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取り出すモードと物質のモデル:位相のそろった縦モードの櫛

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第23章 モード同期と光周波数コム
目次
  1. 本の縦モードの和
  2. 位相がそろうと Dirichlet 核になる
  3. 位相がばらばらのとき
  4. 位相をそろえる結合
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第23章 §23.1 ★★★ NN 本の等間隔のモードの位相がそろうと、強度は Dirichlet 核 sin⁡2(Nωrept/2)/sin⁡2(ωrept/2)\sin^2(N\omega_{\mathrm{rep}}t/2)/\sin^2(\omega_{\mathrm{rep}}t/2) のパルス列になる。平均の強度は位相によらず、ピークだけが NN 倍に集まる

第5章(第5章)で、長さ LL の共振器の縦モードが自由スペクトル領域 νFSR=c/(2L)\nu_{\mathrm{FSR}}=c/(2L) の等間隔で並ぶことを示した。第22章(第22章)では、利得の帯域が縦モードの間隔より広いレーザーが多くの縦モードで同時に発振することを扱った。そのとき各モードの位相はばらばらで、出力の強度は平均の値のまわりで不規則に揺らぐだけである。この章では、同じ縦モードの位相をそろえると何が起こるかを考える。

この章で取り出すモードは、共振器の NN 本の縦モードである。物質のモデルは、第19章から第21章の2準位(4準位)の利得媒質を、幅の広い均一な利得の線 g(ω)g(\omega) にまとめたものと、モードどうしを結合させる素子(変調器か、強度によって損失が変わる可飽和吸収体・Kerr 媒質)である。結合は、縦モードの間隔と同じ周波数で場の振幅を時間的に変えることで、モード ℓ\ell の側帯がとなりのモード ℓ±1\ell\pm1 に重なり、その位相を引き込む。23.1節で NN 本のモードの和を書き、位相がそろうと Dirichlet 核の形のパルス列になることを示す。23.2節で道具として Fourier 変換の不確定性関係と時間帯域幅積を用意し、群速度分散によるチャープを扱う。23.3節では変調器による能動モード同期を1周ごとの主方程式で書き、定常なパルスが調和振動子の基底状態と同じ Gauss 型になることを示す。23.4節では受動モード同期を扱い、負の分散と自己位相変調がつり合うソリトンのパルスを出す。23.5節では、パルス列のスペクトルが νn=nνrep+νceo\nu_n=n\nu_{\mathrm{rep}}+\nu_{\mathrm{ceo}} の櫛になることを示し、f–2f 法で νceo\nu_{\mathrm{ceo}} を測って光の周波数を数える手順を述べる。23.6節で置いた近似と測る量を述べ、学部の授業でのモード同期の式と並べる。

この章では時間の因子を記法の正本どおり e−iωt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega t} にとり、電場は E(t)=Re⁡[E(t)e−iωct]E(t)=\operatorname{Re}[\mathcal E(t)\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_{\mathrm c}t}] と包絡線 E(t)\mathcal E(t) と搬送波の角周波数 ωc\omega_{\mathrm c} で書く。この章には温度が出てこないので、時間の長さに TT を使う。

NN 本の縦モードの和

共振器の出口の鏡の位置で、縦モード ℓ\ell の場を角周波数 ωℓ\omega_\ell、複素振幅 AℓeiϕℓA_\ell\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_\ell}(Aℓ≥0A_\ell\ge0)で書く。発振している NN 本のモードの角周波数が

ωℓ=ωc+ℓ ωrep,ωrep=2πνrep,ℓ=0,1,…,N−1(23.1)\omega_\ell=\omega_{\mathrm c}+\ell\,\omega_{\mathrm{rep}},\qquad \omega_{\mathrm{rep}}=2\pi\nu_{\mathrm{rep}},\qquad \ell=0,1,\dots,N-1\tag{23.1}

のように等間隔に並ぶとする。空の共振器では νrep=νFSR=c/(2L)\nu_{\mathrm{rep}}=\nu_{\mathrm{FSR}}=c/(2L) で、媒質があるときの νrep\nu_{\mathrm{rep}} の決まり方は 23.2節で述べる。電場は E(t)=Re⁡[∑ℓAℓeiϕℓe−iωℓt]E(t)=\operatorname{Re}[\sum_\ell A_\ell\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_\ell}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_\ell t}] で、包絡線は

E(t)=∑ℓ=0N−1Aℓ eiϕℓ e−iℓωrept(23.2)\mathcal E(t)=\sum_{\ell=0}^{N-1}A_\ell\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_\ell}\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\ell\omega_{\mathrm{rep}}t}\tag{23.2}

になる。E(t)\mathcal E(t) は trt=1/νrept_{\mathrm{rt}}=1/\nu_{\mathrm{rep}} を周期とする周期関数である。trtt_{\mathrm{rt}} は光が共振器を1周する時間で、第5章の trt=2L/ct_{\mathrm{rt}}=2L/c と同じものである。強度は ∣E(t)∣2\lvert \mathcal E(t)\rvert ^2 に比例するので、以下では ∣E∣2\lvert \mathcal E\rvert ^2 を強度と呼ぶ(12ncε0\tfrac12nc\varepsilon_0 の因子は省く)。

強度を1周期にわたって平均すると、異なる ℓ\ell の積は e−i(ℓ−ℓ′)ωrept\mathrm{e}^{-\mathrm{i}(\ell-\ell')\omega_{\mathrm{rep}}t} の因子を持つので平均が 00 になり、

1trt∫0trt∣E(t)∣2 dt=∑ℓ=0N−1Aℓ2(23.3)\frac{1}{t_{\mathrm{rt}}}\int_0^{t_{\mathrm{rt}}}\lvert \mathcal E(t)\rvert ^2\,\mathrm{d} t=\sum_{\ell=0}^{N-1}A_\ell^2\tag{23.3}

が残る。これは Fourier 級数の Parseval の等式で、平均の強度は位相 ϕℓ\phi_\ell によらない。位相を変えると、1周期の中でのエネルギーの配られ方だけが変わる。

位相がそろうと Dirichlet 核になる

振幅がそろっていて(Aℓ=AA_\ell=A)、位相もそろっている(ϕℓ=0\phi_\ell=0)とする。式 (23.2) は等比級数で、

E(t)=A∑ℓ=0N−1e−iℓωrept=A 1−e−iNωrept1−e−iωrept=A e−i(N−1)ωrept/2 sin⁡(Nωrept/2)sin⁡(ωrept/2)\mathcal E(t)=A\sum_{\ell=0}^{N-1}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\ell\omega_{\mathrm{rep}}t}=A\,\frac{1-\mathrm{e}^{-\mathrm{i} N\omega_{\mathrm{rep}}t}}{1-\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_{\mathrm{rep}}t}} =A\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}(N-1)\omega_{\mathrm{rep}}t/2}\,\frac{\sin(N\omega_{\mathrm{rep}}t/2)}{\sin(\omega_{\mathrm{rep}}t/2)}

となる。強度は

∣E(t)∣2=A2 sin⁡2(Nωrept/2)sin⁡2(ωrept/2)(23.4)\lvert \mathcal E(t)\rvert ^2=A^2\,\frac{\sin^2(N\omega_{\mathrm{rep}}t/2)}{\sin^2(\omega_{\mathrm{rep}}t/2)}\tag{23.4}

で、この関数を Dirichlet 核(の2乗)と呼ぶ。性質を順に読む。

t=ktrtt=kt_{\mathrm{rt}}(kk は整数)では分母と分子がともに 00 になり、極限は N2A2N^2A^2 である。すべてのモードがこの時刻に同じ位相で重なり、振幅が NN 倍、強度が N2N^2 倍になる。最初の零点は Nωrept/2=πN\omega_{\mathrm{rep}}t/2=\pi、すなわち t=trt/Nt=t_{\mathrm{rt}}/N にある。ピークの近くでは sin⁡(ωrept/2)≈ωrept/2\sin(\omega_{\mathrm{rep}}t/2)\approx\omega_{\mathrm{rep}}t/2 と置けて、強度は N2A2 sinc2(Nωrept/2)N^2A^2\,\mathrm{sinc}^2(N\omega_{\mathrm{rep}}t/2) になる(sinc u=sin⁡u/u\mathrm{sinc}\,u=\sin u/u)。sinc2u=1/2\mathrm{sinc}^2u=1/2 の解 u=1.392u=1.392 から、強度の半値全幅は

τp=2×1.392π trtN=0.886 trtN=0.886Nνrep(23.5)\tau_{\mathrm p}=\frac{2\times1.392}{\pi}\,\frac{t_{\mathrm{rt}}}{N}=0.886\,\frac{t_{\mathrm{rt}}}{N}=\frac{0.886}{N\nu_{\mathrm{rep}}}\tag{23.5}

である。NνrepN\nu_{\mathrm{rep}} は発振しているスペクトルの全幅なので、パルスの幅はスペクトルの幅の逆数で決まる。平均の強度は式 (23.3) から NA2NA^2 で、ピークと平均の比は NN になる。1周期の中で、エネルギーが幅 trt/Nt_{\mathrm{rt}}/N ほどの時間に集まったことになる。

位相がそろうことの意味を正確に言うと、ϕℓ\phi_\ell が ℓ\ell の1次式 ϕℓ=ϕ0+ℓωrept0\phi_\ell=\phi_0+\ell\omega_{\mathrm{rep}}t_0 であればよい。そのとき式 (23.2) は eiϕ0E(t−t0)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\phi_0}\mathcal E(t-t_0) になり、パルスの時刻が t0t_0 だけずれるだけである。ϕℓ\phi_\ell に ℓ\ell の2次の項があると、周波数によって到着の時刻が違い、パルスはチャープして広がる(23.2節)。

位相がばらばらのとき

位相 ϕℓ\phi_\ell が互いに無関係な乱数であると、式 (23.2) の NN 個の項は時刻ごとに違う向きの複素数の和になる。強度の平均は式 (23.3) の NA2NA^2 のままだが、どの時刻にも項が同じ向きにそろうことはなく、強度は平均の数倍の山と谷を不規則にくり返す(図 23.1)。自由に発振している多モードのレーザーの出力がこれに当たる。各モードの位相は自然放出の雑音で独立にゆっくり変わるので(第22章の Schawlow–Townes の線幅)、山と谷の並びも時間とともに変わる。

図

図 23.1 N=8N=8 本の等振幅の縦モードの強度。位相がそろうと式 (23.4) の鋭いピーク(高さ N=8N=8、幅 ≈trt/N\approx t_{\mathrm{rt}}/N)が周期 trtt_{\mathrm{rt}} でくり返す。位相を乱数にとった1つの例では、山の高さは平均の 2.52.5 倍ほどにとどまる。どちらの曲線も、1周期の平均は破線の 11(式 (23.3))に等しい

位相をそろえる結合

位相をそろえるには、モードどうしを結合させる仕組みが要る。共振器の中に置いた変調器が、場の振幅に周期 trtt_{\mathrm{rt}} の変調 1−M(1−cos⁡ωrept)1-M(1-\cos\omega_{\mathrm{rep}}t) をかけるとする。モード ℓ\ell の場 e−iωℓt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_\ell t} に cos⁡ωrept=12(eiωrept+e−iωrept)\cos\omega_{\mathrm{rep}}t=\tfrac12(\mathrm{e}^{\mathrm{i}\omega_{\mathrm{rep}}t}+\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\omega_{\mathrm{rep}}t}) をかけると、角周波数 ωℓ±ωrep=ωℓ±1\omega_\ell\pm\omega_{\mathrm{rep}}=\omega_{\ell\pm1} の側帯ができる。側帯はとなりのモードの周波数に重なり、そのモードを決まった位相で駆動する。これが1周ごとにくり返されると、モード ℓ\ell と ℓ±1\ell\pm1 の位相差が変調の位相で決まる値に引き込まれる。変調器の代わりに、強い光ほど損失の小さい素子(可飽和吸収体)を置いても、強度の山だけが損失を受けにくいので、山を作る位相の配置が残る。前者を能動モード同期、後者を受動モード同期と呼ぶ(23.3節・23.4節)。変調器によるモード同期は、He–Ne レーザーの共振器の中で損失を音響光学的に変調して最初に観測された(Hargrove, Fork, Pollack (1964), Appl. Phys. Lett. 5, 4)。

例題 23.1 1200 本の縦モードをそろえる ★★

オリジナル長さ L=1.50 mL=1.50\,\mathrm m の直線の共振器(中は空気とみなし屈折率 11)のレーザーが、幅 120 GHz120\,\mathrm{GHz} の平らな利得の帯域の中のすべての縦モードで、同じ振幅で発振している。平均の出力は 1.00 W1.00\,\mathrm W とする。

  1. (1) νrep\nu_{\mathrm{rep}} と、発振しているモードの数 NN を求めよ。
  2. (2) 位相がそろったときのパルスの半値全幅、1つのパルスのエネルギー、ピークの出力を求めよ。
  3. (3) 位相がそろっていてもそろっていなくても、平均の出力が同じであることを、式 (23.3) を使わずにエネルギーの保存から説明せよ。
解答

(1) νrep=c/(2L)=2.998×108/3.00=99.9 MHz\nu_{\mathrm{rep}}=c/(2L)=2.998\times10^8/3.00=99.9\,\mathrm{MHz}。帯域の中のモードの数は N=120×109/(99.9×106)≈1200N=120\times10^9/(99.9\times10^6)\approx1200 本である。

(2) 式 (23.5) から τp=0.886/(120 GHz)=7.38 ps\tau_{\mathrm p}=0.886/(120\,\mathrm{GHz})=7.38\,\mathrm{ps}。1周期 trt=10.0 nst_{\mathrm{rt}}=10.0\,\mathrm{ns} に1つのパルスが出るので、エネルギーは 1.00 W×10.0 ns=10.0 nJ1.00\,\mathrm W\times10.0\,\mathrm{ns}=10.0\,\mathrm{nJ}。ピークと平均の比は NN なので、ピークの出力は 1200×1.00 W=1.20 kW1200\times1.00\,\mathrm W=1.20\,\mathrm{kW} である。10 nJ10\,\mathrm{nJ} を 7.38 ps7.38\,\mathrm{ps} で割っても 1.36 kW1.36\,\mathrm{kW} と同じ桁になる(Dirichlet 核の形とパルスを長方形とみなした違いの分だけずれる)。

(3) 各モードが共振器から持ち出すエネルギーの流れは、そのモードの振幅 Aℓ2A_\ell^2 と出口の鏡の透過率だけで決まり、ほかのモードの位相に依存しない。出力の全体はその和なので、位相の配置によらない。位相の配置によって変わるのは、同じエネルギーが1周期の中のいつ出るかだけである。

木下の勉強ステータス

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