何を近似したか・何の実験の量で確かめるか
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第26章 §26.5 ★★ 原子の重心を古典的な粒子とし、内部状態を光 Bloch 方程式の定常解に置き換えたこと、弱い光で2本の散乱を足したこと、離調の大きな極限で励起状態を消去したことの3つ。測る量は飛行時間法の温度と雲の広がり
近似
この章の計算は、原子の重心の運動を古典的な粒子の運動として扱い、各時刻の内部状態を、その速度での光 Bloch 方程式の定常解に置き換えた。この置き換えが成り立つのは、内部状態が定常に落ち着く時間 のあいだに、原子の速度がほとんど変わらないときである。1回の散乱で速度は だけ変わり、それによる Doppler のずれ が線幅 より十分小さいことが条件になる。さらに、運動量の分布の発展を、平均の力(摩擦)と分散の増え方(拡散)の2つだけで書いた式 (26.6) は、1回の蹴り が運動量の広がりより小さいとして、蹴りの効果を2次までで打ち切った拡散の近似(Fokker–Planck 方程式)である。どちらも小さいパラメータは同じで、( で )である。幅の狭い遷移(アルカリ土類の禁制線など)では、この比が1に近づき、半古典の扱いは成り立たない。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (反跳のエネルギーと線幅の比) | 証明 要確認(内部状態を断熱的に消去して重心の Fokker–Planck 方程式へ移る展開は標準的だが、誤差の評価の前提を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章
2本の光の散乱を別々に数えて足した式 (26.3) は、 で成り立つ。光が強くなると、片方の光が遷移を飽和させてもう片方の散乱を減らすこと(交差飽和)や、一方の光から吸収して他方の光へ誘導放出で戻す過程(運動量 をやり取りする)が入り、力は2つの散乱力の和にならない。後者は向かい合う光の定在波の中の双極子力そのものである(第25章)。26.5 の例題で の値を使ったのは、この近似の範囲を少し越えた目安である。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (2本の光の散乱を独立に足す) | 証明 要確認(光 Bloch 方程式の の1次の摂動としての扱いは標準的だが、交差飽和と誘導放出による再分配を含めた誤差の評価は確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章
26.3節の光シフトと光ポンピングの描像は、離調が大きい極限 で励起状態を消去し、基底状態の副準位だけの有効な Hamiltonian と遷移の速さに置き換えたものである。これは第21章(第21章)でコヒーレンスを断熱消去してレート方程式を出した操作と同じ型の近似である。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの , (励起状態の断熱消去) | 証明 要確認(基底状態の有効な主方程式への特異摂動としての扱いの前提を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章
測る量:飛行時間法
冷えた原子の温度は、光と磁場を切って原子の雲を自由に広げ、広がる速さから速度分布を読んで測る。これを飛行時間法と呼ぶ。はじめの雲の広がりを 、速度の分布を温度 の Maxwell 分布とすると、時間 の後の広がりは、位置と速度が独立な Gauss 分布の和として
になる。雲の像を吸収か蛍光で撮り、 を に対してプロットした傾きから が出る。Lett たちの は、落ちてくる原子が下に置いた探査光を通る時刻の分布から求めた。ほかに、光を短い時間だけ切って戻したときに残る原子の割合から温度を見積もる方法(解放と再捕獲。Chu たちの 1985 年の実験)、磁気光学トラップの中心をずらしてから戻る運動を見てばね定数と減衰を測る方法がある。
例題 26.6 飛行時間法で温度を読む ★★
オリジナル の雲を解放し、 と に広がりを測った。 では だった。
- (1) 雲が Doppler 限界 にあるとき、 後の広がりを求めよ。
- (2) 後の広がりが だったとき、温度を求めよ。重力による落下は広がりを変えないことも述べよ。
解答
(1) なので、、 になる。
(2) 式 (26.16) を解いて
である。Doppler 限界より低く、偏光勾配冷却が働いたことを示す。重力はすべての原子に同じ加速度 を与え、雲全体を だけ平行移動させるだけなので、原子どうしの位置の差、すなわち広がりは変えない。
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