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出てくるもの2:鎖の端とソリトンの準位

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第8章 ポリアセチレン:Peierls 転移と SSH 模型
目次
  1. 端の準位
  2. ソリトン:2つの Kekulé 構造の境目
  3. 巻き数:端の準位の数を から数える
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第8章 §2.8.4 ★★ 弱い結合で終わる端と、2つの Kekulé 構造の境目には、ギャップの中央 ε=0\varepsilon =0 に孤立した準位が1つずつ現れる。その数は h(k)h(k) の巻き数で決まる

端の準位

2量体化した鎖を有限の長さで切ると、端の結合が強い(t1t_1)か弱い(t2t_2)かで違いが出る。サイト 1,2,…,N1,2,\dots,N(NN は偶数)の鎖の結合を、弱い・強い・弱い・…・弱いの順に並べる(NN 個のサイトに N−1N-1 本の結合があり、両端が弱い結合になる)。このとき ε=0\varepsilon =0 の固有状態を探す。Schrödinger 方程式の nn 番目の成分は −tn−1ψn−1−tnψn+1=εψn-t_{n-1}\psi_{n-1}-t_n\psi_{n+1}=\varepsilon \psi_n で、ε=0\varepsilon =0 では奇数番目のサイトの振幅と偶数番目のサイトの振幅が別々の式に分かれる。偶数番目をすべて 00 とし、奇数番目について解くと、サイト2の式 −twψ1−tsψ3=0-t_{\mathrm w}\psi_1-t_{\mathrm s}\psi_3=0 から

ψ2j+1=(−twts)jψ1,ψ2j=0(2.8.13)\psi_{2j+1}=\Bigl(-\frac{t_{\mathrm w}}{t_{\mathrm s}}\Bigr)^j\psi_1,\qquad \psi_{2j}=0\tag{2.8.13}

を得る(ts=t+∣y∣t_{\mathrm s}=t+\lvert y\rvert, tw=t−∣y∣t_{\mathrm w}=t-\lvert y\rvert は強い結合と弱い結合のホッピング)。tw<tst_{\mathrm w}<t_{\mathrm s} なので振幅は左端から指数関数的に減り、左端に局在した状態になる。減る長さは、単位胞(長さ 2a2a)ごとに tw/tst_{\mathrm w}/t_{\mathrm s} 倍になることから

ξ=2aln⁡(ts/tw)(2.8.14)\xi=\frac{2a}{\ln(t_{\mathrm s}/t_{\mathrm w})}\tag{2.8.14}

である。右端にも同じ形の状態があり、鎖が長ければ2つの状態は e−Na/ξ\mathrm{e}^{-Na/\xi} の桁の小さな重なりで ±\pm にわずかに分かれるだけで、どちらもギャップの中央に残る(図 2.8.3)。逆に端が強い結合で終わる鎖では、同じ式で振幅が端から増えてしまうので規格化できず、端の準位は無い。

この違いは直観的にも分かる。弱い結合で終わる鎖では、端のサイトは隣と弱くしかつながっておらず、強い結合の対を作れずに1個だけ余っている。余った1個の pzp_z 軌道が、ギャップの中央 εa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0 の準位として残る。

図

図 2.8.3 両端が弱い結合で終わる N=40N=40 の鎖(ts=2.83 eVt_{\mathrm s}=2.83\,\mathrm{eV}, tw=2.17 eVt_{\mathrm w}=2.17\,\mathrm{eV})を数値で対角化し、ε≈0\varepsilon \approx0 の2つの固有状態から左端に局在した組み合わせを作ったもの(左半分だけ示す)。振幅は奇数番目のサイトにだけあり、式 (2.8.13) のとおり単位胞ごとに −tw/ts=−0.770-t_{\mathrm w}/t_{\mathrm s}=-0.770 倍になる。2つの固有値は ±6.1 meV\pm6.1\,\mathrm{meV} で、バルクの準位の最小 ±0.79 eV\pm0.79\,\mathrm{eV} に比べて桁違いに 00 に近い。

ソリトン:2つの Kekulé 構造の境目

長い鎖の途中で、左側は u>0u>0、右側は u<0u<0 の2量体化になっている配置を考える。境目の近くでは、強い結合の対を作れないサイトが1個余る。左側から見るとそのサイトは弱い結合で終わる端、右側から見ても弱い結合で終わる端になっており、上と同じ理由で境目に局在した ε=0\varepsilon =0 の準位が1つ現れる。実際の鎖では unu_n は境目で急に符号を変えず、ある幅にわたって滑らかに +u0+u_0 から −u0-u_0 へ移る。この境目をソリトンと呼ぶ。SSH は数値計算で、ソリトンの幅が約 7a7a、ソリトン1個を作るエネルギーが 0.42 eV0.42\,\mathrm{eV} になることを示した(Su–Schrieffer–Heeger 1980)。連続極限の模型での解析では、ソリトン1個のエネルギーは 2Δ0/π2\Delta_0/\pi になる(H. Takayama, Y. R. Lin-Liu and K. Maki (1980), Phys. Rev. B 21, 2388)。Δ0=0.650 eV\Delta_0=0.650\,\mathrm{eV} なら 0.414 eV0.414\,\mathrm{eV} で、ギャップの半分 Δ0\Delta_0 より小さい。電子を1個ギャップの上へ上げるより、ソリトンを作る方がエネルギーが安い。

ギャップの中央の準位は、スピンを含めて席が2つある。電子が1個入るとソリトンは電荷 00・スピン 12\frac12、2個入ると電荷 −e-e・スピン 00、空なら電荷 +e+e・スピン 00 になる(Su–Schrieffer–Heeger 1980)。電荷とスピンの組み合わせが普通の電子(電荷 −e-e・スピン 12\frac12)と逆になっている。ポリアセチレンにドーピングで電荷を入れると、電子はバンドへ入らず、電荷をもちスピンをもたないソリトンになると考えられている。

巻き数:端の準位の数を h(k)h(k) から数える

端の準位があるかどうかは、無限に長い鎖の h(k)h(k) だけから決まる。式 (2.8.5) の非対角成分を

q(k)≔−(t1+t2e−2ika)q(k)\coloneqq-\bigl(t_1+t_2\mathrm{e}^{-2\mathrm{i} ka}\bigr)

と書くと、kk が Brillouin 域を1周するとき、q(k)q(k) は複素平面の上で中心 −t1-t_1、半径 t2t_2 の円を1周する。t2<t1t_2<t_1 なら円は原点を囲まず、t2>t1t_2>t_1 なら原点を1回囲む。原点のまわりを回る回数

W≔12πi∫−π/(2a)π/(2a)ddkln⁡q(k) dk={0(t1>t2)−1(t1<t2)(2.8.15)W\coloneqq\frac{1}{2\pi\mathrm{i}}\int_{-\pi/(2a)}^{\pi/(2a)}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} k}\ln q(k)\,\mathrm{d} k =\begin{cases}0 & (t_1>t_2)\\ -1 & (t_1<t_2)\end{cases}\tag{2.8.15}

が、h(k)h(k) の巻き数である(e−2ika\mathrm{e}^{-2\mathrm{i} ka} は kk が増えると時計回りに回るので、原点を囲むときの符号は −1-1 になる)。t1=t2t_1=t_2(ギャップが閉じる所)を通らない限り、t1t_1, t2t_2 を連続に変えても WW は整数のまま変わらない。

単位胞を (A, B) で区切った鎖を左端で切ると、端の結合は単位胞の中の結合 t1t_1 の反対側、すなわち左端の A サイトは単位胞の中の t1t_1 だけで隣とつながる。t1<t2t_1<t_2(∣W∣=1\lvert W\rvert =1)なら端の結合が弱く、端の準位が1つある。t1>t2t_1>t_2(W=0W=0)なら端の結合が強く、端の準位は無い。端の準位の数が無限の鎖の巻き数 ∣W∣\lvert W\rvert に等しいというこの対応は、第5部で扱うトポロジカル絶縁体の「バルクと端の対応」の最も簡単な例である(第5部第6章)。巻き数を数えるとき、h(k)h(k) の対角成分が 00 であること(A どうし・B どうしの飛び移りが無いこと)を使った。この性質(カイラル対称性)が崩れると、h(k)h(k) は2次元の円でなく3次元の球面の上を動くので、原点を囲むという言い方が使えなくなる。

例題 2.8.4 端の準位の局在の長さとソリトンの幅を比べる ★★

オリジナル式 (2.8.2) の値と 2.8.3節の y0=0.326 eVy_0=0.326\,\mathrm{eV} を使う。

  1. (1) tst_{\mathrm s}, twt_{\mathrm w} と、式 (2.8.14) の局在の長さ ξ\xi を aa の単位で求めよ。
  2. (2) SSH が数値計算で得たソリトンの幅 7a7a と比べよ。
  3. (3) (1) の値で、ξ\xi を連続極限の式 ξ≈ℏvF/Δ0\xi\approx\hbar v_{\mathrm F}/\Delta_0(ℏvF=2ta\hbar v_{\mathrm F}=2ta は等間隔の鎖の Fermi 準位での dε/dk\mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k)と比べよ。
解答

(1) ts=2.826 eVt_{\mathrm s}=2.826\,\mathrm{eV}、tw=2.174 eVt_{\mathrm w}=2.174\,\mathrm{eV}、ln⁡(ts/tw)=ln⁡1.2999=0.2623\ln(t_{\mathrm s}/t_{\mathrm w})=\ln1.2999=0.2623 なので ξ=2a/0.2623=7.63a\xi=2a/0.2623=7.63a である。

(2) 端の準位の局在の長さ 7.6a7.6a は、ソリトンの幅 7a7a と同じ大きさである。どちらも「ギャップの中央の状態が、ギャップ Δ0\Delta_0 の絶縁体の中にどこまでしみ出すか」で決まる長さだからである。ソリトンの幅が格子間隔の数倍あるので、格子の離散性を無視した連続極限の模型(Takayama–Lin-Liu–Maki)がよい近似になる。

(3) ℏvF=2×2.5×a=5.0 eV⋅a\hbar v_{\mathrm F}=2\times2.5\times a=5.0\,\mathrm{eV}\cdot a、Δ0=0.652 eV\Delta_0=0.652\,\mathrm{eV} として ξ≈5.0/0.652 a=7.67a\xi\approx5.0/0.652\,a=7.67a で、(1) と 0.5%0.5\% で一致する。ts/tw=(1+z)/(1−z)t_{\mathrm s}/t_{\mathrm w}=(1+z)/(1-z) で z=y/tz=y/t が小さいとき ln⁡1+z1−z≈2z\ln\frac{1+z}{1-z}\approx2z なので、ξ≈2a/(2z)=a t/y=2ta/(2y)=ℏvF/Δ0\xi\approx2a/(2z)=a\,t/y=2ta/(2y)=\hbar v_{\mathrm F}/\Delta_0 となり、2つの式は z→0z\to0 で一致する。

ほかの巻では

  • 近似の数理 第12章:端の準位の数と Wannier 関数の中心のずれ(Zak 位相)が同じ巻き数から来ることが読める。記号の対応:向こうの v,wv,w はこの巻の t1,t2t_1,t_2
  • 相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第5部第1章:2量体化した鎖の基底状態のエンタングルメント・エントロピーが長さによらず飽和することが読める。記号の対応:向こうの δ\delta はこの巻の y/ty/t

木下の勉強ステータス

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