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何を近似したか・何の実験の量で確かめるか

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第19章 Rabi 振動と光 Bloch 方程式
目次
  1. 置いた近似
  2. 何の実験の量で確かめるか
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第19章 §19.5 ★★ 回転波近似(第18章の札)・Markov 近似・位相の乱れを定数の率で置く閉じ方・場を古典に置く半古典論の4つと、磁気共鳴・光学的章動・エコー・電磁誘起透明化の実験

置いた近似

1つ目は回転波近似で、札は第18章に置いた。回転波近似は Ω/ω0\Omega/\omega_0 と ∣Δ∣/ω0\lvert \Delta\rvert /\omega_0 を小さいとして、反対向きに回る成分(e±2iωLt\mathrm{e}^{\pm2\mathrm{i}\omega_{\mathrm L}t} で振動する項)を落とす。落とした項の主な影響は、共鳴の位置を Ω2/(4ω0)\Omega^2/(4\omega_0) だけ高い方へずらすことで、これを Bloch–Siegert のずれと呼ぶ(F. Bloch, A. Siegert (1940)、Phys. Rev. 57, 522)。光の遷移ではこのずれは自然幅に比べて非常に小さい(例題 19.8)。

2つ目は、自然放出を Lindblad 形のマスター方程式 (19.8) で書いたことである。原子と真空のモードの全体は可逆な Schrödinger 方程式に従うが、真空のモードの相関が原子の時間尺度より速く消えることと、結合が弱いことを使って、原子だけの方程式に記憶の無い減衰の項を残した。この近似は、結合の強さ λ\lambda を 00 に送り同時に時間を λ2t\lambda^2t を一定に保って伸ばす極限(van Hove の弱結合極限)で正当化され、E. B. Davies (1974)、Commun. Math. Phys. 39, 91 がその極限でマスター方程式が正しいことを証明した。証明の筋は 近似の数理 第14章 に置く。光の遷移では Γ/ω0≈10−8\Gamma/\omega_0\approx10^{-8} で、極限によく近い。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの Γ/ω0→0\Gamma/\omega_0\to0(原子と真空のモードの弱結合。時間を Γt\Gamma t 一定で伸ばす) | 証明 条件付き(van Hove の弱結合極限で Davies (1974) が証明。浴の相関関数が時間について可積分であることが前提。自由空間のモードの ω3\omega^3 では、双極子近似の破れる高い周波数での切断を入れたときに前提が満たされる(第34章、第34章)) | 行き先 近似の数理 第14章

3つ目は、衝突などによる位相の乱れを定数の率 γϕ\gamma_\phi で置いたことである。実際の衝突は、原子どうしの距離に依る準位のずれが短い時間だけ起こる過程で、その効果を1つの率にまとめるのは、衝突の時間が原子の他の時間尺度より十分短いときに限られる。衝突の詳細を計算せずに、未知の効果を既知の量(コヒーレンスそのもの)に比例する減衰で置き換えて方程式を閉じた点で、Boltzmann 方程式の緩和時間近似と同じ形をしている。

近似の裏付け

型 C(閉じる) | 小さいもの 位相を乱す過程を −γϕρeg-\gamma_\phi\rho_{eg} で置き換える(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし | 行き先 近似の数理 第14章

4つ目は、レーザーの場を古典的な振幅 E0\bm{E}_0 に置いた半古典論である。場を量子化すると、共振器の1つのモードと2準位原子の結合は Jaynes–Cummings 模型(第34章)になり、コヒーレント状態の場の下での Rabi 振動は、光子数ごとに違う Rabi 周波数の重ね合わせになる。平均の光子数 nˉph\bar n_{\mathrm{ph}} が大きいほどその広がりは相対的に小さく、古典の Rabi 振動が長く続くが、Rabi の周期の数が nˉph\sqrt{\bar n_{\mathrm{ph}}} 程度に達すると振動はつぶれる(J. H. Eberly, N. B. Narozhny, J. J. Sanchez-Mondragon (1980)、Phys. Rev. Lett. 44, 1323)。自由空間を進むレーザー光の多モードの場について、同じ形の評価が成り立つかどうかは、ここでは確かめていない。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/nˉph→01/\sqrt{\bar n_{\mathrm{ph}}}\to0(場のモードの平均光子数が大きい) | 証明 条件付き(共振器の1モード・コヒーレント状態では、Jaynes–Cummings 模型の解と比べて Rabi の周期の数が nˉph\sqrt{\bar n_{\mathrm{ph}}} より十分少ない間。自由空間の多モードの場は要確認) | 行き先 近似の数理 第6章

例題 19.8 Bloch–Siegert のずれを見積もる ★

オリジナル回転波近似を使わない Hamiltonian H^/ℏ=(ω0/2)σz+Ωcos⁡(ωt) σx\hat H/\hbar=(\omega_0/2)\sigma_z+\Omega\cos(\omega t)\,\sigma_x を考える(回転波近似の後の Rabi 周波数は Ω\Omega)。反対向きに回る成分が共鳴を高い方へずらす量は、第18章の式 (18.18) の Ω2/(4ω0)\Omega^2/(4\omega_0) である(2次の摂動による導出と Floquet の方法による数値の確かめは、第18章の本文と例題 18.5 にある)。このずれを使って、次を求めよ。

  1. (1) 核磁気共鳴で ω0/2π=100 MHz\omega_0/2\pi=100\,\mathrm{MHz}、Ω/2π=1 MHz\Omega/2\pi=1\,\mathrm{MHz} のとき、ずれを周波数で求めよ。
  2. (2) 例題 19.6 の原子の遷移(ω0/2π=384 THz\omega_0/2\pi=384\,\mathrm{THz})を Ω/2π=13.6 MHz\Omega/2\pi=13.6\,\mathrm{MHz} で駆動するときのずれを求め、自然幅と比べよ。
解答

(1) 周波数では (Ω/2π)2/(4ω0/2π)=(106)2/(4×108)=2.5 kHz(\Omega/2\pi)^2/(4\omega_0/2\pi)=(10^6)^2/(4\times10^8)=2.5\,\mathrm{kHz}。核磁気共鳴の線幅(液体で Hz\mathrm{Hz} の桁)より大きく、強い駆動の磁気共鳴では補正が要る。

(2) (13.6×106)2/(4×3.84×1014)=0.12 Hz(13.6\times10^6)^2/(4\times3.84\times10^{14})=0.12\,\mathrm{Hz}。自然幅 6.07 MHz6.07\,\mathrm{MHz} の 2×10−82\times10^{-8} 倍で、観測にかからない。光の遷移で回転波近似がよく成り立つのは、ω0\omega_0 が Ω\Omega や Γ\Gamma より7〜8桁大きいからである。

何の実験の量で確かめるか

光 Bloch 方程式の直接の確かめは、Rabi 振動の周波数が光の振幅に比例する(強度の平方根に比例する)こと、減衰が T1T_1 と T2T_2 の組み合わせ (19.13) で決まること、定常状態の吸収が 1/(1+s)1/(1+s) で飽和し、線が 1+s0\sqrt{1+s_0} で広がることである。

共鳴の線の形そのものは、磁気共鳴の最初の実験(I. I. Rabi, J. R. Zacharias, S. Millman, P. Kusch (1938)、Phys. Rev. 53, 318、分子線の核磁気共鳴)で測られた。Bloch 方程式は F. Bloch (1946)、Phys. Rev. 70, 460 が核磁化について立て、Rabi 振動の減衰(過渡章動)は H. C. Torrey (1949)、Phys. Rev. 76, 1059 が Bloch 方程式の過渡解として調べた。光の遷移での Rabi 振動(光学的章動)は、G. B. Hocker, C. L. Tang (1968)、Phys. Rev. Lett. 21, 591 が赤外のレーザーと分子の気体で観測した。T2T_2 と T2∗T_2^* を分けるエコーは、磁気共鳴で Hahn (1950)、光で Kurnit ほか (1964) が示した。電磁誘起透明化は Boller ほか (1991) が観測し、第11章で引いた遅い光の実験につながった。

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