解答
(1) X は Θ を見て作られ、T は X だけから、R は T だけから計算するので、同時分布はp(θ)p(x∣θ)δt,x1+x2δr,1[t≥1] の形になり、式 (1.4.3) と同じ形の Markov 連鎖である。
x の表の回数を k とすると p(x∣θ)=θk(1−θ)2−k。θ=1/4 と 3/4 で平均して
p(x)=⎩⎨⎧21(169+161)=16521(163+163)=163165(k=0)(k=1, x=(1,0),(0,1) のそれぞれ)(k=2).
事後分布は Bayes の定理で Pr(Θ=41∣x)=10/169/16=0.9(k=0)、21(k=1)、0.1(k=2)。I(Θ;X)=H(Θ)−H(Θ∣X) で H(Θ)=ln2、H(Θ∣X)=1610hb(0.1)+166ln2(k=0,2 の確率の合計が 10/16、k=1 が 6/16)。よって
I(Θ;X)=1610ln2−1610hb(0.1)=85(ln2−hb(0.1))=85×0.3681=0.2300 nat.
(2) T=1 のとき X は (1,0) か (0,1) で、どちらも確率 θ(1−θ) なので条件付き分布は (1/2,1/2)。T=0 と T=2 では X が1通りに決まる。どれも θ によらないので T は十分である。式 (1.4.20) から I(Θ;T)=I(Θ;X)=0.2300 nat。直接計算でも、T の分布 (5/16,6/16,5/16) と事後分布 0.9, 1/2, 0.1 は (1) と同じなので、同じ値になる。
(3) 1回分の相対エントロピーは D(Bern(41)∥Bern(43))=41ln31+43ln3=21ln3=0.5493 nat。2回は独立なので連鎖律で D(p1/4X∥p3/4X)=ln3=1.0986 nat。T は十分なので定理 1.4.5(b) から D(p1/4T∥p3/4T)=ln3 で等しい。直接計算しても、p1/4T=(169,166,161)、p3/4T=(161,166,169) から 169ln9+161ln91=168ln9=ln3 となる。X1 だけでは 21ln3=0.5493 nat で、十分でない統計量なので ln3 より小さい。
(4) R=0 は T=0 と同じなので Pr(R=0∣θ)=(1−θ)2 で、θ=1/4 なら 9/16、3/4 なら 1/16。よって p(R=0)=165、p(R=1)=1611、事後分布は Pr(Θ=41∣R=0)=0.9 である。Pr(R=1∣θ) は θ=1/4 で 167、θ=3/4 で 1615 なので、Pr(Θ=41∣R=1)=7+157=227。したがって
I(Θ;R)=ln2−165hb(0.1)−1611hb(227)=0.6931−0.1016−0.4300=0.1615 nat.
0.1615<0.2300 で、定理 1.4.3 のとおりである。差 I(Θ;T∣R)=0.0685 nat が正なのは、R=1 の中に T=1(事後確率 1/2)と T=2(事後確率 0.1)という事後分布の違う2つの場合がまとめられているからである。R を知った後でも T を見ると Θ についての情報が増えるので、Θ→R→T は成り立たない。
(5) X の分布 (165,163,163,165) から H(X)=1.3547 nat、T の分布 (165,166,165) から H(T)=1.0948 nat。差 H(X)−H(T)=H(X∣T)=166ln2=0.2599 nat は、T=1 のときに表が1回目か2回目かという驚きの分である。T はこの驚きを捨てるので X より短い要約になるが、(2) の条件付き分布が θ によらないので捨てた部分は Θ と無関係であり、式 (1.4.20) の等号 I(Θ;T)=I(Θ;X) が成り立つ。