この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第3部 第1章 §3.1.7 ★★ 要請 (I)(II) と合成則が第3部の出発点で、以後の章はこれを基準と結び、使い、限界を調べる
二重スリットの実験から、量子力学の確率は複素数の振幅を足してから2乗して求めるという規則を取り出した。スリットと衝立を増やす思考実験で、その規則は「始点と終点を結ぶすべての経路の振幅の和」という形になり、各経路の振幅をどう選んでも合成則 (3.1.9) が成り立つ。Feynman の要請は、各経路の振幅を同じ大きさ・位相 とおくもので、時間を区切った形 (3.1.12) が第3部の基本の対象である。
自由粒子では、前因子が「時間 0 で何も動かない」という条件から決まり、折れ線の和が厳密に閉じて伝播関数 (3.1.16) が出た。それを使って、ガウス型の二重スリットの縞を近似なしで計算し、遠方では de Broglie の関係から書いた縞の間隔に一致することを確かめた。基準の言葉では、伝播関数は時間発展の演算子の位置表示、合成則は位置の完全系の挿入、経路を見分けることは検出器との合成系の部分トレースに当たる。
第3部の残りの章の役割は次のとおりである。
- 第3部第2章:基準から式 (3.1.12) を導く(前因子と の評価点の問題を含む)。
- 第3部第3章:自由粒子と調和振動子を Gauss 積分で解く(共通例題①③)。
- 第3部第4章:3.1.3節で言葉だけで述べた古典極限を停留位相として示す。
- 第3部第5章:逆向きの同値(経路積分から Schrödinger 方程式)を示す。
- 第3部第6章:時間を虚数にして統計力学へつなぐ。
- 第3部第7章:測度の数学的な定義の難しさなど、この構成の限界を扱う。
総合問題 経路を見分ける印のついた二重スリット ★★★
オリジナル3.1.5節のガウス型の二重スリット(間隔 、幅 、飛行時間 )を考える。粒子は内部の自由度(スピンなど)を持ち、スリット を通ると内部の状態が になるように細工してある。 は実数で とする。衝立を通った直後の状態は である( は式 (3.1.17))。
- (1) 内部の状態は飛行中に変わらないとして、時刻 の状態を伝播関数で書き、各成分の位置の振幅が になることを示せ。(使う道具:3.1.2節の式 (3.1.10)・3.1.5節の式 (3.1.19))
- (2) (印なし)のとき、位置の分布が式 (3.1.22) になり、 で縞の間隔が に近づくことを示せ。(使う道具:3.1.5節)
- (3) 内部の状態を問わずに位置 に見つかる確率密度を求め、規格化の定数 を決めよ。さらに、位置 のまわりの縞の可視度が であることを示せ。(使う道具:3.1.1節の可視度・3.1.6節の規則 3・第1部第2章の Born の規則と合成系のテンソル積)
- (4) ヘリウム原子()が で、・ のスリットを通り、 先で検出される。・・縞の間隔(厳密と遠方)を求めよ。 のとき、中央と での可視度を求めよ。(使う道具:3.1.5節・(3))
- (5) 同じ配置で粒子の質量を にすると何が起こるか。 と干渉項の大きさを求め、3.1.3節の位相の議論(位相差 の回り道の大きさ )と結びつけて説明せよ。(使う道具:3.1.3節・例題 3.1.3)
解答
(1) 自由粒子の伝播関数は内部の状態に作用しないので、 はそのまま残り、位置の部分だけに式 (3.1.10) を当てる。時刻 の状態は
である。 は だけの関数なので、積分変数を だけずらすことができる。すると式 (3.1.19) の が に置き換わり、 を得る。
(2) では で、内部の状態は共通の因子になる。位置の振幅は で、3.1.5節の計算がそのまま当てはまり、式 (3.1.22) を得る。 では なので、式 (3.1.23) は
となり、間隔は に近づく。
(3) 内部の状態を問わない確率密度は、内部の正規直交基底について確率を足したもの、すなわち内部の自由度について部分トレースをとったものである。状態を と書くと、 と から
となる。干渉項が 倍になる以外は (2) と同じである。全確率は時間によらないので で計算でき、 から である。
可視度は、 のまわりの1周期で包絡線が一定とみなし、 の値の比から求める。式 (3.1.22) の形で、直接の項の和と干渉項の振幅はそれぞれ
である。比をとると共通の因子が消え、 を得る。中央では で、印の重なり がそのまま可視度になる。中央から離れると、片方のスリットに近い側の波束が強くなって となるので、式 (3.1.4) のとおり可視度が下がる。
(4) である。 で、 である。幅は になる。縞の間隔は、遠方の式で
であり、厳密には 倍の である。中性子の例題より が小さいので、遠方の近似との差が まで開く。 の可視度は、中央で 、 で である。この配置では が の 倍しかないので、中央から離れると可視度は速く下がる。
(5) で、飛行時間 よりはるかに長い。式 (3.1.20) から で、波束は広がらない。干渉項の大きさは で、波束が重なる中央 でも である。検出面にはスリットの像が2つ並ぶだけで、分布は古典の になる(遠方の式を形式的に当てはめた間隔 は、 なので意味を持たない)。
位相の議論で言い直すと、位相差 の回り道の大きさは で、スリットの幅 の約 である。スリット を出た粒子が中央 に届くには、まっすぐ進む経路から 横にずれた経路が要る。その大きさは位相差 の回り道の約800倍なので、そうした経路は隣り合う経路と打ち消し合い、和に残らない。残るのは各スリットからまっすぐ進む古典の経路の近くだけで、この打ち消しが式の上では干渉項の因子 として現れる。
木下の勉強ステータス
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