^t/ℏ∣xi⟩\langle x_f | \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat Ht/\hbar} | x_i \rangle を計算し、式 (3.1.16) に一致することを示せ。

解答

H^\hat H は ∣p⟩| p \rangle で対角なので、完全系を挟むと

⟨xf∣e−iH^t/ℏ∣xi⟩=∫dp ⟨xf∣p⟩ e−ip2t/(2mℏ) ⟨p∣xi⟩=12πℏ∫dp  exp⁡[−it2mℏp2+i(xf−xi)ℏp]\langle x_f | \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\hat Ht/\hbar} | x_i \rangle =\int\mathrm{d} p\,\langle x_f | p \rangle \,\mathrm{e}^{-\mathrm{i} p^2t/(2m\hbar)}\,\langle p | x_i \rangle =\frac{1}{2\pi\hbar}\int\mathrm{d} p\;\exp\Bigl[-\frac{\mathrm{i} t}{2m\hbar}p^2+\frac{\mathrm{i}(x_f-x_i)}{\hbar}p\Bigr]

となる。式 (3.1.15) で α=it/(2mℏ)\alpha=\mathrm{i} t/(2m\hbar)、β=i(xf−xi)/ℏ\beta=\mathrm{i}(x_f-x_i)/\hbar とおくと、

πα=2πmℏit,β24α=−(xf−xi)2/ℏ22it/(mℏ)=im(xf−xi)22ℏt\sqrt{\frac{\pi}{\alpha}}=\sqrt{\frac{2\pi m\hbar}{\mathrm{i} t}},\qquad \frac{\beta^2}{4\alpha}=\frac{-(x_f-x_i)^2/\hbar^2}{2\mathrm{i} t/(m\hbar)}=\frac{\mathrm{i} m(x_f-x_i)^2}{2\hbar t}

である。前因子は 12πℏ2πmℏ/(it)=m/(2πiℏt)\frac{1}{2\pi\hbar}\sqrt{2\pi m\hbar/(\mathrm{i} t)}=\sqrt{m/(2\pi\mathrm{i}\hbar t)} なので、式 (3.1.16) が出る。経路を1本も考えずに同じ式が出たことが、この場合の「基準 → 経路積分」の同値である。

経路の和で計算した 3.1.4節では運動量を使わず、ここでは経路を使わなかった。両者が一致することを一般の H^\hat H について示すのが第3部第2章である。

木下の勉強ステータス

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