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この章のまとめ

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第7部 第4章 Hayden–Preskill と速いスクランブリング

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部 第4章 §7.4.7 ★★★ 日記が放射から取り出せる条件は D(ρ^RC ∥ ρ^R⊗ρ^C)=I(R;C)≈0D(\hat\rho_{RC}\,\|\,\hat\rho_R\otimes\hat\rho_C)=I(R;C)\approx0 で、乱数で混ぜれば古いブラックホールは k+ck+c 量子ビットで日記を返す。混ぜる速さは OTOC で測られ、ブラックホールは ln⁡SBH\ln S_{\mathrm{BH}} の時間で混ぜる

この章で比べた2つの状態は、残ったブラックホールと参照系の状態 ρ^RC\hat\rho_{RC} と、その周辺の積 ρ^R⊗ρ^C\hat\rho_R\otimes\hat\rho_C だった。両者の DD は相互情報量 I(R;C)I(R;C) で、参照系との相関の総量 2kln⁡22k\ln2 が残ったブラックホールと Bob の手元に分けて配られることから、I(R;C)=0I(R;C)=0 が日記を取り戻せる条件になった。これは第3部第9章のデカップリングの条件と同じ式で、残ったブラックホールの消失を直せる条件である。

当てた性質は、DD を純粋度で押さえる不等式 D≤ln⁡Tr⁡(ρ^2σ^−1)D\le\ln\operatorname{Tr}(\hat\rho^2\hat\sigma^{-1}) と Haar 測度の2次のモーメントで、平均の I(R;C)I(R;C) が ln⁡(1+dAdC/(dEdL))\ln(1+d_Ad_C/(d_Ed_L)) 以下になった(デカップリングの不等式)。Uhlmann の定理と量子 Pinsker の不等式で、I(R;C)I(R;C) が小さければ Bob の取り戻しの忠実度は 1−I(R;C)/21-\sqrt{I(R;C)/2} 以上になる。

出てきたものは3つある。第一に、もつれた量子ビットの数 mm に応じて、日記は s>k+(n−m)/2s>k+(n-m)/2 で出てくる。古いブラックホールは k+ck+c 量子ビットで誤り 2−c2^{-c} の鏡になり、若いブラックホールは Page 時間まで何も返さない。第二に、これは Bob の手元のもつれを補助に使う符号の性能で、s≥ks\ge k はどんな力学でも必要な下限、若いブラックホールの s≥k+n/2s\ge k+n/2 は量子 Singleton 上界と一致する。第三に、Pauli 演算子で平均した OTOC は Tr⁡ρ^RC2\operatorname{Tr}\hat\rho_{RC}^2 に比例し、I(R;C)≤ln⁡(dA2F‾)I(R;C)\le\ln(d_A^2\overline{\mathcal F}) によって、演算子の広がりと情報の取り出しが結ばれる。OTOC は Lyapunov 指数 λL≤2πkBT/ℏ\lambda_{\mathrm L}\le2\pi k_{\mathrm B} T/\hbar で増え、ブラックホールはこの上限に達して、スクランブリング時間 t∗=ℏ2πkBTHln⁡(SBH/kB)t_*=\frac{\hbar}{2\pi k_{\mathrm B} T_{\mathrm H}}\ln(S_{\mathrm{BH}}/ k_{\mathrm B}) で日記を混ぜる。授業との対応では、OTOC は Poisson 括弧で書いた古典のカオスの指標の量子版で、スクランブリング時間は Ehrenfest 時間と同じ形をしていた。

この章では力学を乱数で置き換え、重力の計算をしていない。日記が鏡のように出てくることと、ブラックホールの中に落ちた観測者が地平面で何も感じないことが両立するかは、第7部第5章の 7.5.3 節のファイアウォールの問いになる。日記の情報が CC の一部や LL の一部から再構成できるという構造は、ホログラフィーでの内部の再構成(第7部第6章の定理 7.6.2)でそのまま現れ、そこでは DD の等式(JLMS)が主役になる。Page 曲線そのものを重力の計算から出すのは第7部第7章(式 (7.7.10))である。

総合問題 蒸発するブラックホールから日記を取り出す ★★★

オリジナルN=100N=100 量子ビットの純粋な状態から生まれたブラックホールが、混ぜる力学のもとで1量子ビットずつ放射している。Bob はそれまでの放射をすべて集めている。Alice が k=4k=4 量子ビットの日記を投げ込む。

  1. (1) (使う道具:第7部第3章の式 (7.3.7)・第2部第3章)m′m' 量子ビットを放射した時点の、放射のエントロピー S(E)S(E) のおおよその値と Page 時間を述べよ。m′=30m'=30 のときの S(E)S(E) を nat で求めよ。
  2. (2) (使う道具:7.4.3節)日記を m′=30m'=30 の時点で入れた場合と m′=70m'=70 の時点で入れた場合のそれぞれで、日記を取り出せるようになるまでに要る放射の数 ss の目安を求めよ。
  3. (3) (使う道具:7.4.2節・第3部第8章)m′=70m'=70 の場合に、忠実度 1−10−61-10^{-6} 以上で取り出すには ss をいくつにすればよいか。
  4. (4) (使う道具:7.4.4節・第3部第2章)どんな力学でも、m′=70m'=70 の場合に s=3s=3 では取り出せないことを示せ。
  5. (5) (使う道具:7.4.5節・解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部第12章)このブラックホールを太陽質量のブラックホールに置き換えると、日記が混ぜられるまでのスクランブリング時間はどれくらいか。蒸発の時間 tev=5120πG2M3/(ℏc4)t_{\mathrm{ev}}=5120\pi G^2M^3/(\hbar c^4) と比べよ(G=6.674×10−11 m3 kg−1 s−2G=6.674\times10^{-11}\,\mathrm{m^3\,kg^{-1}\,s^{-2}}、M=1.988×1030 kgM=1.988\times10^{30}\,\mathrm{kg})。
解答

(1) 混ぜる力学のもとでは、放射 EE と残りのブラックホールを合わせた状態はランダムな純粋状態に近い。Page の定理(第2部第3章の典型性)により、小さい方の部分系はほぼ最大にもつれていてS(E)≈min⁡(m′,N−m′)ln⁡2S(E)\approx\min(m',N-m')\ln2。これは m′=N/2=50m'=N/2=50 で折り返し、そこが Page 時間である。m′=30m'=30 では S(E)≈30ln⁡2=20.79S(E)\approx30\ln2=20.79 nat。

(2) 残りのブラックホールは n=N−m′n=N-m' 量子ビットで、そのうち放射ともつれているのは min⁡(m′,N−m′)\min(m',N-m') 量子ビットである。式 (7.4.12) より s>k+n−min⁡(m′,n)2s>k+\frac{n-\min(m',n)}{2}。m′=30m'=30 では n=70n=70、もつれは 3030 で、s>4+20=24s>4+20=24。これは m′+s>N/2+k=54m'+s>N/2+k=54 と同じで、Page 時間を kk 量子ビット過ぎるまで待つことになる。m′=70m'=70 では n=30n=30 はすべてもつれていて、s>4s>4。日記を入れてから5量子ビット程度で取り出し始めることができる。

(3) s=k+cs=k+c とすると式 (7.4.13) により F≥1−2−c/2F\ge1-2^{-c}/\sqrt2。2−c/2≤10−62^{-c}/\sqrt2\le10^{-6} には c≥log⁡2(106/2)=19.43c\ge\log_2(10^6/\sqrt2)=19.43、すなわち c=20c=20 で、s=24s=24。このとき E I(R;C)≤ln⁡(1+4−20)≈9.1×10−13\mathbb E\,I(R;C)\le\ln(1+4^{-20})\approx9.1\times10^{-13} nat、忠実度は 1−6.7×10−71-6.7\times10^{-7} 以上である。

(4) 日記を入れる前は RR と EE は独立で I(R;E)=0I(R;E)=0。式 (7.4.15) により I(R;EL)≤2S(L)≤2sln⁡2=6ln⁡2I(R;EL)\le2S(L)\le2s\ln2=6\ln2 で、取り戻しに要る 2kln⁡2=8ln⁡22k\ln2=8\ln2 に達しない。少なくとも 2ln⁡22\ln2 の相関が残ったブラックホールに残り、式 (7.4.10) の前提 I(R;C)≈0I(R;C)\approx0 が満たされない。これは力学によらない。

(5) SBH/kB=4πGM2/(ℏc)=1.05×1077S_{\mathrm{BH}}/ k_{\mathrm B}=4\pi GM^2/(\hbar c)=1.05\times10^{77}、ln⁡(SBH/kB)=177\ln(S_{\mathrm{BH}}/ k_{\mathrm B})=177。ℏ/(2πkBTH)=4GM/c3=1.97×10−5 s\hbar/(2\pi k_{\mathrm B} T_{\mathrm H})=4GM/c^3=1.97\times10^{-5}\,\mathrm s なので、式 (7.4.22) からt∗=1.97×10−5×177=3.5×10−3 st_*=1.97\times10^{-5}\times177=3.5\times10^{-3}\,\mathrm s。光が Schwarzschild 半径を渡る時間 rs/c=9.85×10−6 sr_{\mathrm s}/c=9.85\times10^{-6}\,\mathrm s の 2ln⁡(SBH/kB)=3552\ln(S_{\mathrm{BH}}/ k_{\mathrm B})=355 倍である。蒸発の時間は tev=6.6×1074 s=2.1×1067t_{\mathrm{ev}}=6.6\times10^{74}\,\mathrm s=2.1\times10^{67} 年で、tev/t∗≈1.9×1077t_{\mathrm{ev}}/t_*\approx1.9\times10^{77}。Page 時間はこの蒸発の時間の程度なので、Page 時間の前に投げ込まれた日記は途方もなく長く待たされ、Page 時間の後に投げ込まれた日記は数ミリ秒で混ぜられ、放射の量子ビットが日記の大きさ程度出れば外に現れる。

木下の勉強ステータス

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