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この章のまとめ

2026年10月17日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第1章 二重スリットから「全経路の和」へ

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第3部 第1章 §3.1.7 ★★ 要請 (I)(II) と合成則が第3部の出発点で、以後の章はこれを基準と結び、使い、限界を調べる

二重スリットの実験から、量子力学の確率は複素数の振幅を足してから2乗して求めるという規則を取り出した。スリットと衝立を増やす思考実験で、その規則は「始点と終点を結ぶすべての経路の振幅の和」という形になり、各経路の振幅をどう選んでも合成則 (3.1.9) が成り立つ。Feynman の要請は、各経路の振幅を同じ大きさ・位相 S[x]/ℏS[x]/\hbar とおくもので、時間を区切った形 (3.1.12) が第3部の基本の対象である。

自由粒子では、前因子が「時間 0 で何も動かない」という条件から決まり、折れ線の和が厳密に閉じて伝播関数 (3.1.16) が出た。それを使って、ガウス型の二重スリットの縞を近似なしで計算し、遠方では de Broglie の関係から書いた縞の間隔に一致することを確かめた。基準の言葉では、伝播関数は時間発展の演算子の位置表示、合成則は位置の完全系の挿入、経路を見分けることは検出器との合成系の部分トレースに当たる。

第3部の残りの章の役割は次のとおりである。

  1. 第3部第2章:基準から式 (3.1.12) を導く(前因子と VV の評価点の問題を含む)。
  2. 第3部第3章:自由粒子と調和振動子を Gauss 積分で解く(共通例題①③)。
  3. 第3部第4章:3.1.3節で言葉だけで述べた古典極限を停留位相として示す。
  4. 第3部第5章:逆向きの同値(経路積分から Schrödinger 方程式)を示す。
  5. 第3部第6章:時間を虚数にして統計力学へつなぐ。
  6. 第3部第7章:測度の数学的な定義の難しさなど、この構成の限界を扱う。

総合問題 経路を見分ける印のついた二重スリット ★★★

オリジナル3.1.5節のガウス型の二重スリット(間隔 dd、幅 σ0\sigma_0、飛行時間 tt)を考える。粒子は内部の自由度(スピンなど)を持ち、スリット ±d/2\pm d/2 を通ると内部の状態が ∣χ±⟩| \chi_\pm \rangle になるように細工してある。⟨χ−∣χ+⟩=γ\langle \chi_- | \chi_+ \rangle =\gamma は実数で 0≤γ≤10\le\gamma\le1 とする。衝立を通った直後の状態はNγ[g(x−d2)∣χ+⟩+g(x+d2)∣χ−⟩]\mathcal N_\gamma\bigl[g(x-\frac d2)| \chi_+ \rangle +g(x+\frac d2)| \chi_- \rangle \bigr] である(gg は式 (3.1.17))。

  1. (1) 内部の状態は飛行中に変わらないとして、時刻 tt の状態を伝播関数で書き、各成分の位置の振幅が ψ±(x,t)=ψg(x∓d2,t)\psi_\pm(x,t)=\psi_g(x\mp\frac d2,t) になることを示せ。(使う道具:3.1.2節の式 (3.1.10)・3.1.5節の式 (3.1.19))
  2. (2) γ=1\gamma=1(印なし)のとき、位置の分布が式 (3.1.22) になり、t≫t∗t\gg t_* で縞の間隔が 2πℏt/(md)2\pi\hbar t/(md) に近づくことを示せ。(使う道具:3.1.5節)
  3. (3) 内部の状態を問わずに位置 xx に見つかる確率密度を求め、規格化の定数 Nγ\mathcal N_\gamma を決めよ。さらに、位置 xx のまわりの縞の可視度が V(x)=γ/cosh⁡(xd/(2σ(t)2))\mathcal V(x)=\gamma/\cosh\bigl(xd/(2\sigma(t)^2)\bigr) であることを示せ。(使う道具:3.1.1節の可視度・3.1.6節の規則 3・第1部第2章の Born の規則と合成系のテンソル積)
  4. (4) ヘリウム原子(m=6.647×10−27 kgm=6.647\times10^{-27}\,\mathrm{kg})が v=1000 m s−1v=1000\,\mathrm{m\,s^{-1}} で、σ0=1 μm\sigma_0=1\,\mu\mathrm m・d=20 μmd=20\,\mu\mathrm m のスリットを通り、ℓ=1 m\ell=1\,\mathrm m 先で検出される。t∗t_*・σ(t)\sigma(t)・縞の間隔(厳密と遠方)を求めよ。γ=0.5\gamma=0.5 のとき、中央と x=σ(t)x=\sigma(t) での可視度を求めよ。(使う道具:3.1.5節・(3))
  5. (5) 同じ配置で粒子の質量を 10−21 kg10^{-21}\,\mathrm{kg} にすると何が起こるか。t∗t_* と干渉項の大きさを求め、3.1.3節の位相の議論(位相差 π\pi の回り道の大きさ πℏt/(2m)\sqrt{\pi\hbar t/(2m)})と結びつけて説明せよ。(使う道具:3.1.3節・例題 3.1.3)
解答

(1) 自由粒子の伝播関数は内部の状態に作用しないので、∣χ±⟩| \chi_\pm \rangle はそのまま残り、位置の部分だけに式 (3.1.10) を当てる。時刻 tt の状態は

Nγ[∫dx′ K0(x,t;x′,0) g(x′−d2)]∣χ+⟩+Nγ[∫dx′ K0(x,t;x′,0) g(x′+d2)]∣χ−⟩\mathcal N_\gamma\Bigl[\int\mathrm{d} x'\,K_0(x,t;x',0)\,g(x'-\tfrac d2)\Bigr]| \chi_+ \rangle +\mathcal N_\gamma\Bigl[\int\mathrm{d} x'\,K_0(x,t;x',0)\,g(x'+\tfrac d2)\Bigr]| \chi_- \rangle

である。K0K_0 は x−x′x-x' だけの関数なので、積分変数を x′∓d/2x'\mp d/2 だけずらすことができる。すると式 (3.1.19) の xx が x∓d/2x\mp d/2 に置き換わり、ψ±(x,t)=ψg(x∓d2,t)\psi_\pm(x,t)=\psi_g(x\mp\frac d2,t) を得る。

(2) γ=1\gamma=1 では ∣χ+⟩=∣χ−⟩| \chi_+ \rangle =| \chi_- \rangle で、内部の状態は共通の因子になる。位置の振幅は N(ψ++ψ−)\mathcal N(\psi_++\psi_-) で、3.1.5節の計算がそのまま当てはまり、式 (3.1.22) を得る。t≫t∗t\gg t_* では σ(t)2≈σ02t2/t∗2\sigma(t)^2\approx\sigma_0^2t^2/t_*^2 なので、式 (3.1.23) は

kf≈dt2σ02(t2/t∗2)t∗=d t∗2σ02t=mdℏtk_{\mathrm f}\approx\frac{dt}{2\sigma_0^2(t^2/t_*^2)t_*}=\frac{d\,t_*}{2\sigma_0^2t}=\frac{md}{\hbar t}

となり、間隔は 2πℏt/(md)2\pi\hbar t/(md) に近づく。

(3) 内部の状態を問わない確率密度は、内部の正規直交基底について確率を足したもの、すなわち内部の自由度について部分トレースをとったものである。状態を ∣Ψ⟩=Nγ(ψ+∣χ+⟩+ψ−∣χ−⟩)| \Psi \rangle =\mathcal N_\gamma(\psi_+| \chi_+ \rangle +\psi_-| \chi_- \rangle ) と書くと、⟨χ±∣χ±⟩=1\langle \chi_\pm | \chi_\pm \rangle =1 と ⟨χ−∣χ+⟩=γ\langle \chi_- | \chi_+ \rangle =\gamma から

Pγ(x,t)=Nγ2[∣ψ+∣2+∣ψ−∣2+2γ Re⁡(ψ+ψ−∗)]P_\gamma(x,t)=\mathcal N_\gamma^2\Bigl[\lvert \psi_+\rvert ^2+\lvert \psi_-\rvert ^2+2\gamma\,\operatorname{Re}(\psi_+\psi_-^*)\Bigr]

となる。干渉項が γ\gamma 倍になる以外は (2) と同じである。全確率は時間によらないので t=0t=0 で計算でき、∫Pγ dx=Nγ2(2+2γ e−d2/(8σ02))=1\int P_\gamma\,\mathrm{d} x=\mathcal N_\gamma^2\bigl(2+2\gamma\,\mathrm{e}^{-d^2/(8\sigma_0^2)}\bigr)=1 から Nγ2=1/[2(1+γ e−d2/(8σ02))]\mathcal N_\gamma^2=1/[2(1+\gamma\,\mathrm{e}^{-d^2/(8\sigma_0^2)})] である。

可視度は、xx のまわりの1周期で包絡線が一定とみなし、cos⁡(kfx)=±1\cos(k_{\mathrm f}x)=\pm1 の値の比から求める。式 (3.1.22) の形で、直接の項の和と干渉項の振幅はそれぞれ

e−(x−d/2)2/(2σ2)+e−(x+d/2)2/(2σ2)=2 e−(x2+d2/4)/(2σ2)cosh⁡xd2σ2,2γ e−(x2+d2/4)/(2σ2)\mathrm{e}^{-(x-d/2)^2/(2\sigma^2)}+\mathrm{e}^{-(x+d/2)^2/(2\sigma^2)}=2\,\mathrm{e}^{-(x^2+d^2/4)/(2\sigma^2)}\cosh\frac{xd}{2\sigma^2},\qquad 2\gamma\,\mathrm{e}^{-(x^2+d^2/4)/(2\sigma^2)}

である。比をとると共通の因子が消え、V(x)=γ/cosh⁡(xd/(2σ2))\mathcal V(x)=\gamma/\cosh(xd/(2\sigma^2)) を得る。中央では V(0)=γ\mathcal V(0)=\gamma で、印の重なり γ\gamma がそのまま可視度になる。中央から離れると、片方のスリットに近い側の波束が強くなって P1≠P2P_1\ne P_2 となるので、式 (3.1.4) のとおり可視度が下がる。

(4) t=ℓ/v=1 mst=\ell/v=1\,\mathrm{ms} である。t∗=2×6.647×10−27×10−12/(1.055×10−34) s=1.26×10−4 st_*=2\times6.647\times10^{-27}\times10^{-12}/(1.055\times10^{-34})\,\mathrm s=1.26\times10^{-4}\,\mathrm s で、t/t∗=7.93t/t_*=7.93 である。幅は σ(t)=σ01+7.932=7.99 μm\sigma(t)=\sigma_0\sqrt{1+7.93^2}=7.99\,\mu\mathrm m になる。縞の間隔は、遠方の式で

2πℏtmd=6.626×10−34×10−36.647×10−27×2×10−5 m=4.98 μm\frac{2\pi\hbar t}{md}=\frac{6.626\times10^{-34}\times10^{-3}}{6.647\times10^{-27}\times2\times10^{-5}}\,\mathrm m=4.98\,\mu\mathrm m

であり、厳密には 1+(t∗/t)2=1.0161+(t_*/t)^2=1.016 倍の 5.06 μm5.06\,\mu\mathrm m である。中性子の例題より t/t∗t/t_* が小さいので、遠方の近似との差が 1.6 %1.6\,\% まで開く。γ=0.5\gamma=0.5 の可視度は、中央で 0.50.5、x=σ(t)x=\sigma(t) で 0.5/cosh⁡(d/(2σ(t)))=0.5/cosh⁡(1.25)=0.270.5/\cosh(d/(2\sigma(t)))=0.5/\cosh(1.25)=0.27 である。この配置では σ(t)\sigma(t) が dd の 0.40.4 倍しかないので、中央から離れると可視度は速く下がる。

(5) t∗=2×10−21×10−12/(1.055×10−34) s=19 st_*=2\times10^{-21}\times10^{-12}/(1.055\times10^{-34})\,\mathrm s=19\,\mathrm s で、飛行時間 1 ms1\,\mathrm{ms} よりはるかに長い。式 (3.1.20) から σ(t)/σ0−1=1.4×10−9\sigma(t)/\sigma_0-1=1.4\times10^{-9} で、波束は広がらない。干渉項の大きさは e−(x2+d2/4)/(2σ2)\mathrm{e}^{-(x^2+d^2/4)/(2\sigma^2)} で、波束が重なる中央 x=0x=0 でも e−d2/(8σ02)=e−50=1.9×10−22\mathrm{e}^{-d^2/(8\sigma_0^2)}=\mathrm{e}^{-50}=1.9\times10^{-22} である。検出面にはスリットの像が2つ並ぶだけで、分布は古典の P1+P2P_1+P_2 になる(遠方の式を形式的に当てはめた間隔 3.3×10−11 m3.3\times10^{-11}\,\mathrm m は、t≪t∗t\ll t_* なので意味を持たない)。

位相の議論で言い直すと、位相差 π\pi の回り道の大きさは πℏt/(2m)=1.3×10−8 m\sqrt{\pi\hbar t/(2m)}=1.3\times10^{-8}\,\mathrm m で、スリットの幅 σ0\sigma_0 の約 1/781/78 である。スリット +d/2+d/2 を出た粒子が中央 x=0x=0 に届くには、まっすぐ進む経路から d/2=10 μmd/2=10\,\mu\mathrm m 横にずれた経路が要る。その大きさは位相差 π\pi の回り道の約800倍なので、そうした経路は隣り合う経路と打ち消し合い、和に残らない。残るのは各スリットからまっすぐ進む古典の経路の近くだけで、この打ち消しが式の上では干渉項の因子 e−50\mathrm{e}^{-50} として現れる。

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