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授業で習った形との対応

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第4章 Hayden–Preskill と速いスクランブリング
目次
  1. 古典のカオスと Lyapunov 指数
  2. 統計力学:2点相関の緩和との違い
  3. 情報理論・量子情報の授業
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部 第4章 §7.4.6 ★★ 古典力学の Lyapunov 指数・量子力学の交換子と Poisson 括弧の対応・Ehrenfest 時間を、OTOC とスクランブリング時間と並べる。統計力学の2点相関の緩和との違いも述べる

古典のカオスと Lyapunov 指数

力学の授業では、カオス的な系の軌道は初期条件のずれ δx(0)\delta x(0) を δx(t)≈eλtδx(0)\delta x(t)\approx\mathrm{e}^{\lambda t}\delta x(0) と指数関数的に広げ、λ\lambda を Lyapunov 指数と呼ぶと習う。これを Poisson 括弧で書くと、初期の座標 x0x_0 と運動量 p0p_0 について

{x(t),p0}=∂x(t)∂x0≈eλt\{x(t),p_0\}=\frac{\partial x(t)}{\partial x_0}\approx\mathrm{e}^{\lambda t}

である({q,p}=1\{q,p\}=1 の流儀)。量子力学の授業では、交換子は [A^, B^]→iℏ{A,B}\left[\hat A,\,\hat B\right]\to\mathrm{i}\hbar\{A,B\} と Poisson 括弧に対応すると習う。これを使うと

C(t)=−⟨[x^(t), p^]2⟩≈ℏ2{x(t),p0}2≈ℏ2e2λt(7.4.23)\mathcal C(t)=-\langle \left[\hat x(t),\,\hat p\right]^2 \rangle \approx\hbar^2\{x(t),p_0\}^2\approx\hbar^2\mathrm{e}^{2\lambda t}\tag{7.4.23}

となる。OTOC は、古典のカオスの指標(初期条件への感度)の量子版である。式 (7.4.17) の λL\lambda_{\mathrm L} と比べると、交換子を2乗しているので λL=2λ\lambda_{\mathrm L}=2\lambda の関係にある。

この近似は、ℏeλt\hbar\mathrm{e}^{\lambda t} が系の典型的な作用 SclS_{\mathrm{cl}} に達すると成り立たなくなる。その時刻

tE=1λln⁡Sclℏ(7.4.24)t_{\mathrm E}=\frac1\lambda\ln\frac{S_{\mathrm{cl}}}{\hbar}\tag{7.4.24}

を Ehrenfest 時間と呼ぶ。授業で習う Ehrenfest の定理(期待値が古典の運動方程式に従う)が、カオス的な系では対数の時間しか持たない理由である。式 (7.4.20) のスクランブリング時間は、Scl/ℏS_{\mathrm{cl}}/\hbar を自由度の数 NN に読み替えた同じ形をしている。どちらも「小さな広がり(ℏ\hbar や 1/N1/N)が指数関数で全体の大きさに達するまでの時間」である。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ℏ/Scl→0\hbar/S_{\mathrm{cl}}\to0(作用が ℏ\hbar に比べて大きい) | 証明 条件付き(t≪tEt\ll t_{\mathrm E} の間だけ。カオス的な系では誤差が eλtℏ/Scl\mathrm{e}^{\lambda t}\hbar/S_{\mathrm{cl}} の程度で増える) | 行き先 近似の数理 第7章

統計力学:2点相関の緩和との違い

統計力学の授業では、平衡への緩和を時間相関関数 ⟨A^(t)B^⟩\langle \hat A(t)\hat B \rangle の減衰で測る。これは時間順序に並んだ2点の相関で、ブラックホールや強く相互作用する系では、局所的な観測量はスクランブリング時間よりずっと早く、温度で決まる時間 ℏ/(kBT)\hbar/( k_{\mathrm B} T) の程度で平衡の値に近づく。2点相関が減衰しても、情報は失われていない。⟨A^(t)B^⟩\langle \hat A(t)\hat B \rangle が小さくなるのは、A^(t)\hat A(t) が多くの自由度にまたがって B^\hat B のまわりでは見えなくなるからで、その広がりそのものを数えるのが OTOC である。第2部第3章の典型性(第2部第3章)の言葉では、部分系の状態が熱的に見えることと、全体が純粋であることは両立し、OTOC が最小値に落ちた後も、全体の状態は純粋なままである。

情報理論・量子情報の授業

情報理論の授業で通信路符号化定理を示すとき、符号語を乱数で選ぶ(乱数符号化)と習う。乱数で選んだ符号の平均の誤りを評価し、平均が小さければ小さい誤りの符号が少なくとも1つあると結論する議論である。定理 7.4.2 は、その量子版で、乱数で選ぶのが符号語でなくユニタリである点だけが違う。量子情報の授業の「量子状態は複製できない」は、式 (7.4.2) の和が一定であることとして、この章でも成り立っている。

例題 7.4.6 猫写像の Ehrenfest 時間 ★★

オリジナルトーラス [0,1)2[0,1)^2 の上の Arnold の猫写像 (x,p)↦(2x+p, x+p) mod 1(x,p)\mapsto(2x+p,\ x+p)\bmod1 を考える。

  1. Lyapunov 指数 λ\lambda(1回の写像あたり)を求めよ。
  2. この写像を Hilbert 空間の次元 NN で量子化すると、実効的な ℏ\hbar は 1/(2πN)1/(2\pi N) で、トーラスの面積 11 が SclS_{\mathrm{cl}} に当たる。N=1000N=1000 のとき Ehrenfest 時間を求めよ。
解答

(1) 写像は線形で、行列 (2111)\begin{pmatrix}2&1\\1&1\end{pmatrix} の固有値は 3±52\frac{3\pm\sqrt5}{2}。大きい方の向きのずれが毎回この倍率で伸びるので、λ=ln⁡3+52=0.9624\lambda=\ln\frac{3+\sqrt5}{2}=0.9624。

(2) Scl/ℏ=2πNS_{\mathrm{cl}}/\hbar=2\pi N だが、2π2\pi は対数の中の定数で無視でき、目安として tE≈ln⁡N/λ=ln⁡1000/0.9624=7.18t_{\mathrm E}\approx\ln N/\lambda=\ln1000/0.9624=7.18 回。Hilbert 空間が 1000 次元あっても、古典の軌道と量子の波束の対応は 7 回程度の写像で失われる。次元を2乗にしても Ehrenfest 時間は2倍にしかならない。

ほかの巻では

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