この章のまとめと試験での出方
AI 生成・木下が未勉強
統計学の復習 第12章 §12.10
仮説検定は、帰無仮説 のもとで分布が完全に分かる統計量を作り、その実現値が分布の裾(棄却域)に落ちたら を棄却する手続きである。 を値が1つに決まる側に置くのは確率を計算するためで、示したい主張は に置く。棄却したときの結論は第1種の過誤の確率 で保証されるが、棄却しなかったときの結論は、第2種の過誤の確率 が真の ごとに決まり制御されていないので、 が正しいことの証拠にならない。 値は のもとでの裾の確率で、 と統計量が棄却域に入ることは同じ判定である。 が正しい確率ではない。検定の採択域を母数について解き直すと信頼区間になる。片側か両側かは対立仮説の向きで決まり、データを見る前に決める。
| 場面 | 検定統計量 | のもとでの分布 | 両側の棄却域 |
| 1標本・ 既知 | |||
| 1標本・ 未知 | |||
| 対応のある差 | |||
| 独立2標本・等分散 | |||
| 独立2標本・Welch | 近似 |
片側検定では、どの行も臨界値の を に替え、棄却域を対立仮説の向きの片方の裾だけにする。
2級では、場面を見分けて統計量を計算し臨界値と比べる問いのほか、 値の意味・2種類の過誤の増減・片側と両側の選択を問う文章の正誤問題が毎回出る。失点は、 値を が正しい確率と読む、 を増やすと が下がると考える、片側の臨界値に を使う、 未知で を使う、 と を読み違える、対応のあるデータを独立2標本として扱う、の6か所に集中する。
1級の統計数理では、検定の手続きを与えられて結論を出すだけでなく、検定そのものを導くことが求められる。典型的な小問の連鎖は「帰無仮説のもとでの統計量の分布を示す → 有意水準 の棄却域を決める → 検出力関数を母数の関数として書く → 検出力を指定した値にする標本の大きさを求める → 検定を反転して信頼区間を作る」である。この章では検定統計量を直観で選んだが、1級では尤度比から統計量を導くこと(尤度比検定)と、検出力が最大の検定を作ること(Neyman–Pearson の補題)が問われる。2025年 統計数理 問4 の題材(二項分布での確率化検定)は、例題 12.1 で見た「離散型では棄却の確率を にちょうど合わせられない」問題の続きに当たる。これらは数理統計の解説 第7章 §7.3(尤度比検定)・§7.5(検定方式の評価)で扱い、検定の反転による区間の構成は数理統計の解説 第8章 §8.2 で扱う。統計応用(理工学)では、対応のある差の検定と2標本の検定が、実験計画法で処理の効果を調べるときの最も単純な場合(2水準の一元配置と乱塊法)として現れる。
次の総合問題は、本章の検出力と片側 検定に、第6章の標準化・第8章の標本平均の分布・第10章の片側の信頼限界をつなぐ。
総合問題 検出力から標本の大きさを決め、母分散が未知の検定と信頼限界で確かめる ★★★
オリジナルある部品の強度は正規分布 に従う。従来の平均は で、改良によって平均が上がったかを、、、有意水準 で調べる。
- (1) が既知で のとき、 の分布を答え、 についての棄却域を求めよ。(使う道具:第8章 標本平均の期待値と分散、第6章 正規分布の再生性と標準化)
- (2) (1) の検定の、真の母平均 での検出力を求めよ()。(使う道具:本章 式 (12.2))
- (3) のまま、 での検出力を 以上にするのに必要な の最小値を求めよ()。(使う道具:本章 式 (12.2)、 の単調性)
- (4) 実際には は未知で、 の標本から 、不偏標準偏差 を得た。片側 検定を行え()。また、誤って と比べた場合の結論を述べよ。(使う道具:本章 §12.7)
- (5) (4) のデータから、 の信頼係数 の下側信頼限界を求め、(4) の結論と矛盾しないことを確かめよ。(使う道具:第10章 片側の信頼限界、本章 定理 12.5 の片側版)
解答
(1) 第8章から 、 で、第6章の再生性から である。 のもとで なので、棄却域は 、すなわち
である。
(2) 真の のとき なので
である。式 (12.2) で と置いた と同じ値である。真の平均が 上がっていても、半分以上の確率でそれを見逃す。
(3) 一般の では で、検出力は である。 は、 が増加関数なので と同値である。したがって
で、切り上げて である( では 、検出力は で を下回る)。(2) の から約4倍の標本が要る。 は に比例するので、 を から へ約2倍にするには を約4倍にする必要がある。
(4) 標準誤差は で、
である。 なので、有意水準 では を棄却しない()。誤って と比べると で棄却してしまう。 を で推定したぶれを無視した分だけ臨界値が小さくなり、第1種の過誤の確率が を超える手続きになる。
(5) 第10章の片側の信頼限界の を に替えると、下側信頼限界は
で、区間は である。上側の片側検定で が棄却されないことは、、すなわち と同値で、 が区間に入ることを意味する。 は 以上なので区間に入り、(4) で棄却しなかったことと一致する。ただし は下限 にきわめて近く、 値 が にきわめて近いことと同じ事情を表している。
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