解答
(1) (6.3.4) から、c^1†c^2†∣0,0⟩=∣1,1⟩((6.3.3) の定義そのもの)、c^2c^1∣1,1⟩=c^2c^1c^1†c^2†∣0⟩=∣0,0⟩ である。対の項は粒子数を2つ変えるので、粒子数が偶数の {∣0,0⟩,∣1,1⟩} と奇数の {∣0,1⟩,∣1,0⟩} を混ぜない。偶の部分の行列は
(0ΔΔ2ε)
で、固有値は ε±ε2+Δ2=ε±EF である。奇の部分では対の項が0になり(c^1†c^2†∣0,1⟩=0 など)、行列は ε の2重である。数値では EF=1.25 で、固有値は −0.25, 1, 1, 2.25 である。粒子数の偶奇 (−1)n^1+n^2 は H^F と交換し、これは 6.3.6 節の例題で境界の符号を決めた偶奇と同じ量である。
(2) 偶の部分の固有値 ε−EF の固有ベクトルは、∣Ψ0⟩=u∣0,0⟩−v∣1,1⟩(u2=0.9、v2=0.1、u=0.9487、v=0.3162)である。実際、行列を当てると第1成分は −Δv、第2成分は Δu−2εv で、v/u=(EF−ε)/Δ=1/3 を使うと両方とも (ε−EF) 倍になる。γ^1=uc^1+vc^2† を当てると、c^1∣1,1⟩=c^1c^1†c^2†∣0⟩=∣0,1⟩、c^2†∣0,0⟩=∣0,1⟩ から
γ^1∣Ψ0⟩=u⋅(−v)∣0,1⟩+v⋅u∣0,1⟩=0
である。γ^2=uc^2−vc^1† も、c^2∣1,1⟩=−∣1,0⟩(c^2 が c^1† を追い越す)、c^1†∣0,0⟩=∣1,0⟩ から γ^2∣Ψ0⟩=uv∣1,0⟩−vu∣1,0⟩=0 である。符号の約束を1か所でも守らないと、どちらかが0にならない。⟨n^1⟩=v2=0.1 である。
(3) c^1=σ^1−、c^2=Z^1σ^2− で、σ^1+Z^1=σ^1+、Z^1σ^1−=σ^1− から
c^1†c^2†=σ^1+σ^2+,c^2c^1=Z^1σ^2−σ^1−=σ^1−σ^2−
である。σ^±=(X^±iY^)/2 と n^j=(1−Z^j)/2 を入れると
H^F=ε(1−2Z^1+Z^2)+2Δ(X^1X^2−Y^1Y^2)
になる。2つのモードの模型では隣どうしなので文字列は残らず、フェルミ粒子の対の項は2つの量子ビットの XX−YY 型の結合になる。この形は2量子ビットの基準(公理 Q6)の言葉で書いた同じハミルトニアンで、固有値は (1) と同じ −0.25,1,1,2.25 である。
(4) 4つの固有値 ε−EF、ε(2重)、ε+EF から
Z=e−β(ε−EF)+2e−βε+e−β(ε+EF)=e−β(ε−EF)(1+e−βEF)2=e−βε(2cosh2βEF)2
である。最後の形は、角振動数 EF/ℏ のフェルミ粒子の振動子 (6.3.10) の ZF=2cosh(βEF/2) が2つと、定数の因子 e−βε の積で、6.3.4 節の H^F=EF(γ^1†γ^1+γ^2†γ^2)+ε−EF を熱平衡の言葉で言い直したものである。βε=1 では Z=e−1(2+2cosh1.25)=2.1252 である。準粒子の占有は ⟨γ^†γ^⟩=1/(e1.25+1)=0.2227 で、n^1=(uγ^1†−vγ^2)(uγ^1−vγ^2†) の期待値は交差項が熱平衡で0になるので
⟨n^1⟩=u2⟨γ^1†γ^1⟩+v2(1−⟨γ^2†γ^2⟩)=v2+(u2−v2)⋅0.2227=0.1+0.8×0.2227=0.2782
である。
(5) EB=1−0.5625=0.6614 で、基底エネルギーは EB−ε=−0.3386、⟨a^1†a^1⟩=v2=21(ε/EB−1)=0.2559 である。フェルミ粒子(−0.25、0.1)と比べて、ボース粒子は同じ Δ で基底エネルギーが下がり、占有数も大きい。各モードに何個でも入れるので、対の項で下がる余地が大きいためである。Δ を大きくすると EB は Δ=ε で0になり、Δ>ε では運動方程式の固有値が純虚数になって基底状態が無くなる。したがって Δ<ε に限られる。フェルミ粒子にはこの制限が無い。verify_ch6-03.py で、(1)〜(4) を4次元の行列で、(5) を各モード45個で打ち切ったボース粒子の行列で確かめた。