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粒子数の重ね合わせ:BCS 状態

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第6部 第7章 得意な問題と限界:粒子数が変わる現象

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第6部 第7章 §6.7.4 ★★ BCS 状態は電子対の数を決めない状態で、各対は第3章の対を作る2モードのフェルミ模型の基底状態になる。ここでは名前と式だけを置く

超伝導の Bardeen–Cooper–Schrieffer の理論(J. Bardeen, L. N. Cooper and J. R. Schrieffer (1957), Phys. Rev. 108, 1175)は、Fermi 面の近くの電子が運動量 k\bm{k}・上向きスピンと −k-\bm{k}・下向きスピンの対を作る状態を基底状態に置く。理論の中身(引力の起源・ギャップ方程式の解・転移温度)は固体の巻(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第4章)にあり、ここでは第二量子化の言語でどう書けるかだけを示す。

化学ポテンシャルから測った1電子のエネルギーを ξk=εk−μ\xi_k=\varepsilon _k-\mu とし、Fermi 面から ℏωD\hbar\omega_{\mathrm D} 以内の対だけに定数の引力 −g/V-g/V がはたらく簡約したハミルトニアン

H^−μN^=∑kσξkc^kσ†c^kσ−gV∑k,k′′c^k↑†c^−k↓†c^−k′↓c^k′↑\hat H-\mu\hat N=\sum_{\bm{k}\sigma}\xi_k\hat c_{\bm{k}\sigma}^\dagger\hat c_{\bm{k}\sigma}-\frac gV\sum_{\bm{k},\bm{k}'}{}^{'}\hat c_{\bm{k}\uparrow}^\dagger\hat c_{-\bm{k}\downarrow}^\dagger\hat c_{-\bm{k}'\downarrow}\hat c_{\bm{k}'\uparrow}

を考える(和の ′' は ∣ξk∣,∣ξk′∣<ℏωD\lvert \xi_k\rvert ,\lvert \xi_{k'}\rvert <\hbar\omega_{\mathrm D} に限ることを表す)。これは粒子数を保つ。BCS 状態は

∣BCS⟩=∏k(uk+vk c^k↑†c^−k↓†)∣0⟩,uk2=12(1+ξkEk),vk2=12(1−ξkEk),Ek=ξk2+Δ2(6.7.14)| \mathrm{BCS} \rangle =\prod_{\bm{k}}\bigl(u_k+v_k\,\hat c_{\bm{k}\uparrow}^\dagger\hat c_{-\bm{k}\downarrow}^\dagger\bigr)| 0 \rangle ,\qquad u_k^2=\frac12\Bigl(1+\frac{\xi_k}{E_k}\Bigr),\quad v_k^2=\frac12\Bigl(1-\frac{\xi_k}{E_k}\Bigr),\quad E_k=\sqrt{\xi_k^2+\Delta^2}\tag{6.7.14}

で、ギャップ Δ=(g/V)∑k′⟨c^−k↓c^k↑⟩=(g/V)∑k′ukvk\Delta=(g/V)\sum'_{\bm{k}}\langle \hat c_{-\bm{k}\downarrow}\hat c_{\bm{k}\uparrow} \rangle =(g/V)\sum'_{\bm{k}}u_kv_k が自己無撞着に決まる。片スピンの状態密度 N0N_0 を使うと条件は 1=λ∫0ℏωDdξ/E=λarsinh⁡(ℏωD/Δ)1=\lambda\int_0^{\hbar\omega_{\mathrm D}}\mathrm{d}\xi/E=\lambda\operatorname{arsinh}(\hbar\omega_{\mathrm D}/\Delta)(λ=gN0\lambda=gN_0)で、Δ=ℏωD/sinh⁡(1/λ)≈2ℏωDe−1/λ\Delta=\hbar\omega_{\mathrm D}/\sinh(1/\lambda)\approx2\hbar\omega_{\mathrm D}\mathrm{e}^{-1/\lambda} になる。

第二量子化の目で見て大事なのは次の2点である。第一に、各対 (k↑,−k↓)(\bm{k}\uparrow,-\bm{k}\downarrow) の因子 uk+vkc^†c^†u_k+v_k\hat c^\dagger\hat c^\dagger は、第3章の対を作る2モードのフェルミ模型の基底状態そのもので(第6部第3章)、そこでの円の関係 u2+v2=1u^2+v^2=1 と準粒子 γ^k↑=ukc^k↑−vkc^−k↓†\hat\gamma_{\bm{k}\uparrow}=u_k\hat c_{\bm{k}\uparrow}-v_k\hat c_{-\bm{k}\downarrow}^\dagger をそのまま使うことができる。BCS 状態は、この模型を波数ごとに独立に並べ、Δ\Delta だけを全体で共有させたものである。第二に、(6.7.14) は粒子数の固有状態でない。0個・2個・4個……の対の成分を同時に持ち、波数ごとに独立なので

⟨N^⟩=∑k2vk2,⟨N^2⟩−⟨N^⟩2=∑k4uk2vk2=∑kΔ2Ek2(6.7.15)\langle \hat N \rangle =\sum_{\bm{k}}2v_k^2,\qquad\langle \hat N^2 \rangle -\langle \hat N \rangle ^2=\sum_{\bm{k}}4u_k^2v_k^2=\sum_{\bm{k}}\frac{\Delta^2}{E_k^2}\tag{6.7.15}

である。対ごとの n^k↑+n^−k↓\hat n_{\bm{k}\uparrow}+\hat n_{-\bm{k}\downarrow} は確率 vk2v_k^2 で 2、uk2u_k^2 で 0 を取るので、平均は 2vk22v_k^2、分散は 4uk2vk24u_k^2v_k^2 になる。和を VN0∫dξVN_0\int\mathrm{d}\xi に置き換えると分散は πN0VΔ\pi N_0V\Delta で体積に比例し、相対的な揺らぎ πN0VΔ/⟨N^⟩\sqrt{\pi N_0V\Delta}/\langle \hat N \rangle は V−1/2V^{-1/2} で0に向かう。したがって熱力学の量を出すには粒子数を決めない状態で差し支えない。粒子数を決めない代わりに、対の振幅 ⟨c^c^⟩\langle \hat c\hat c \rangle が位相を持つ。その位相の選び方ごとに状態が非同値な表現に分かれることと、粒子数を決めた状態がその位相の混合で書けることは第8部第5章で証明している(第8部第5章)。

同じ平均場は、第6部第6章のフェルミ粒子のコヒーレント状態の経路積分(Grassmann 数の虚時間の経路積分。その章の Grassmann 数 η\eta を、この章では結合の強さ η\eta と分けるため χkσ(τ)\chi_{\bm{k}\sigma}(\tau) と書く。第6部第6章)からも出る。対の組み合わせ B(τ)≔∑k′χ−k↓χk↑B(\tau)\coloneqq\sum'_{\bm{k}}\chi_{-\bm{k}\downarrow}\chi_{\bm{k}\uparrow} を作ると引力の項は (g/V)BˉB(g/V)\bar BB で、Gauss 積分の恒等式

exp⁡[1ℏ∫0βℏdτ gVBˉB]∝∫DΔˉ DΔ exp⁡[−1ℏ∫0βℏdτ(Vg∣Δ∣2−ΔˉB−ΔBˉ)]\exp\Bigl[\frac1\hbar\int_0^{\beta\hbar}\mathrm{d}\tau\,\frac gV\bar BB\Bigr]\propto\int\mathcal D\bar\Delta\,\mathcal D\Delta\, \exp\Bigl[-\frac1\hbar\int_0^{\beta\hbar}\mathrm{d}\tau\Bigl(\frac Vg\lvert \Delta\rvert ^2-\bar\Delta B-\Delta\bar B\Bigr)\Bigr]

(右辺の指数を Vg∣Δ−gVB∣2−gVBˉB\frac Vg\lvert \Delta-\frac gVB\rvert ^2-\frac gV\bar BB と平方完成すれば確かめられる)で、4つの Grassmann 数の積を、複素数の場 Δ(τ)\Delta(\tau) と2つの Grassmann 数の積に置き換える。これを Hubbard–Stratonovich 変換と呼ぶ。Grassmann 数について2次になったので積分は行列式として実行でき、残った Δ\Delta の積分の停留点を時間によらない定数に取ると、条件が (6.7.14) の下に書いた自己無撞着の条件(ギャップ方程式)に一致する。平均場は「対の場 Δ\Delta の経路積分の停留点」で、停留点のまわりの Δ\Delta の揺らぎを足していくのが平均場を超える計算の出発点である。この章では式を示すだけにとどめる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/V→01/V\to0(熱力学極限で、対の演算子 ∑′c^c^\sum'\hat c\hat c をその期待値 VΔ/gV\Delta/g に置き換える平均場) | 証明 条件付き(BCS の簡約したハミルトニアンに限り、熱力学極限で平均場が厳密になる。Haag 1962・Thirring–Wehrl 1967。第8部第5章・第6部第3章の札と同じ判定。短距離の現実的なハミルトニアンからの導出は未解決) | 行き先 近似の数理 第6章

例題 6.7.4 4つの対の準位の BCS 状態 ★★

オリジナル対の準位が4つ、ξk=−1.5,−0.5,0.5,1.5\xi_k=-1.5,-0.5,0.5,1.5(単位は任意)にあり、Δ=1\Delta=1 とする。

  1. (1) 各準位の vk2v_k^2 を求め、⟨N^⟩\langle \hat N \rangle と粒子数の分散を出せ。
  2. (2) 8つのフェルミモードの Fock 空間(256次元)に (6.7.14) を組み、(1) の値と、偶数の粒子数の成分しか持たないことを確かめる手順を述べよ。
解答

(1) E=1.52+1=1.803E=\sqrt{1.5^2+1}=1.803 と 0.52+1=1.118\sqrt{0.5^2+1}=1.118 から、vk2=12(1−ξk/Ek)v_k^2=\frac12(1-\xi_k/E_k) は ξk=−1.5,−0.5,0.5,1.5\xi_k=-1.5,-0.5,0.5,1.5 の順に 0.91600.9160、0.72360.7236、0.27640.2764、0.08400.0840 である。⟨N^⟩=2(0.9160+0.7236+0.2764+0.0840)=4\langle \hat N \rangle =2(0.9160+0.7236+0.2764+0.0840)=4 で、準位が ξ=0\xi=0 について対称なので半分まで埋まる。分散は ∑Δ2/Ek2=2(1/3.25+1/1.25)=2.215\sum\Delta^2/E_k^2=2(1/3.25+1/1.25)=2.215 で、標準偏差 1.491.49 は平均の4に比べて小さくない。準位が4つしかないので、相対的な揺らぎは大きい。

(2) 第3章の Jordan–Wigner の作り方で8つのモードの c^j\hat c_j を 282^8 次元の行列にし、対 (2p,2p+1)(2p,2p+1) ごとに up+vpc^2p†c^2p+1†u_p+v_p\hat c_{2p}^\dagger\hat c_{2p+1}^\dagger を真空に掛ける。得られたベクトルのノルムは1で、N^=∑jc^j†c^j\hat N=\sum_j\hat c_j^\dagger\hat c_j の期待値と分散は 44 と 2.2152.215 に一致した。各基底ベクトルの成分を占有数ごとに分けると、0でないのは N=0,2,4,6,8N=0,2,4,6,8 だけだった。さらに γ^p=upc^2p−vpc^2p+1†\hat\gamma_p=u_p\hat c_{2p}-v_p\hat c_{2p+1}^\dagger が4つともこのベクトルを0にすることも確かめた(verify_ch6-07.py)。

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