この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第6部 第4章 §6.4.7 ★★ 固体の粒子の名前は、2次形式の対角化と真空の選び方の2つの操作で作られ、Stoner 条件はその上の平均場から出る
この章では、第二量子化を固体の問題に当てた。粒子数を保つ2次形式は、1粒子の行列をユニタリ行列で対角化すれば独立なモードの和になる(命題 6.4.1)。フォノンとフォトンは、ずれの場と電磁場の基準振動をそれぞれ共通例題①の振動子として量子化したもので、個数が保存しない(6.4.1 節)。スピンは Holstein–Primakoff 変換で個数の上限 を持つボース粒子に写り、全部そろった状態を真空にするとマグノンが現れた。マグノン1個の状態は厳密な固有状態で、分散は である(6.4.2 節)。スピン は個数 0 か 1 のボース粒子で、共通例題②の Rabi 振動がそのまま書けた。Fermi の海を真空に取り直すと、詰まった準位の消滅演算子が正孔の生成演算子になり、正孔は電荷 ・運動量 ・正の質量を持つ(6.4.3 節)。第2章の2体演算子の公式を Wannier 基底に当て、同じサイトの項だけを残すと Hubbard 模型の になり、原子の極限では が局所モーメントを作った(6.4.4 節)。その平均場は Slater 行列式1つの変分で、運動エネルギーの損 と Coulomb の得 の比較から Stoner 条件 と磁化率の増強 が出た(6.4.5 節)。橋の節では、これらが基準のスピンの波動関数や Slater 行列式に戻ることを、1マグノンの状態で両向きに示した(6.4.6 節)。
要点
- 粒子数を保つ2次形式 は で になる。素励起はこの である。
- Holstein–Primakoff 変換 、 はスピンの代数を のボース粒子に写す。1マグノンでは線形スピン波が厳密になる。
- 詰まった準位で と読み替えると、Fermi の海が真空になり、励起のエネルギーがすべて正になる。
- 同じサイトの Coulomb 反発は Pauli の排他律のため逆向きのスピンの対だけに当たり、 になる。
- Hubbard 模型の平均場のエネルギーは で変わり、 で強磁性になる。平均場は強磁性を出しやすい方向に誤る。
総合問題 2サイトの Hubbard 模型を物性の言葉で読む ★★★
オリジナル2つのサイト の Hubbard 模型 (、)を考える。
- (1) Fock 空間の次元、電子2個の部分空間の次元、そのうち全スピンの 成分が 0 の部分空間の次元を求めよ。(使う道具:第6部第2章の Fock 空間の次元、6.4.4 節)
- (2) で、命題 6.4.1 を使って電子2個の基底状態とエネルギーを求め、二重占有の数 を求めよ。(使う道具:6.4.1 節)
- (3) で電子2個の基底エネルギーが であることを示し、Hellmann–Feynman の定理で二重占有の数を求めよ。 の値を出せ。(使う道具:6.4.4 節、第6部第3章の反交換関係)
- (4) 2個の電子のスピンを両方上に向けた状態のエネルギーと、2個とも結合軌道に入れた Slater 行列式(制限した平均場)のエネルギーを求めよ。平均場の範囲でこの2つを比べると がいくつより大きいとスピンがそろうか。厳密な基底状態はスピンがそろった状態か。(使う道具:6.4.5 節)
- (5) 電子3個の準位を、正孔の言葉(電子が4個詰まった状態から1個抜く)で求めよ。(使う道具:6.4.3 節)
解答
(1) モードは の4つのフェルミのモードなので、Fock 空間は 次元である。電子2個の部分は4つのモードから2つを選ぶ 次元で(第2章の )、そのうち上向き1個・下向き1個は 次元である。残りの2つは両方上向きと両方下向きの状態である。
(2) 1粒子の行列 の固有値は で、結合軌道 が 、反結合軌道が である。基底状態は結合軌道に上向きと下向きを1個ずつ入れた で、 である。この状態では各サイトの で、上向きと下向きは独立に詰まっているので 、2つのサイトの和は になる。
(3) 全スピンの 成分 0 の部分空間の基底を 、、、 に取る。ホッピングは1サイトに1個ずつの状態と2個詰まりの状態をつなぐ。反交換関係で符号を調べると、2個詰まりの対称な組み合わせ と1個ずつの1重項 の2つだけが の行列要素でつながり、残りの2つの組み合わせはエネルギー と の固有状態になる。つながった2つの行列は で、小さいほうの固有値が
である。Hellmann–Feynman の定理 から、二重占有の数は
で、 で (2) の に戻る。 では 、二重占有の数は で、相互作用のため電荷のゆらぎが抑えられている。 では で、6.4.4 節の終わりに述べた の1重項のエネルギー に当たる。
(4) 両方上向きの状態は、Pauli の排他律で2つの上向きの軌道(結合と反結合)を1個ずつ埋めるしかなく、 に等しい。運動エネルギーは 、同じサイトに逆向きの対が無いので の項も 0 で、エネルギーは によらず である。2個とも結合軌道に入れた Slater 行列式では、運動エネルギー に、(2) の二重占有の数 を掛けた が加わり、エネルギーは である。この2つの平均場の状態を比べると、、すなわち でスピンがそろった状態のほうが低くなる。これは 6.4.5 節の「運動エネルギーの損と の得の比較」の2サイト版である。しかし (3) の厳密な は からどの でも負で、スピンのそろった状態の より低い。厳密な基底状態はスピンが逆向きの1重項で、強磁性にはならない。制限した平均場は、2個の電子が同じサイトを避け合う相関を入れられないので のエネルギーを過大に見積もり、そのためにスピンのそろった状態が有利に見えた。
(5) 4個詰まった状態 のエネルギーは、運動エネルギー 0(結合と反結合が全部埋まる)と の項 で である。電子3個の状態は で、(6.4.10) の正孔 が1個ある状態である。正孔のいるサイトでは電子が1個だけなので、そのサイトの の項が消え、 の項は常に である。運動エネルギーは、詰まった4つの準位の和 から抜けた準位のエネルギーを引いたもので、結合軌道から抜くと 、反結合軌道から抜くと になる。したがって電子3個の準位は と (それぞれスピンの向きの2重縮退)で、 では基底が である。電子1個の準位 と比べると、正孔の言葉では「1個の粒子が同じ で飛び移る問題」に一定の が足されたものになっている。(1)〜(5) の数値は、16次元の Fock 空間の行列を対角化して verify_ch6-04.py で確かめた。
木下の勉強ステータス
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